弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原決定を取り消す。
     本件不動産引渡命令の申立てを棄却する。
         理    由
 本件抗告の趣旨及び理由は、別紙執行抗告状記載のとおりである。
 <要旨>そこで検討するに、本件不動産引渡命令は原裁判所昭和五九年(ケ)第四
九号不動産競売事件について発せられたものであるところ、右競売事件の記
録によれば、(1)競売物件たる建物(以下「本件建物」という。)及び土地共有
持分については、所有者のインターワールド通信機工業株式会社により株式会社三
井銀行のために昭和五一年七月一日根抵当権が設定され、同年八月一〇日その旨の
登記がされたこと、(2)本件建物については昭和五二年五月一六日付で神田税務
署による差押えの登記がされたこと、(3)株式会社三井銀行は、(1)の根抵当
権に基づいて本件競売申立てをし、昭和五九年六月八日の競売開始決定に基づいて
同月一三差押えの登記がされたこと、(4)原審裁判所は、債権者株式会社三井銀
行の申請に基づき、同年一一月二一日前記各競売物件につき担保権の実行としての
競売を続行する旨の決定をし、これに基づいて競売手続が進められた結果、昭和六
二年一月三〇日株式会社越後屋に対する右各物件の売却を許可する旨の決定が言い
渡されて確定し、右買受人は買受代金を納付したこと、(5)この間において、前
記税務署長から前記差押えにかかる国税の徴収事務を引き継いだ東京国税局長は、
配当要求の終期と定められた昭和六〇年四月八日までに原裁判所に交付要求書を提
出したこと、(6)本件建物には昭和五三年七月二六日付でサソフオード株式会社
を賃借人とする存続期間満三年、譲渡・転貸ができる旨の特約付の賃借権設定仮登
記が、昭和五四年二月六日付でAことAを転借人とする期間満三年(昭和五七年一
月末日まで)、譲渡・転貸ができる旨の特約付の前記賃借権に基づく転貸の仮登記
がそれぞれなされていること、(7)昭和六〇年二月に執行官が現況調査を行つた
際には、右Aの夫であるBの経営する抗告人(当時の商号は株式会社丸和土建)が
本件建物を占有しており、抗告人からAとの間の建物賃貸借契約書(期間昭和五九
年三月一日から昭和六二年二月末日まで、賃料一か月四万円、三年分前払済み、譲
渡・転貸ができる旨の特約付)の呈示があつたこと、以上の事実が認められる。
 以上のような事実関係の下において、抗告人は、自らが本件競売開始決定による
差押の効力発生前から賃借権に基づき本件建物を占有している者に当たるとして本
件不動産引渡命令の違法を主張するところ、滞納処分と民事執行による競売とは、
もともと異種別個の手続であるが、ともに目的物件を強制的に換価してその代金か
ら債権の満足を得ることを目的とし、両手続による差押えが競合する場合に一方の
手続により換価、配当が行われると、他方の手続の債権者は、あるいは当然に、あ
るいは交付要求を通じて、その権利の実体法上の順位に従つて配当を受けることが
でき(国税徴収法八二条、一二九条、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関す
る法律一七条、六条)、一方の手続で換価が完了すると他方の手続も終了する(同
法一六条、三二条等)のであつて、両手続は右のような意味で目的を共通にし、一
方が他方を代替する関係にある。このような両手続の関係に照らすと、両手続が競
合する場合において、一方の手続により換価が完了したときは、他方の手続も、と
くに抵触するところがない限り、それ自体としての手続が進行終了したものとみる
ことはできるが、異種別個の手続であることから、一方の手続により生じた効果の
一部のみをとり上げて、他方の手続上の効果とすることはできないものといわなけ
ればならない。
 ところで、本件についてみると、抗告人は、前記税務署による差押えの登記のの
ちに本件建物を再転借した者であるのみならず、右再転借権の基盤であるサンフオ
ード株式会社の原賃借権、Aの転借権もいずれも右差押えの登記ののちに仮登記を
経由したものであるから、抗告人としては、いずれ滞納処分による公売の結果本件
建物を明け渡さなければならないことを予期していたはずではあるが、公売手続に
おいては、競売手続における不動産引渡命令のような簡易な方法で目的不動産の占
有を買受人に取得させる制度はなく、他方競売手続についてみれば、抗告人が占有
を開始したのは競売手続における差押の効力発生前であるから、当然には引渡命令
発付の要件を充足するものではない。したがつて、引渡命令を認めることなく、買
受人に通常の法的手段による明渡を求めさせることとしても、抗告人にその予期し
た以上の利益を与えることになるわけではないし、買受人に本来受けるべき以上の
不利益を与えるわけでもなく、また、先行の滞納処分による差押えによつて把握さ
れた目的不動産の交換価値の一部を実質上逸出させることになるわけでもない。
 そうすると、不動産引渡命令発付の要件に関しては、先行する滞納処分による差
押えを競売手続による差押えと同視すべき理由はなく、前記再転貸は、その内容や
当事者から見て、契約書どおりの内容のものとは容易には認め難いけれども、抗告
人が転借人Aの転借権を基盤とする何らかの占有権原に基づいて本件建物を占有す
る者であることは否定し難いから、抗告人については民事執行法八三条一項所定の
不動産引渡命令の相手方としての要件が充足されないこととなる。
 よつて、抗告人に対して発せられた本件不動産引渡命令は失当であるから、これ
を取り消したうえ相手方の右命令の申立てを棄却することとし、主文のとおり決定
する。
 (裁判長裁判官 丹野達 裁判官 加茂紀久男 裁判官 河合治夫)
別 紙
<記載内容は末尾1添付>

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛