弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人吉田賢三、同成瀬芳之助の上告理由第一、二点について。
 債権者が、一定の契約から生ずる債権を担保するために、特定の金額(被担保債
権額)について抵当権を設定し、かつ、当該契約から右被担保債権額をこえる債権
を有している場合においては、その抵当物件の第三取得者は、その債権者に対し、
その被担保債権額を弁済(ないし債権者の受領拒絶による弁済供託)するときでも、
債権者との間に合意が成立し、または代価弁済(民法三七七条)滌除(民法三七八
条以下)等の方法によるものでないかぎり、当然には抵当物件の被担保債権が消滅
しないしその抵当権設定登記の抹消登記請求権を有するものではない。ただし、そ
の債権者にとつては、前記契約にもとづく債権の一部の弁済にすぎず、抵当権を消
滅させるいわれはないからである。そして、この理由は、その抵当権が根抵当権で
あろうと、債権者の抵当権の実行であろうと異なることはない。
 ところで、原判決が認定した事実は、その挙示の証拠により肯認することができ
るところ、右事実によると、上告人は、株式会社C相互銀行に対し所論の競売申立
債権額(元金二〇万円および二年分の遅延利息、競売申立費用)を被上告人に代位
弁済する旨を申し入れたが、同銀行は、当時の相互掛金契約等にもとづく債務の残
金四一万二、五〇〇円と遅延利息金額の弁済を要求して、右申入を拒絶したため、
上告人は、昭和三〇年六月一〇日これを弁済供託したというにすぎないのであるか
ら、本件建物に対する所論根抵当権の被担保債権が消滅したものといえないことは、
前段説示したところから明らかである。
 したがつて、本件根抵当権は存続しかつその実行は有効であるとした原判決の判
断は相当であり、原判決には、所論のような違法はない。
 所論中には、所論の代位弁済により抵当権の消滅したことを前提として、原判決
の判断が不当である旨を云々する部分があるが、この部分の論旨は、すべて前提を
欠き、失当として排斥を免れない。
 所論は、すべて、採用しがたい。
 同第三点一について。
 前記上告理由第一、二点について判断をなしたとおり、本件根抵当権は存続して
いるものと解すべきであるから、所論は、前提を欠き、排斥を免れない。
 同第三点二について。
 本件第一、二審判決および一件記録によれば、被上告人の請求の原因の要旨は、
上告人の本件調停の債務不履行により本件建物の所有権の移転登記が履行不能にな
つたことによる損害賠償を求めているものであるから、所論のような事情は、その
損害額の算定にあたつてしんしやくすべき事由にあたらないのみならず、原審にお
いて主張されていないところである。したがつて、所論のような事由を考慮しなか
つた原判決には違法のかどはなく、また釈明権不行使の違法をいう部分も、採用し
がたい。
 所論は、結局、排斥を免れない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛