弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人の控訴趣意は同人提出の控訴趣意書記載のとおりであるからここにこれを
引用する。
 弁護人の控訴趣意(事実誤認)について
 所論は被告人等が頒布したビラの内容はAが特定政党の特定候補者支持を決定し
てA所属組合員を拘束することは政治団体である政党とはその目的性格を異にする
労働組合の在り方に反するものであるからA組合員は団結の力により政党支持の自
由のために闘うべきである趣旨を宣伝し、労働組合の正しい在り方を訴えたもので
候補者Bを当選せしめる目的を少しも有つていないことは明である。従つてこれに
反する原判決は事実を誤認したものであり、その誤認が判決に影響を及ぼすことが
明らかであるから原判決を破棄し無罪の判決を言目渡すべきものである。というに
ある。
 按ずるに、被告人等の頒布したビラ(昭和二十八年領第一号の一及三乃至五)に
はAがC党及びD党の候補者の支持を決定し、傘下の組合員に対しそれ以外の候補
者を支持することを許さないとした態度を論難する記載があり、それのみによつて
は右のビラが候補者Bの当選を目的とする選挙運動のために使用する文書と言いえ
ないことは所論のとおりである。しかし右のビラの内容はこれにとどまらずE党F
党及C党一部反動分子を非難した上、上記のとおりAがC党D党の候補者を組合員
に押付けることを論難し、最後に「命をかけて闘つているG党と一線カクすのはE
党と変りない行動だ。Aの決定をフンサイすることこそ革命的美唄炭鉱労働者の栄
誉ある任務である。全労働者、主婦のみなさん!総選挙にわれわれが勝利するため
全力を上げて闘おう。売国奴に一票も入れるな。団結せよ、団決せよ、団結なく勝
利なし!」と結んでいるのであつて以上の文章を通読すればその趣旨は所論の如く
政党支持の自由を主張しているのではなく、今回の衆議院議員選挙にはG党の候補
者に投票するよう呼びかけているものであることは明白である。そうして原判決の
挙示する証拠によれば右のビラは、昭和二十七年十月一日施行の衆議院議員選挙に
際しその選挙運動の期間中である同年九月十三日に北海道第四区の地域内にある美
唄市内において頒布せられたものであり、そうして右北海道第四区よりG党公認候
補として立候補した者は右B唯一人であつたことは公知の事実であるのみでなく、
原判決挙示の証拠によつても明らかであるから、結局右のビラは候補者Bに投票す
るよう右選挙区内の選挙人である炭坑労働者に呼びかけるものに外ならない。
 <要旨>公職選挙法第百四十二条に言う選挙運動のために使用する文書たるには、
その文書が特定の選挙に際し特定の候補者の当選を得しめる作用を営みうる
性質をもたねばならない。文書がかような性質を有するか否かは、勿論その記載内
容によるところが多いが、しかしこれのみによるのではなく、たとえその文書には
特定候補者の氏名が記載せられていなくても、上記の如くその頒布の時期場所その
他諸般の状況によつて、これを見る者に、特定候補者の何人であるかが判明する場
合にはその文書は選挙運動のために使用する文書であると断ずるを憚らない。
 されば原判決には所論のような事実誤認はない。論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三百九十六条により本件控訴を棄却すべきものとし、刑事訴
訟法第百八十一条第一項に従い当審における訴訟費用は被告人の負担とし主文のと
おり判決する。
 (裁判長判事 能谷直之助 判事 水島亀松 判事 笠井寅雄)

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