弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人松浦松次郎の上告理由第一点、第二点、第四点、第五点について
 普通地方公共団体の議会(以下、地方議会という。)の議員の報酬請求権は、公
法上の権利であるが、公法上の権利であつても、それが法律上特定の者に専属する
性質のものとされているのではなく、単なる経済的価値として移転性が予定されて
いる場合には、その譲渡性を否定する理由はない。
 地方自治法、地方公務員法には地方議会の議員の報酬請求権について譲渡・差押
を禁止する規定はない。また、民訴法六一八条一項五号の「官吏」には地方公務員
も含まれると解すべきであるが、地方議会の議員は、特定公職との兼職を禁止され
(地方自治法九二条)、当該普通地方公共団体と密接な関係のある私企業から隔離
される(同法九二条の二)ほかは、一般職公務員に課せられているような法律的拘
束からは解放されているのであつて、議員の報酬は一般職公務員の「職務上ノ収入」
とは異なり、公務の円滑な遂行を確保するために民訴法六一八条一項五号の趣旨を
類推して議員の生活を保護すべき必要性はない。
 したがつて、地方議会の議員の報酬請求権は、当該普通地方公共団体の条例に譲
渡禁止の規定がないかぎり、譲渡することができるものと解すべく、酒田市特別職
の職員の給与等に関する条例(昭和二六年四月一日条例第一八号)をはじめ酒田市
の条例にはこのような禁止規定がないから、本件債権譲渡は有効と解すべきである。
 これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違
法はない。所論引用の判例(大審院大正七年(れ)第七五一号同年一二月一九日判
決・刑録二四輯一五六九頁、同昭和九年(オ)第五二〇号同年六月三〇日判決・新
聞三七二五号七頁)は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、ひつきよう、
独自の見解に基づいて原判決を論難するか又は原判決の結論に影響のない傍論を非
難するものにすぎず、いずれも採用することができない。
 同第三点について
 所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所
論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、
採用することができない。
 同第六点について
 酒田市議会の議員の報酬その他の給与は、酒田市特別職の職員の給与等に関する
条例(昭和二六年四月一日条例第一八号)一一条、地方公務員法二五条二項により、
直接当該議員に支給すべきものとされているので、議員が報酬請求権を譲渡した場
合においても、被上告人は直接当該議員に対して報酬を支払わなければならないが、
報酬請求権の譲渡は禁止されていないのであるから、譲渡自体を無効と解すべき根
拠はない(最高裁判所昭和四〇年(オ)第五二七号同四三年三月一二日第三小法廷
判決・民集二二巻三号五六二頁参照)。これと同旨の原審の判断は正当として是認
することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判
決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    団   藤   重   光
            裁判官    岸       盛   一
            裁判官    岸   上   康   夫
            裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    本   山       享

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛