弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一(一) 被告八光商事株式会社は別紙(イ)号図面及び同説明書記載の人工植毛
用植毛器を製作販売してはならない。
(二) 被告株式会社シンエイ、同和光商事株式会社は同器を販売してはならな
い。
(三) 被告らは右人工植毛用植毛器を廃棄せよ。
二(一) 被告和光商事株式会社、同八光商事株式会社は各自原告Aに対して金四
三万二、〇〇〇円、原告興亜産業貿易株式会社に対して金三八八万八、〇〇〇円及
び被告和光商事株式会社においては、右金員に対する昭和五二年六月八日から、被
告八光商事株式会社においては、昭和五二年七月八日から各支払済みに至るまで各
年五分の割合による金員を支払え。
(二) 被告株式会社シンエイは、以下の金額の限度で前記(一)の金員と各自払
いの関係で、原告Aに対して金一一万二、〇〇〇円、原告興亜産業貿易株式会社に
対して金一〇〇万八、〇〇〇円及びこれらに対する昭和五二年六月八日から支払済
みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
三 原告らの被告らに対するその余の請求を棄却する。
四 訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その余は被告らの各負
担とする。
五 この判決は一、二項に限り、仮に執行することができる。
       事   実
一 請求の趣旨
(一) 被告和光商事株式会社、同八光商事株式会社は別紙(イ)号図面及び同説
明書記載の人工植毛用植毛器を製作し、販売してはならない。
(二) 被告株式会社シンエイは右人工植毛用植毛器を販売してはならない。
(三) 被告らは右人工植毛用植毛器を廃棄せよ。
(四) 被告らは各自原告Aに対し、金七五万円、原告興亜産業貿易株式会社に対
し、金九二五万円及び被告和光商事株式会社、同株式会社シンエイにおいては右各
金員に対する昭和五二年六月八日から、被告八光商事株式会社においては昭和五二
年七月八日から各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(五) 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決並びに仮執行宣言
二 請求原因に対する被告らの答弁
(一) 原告らの請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。
三 請求原因
(一) 原告Aは次の実用新案(以下本件実用新案権といい、その考案を本件考案
という)の権利者であり、原告興亜産業貿易株式会社(以下原告会社という)は昭
和四九年一月二三日から独占的通常実施権者であり、かつその後同五二年三月二八
日原告Aとの間に専用実施権設定契約をなし、同年八月二四日右登録がなされ、同
日限り専用実施権者となつたものである。
1 登録出願日 昭和四四年三月一八日
2 出願公告日 昭和四九年一月二三日
3 考案の名称 人工植毛用植毛器
4 登録日 昭和四九年一〇月一二日
5 登録番号 第一〇五四九七九号
6 本件実用新案の願書添付の明細書に記載の登録請求の範囲
 「上端部に被蓋2を取外し自在に嵌着し、片手に持つて上下に振動するに適する
太さと、短毛3の使用量を収容した場合上方に余有ある空間4を保有する長さの筒
形器体1を形成し、その筒形器体1の内部下端に、短毛3の通過する網目5を穿設
せる一定の厚みの網棚6を取着してなる人工植毛用植毛器」
(二) 本件実用新案の目的
 人体特に頭部の薄毛内に短毛を密着して地肌が透き通つて見えるのを防ぐと共に
白髪が生えているごとき外観を与え、薄毛のための悩みを解消し、外観美を整えて
若さを保つようにする人工植毛用植毛器をうることである。
(三) 本件実用新案の構成要件及びその作用効果は、次の通りである。
1 本件実用新案は、人工植毛用植毛器であつて、
(1) 上端部に被蓋2を取外し自在に嵌首し、
(2) 片手に持つて上下に振動するに適する太さと、短毛3の使用量を収容した
場合上方に余有ある空間4を保有する長さの筒形器体1を形成し、
(3) その筒形器体1の内部下端に、短毛3の通過する網目5を穿設せる一定の
厚みの網棚6を取着してなる。
という三要件からなつている。
2 しかして、本件実用新案は右の三要件からなる人工植毛用植毛器であることに
よつて、次のような作用効果をあげる。
(1) 先づ、器体1の上端部に嵌着の被蓋2を取外し内部に短毛3を使用量だけ
収容する。
(2) 器体1の内部下端には網目5の網棚6が設けられているが、短毛3は集合
して収容されるのと、網棚6が静止しているのとで使用前に網目5より短毛3が器
体外に脱出することはない。
(3) 使用に際し器体1を片手に持ち薄毛頭の地肌に対し垂直に上下振動を行え
ば、短毛3は網目5を通過して落出し頭皮質より分泌する脂肪により密着する。
(四) 被告和光商事、同八光商事は昭和五一年一一月一日から別紙(イ)号図面
及び同説明書記載の人工植毛用植毛器(以下(イ)号製品という)を業として製
作、販売し、被告シンエイは同じくこれを販売している。
(五)(イ)号製品は左記の構造上の特徴及び作用効果を有している。
1 構造上の特徴
 人工植毛用植毛器であつて、
(1) 上端部に被蓋⑦を取外し自在に螺着し、
(2) 片手に持つて上下に振動するのに適する太さと、短毛⑥の使用量を収容し
た場合上方に余有ある空間を保有する長さの筒形器体①を形成し、
(3) その筒形器体①の上方部に、比較的大き目の穴⑤を多数穿設されたフラン
ジ付キヤツプ状の内栓④を取外し自在に嵌め込み、更にこの内栓の上端部に内栓の
穴より細かい穴③が多数穿設され、且つその周辺部に器体開口部の突起を係合する
為の突起⑩を設けた冠栓②を取外し自在に被せてなつている。
2 作用効果上の特徴
 (イ)号製品は右1の構造上の特徴を有することによつて(三)項(2)に記載
の作用効果と同一の作用効果を有する。
(六) (イ)号製品は以上のような構造上の特徴を有することにより前記本件実
用新案の構成要件を具備している。
すなわち、
1 前項1の(1)は、(三)項1(1)の要件を充足している。唯、本件考案の
場合には被蓋2取外し自在に嵌着しているのに対し、(イ)号の場合は被蓋⑦を取
外し自在に螺着している点において相違があるが、本件考案において、被蓋2を取
外し自在にしたのは、筒形器体1の内部に短毛3を収容するためである。(甲二号
証1三六行目から同2一行目まで)。そして、器体1には短毛3を常に補充する必
要があつて、常に被蓋2を器体1から取り外ししなければならない。従つて、それ
は被蓋2が筒形器体1から取外し自在であればよいのであつて、嵌着しているか螺
着しているかは問わないのである。嵌着も螺着も被蓋2を取外し自在に筒形器体1
の上端部に被せる為の手段である。そして、(イ)号製品にあつても、被蓋⑦を筒
形器体①から取り外し、短毛⑥を収容する構造を有しているのであるから、之を
「嵌着」といい、之を「螺着」というも、同様である。従つて、(イ)号製品が螺
着であつても右の要件を充足するものである。また、仮りにこの点が異なるもので
あつても、同じ機能、同じ作用効果を有するものであり、しかも、これらの置換は
本件実用新案出願当時当業者の間において容易に考えられることであるので、均等
のものである。
2 前項1の(2)は(三)項1の(2)の要件を充足している。
3 前項1の(3)は(三)項1の(3)の要件を充足している。
(1) 唯、本件考案の場合に網棚6は筒形器体1の内部下端に取着しているのに
対し、(イ)号の場合は、筒形器体①の上端部に冠栓②を取外し自在に被せている
点において相違があるが、前者にも、後者にも短毛3、⑥の通過する網目5、③を
穿設している網棚6、冠栓②を有している。又、器体の使用に際しても、本件考案
の場合は、器体1を片手に持ち薄毛頭の地肌に対し垂直に上下振動を行えば、短毛
3は、網目5を通過して落出し頭皮質より分泌する脂肪により密着する(甲二号証
2五行目乃至八行目)ものであるのに対し、(イ)号の場合は器体①を転倒さし片
手に持ち薄毛頭の地肌に対し垂直に上下振動を行えば、短毛⑥は網目③を通過して
落出し頭皮質より分泌する脂肪により密着するのである。換言すれば、既に被蓋⑦
を取り外して短毛⑥を収容し、その後に本件植毛器を使用するのであるから、それ
はそれをその儘の状態で使用するか(本件考案の場合)、転倒せしめて使用するか
は((イ)号の場合)一挙手の動作によつてなし得ることであり、従つて、その網
目5、③を有している網6、冠栓②が器体1、①の下端にあるか、上端部にあるか
は、その作用効果を何ら変更せしめるものでもない。(イ)号製品は右本件考案の
要件を充足している。
 なお、この点につき被告らは本件考案では、網棚6が下端部にある為、人造毛が
こぼれ落ちるのに対し、(イ)号製品では下端部が閉塞され冠栓②が上端部に設け
られている為、人造毛がこぼれ落ちることはない点においてその作用効果が相違す
ると主張する。
 しかしながら、既に述べたように、本件考案は器体1を上下振動して短毛3を網
目5から落出せしめる作用効果を有するものであり、それが本件考案が期待した作
用効果であり、そのことによつて、(二)項記載の目的を達することが出来るので
ある。従つて、網棚6が下端部にあるから、人造毛がこぼれるというのは、本件考
案の予期したことではないし、本件考案の作用効果でもないのである。従つて、こ
の点の比較をもつて、本件差異を論ずることは適当ではない。
 仮りに右の点が相違するものであるとしても、同一機能、同一の作用効果を有す
るものであり、しかもこれらの置換は本件実用新案出願当時当業者の容易に推考し
えたことであるので、均等のものである。
(2) なお、(イ)号製品は筒形器体①の上方部に内栓④を取外し自在に嵌めこ
んでいるもので、右特徴は本件考案の要件にはないものである。しかしながら、本
件考案によれば、「短毛3の通過する網目5を穿設せる一定の厚みの網棚6を取着
する」ことを要件としているのであつて、器体の上方部に他のものを取着すること
を排除する趣意のものではなく、又、被告らが右付加によつてえられると主張する
作用効果についてもそれは著効とはいえず、本件考案の作用効果に著しい変更を加
えるものでもないから、右特徴は本件考案にとつては単なる付加的構造に過きず、
このことによつて、前項1の(3)の要件が本件考案の(3)の要件を充足すると
の結論を何ら左右するものではないというべきである。
 以上によれば、(イ)号製品は本件考案の技術的範囲に属するものである。
 そうすると、被告らは業として(イ)号製品を製作販売または販売することによ
り、原告Aの本件実用新案権および原告会社の独占的通常実施権、その後の専用実
施権を侵害してきたことが明らかである。
(七) 被告らは故意又は過失により、昭和五一年一一月一日から同五二年三月末
日迄違法に(イ)号製品を約金二五〇〇万円分製作販売し(但し、被告シンエイは
販売のみ)、原告らに損害を被らせたものであるところ、被告らが右製造販売によ
つて得た利益はいずれも金一〇〇〇万円を下らないから、これが原告らの損害合計
額と解される。そしてその内訳は実用新案権者である原告Aが実施料相当額金七五
万円、独占的通常実施権者であつた原告会社が残余の額と考えるのが相当である。
(八) よつて、原告Aは、本件実用新案権に基づき、原告会社は、本件実用新案
権の専用実施権(侵害排除の点)と独占的通常実施権(損害賠償の点)とに基づ
き、被告ら各自に対し、(イ)号製品の製造販売の各差止及びその廃棄を求めると
共に右各損害金及びこれに対する被告和光商事、同シンエイにおいては訴状送達の
翌日である昭和五二年六月八日から、被告八光商事においては同じく同年七月八日
から民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払いを求める。
四 請求原因に対する被告らの答弁
(一) 請求原因(一)項中、原告Aが本件実用新案の権利者であることは認め、
その余不知。
(二) 同(二)、(三)項は認める。
(三) 同(四)項中(イ)号製品が原告ら主張の通りの物であることは認める。
(四) 同(五)項1の(1)、(3)は認めるが(2)は否認、2も否認。原告
主張の右(2)の要件は使用目的から自然に帰結せられる形態に過ぎず、それらが
(イ)号製品の構造上の特徴とはいえない。
(五) 同(六)、(七)項否認。
五 被告らの主張
(一) (イ)号製品の構造上の特徴(1)、(3)は本件考案の構成要件
(1)、(3)に該当しない。
すなわち、
1 本件考案中(1)の構成要件は被蓋を嵌着するものとされているが、(イ)号
製品の構成はこれを螺着するものである。
2 また、本件考案中(3)の構成要件は、筒形器体の下端に網棚を設けるものと
されているのに対し、(イ)号製品のこれに対応する構成では、筒形器体の下端部
は閉塞されており、かつ上端部にキヤツプ状の網板及び内栓状の中棚を取外し自在
に取着されており、両者は明らかに差異を有するものである。
(二) 右の点は、両者が作用効果においても顕著な相違があることによつても裏
付けられる。すなわち、
1 人造毛を器体内に充填するに際し、本件考案では被蓋のみ取外せばよいのに対
し、(イ)号製品では被蓋と共に網板及び中棚をも取外さなければならない。
2 又、本件考案では網棚が下端部にある為、人造毛がそこから器体外にこぼれ落
ちるおそれがあるのに対し、(イ)号製品では下端部が閉塞されている為そのよう
なおそれはない。
3 更に、(イ)号製品では本件考案にはない内栓状の中棚を設けることによつ
て、人造毛をふりかける際に網板側に落出する量が適度に調節され、人造毛が集合
して目づまりを起こすことがなく、よりスムーズにふりかけることができる。
(三) その他、基本的な見地からみても、本件実用新案の登録請求の範囲に記載
の技術思想は、もともと味の素・食塩・コシヨウ等々のふりかけ容器の技術思想と
同一であり、出願前既にその全部が公知公用のものである。
 又、薄毛部分が透き通つて見えないようにし、その部分の頭髪を豊富にみせる為
のものを付加することは、昔から役者等炭がの粉をふりかけたり、チツク類を塗布
したりしていたことで、これ又周知の事柄なのである。
 そうすると、本件実用新案はさして保護に値しないものであるから、その請求の
範囲の解釈にさいしては、その公報に記載されている字義どおり狭く限定的に解釈
すべきである。
そして、本件(イ)号製品の構成が本件考案の構成要件とその字義の点で明らかに
相違することは既に述べたとおりである。
(四) かりに何らかの意味で、(イ)号製品の構成が本件実用新案の技術的範囲
に属するとしても、本件実用新案のように出願前公知公用であつた技術は本来万人
共有の財産であり、何人も自由にそのまま実施できるはずのものであるから、これ
を権利者が実用新案権の名の下に独占的に権利行使することは権利者を不当に利す
る反面、一般公衆の正当な技術使用を不可能とし著しい損害を与えるものであるか
ら、権利の濫用として許されない。
六 被告らの主張(三)に対する反論
(一) 本件考案は既に請求原因(二)、(三)で述べたような目的、特徴を有す
る人工植毛用植毛器であつて、味の素、食塩、コシヨウ等の容器とは、その技術分
野を全く異にし、従つて、その技術思想も異にするものであることが明らかであ
る。そして、右のような目的を有し、右のような特徴を有する人工植毛用植毛器は
本件実用新案出願前に全く見なかつたものであり、本件考案は全く新規なものであ
る。
 被告らのこの点に関する主張は技術分野を異にする公知技術との関連をいうもの
であるが、そのようなことは全く特許法的思惟方法ではない(実用新案法三条二項
に、「………その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が……
…」と記載せられている点参照)。本件出願に際しても、審査官から実用新案法三
条二項所定の進歩性欠如を理由とする拒絶理由通知がなされたが、原告Aの意見書
の提出によつて、登録されたのであつて、全部公知の拒絶理由通知はなかつたので
ある。被告のような見解では、所謂用途発明は認められないことになる。右の一事
によつても、被告の見解が誤解によるものであることは明らかである。
(二) 又、被告らは、本件実用新案は全部公知であると主張しているがその理由
のないことは、既に述べたとおりであるが、原告らは、本件について、イギリス
(甲三号証)、フランス(甲四号証)、スウエーデン(甲五号証)外約一〇ケ国に
特許出願をなし、それぞれ、第一二六三七九四号(甲三号証)、第六九三〇三四九
号(甲四号証)、第七〇〇二〇一五の一号(甲五号証)として登録せられているの
である。右は何よりも、本件実用新案が新規なものであることを物語るものであ
る。
(三) 以上によれば、本件考案が全部公知公用であるという被告らの主張が理由
がないことは明らかである。
七 証拠(省略)
       理   由
第一 差止請求について
一 請求原因(一)項中、原告Aが本件実用新案権の権利者であることは当事者間
に争いがなく、原告会社が原告ら主張の日以降右実用新案権につき専用実施権者と
なつたことは原告本人尋問の結果によつて真正に成立したと認める甲一七号証、成
立に争いない同一九号証によつてこれを認めることができる。
 又、請求原因(二)、(三)項は当事者間に争いがなく、右(三)項における本
件考案の構成要件の分説及び作用効果についての見解は相当である。
二 原告らが被告らにおいて製作販売してきたと主張する(イ)号製品が別紙
(イ)号図面及び同図面説明書記載のとおりのものであることも当事者間に争いが
ない。
 そして、右事実によれば(イ)号製品の構造上の特徴を分説すると、原告らが請
求原因(五)の1で主張するとおり(1)ないし(3)の三つの構成部分になると
解するのが相当で、そのうち、(1)と(3)の構成が(イ)号製品の特徴となつ
ていることは被告らも自認するところである。
 被告らは(2)の構成が(イ)号製品の特徴となつている点を争つているが、
(イ)号製品の特徴を本件実用新案との関係を念頭におきながら文章によつて表現
した場合右(2)の構成は欠かせない特徴であると解されるから被告らの右主張は
理由がない。
三 そこで、右(イ)号製品の構成を本件考案の構成要件に照らし検討する。
(一) まず、(イ)号製品における(1)の構成を本件実用新案の(1)の構成
要件に照らし検討するに、両者はいずれも筒形器体の上端部に被蓋を取外し自在に
装着する構成をとつている点において共通しているが、その装着手段として本件考
案にあつては嵌着することをクレームしているのに対し、(イ)号製品は螺着の手
段を採用している点で相違する。
 しかし、成立に争いない甲二号証(本件実用新案公報)によると本件考案におい
て筒形器体に被蓋を嵌着することとしたのは、普段は器体を被蓋によつて蓋をし器
内の短毛(義毛)がみだりに散逸しないようにする一方、器内に短毛を補充し収容
する場合のことをも考えてそのさいの作業をも容易にするため被蓋を取外し自在と
したものにほかならず、他意はないことが認められる(同公報1欄三六行目から同
2の一行目までと2欄二行目から一四行目まで参照)。
 そうすると、本件実用新案において「嵌着」というのは必らずしもその字義どお
りに解する必要はないのであつて、前示と同一の目的に適い、同一の機能を示す装
着方法で「嵌着」に似た慣用の技術手段を用いている場合をも包含した趣旨、換言
すると前記と異なる作用効果を示すたとえば「固着」のような取外し不可能または
取外しに格別の努力を要するような方法は含まないが、「螺着」のような該被蓋が
取外し自在で、「嵌着」と比較し単なる設計上の微差としか思えないような装着方
法まで厳格に除外する趣旨のものではないと解するのが相当である。そして、本件
においては叙上の説示と別異に解さなければならない事情(本件実用新案の出願経
過、公知または先願の技術等で、右の点について限定解釈をしなければならないと
考えられる事情)は見出せない。
 しかるところ、(イ)号製品の被蓋装着の構成が「螺着」であることは前記のと
おりであるから、結局、(イ)号製品の(1)の構成は本件実用新案の(1)の構
成要件を充足するものである。
(二) (イ)号製品の(2)の構成が本件考案の構成要件(2)に該当すること
は格別の説示を要しない。
(三) そこで次に、(イ)号製品の(3)の構成について検討する。
1 ここでは、本件考案は短毛3の通過する網目5を穿設している網棚6を器体内
部下端に取着することを構成要件としているのに対し、(イ)号製品においては、
同様短毛(人造毛)⑥の通過する網目③を穿設している冠栓②を有している点では
共通しているが、ただ、右冠栓の装着位置が筒形器体の上端部であつて、それも取
外し自在に被せられている点において相違している。
 しかし、本件考案において網棚6の取着位置を器体1の内部「下端」とする構成
をとつているのは「短毛3は集合して収容されるのと、網棚6が静止しているのと
で使用前に網目5より短毛3が器体外に脱出することはない」(前掲甲二号証公報
二欄二行目から五行目まで)ことに関連して、使用時の短毛落下口を短毛収納口と
反対側にしたにすぎないもので、他の格別の効果に着目して設計されたというほど
のものではないと解される。また装着方法を「取着」とした点も前記のような構成
をとつた必然の結果としてもはや網棚を取外す必要がないから取着としたまでであ
ると考えられる。これを要するに、右構成要件(3)の要旨は「使用に際し器体1
を片手に持ち薄毛頭の地肌に対し垂直に上下振動を行えば、短毛3」が「網目5を
通過して」適量「落出」することを目的として、器体1の内部一方の端に網棚6を
装着する構成をとつたところにあると解される(前掲公報二欄五行目から七行目ま
での記載参照)。
 そうすると、(イ)号製品の(3)の構成における前記相違点は単なる字義上の
ものにすぎず、前記のような要旨を具現している点においては相違がなく、かつ前
記のような目的(作用効果)をそのまま実現している点でも全く同一であると認め
られる。換言すると、本件考案のように器体の構成上短毛の収容口と使用時の落出
口とを別にし短毛の出し入れをいわば一方通行のものとするか、(イ)号製品のよ
うに両者を一方の口だけで行うようにし、他方を密閉する構成をとるかは単なる設
計上の微差または慣用技術の置換にすぎない。また後者の構成をとつた場合冠栓②
を取外し自在としなければならないことも必然の結果であつて特段別異の技術思想
を具現した構成とは考えられない。
 なお、両者の作用効果について強いていえば前者の場合は使用時に器体をそのま
まの位置で上下振動させれば足りるのに対し、後者ではこれを転倒させて使用しな
ければならない点に相違があるといえなくはないが、この程度の相違は僅か一挙手
の動作に関するものであつて実質的な相違とはいえない。
 また、被告らは右の点に関連して本件考案では網棚が下端部にある為使用時でな
い時にも短毛がそこから落出するおそれがあるのに対し、(イ)号製品では下端部
が有底であるためそのようなおそれはない点で作用効果上相違点が存する旨主張す
るが、本件考案はそのようなおそれがないことを前提としていることは前示のとお
りであり、右前提は経験則に照らして妥当であると考えられるから、右主張も採用
することができない。
 (なお、以上の説示に関しては、(1)「下」端の解釈につき、上といい下とい
つてもそれは所詮互いに相対的な概念であることにも想到すべきである。東京地裁
昭和三八年九月二一日判決判例タイムズ一五四号一三八頁がビジビルレコーダー用
台紙事件について「縦方向から挿入口を設けた台紙」の構成は「横方向から挿入し
うるように挿入口を設け」たクレームに該当するとしている点も参照。(2)ま
た、「取着」の解釈については前示構成要件(1)における「嵌着」の解釈に関す
る説示も参照。(3)さらに叙上の説示全体につき最高裁昭和三九年八月四日判決
民集一八巻七号一三一九頁も参照)
2 ところで、(イ)号製品は以上のほか器体①の上方部に、比較的大き目の穴⑤
を多数穿設されたフランジ付キヤツプ状の内栓④を取外し自在に嵌めこむ構成をも
採用しており、右のような構成は本件考案がその要件としていないところである。
そこで、被告らは右内栓④(中棚)の存在によつて人造毛の落出量が適度に調節さ
れ、目づまりを防止することができる格別の作用効果がえられる旨主張して(イ)
号製品の構成の相違を強調している。そして、(イ)号製品が右のような内栓を設
けたことによつて、被告主張のような作用効果をあげうることは経験則上容易に窺
知しうるところである。
 しかし、右のような構成部分および作用効果は本件考案にとつては単なる付加的
なものと解すべきであつて、右のような付加によつて(イ)号製品が本件考案とは
異なる別異の技術思想に基く物品となつているとは到底考えられないところであ
る。したがつて、被告らの前記主張も失当である。
 もつとも、成立に争いない甲六号証、丙一号証の一ないし六、丙四号証による
と、(ア)原告Aは、本件実用新案の出願に際し、当初はその明細書に請求の範囲
として「底面に毛髪の通過する極細目の網棚(1)を設けた短毛(2)用筒形器体
(3)と、底面に極細目の網棚(1)を設けたその上方に中細の網棚(4)を設け
た中長毛(5)用筒形器体(6)と、底面に極細目の網棚(1)とその上方に中細
の網棚(4)との外に更にその上方に荒目の網棚(7)を設けた長毛(8)用筒形
器体(9)とを一セツトとしてなる人工植毛用植毛器」と記載していたが、その後
拒絶理由通知を受けたため、組合わせに係る考案を捨て、これを一段網棚のもの一
個の物品の構造に係る考案に補正し、本件考案として登録査定を受けたこと(丙一
号証の一ないし六)、(イ)そして原告Aはこれとは別に「増毛器」の特許出願公
告を得(特公昭四八ー四〇〇三六、丙四号証)、また「3段網棚付人工植毛用植毛
用器」の実用新案出願公告も得ており(実公昭五三ー九四二四、甲六号証)、これ
らにおける請求の範囲にはそれぞれ網棚二段または三段の増毛器または植毛器に関
する記載があることがそれぞれ認められ、以上のような事実に照らすと、(イ)号
製品は一見本件考案とは別異の技術思想に基づく物品であるかのように思われる。
しかし、前掲甲六号証、丙四号証によつて、右各発明、考案の詳細な説明をみる
と、これら多段網棚式のものはいずれも中細毛(長さ一ないし五ミリメートル)、
長毛細毛(六ないし一〇ミリメートル)または五ないし一〇ミリメートルの義毛
(以上、丙四号証の四欄三ないし四行目と甲六号証の二欄三〇ないし三一行目参
照)に関するもので、本件のように短毛(本件考案の詳細な説明では長さ〇・三ミ
リメートルと記載しているー甲二号証の二欄二〇行目ー)に関するものではなく、
そのいわゆる中棚の構成はこのような長毛のもつれ毛又は玉毛となつているのをほ
ぐしこれを撰別して順次落下させるという長毛の落出には必要であるが、短毛には
必ずしも必要でない格別の効果を目的とした構成技術であることが明らかであつて
(丙四号証の四欄二〇行目から四三行目までと甲六号証の二欄五行目から一六行目
まで各参照)、本件(イ)号製品における内栓④の構成および作用効果(この場合
は前示のとおり単に適量落下に資するという付加的効果である。)とは全く異な
り、したがつてその技術思想も別異であると考えられる。
 そうすると、本件においては前記のような事実も前記判断を左右するものではな
い。
3 はたしてそうだとすれば、(イ)号製品における(3)の構成も本件考案の
(3)の構成要件を充足するものということができる。
(四) (イ)号製品が本件考案にいう人工植毛用植毛器であることは多言を要し
ないところである。
四 次に、被告らは、本件実用新案は味の素、食塩等のふりかけ容器と同一の技術
思想に関するものであるから全部公知である旨主張している。しかし、右のような
容器と本件実用新案にかかる物品とはその用途が全く異なるものであり、その現わ
している技術も全く別の分野に関するものであることが明らかであるから、前記の
ような主張は首肯することができない。また他に本件実用新案が出願前公知、公用
のものであつたとの主張を裏付けるに足る証拠もない。
 したがつて、公知公用を前提とする被告らの限定解釈の主張は失当である。
五 以上のとおりであるから、本件(イ)号製品は本件実用新案の技術的範囲に属
し、それゆえ被告らがこれを業として製作販売することは原告Aの本件実用新案権
および原告会社の専用実施権を侵害するものである。
 また、前記四の説示からして、原告らが(イ)号製品の製作販売差止請求、損害
賠償請求をすることを権利濫用であるということもできない。
六 よつて、原告らの被告和光商事、同シンエイに対する(イ)号製品販売禁止、
被告八光商事に対する同製品製作販売禁止および被告らに対する同製品の廃棄請求
は理由があるが、ただ被告和光商事に対する同製品の製作禁止請求は同被告が何ら
これを製作したこともなくそのおそれもないこと後に説示するとおりであるから失
当である。
第二 損害賠償請求について
一 原告Aが本件実用新案権者であることは前示のとおりである。
 原告会社はその損害賠償請求期間中右実用新案につき独占的通常実施権を有して
いた旨主張するが原告本人尋問の結果およびこれにより真正に成立したと認める甲
一六号証によつても右のような事実は認められず、かえつて、原告会社は昭和四九
年一一月一日原告Aとの契約で実施品売上金の一割相当額の実施料を支払うのと引
換に右実用新案につき通常実施権を取得したものであることが認められる。ただ
し、さらに前掲証拠および弁論の全趣旨を総合すると、原告会社は昭和二三年五月
二一日原告Aを代表者として設立された株式会社であるが、その実質は同原告の個
人経営に等しいもので、その規模も従業員十数名を擁するていどであり、本件実用
新案についてもその出願人を原告Aとした関係上、前記のような自己契約を締結し
てはいるが、その実質は同原告が自らの権利を実施しているに等しく、かつ他の者
に通常実施権を許諾したこともないことが認められる。したがつて、原告会社は損
害賠償請求の関係においては実質上専用実施権者と同視して差支えのない独占的通
常実施権者と解するのが相当で、結局、原告会社の前記主張は右に説示の趣旨で理
由があると考える。また、通常実施権または独占的通常実施権の法的性質が債権で
あるからといつて右権利侵害を理由とする損害賠償請求を否定するいわれはない。
 そして、被告らが過失によつて前記のような原告らの各権利を侵害していること
は実用新案法三〇条、特許法一〇三条によつて推定することができる(原告会社と
の関係では右法条を類推適用するか、少くとも後記認定のような事情および弁論の
全趣旨を勘案して事実上これを推定するのが相当である。)。
二 そこで、すんで損害額について検討する。
(一) 原告会社の損害
1 被告八光商事関係
 被告八光商事代表者本人尋問の結果によれば、同被告は原告ら請求の期間中に
(イ)号製品を少くとも一、二〇〇本を製作し、これを全部被告和光商事に代金一
本当り一万二、〇〇〇円または一万三、〇〇〇円で卸売一手販売したことが認めら
れ、これによると被告八光商事は低目に見積つても一、四四〇万円の売上金を得た
ことが認められるところ、その売上利益は少くとも右総売上額の三割すなわち四三
二万円はあつたと解すべきである(被告八光商事代表者は一般経費である人件費を
差し引くと純利益は一本につき二、〇〇〇円余であると供述しているが、同被告は
少くとも前記期間中は全部被告和光商事にこれを卸売りしていたというのであるか
ら、宣伝費その他人件費がそれほどになるとは考えられない。かえつて、前掲原告
本人尋問の結果とこれにより真正に成立したと認める甲一五号証によると、原告会
社の場合(イ)号製品と同種のものを製作販売しているが、その販売形態は週刊
誌、新聞等の広告による通信販売であつて販売経費の占める割合が計算上売上額の
二八パーセントないし四六パーセントを占め製作原価割は微少であるにもかかわら
ず、その利益率はなお一本三万円のもので二四パーセント、一本四万円のもので四
三パーセントあることが認められー同号証の表3および4参照ー、被告八光商事の
前記利益率は少すぎても多すぎはしないことが裏付けられる。)。
 しかるところ、原告会社を実質上専用実施権者とみて支障のないこと前示のとお
りであるから、ここでは実用新案法二九条一項を類推適用するのが相当で、そうす
ると、同被告の前示利益額四三二万円は原告会社の受けた損害額と一応推定するこ
とができる。しかし、原告会社はその主張において原告Aとの関係を考慮して右利
益額から実施料相当額を控除しているから、その手法をここに採用すると、結局、
原告会社の受けた損害額は右の一割減(前記原告ら間の契約参照)すなわち三八八
万二、〇〇〇円となる。
2 被告和光商事関係
 前記のとおり被告和光商事は原告ら主張の期間に被告八光商事から少くとも一、
二〇〇本全部の(イ)号製品を一手販売の形で買受けたことが認められ、弁論の全
趣旨によるとこれを全部販売したものと推認することができる。しかして、前記1
の認定事実および判断に従うと被告和光商事もまたこれにより少くとも三八八万
八、〇〇〇円の利益を得て同額の損害を原告会社に与えたと考えられる。
3 被告シンエイ関係
 成立に争いない甲一一号証および被告シンエイ代表者本人尋問の結果によると同
被告は原告ら主張の期間中に被告和光商事から仕入代金総額少くとも二八〇万円の
(イ)号製品を仕入れ購入し、これを主として理容店へ訪問販売したこと、その代
金は一本当り仕入代金一万六、五〇〇円のものは二万三、〇〇〇円(利益率三九パ
ーセント)、仕入代金一万一、〇〇〇円のものは一万六、〇〇〇円(利益率四五パ
ーセント)であつたこと、なお同被告は昭和五二年一月二六日付「奥さま新聞」に
はいずれの(イ)号製品かは明らかではないがこれを一本三万三、〇〇〇円の高額
で小売りする旨の広告宣伝をしていること、以上のような事実が認められ、これら
の事実に弁論の全趣旨を総合すると同被告は少くとも前記仕入総額二八〇万円の四
割少くとも一一二万円の利益を得たものと解するのが相当で、これを基礎として前
示1と同様の見解と手法によつて原告会社の損害を算出するとそれは結局前記金額
の一割減一〇〇万八、〇〇〇円となる。
 なお、原告らが被告らに対する損害金請求を各自請求として構成していることか
らすると、被告シンエイに対する請求はあるいはその余の被告らの不法行為につい
て共同不法行為責任を問うているやに解されないでもないが、被告八光商事と同和
光商事との関係の場合は格別、被告シンエイについては被告和光商事が被告八光商
事から買受けた(イ)号製品一、二〇〇本をそのまま全部仕入購入した事実その他
何らかの形で右被告らの違法侵害行為に共同加巧したと認めるに足る確証がないか
ら右の構成による問責は右の点ですでに相当でないと解する。
(二) 原告Aの損害
 原告本人尋問の結果によると原告Aは本件実用新案を実施していない権利者であ
るからその損害額の算定につき実用新案法二九条一項の推定規定を適用するのは相
当ではなく、同法条二項によつて実施料相当額を損害額として請求するのが相当
で、げんに同原告の請求も同趣旨に出たものと解されるところ、前記(一)によつ
て明らかになつた帰結をここに参照すると、結局、原告Aの受けた損害額は被告八
光商事、同和光商事関係について各自四三万二、〇〇〇円、同シンエイ関係につい
て一一万二、〇〇〇円と解される。
(三) 補足
 原告らの損害金請求が権利濫用に該当するとの確証がないことはすでに第一の五
後段で説示したとおりである。
三 よつて、原告らの被告らに対する損害金請求はその各自請求の範囲で(1)原
告Aにおいて被告和光商事、同八光商事に対し各金四三万二、〇〇〇円、同シンエ
イに対し金一一万二、〇〇〇円、(2)原告会社において被告和光商事、同八光商
事に対し各金三八八万八、〇〇〇円、同シンエイに対し金一〇〇万八、〇〇〇円と
以上の各損害金に対する各支払ずみまで民法所定年五分の割合による附帯の遅延損
害金の支払いを求める部分は理由があるが、その余は失当である。
第三 結論
 よつて、原告らの請求は上来説示の範囲で認容し、その余はこれを棄却し、訴訟
費用の負担につき民訴法九二条、九三条を、仮執行宣言につき同法一九六条を各適
用して主文のとおり判決する。
(裁判官 畑郁夫 中田忠男 小圷眞史)
別紙
(イ)号図面説明書
一 図面の説明
 第一図は容器の外観斜面図、第二図は被蓋を取下した容器の一部切欠きの斜面
図、第三図は容器の内部構造を示す半部縦断面図である。
二 図面の詳細な説明
 上端部に被蓋⑦を取外し自在に螺着し、下端部が閉塞され、上端部に開口部を有
し、その開口部の近くにねじ溝⑧を有し、且つ開口部の外周辺に突起⑨を設けた筒
形器体①を形成し、その筒形器体①の上方部に、比較的大き目の穴⑤を多数穿設さ
れたフランジ付キヤツプ状の内栓④を取外し自在に嵌め込み、更にこの内栓の上端
部に内栓の穴より細かい穴③が多数穿設され且つその周辺部に、器体開口部の突起
と係合する為の、突起⑩を設けた冠栓②を取外し自在に被せてなる人造毛ふりかけ
器である。
以上
(イ)号図面
<12116-001>

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