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平成12年(行ケ)第381号 審決取消請求事件(平成13年9月10日口頭弁
論終結)
          判         決
       原      告   宇部日東化成株式会社
       訴訟代理人弁理士   中   村   静   男
       同          歌   門       恵
       被      告   触媒化成工業株式会社
       訴訟代理人弁理士   鈴   木   俊 一 郎
       同牧   村   浩   次
       同          鈴   木       亨
       訴訟復代理人弁理士  八   本   佳   子
          主         文
      特許庁が平成9年審判第5425号事件について平成12年8月22
日にした審決を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は、名称を「シリカ粒子の製造方法」とする特許第2529062号
発明(平成4年7月30日出願、平成8年6月14日設定登録、以下「本件発明」
という。)の特許権者である。被告は、平成9年4月4日、本件特許の無効審判の
請求をし、同請求は、平成9年審判第5425号事件として特許庁に係属した。原
告は、同年7月25日、本件特許出願の願書に添付された明細書(以下「本件明細
書」という。)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載の訂正の請求をし
た。特許庁は、平成10年9月30日、「本件審判の請求は、成り立たない。」と
する審決をしたが、当庁平成10年(行ケ)第370号審決取消請求事件におい
て、平成12年2月3日言渡しの判決により上記審決が取り消されたので、更に審
理をした結果、同年8月22日、「特許第2529062号発明の特許を無効とす
る。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年9月11
日、原告に送達された。
  (2) 原告は、同年10月10日、本件審決の取消しを求める訴えを提起した
後、平成13年5月2日、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記
載の訂正(以下「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし、特許庁は、同
請求を訂正2001-39069号事件として審理した結果、平成13年6月22
日、本件訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし、その謄本は、
同年7月4日、原告に送達された。
 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
  (1) 登録時のもの
   【請求項1】シリカ種粒子をアルコールとアンモニア水との混合溶媒に分散
させてなる分散液にシリコンアルコキシドを添加してこれを加水分解させ、シリカ
種粒子の粒径を成長させるシリカ粒子の製造方法において、シリコンアルコキシド
を添加する前の分散液中の全シリカ種粒子の合計表面積(So)と同分散液中の溶
液成分の合計容積(Vo)との比So/Voを300(cm2
/cm3
)以上とし、かつシ
リコンアルコキシドを添加した後の分散液中の成長した全シリカ粒子の合計表面積
(S)と同分散液中の溶液成分の合計容積(V)との比S/Vを300~120
0(cm2
/cm3
)とすることを特徴とするシリカ粒子の製造方法。
  (2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。)
   【請求項1】シリカ種粒子をアルコールとアンモニア水とからなる混合溶媒
に分散させてなる分散液にシリコンアルコキシドを単独で添加してこれを加水分解
させ、シリカ種粒子の粒径を成長させるシリカ成長粒子の製造方法において、シリ
コンアルコキシドを添加する前の分散液中の全シリカ種粒子の合計表面積(So)
と同分散液中の溶液成分の合計容積(Vo)との比So/Voを395~992(cm2
/cm3
)とし、かつシリコンアルコキシドを添加した後の分散液中の成長した全シリ
カ成長粒子の合計表面積(S)と同分散液中の溶液成分の合計容積(V)との比S
/Vを531~1147(cm2
/cm3
)として、お互いに分布が重なり合わない2種
類の粒径分布をもつシリカ成長粒子とシリカ微小粒子を得たのち、分級してシリカ
微小粒子を除去することを特徴とするシリカ成長粒子の製造方法。
 3 本件審決の理由の要旨
   本件審決は、上記訂正請求に係る訂正は、特許法134条2項ただし書各号
に規定する要件に適合しないので認められないとし、本件発明の要旨を登録時の本
件明細書の特許請求の範囲記載のとおり認定した上、本件発明は特開昭62-27
5005号公報に記載された発明であるから、本件特許は、特許法29条1項の規
定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきも
のとした。
第3 原告主張の審決取消事由
   本件審決が、本件発明の要旨を登録時の本件明細書の特許請求の範囲記載の
とおりと認定した点は、訂正審決の確定により特許請求の範囲が上記のとおり訂正
されたため、誤りに帰したことになる。本件審決は本件発明の要旨の認定を誤った
違法があり、取り消されなければならない。
第4 被告の主張
   訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は当事者間に争いがなく、本件訂正によって、本件明細書の特許請求の範囲は減縮
されたことが明らかである。
   そうすると、本件審決が本件発明の要旨を登録時の本件明細書の特許請求の
範囲記載のとおり認定したことは、結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことと
なり、この誤りが本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件審
決は取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき
行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官   篠   原   勝   美
            裁判官   石   原   直   樹
            裁判官   長   沢   幸   男

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