弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人小林尋次の上告趣意は、憲法三九条後段違反を主張するが、憲法の右規定
は、同じ犯行について二重に刑事上の責任を問うことを禁じた趣旨のものであるこ
とは、当裁判所大法廷の判例とするところである(昭和二九年(あ)第二一五号同
三〇年六月一日、刑集九巻七号一一〇三頁、昭和二九年(オ)第二三六号同三三年
四月三〇日、民集一二巻六号九三八頁)。しかるに、監獄法に規定する懲罰はもと
より刑罰と同一ではないから、被告人が同法に規定する懲罰を受けた後、更に同一
事実に基づいて刑事訴追を受け、有罪判決の言渡を受けたとしても、憲法三九条後
段に違反するものでないことは、前記判例の趣旨によつて明らかである。されば、
所論違憲の主張は理由がない(昭和三五年(あ)第一九三一号、同三六年二月二四
日第二小法廷判決、裁判集一三七号三五一頁参照)。その余の論旨は、事実誤認、
単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 被告人本人の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、同条の上告理由
にあたらない。
 よつて、刑訴法四〇八条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり判決する。
  昭和四四年七月二五日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    関   根   小   郷

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