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平成15年(行ケ)第433号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成16年5月13日
判          決
原      告    株式会社内田洋行
訴訟代理人弁護士    吉武賢次
同           宮嶋学
訴訟代理人弁理士    矢崎和彦
同           小泉勝義
被      告    A
訴訟代理人弁理士    坂戸敦
主           文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
(1)特許庁が取消2000-31025号事件について平成15年8月21日
にした審決を取り消す。
(2)訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
 主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯等
  原告は,「Kent」の欧文字を横書きして成り,指定商品を第22類「は
き物(運動用特殊靴を除く)その他本類に属する商品」とする,登録第18797
69号の商標(昭和61年7月30日に設定の登録がされ,平成8年12月24日
に存続期間の更新登録がされた。以下「本件商標」といい,その登録を「本件登
録」という。)の商標権者である。
  被告は,平成12年8月31日,本件登録を指定商品中の「はき物」につき
商標法50条の規定により取り消すことについて審判を請求し,同年10月4日,
この審判の請求の登録がなされた。特許庁は,これを取消2000-31025号
事件として審理し,その結果,平成15年8月21日,「登録第1879769号
商標の指定商品中の「はき物」については,その登録を取り消す。」との審決を
し,その謄本を,同年9月2日原告に送達した。
2 審決の理由の骨子
  審決の理由は,別紙審決書の写しのとおりである。要するに,①本件商標が
付された靴が掲載されている,甲第4号証の3(審判乙第3号証。本訴における甲
第4号証の枝番は,他のものも,審判における乙号証の番号に対応する。)の商品
パンフレットも,甲第4号証の2のパンフレットも,平成9年10月4日から平成
12年10月3日までの間に使用されていたと認めることはできない,②甲第4号
証の4の商品見本帳は,取引者・需用者に対して配布される広告宣伝物ないし取引
書類とは認められず,かつ,甲第4号証の4中の写真に写っている靴に,本件商標
が付されていると認めることはできない,③甲第4号証の7及び8の納品書から,
本件商標を靴に使用していたとの事実を認めることはできない(なお,これらの納
品書から計算される値引率は著しく高く,不自然であるとして,記載内容自体の信
頼性も否定している。),④本件商標が付された靴の販売を証明する内容の,甲第
4号証の12及び13の取引先からの証明書は,証明願から1年以上経って作成さ
れたと理解されるものであり,不自然かつ不可解であって,証拠価値はない,⑤甲
第4号証の14及び15の,上記各取引先の店舗における商品の陳列状況の写真
は,その前提となる本件商標の通常使用権者と小売店との取引関係の存在にそもそ
も疑問があり,やはり証拠価値を肯定できない,などと説示し,本件商標が,本件
審判請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間」という。)に,商標権者である
原告から使用権の設定を受けた通常使用権者により,その指定商品中の「はき物」
について使用された,とする原告の主張をすべて排斥するものである。
第3 原告の主張の要点
  原告から本件商標の通常使用権の設定を受けた通常使用権者が,本件商標
を,その指定商品中の「はき物」について,本件要証期間内に,日本国内において
継続して使用していた。審決の認定は誤っており,取り消されるべきである。
1 通常使用権者の存在及びそれによる使用の1(株式会社ランバートによる使
用)
(1)原告は,本件登録に先立ち,以下の商標の登録を得ていた。
  登録第1294845号商標
  出願日  昭和42年12月26日
  登録日  昭和52年8月30日
  商標の態様 「KENT」の欧文字と,「ケント」の片仮名文字を2段
に横書きして成る。
  指定商品 旧第22類「はき物(運動用特殊靴を除く),その他本類に
属する商品」
(甲第3号証。以下,「第1商標」という。)
(2)原告は,昭和58年7月27日,株式会社ランバート(以下「ランバー
ト」という。)との間で,第1商標につき,使用期間を3年間として,商標使用許
諾契約を締結した(甲第5号証)。昭和61年7月28日,さらに,使用期間を5
年間とする商標使用許諾契約を締結した(甲第6号証)。
(3)ランバートが実際に使用していた標章は,別紙1のとおりのものであり,
第1商標とは異なっていた。そこで,原告は,ランバートの求めに応じ,本件出願
をし,本件商標につき本件登録を得た。
  平成3年7月30日,原告とランバートとは,本件商標につき,使用期間
を5年間とする商標権通常使用許諾契約を締結した(甲第7号証)。
  原告とランバートとは,本件商標の使用期間を延長することとし,平成8
年7月30日,使用期間を5年間とする商標権通常使用許諾契約を締結した。(甲
第4号証の1)。
  原告とランバートとの間の使用許諾関係は,平成13年7月30日に終了
した。この間,ランバートは,通常使用権の対価(年10万円)を,契約締結のた
びに支払っている(甲第17号証の1ないし3,第18号証,第19号証)。
(4)ランバートは,紳士靴,婦人靴,服飾用品等の販売を主たる業務とする会
社であり,全国の小売店,洋品店に対して靴を販売していた。ランバートが靴に使
用していた標章は,「Kent」だけであり,そのほかの標章は使用していない。
ランバートが,本件商標を使用していたことは明らかである。
(5)ランバートは,実際に,本件商標が付された靴を他者に販売して,本件要
証期間内に使用していた(甲第4号証の5ないし8,12ないし15)。
  例えば,甲第4号証の5及び同8の納品書(控)に記載されている「16
03 パンプス」は,検甲第2号証のオペラパンプスと同一の品番の靴を指すもの
である。
  審決は,
 「なお,乙第7号証及び乙第8号証(判決注・甲第4号証の7,8)の納
品書(控)には,「単価」欄の価格(例えば11550)以外に,「摘要」欄にも
価格が見受けられるところ(例えば,21000・・・被請求人は「摘要」欄の価
格を「小売価格」と述べている:第二答弁書3頁9行),該「摘要」欄における小
売価格に比べ,「単価」欄の価格は,破格の値段(55%値引)となっており,こ
のような割引価格による取引が当該「はき物」の業者間において普通に行われてい
るとは些か信じ難いところである。
  してみれば,乙第7号証及び乙第8号証は,通常使用権者が本件商標を
取消し請求に係る商品「はき物」について使用した事実を証明し得る証拠というこ
とはできない。」(甲第1号証13頁21行目~30行目)
 としている。
  しかし,2万1000円は小売価格(上代)であり,1万1550円は卸
値(下代)である。卸売価格は通常小売価格の50~60パーセントであるから,
上記両金額の差は,何ら不自然ではない。
(6)ランバートは,本件要証期間内は,靴の商品パンフレットを作成すること
をしていない。甲第4号証の2,甲第11号証の1ないし6及び甲第13号証の各
パンフレットは昭和58年7月ころ作成されたもの,甲第4号証の3のパンフレッ
トは昭和59年ころに作成されたものである(以下,上記各商品パンフレットを併
せて「本件各商品パンフレット」ということもある。)。
  商品パンフレットの作成をやめたのは,靴の色やデザインを変更するたび
に,パンフレットを作り直すと,費用がかかるからである。
  ランバートは,その代わりに,商品見本帳(甲第22号証,作成時期は平
成4年以降,平成9年2月以前である。甲第4号証の4はその一部である。)を作
成し,これを取引先に呈示して商談を進めていた。
(7)以上のとおり,本件商標は,その通常使用権者であるランバートにより,
本件要証期間を含む平成3年7月ころから平成13年7月までの間,使用されてい
たのである。
2 通常使用権者の存在とそれによる使用の2(株式会社ビイエムプランニング
による使用)
(1)平成12年7月24日,原告は,株式会社ビイエムプランニング(以下
「ビイエムプランニング」という。)から,第1商標等に係る通常使用権の設定に
ついて打診を受け,同年9月19日,同社との間で,使用期間を3年間として,商
標使用許諾契約を締結した(甲第8号証)。
  この契約の締結に向けた交渉の当初から,ビイエムプランニングは,使用
許諾された商標につき,株式会社イトーヨーカ堂(以下「イトーヨーカ堂」とい
う。)に対し,再使用許諾をしたい,との希望を原告に申し入れていた。
  原告は,これを認めることとし,上記契約締結後の平成14年2月,改め
て,ビイエムプランニングとの間で対象商標に本件商標を含む商標使用許諾契約
(期間3年,始期は平成12年9月19日)を締結した(甲第9号証)。これに基
づき,使用許諾料も支払われている(甲第20号証,第21号証)。
(2)イトーヨーカ堂は,ビイエムプランニングからの再使用許可に基づき,本
件商標を付した靴を販売している(甲第10号証,第14号証,第15号証)。
3 靴における商標の使用態様
  審決は,「一般的に靴に商標を付する場合,靴の内底の見え易い位置に商標
を付するのが普通と見られるところ,そのような方法をもって,本件商標が靴に付
されている状態を乙第4号証(判決注・甲第4号証の4)からは見出すことができ
ない。」(甲第1号証12頁34行目~36行目),としている。甲第4号証の4
の写真に,靴の内底が写っていないことは認める。
  昭和58年ないし59年ころに作成されたパンフレットである甲第4号証の
2には,本件商標が内底に付された靴の写真が記載されている。すなわち,審決が
いうような一般的な態様で,本件商標を内底に付した靴が存在し,ランバートはこ
れを販売していたものである。そして,それが一般的な態様である以上,その後
も,同様な態様の表示がされた靴が存在し,販売されていたと,経験則上推認する
ことができる。
  原告は,本件商標が付された靴の存在の立証は,甲第4号証の2で十分であ
ると考える。しかし,さらに,これを補充するため,内底に本件商標が付された靴
の存在を立証するものとして,甲第11号証の1ないし6,第12号証及び第13
号証並びに検甲第1号証ないし第4号証を提出する。
第4 被告の主張の要点
  本件要証期間内における本件商標の使用は認められない,とする審決の認定
に誤りはない。
1 原告の主張1(通常使用権者の存在及びそれによる使用の1)に対して
(1)原告が,ランバートによる本件商標の使用の証拠として提出するもののう
ち,甲第4号証の1,第5号証ないし第7号証の契約書は,本件要証期間より前に
作成された証拠にすぎない。
(2)甲第4号証の2及び3のパンフレットは,昭和58年ないし59年に作成
されたものである。本件要証期間内に,本件商標が使用されたことを証明し得るも
のではない。
(3)甲第4号証の4(商品の見本帳)は,作成日付も作成者も不明である。ま
た,甲第4号証の5ないし8(いずれも納品書(控)),12,13(いずれも
「証明願」と題する書面)との関係も明らかでない。
(4)本件要証期間内に作成された甲第4号証の7及び8(いずれも納品書
(控))は,そこに記載されたランバートの住所が,2年以上前のものであり,か
つ当時既に7桁の郵便番号が採用されていたにもかかわらず,5桁のままである。
さらに,これらの控えは,本来ランバートのものであるはずであるにもかかわら
ず,第三者から送付されたFAXとして提出されている。
  このように,これらは,そもそも成立自体不自然であり,被告はその成立
を否認する。同様の理由から,甲第4号証の5及び6(いずれも納品書(控))の
成立も否認する。
(5)甲第11号証の1ないし6(いずれもパンフレット),第12号証(靴等
の写真)は,本件要証期間内の靴の製造販売を立証できるものではない。
(6)本件商標の使用を証明する旨を述べる甲第4号証の12及び13の証明書
(「証明願」と題する書面)は,証明願から1年も経った日付のものであり,か
つ,異なる会社からの証明書であるにもかかわらず,証明の日付が同一であり,筆
跡も同じであると認められる。
  被告は,甲第4号証の12及び13の成立も否認する。
2 原告の主張2(通常使用権者の存在とそれによる使用の2)に対して
(1)イトーヨーカ堂による使用は,たといそれが事実であるとしても,本件要
証期間内におけるものではない。
  甲第14号証(靴の写真)及び第15号証(領収書)は,本件要証期間内
における使用の事実を立証し得るものではない。
(2)原告は,第1商標に係る不使用取消審判においては,ビイエムプランニン
グによる使用について何ら主張・立証をせず(答弁すらせず),同商標についても
不使用取消しの審決がなされている。ビイエムプランニングとの間に通常使用権の
設定許諾があったというのであれば,原告のこの対応は極めて不自然である。
第5 当裁判所の判断
  当裁判所も,本件全証拠によっても,本件要証期間内における本件商標の使
用を認めることはできない,と判断する。その理由は,次のとおり付加するほか
は,審決が説示するとおりである(ただし,原告が挙げている,甲第4号証の7及
び8について,記載されている値引率が大きすぎることを理由に証明力がないとす
る部分,甲第4号証の4について,そこに掲載されている写真に,本件商標が付さ
れた木型が挿入されている状態の靴が写っているものの,通常,商標が付されてい
るとみられる,靴の内底部分が写っていないことを根拠に,この甲第4号証の4か
らは,それに掲載されている写真に写っている靴について本件商標が使用されてい
るとは認められない,とした部分を除く。)。
1 原告の主張1(ランバートによる本件商標の使用)について
(1)甲第4号証の1ないし3,9ないし11,第5号証ないし第7号証,第1
1号証,第12号証,第16号証ないし第19号証によれば,少なくとも昭和58
年以降からの一時期において,本件商標「Kent」の商標が付された紳士靴等が
存在し,かつ,原告による使用許諾に基づき,ランバートがそれらの靴を販売して
いた,との事実を認めることができる。
(2)甲第4号証の7(平成11年12月10日付け納品書(控)),甲第4号
証の8(平成12年4月24日付け納品書(控))は,本件要証期間内の日に作成
された形となっている,商品の納品書(控)である。これらの納品書(控)に記載
されている,靴の商品番号及び種類は,「2401 コインローファー」,「25
01 〃(判決注・コインローファーを指す。)(しぼ皮)」(以上甲第4号証の
7),「1601 ストレートチップ」,「1603 パンプス」,「1101 
ローファーズ」(以上甲第4号証の8)である。
  検甲第2号証の靴には,そのかかと部の内底面に,本件商標が付されてい
る。そして,その左側内側面に,「2 92 1603 26」との記載がある。
検甲第2号証は,その形状(甲の部分が広く開き,締め紐や留め金がない)から
は,パンプスであると認められる(乙第2号証)。
  以上からは,本件商標をそのかかと部の内底面に付された,1603とい
う型番のパンプスが存在すること,これが,甲第4号証の8の「1603 パンプ
ス」に対応するものであり,したがって,本件商標を付されたパンプスが,平成1
2年4月24日に,ランバートからメンズクラブに一足納品されたとの事実を認め
る余地がある。
(3)しかし,甲第4号証の5ないし8には,その成立の真正,あるいは,少な
くともその証明力について,以下のような疑問がある。
ア 甲第4号証の5ないし8は,いずれも納品書の控であるから,本来ラン
バートが保管しているはずのものである。しかし,これらの書証は,「FROM 
アOM’S GARDEN」として,ランバート以外のものから送付されたFAX
として提出されている。
イ 甲第4号証の7及び8は,郵便番号が7桁になってから1年以上経過し
た日付のものである。それにもかかわらず,5桁の郵便番号が記載されている。こ
れは,少なくとも商売を行う者の書面としては,不自然である。
ウ 甲第4号証の5ないし8に記載された靴の型番は,いずれも,本件商標
が付された商品のパンフレットには,記載がない。
  甲第4号証の5には,「1600 ウィングチップ」,「1601 ス
トレートチップ」,「1608 タッセル」,「1605 モカシン」,「240
1 ローファーズ」,「1607 キルト」及び「1603 パンプス」との記載
が,甲第4号証の6には,「1021 ローファーズ」,「1020 プレント
ウ」及び「1022 タッセル」との記載が,それぞれある。甲第4号証の7及び
8については,前記のとおりである。
  これに対し,甲第4号証の2のパンフレットには,「3401 ローフ
ァー」,「5772 タッセル」,甲第4号証の3のパンフレットには,「800
1 ローファー」,「8002 タッセル」,「9000 ウイングチップ」,
「9001 ローファー」,「9002 タッセル」,甲第11号証の1ないし6
のパンフレットには「3401 ローファー」,「3402 タッセル」,「36
01 ローファー」,「6301 ローファー」,「6302 ローファー」,
「8501 デッキシューズ」,甲第13号証のパンフレットには,「KT901
2」,「KT9014」,「KT9013」,「KT9060」,「KT905
0」,「KT9011」,「KT1015」,「KT1010」,「KT101
4」,「KT1010-SC」,「KT1013」,「KT1011」,「KT7
502」,「KT1011-SC」,「KT7503」,「KT7501」,「K
T7500」,「KT219」,「KT219-ベロア」,「KT217」,「K
T215」,「KT216」,「KT218」,のものしか挙げられていない(こ
れらの靴については,それ自体に本件商標が付されていたと認められる。)。これ
らに対応すると思われる商品番号は,甲第4号証の5ないし8のいずれにも記載さ
れていないのである。
  ランバートが,本件各商品パンフレットに記載されているとおり,多く
の種類の商品を扱っているのに,本件各商品パンフレットに記載された商品番号を
有する商品に対応するものが,一つも甲第4号証の5ないし8に挙げられていない
のは不自然である。
  この点につき,原告は,デザインの変更等に応じて商品番号を適宜変え
ることがあった,と主張する。しかし,原告は,同時に,「ランバートでは英国調
の本格的な手縫いの製法によるトラディショナルな靴を主力製品として販売してき
ており,基本的には大幅なデザインの変更や色の変更はしてこなかったので,シー
ズンごとのパンフレットは作成していなかった。また,それは「Kent」という
ブランドイメージを流行に左右されないトラディショナルなデザインとして定着さ
せ,それを頑なに守ってきたことをも意味する。」(原告準備書面(4)8頁8行
目~13行目),とも主張している。この主張に照らすと,上記各商品パンフレッ
ト中の商品の中には,少なくともいくらかは,デザインが変わらず,したがって商
品番号も変わらなかったものも存在したのではないか,との疑問が自然に生まれて
くるのである。
(4)検甲第2号証についても,その製造年月日について,疑問がある。
  原告は,「1603 パンプス」について,「昭和50年代から平成12
年当時にかけてもデザインの変更はなく,ロングランで売れている商品である。こ
の商品についてはデザインの変更もないため,発注ごとに上2桁の番号を変えるこ
となく,上記期間を通じて「1603」の商品番号は変えていない。」(原告準備
書面(4)4頁8行目~11行目),と主張している(同準備書面において,下2
桁の番号は,おおむね商品区分ごとに使い分けている,と主張している。)。そう
であれば,昭和58年から59年にかけて作成された,甲第4号証の2及び3,第
11号証並びに第13号証の各商品パンフレットにも,「1603 パンプス」が
掲載されているはずである。しかし,上記のとおり,「1603」の商品番号は,
本件各商品パンフレット中には見当たらない。
(5)原告が商品見本帳として提出する甲第22号証及びその一部であると原告
が主張する甲第4号証の4にも,その成立の真正ないし証明力(とりわけ作成時
期)に関し,疑問点がある。
  確かに,甲第22号証には,甲第4号証の7及び8に記載のある,「24
01 コイン ローファーズ」,「2501 コインローファーズ」(以上甲第4
号証の7),「1601 ストレートチップ」,「1603 パンプス」,「11
01 ローファーズ」に対応すると思われる商品が記載され,その直近に靴の写真
が掲載されている。また,甲第4号証の5の「1600 ウィングチップ」,「1
601 ストレートチップ」,「1608 タッセル」,「1605 モカシ
ン」,「2401 ローファーズ」,「1607 キルト」及び「1603 パン
プス」,甲第4号証の6の「1021 ローファーズ」,「1020 プレント
ウ」及び「1022 タッセル」についても,これに対応すると思われる商品が甲
第22号証中にある。
  しかし,甲第22号証は,本件各商品パンフレット(甲第4号証の2及び
3,第11号証,第13号証)と異なり,商品パンフレットではなく,本件商標が
付された靴の製造販売自体を証明するものではない。
  その作成時期も,甲第22号証の体裁や内容自体からは不明である。原告
の主張によっても,平成4年2月以降平成9年2月以前であり,本件要証期間以前
であるというだけでなく,特定の不十分なものである。さらに,甲第22号証に掲
載されている商品中,本件各商品パンフレット中に対応するものが存在すると推認
されるものは,「1010 タッセル」しかない。
  結局,甲第22号証は,その成立及び作成趣旨自体不明確なものであり,
少なくとも,作成時期が不明であるから,これと甲第4号証の7及び8の納品書
(控)とを組み合わせても,本件要証期間内における,それに記載された商品の存
在とその販売の事実とを認定することはできない。
(6)以上によれば,甲第4号証の5ないし8,とりわけ甲第4号証の8と,甲
第22号証と,検甲第2号証とを組み合わせても,本件商標が付された靴(特にパ
ンプス)が,本件要証期間内に販売されたとの事実を認定することはできない,と
いう以外にない。
(7)原告は,ランバートの経営者の陳述書(甲第16号証)を提出している。
  これには,原告の主張に沿う記載がある。しかし,本件商標の使用につい
ての具体的な事実としては,甲第4号証の7及び8に基づく取引を挙げるのみであ
る。甲第4号証の5ないし8,甲第22号証,検甲第2号証には,その成立の真
正,証拠価値及び証明力にいずれも疑問があることは既に述べたとおりであり,上
記陳述書は,その疑問を払拭するものではない。
  甲第16号証によっても,前記認定が左右されるものではない。
2 原告の主張2(ビイエムプランニングによる使用)について
(1)甲第8号証,第9号証,第10号証,第14号証,第15号証,第20号
証及び第21号証によれば,原告とビイエムプランニングとの間で,本件商標に係
る使用許諾契約が締結されたこと,ビイエムプランニングは,イトーヨーカ堂に対
し,原告の同意を得て本件商標の使用を許諾したこと,これに基づき,イトーヨー
カ堂は,本件商標を付した靴を販売していること,の各事実を認めることができ
る。
(2)しかし,上記証拠により認められる,イトーヨーカ堂が本件商標の使用を
開始した時期は,早くとも平成14年2月25日以降である(甲第10号証。具体
的な使用の事実が認められるのは,平成15年9月26日である。甲第14号証,
第15号証)。これより前,すなわち,本件要証期間中に,ビイエムプランニング
ないしイトーヨーカ堂が,本件商標を使用したと認めるに足りる証拠はない。
(3)本件要証期間を挟んでその前後において本件商標を使用した者がいたとし
ても,原告が主張する本件要証期間前の使用者はランバートであり,本件要証期間
後の使用者はビイエムプランニング(イトーヨーカ堂)であって,原告の主張する
ところによっても,本件要証期間の前後の使用者が異なることになる。そうである
以上,本件要証期間中の使用をその前後の使用から推認することもできないという
以外にない。
3 結論
  以上によれば,審決の取消しを求める原告の本訴請求には,理由がない。そ
こで,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民
事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所知的財産第3部
裁判長裁判官     山  下  和  明
裁判官     若  林  辰  繁
裁判官     高  瀬  順  久
(別紙)
通常使用権者株式会社ランバートの使用商標

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◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
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応募方法
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残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
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連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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71期修習生 72期修習生 求人
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職種 事務職
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応募方法
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