弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人大塚粂之亟の上告理由について。
 論旨は、原判決が、土地改良区の総代選挙に際し調製された確定選挙人名簿に登
録されることは、選挙人の選挙権行使の基準であつて、右選挙における立候補の資
格とは法的関連がなく、正規の手続で立候補届出がなされた以上、その者がその後
組合員たる資格がないものと決定され、被選挙権を欠くとして選挙人名簿から削除
された事実があつても、選挙長または選挙管理委員会は、その者を終始候補者とし
て取り扱つて選挙を執行しなければならない旨を判示したのをもつて、審理を尽さ
ず、法令の適用を誤つものと非難する。
 土地改良区の総代選挙においては、候補者届出制を採用するが、右選挙にあたり
選挙長に立候補の届出をする者は必らずしもその選挙のために調製された確定選挙
人名簿に登録されていることを要するものでないことは、右選挙の期日はその前二
〇日までに告示され、立候補は右告示の日から選挙の期日前一〇日までに届け出る
べきものとされているのにかかわらず、選挙人名簿の選挙長に対する送付は、選挙
の期日前三日までにすれば足りるものとされていることからも窺うことができる(
土地改良法施行令六条三項、一七条の三第一項、七条二項、旧一七条の二第一項参
照)。また、立候補の届出については、その者が組合員であることその他被選挙権
者であることの証明を要しないことおよびその届出の受理にあたり候補者の被選挙
権の有無につき実質的に審査すべきものでないことは、そのような証明書類の提出
や審査を要請した法令は存せず、他面法は被選挙権のない候補者の氏名を記載した
投票を無効とする旨を定め、その投票の効力は選挙長が選挙会において選挙立会人
の意見をきいて決定すべきものとし、候補者の被選挙権の有無は投票手続終了後の
手続において審査されるのを予定していることに徴しても疑ない(土地改良法施行
令一七条一項五号、一六条二項参照)。従つて、前叙原判決の判示に所論の違法は
なく、本件において、a町選挙管理委員会が適法に届出を受理された候補者訴外D
を被選挙権を欠く者として候補者として取り扱わず、選挙の当日投票所における候
補者氏名の掲示中に同人の氏名を掲げないで選挙を執行したことは、選挙執行の公
正を害する違法な措置と認めざるをえない。そして、右の違法を本件選挙の結果に
異動を及ぼす虞あるものとし右選挙を無効とした被上告人の裁決の正当であること
は、原判決およびその引用する第一審判決の判示するとおりである。
 なお論旨は、前記候補者Dがb土地改良区を被申請人として組合員たる地位を仮
に定める旨を申請した別件仮処分事件の却下判決によつて、右改良区の理事会の決
定どおり、同人に組合員の資格のないことが確定されたものとし、これを当然知り
えたはずの被上告人が、その後において本件選挙の効力に関する審査の申立をその
申立人Dに申立権のないことを理由とし却下しなかつたのを失当という。
 しかし、右仮処分事件における却下判決は、右Dの組合員の資格喪失につきなん
ら確定力を生ずるものではなく、本件選挙の効力に関する異議の申出、審査の申立
を候補者においてなしうることは、土地改良法施行令二七条によつて明らかであり、
右Dが適法に立候補したものと認められることは前叙のとおりであるから、論旨の
非難はあたらない。
 論旨はいずれも採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

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