弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     被告人高橋進に対し当審における未決勾留日数中一一〇日を本刑に算入
する。
         理    由
 被告人両名の弁護人保坂紀久雄の上告趣意第一、第二、第四、第五について
 爆発物取締罰則が現行憲法施行後の今日においてもなお法律としての効力を保有
しているものであることは、当裁判所の判例とするところであるから(最高裁昭和
二三年(れ)第一一四〇号同二四年四月六日大法廷判決・刑集三巻四号四五六頁、
昭和三二年(あ)第三〇九号同三四年七月三日第二小法廷判決・刑集一三巻七号一
〇七五頁、昭和四六年(あ)第二一七九号同四七年三月九日第一小法廷判決・刑集
二六巻二号一五一頁、昭和四九年(あ)第二一九三号同五〇年四月一八日第二小法
廷判決・刑集二九巻四号一四八頁参照)、所論の憲法三一条、七三条六号、九八条
違反の主張は理由がない。
 同第三について
 爆発物取締罰則一条に定める刑は残虐な刑罰といえないのみならず(最高裁昭和
二二年(れ)第三二三号同二三年六月二三日大法廷判決・刑集二巻七号七七七頁参
照)、同条所定の行為に対し所定のような法定刑を定めることは、立法政策の問題
であつて憲法適否の問題ではなく(最高裁昭和二三年(れ)第一〇三三号同年一二
月一五日大法廷判決・刑集二巻一三号一七八三頁、昭和四六年(あ)第二一七九号
同四七年三月九日第一小法廷判決・刑集二六巻二号一五一頁参照)、所論法定刑が
異常に重く罪刑が均衡を失するともいえないから、所論の憲法三六条、三一条違反
の主張は理由がなく、また、爆発物取締罰則一条の構成要件はあいまい不明確なも
のではなく、同条は同条所定の目的で爆発物を使用した者を処罰するものであつて、
思想、信条自体を処罰しようとするものではないから、所論の憲法三一条、一九条
違反の主張は前提を欠き、爆発物取締罰則三条は取締のための濫用を誘発する危険
のある規定とはいえないから、所論の違憲の主張は前提を欠き、さらに、同罰則二
条、四条、五条は原判決の適用していない法条であるから、右各法条の違憲違法を
主張する所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 よつて、刑訴法四〇八条、刑法二一条(被告人Aにつき)により、裁判官全員一
致の意見で、主文のとおり判決する。
  昭和五三年一二月一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    服   部   高   顯
            裁判官    環       昌   一
            裁判官    横   井   大   三

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