弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における未決勾留日数中一〇〇日を本刑に算入する。
         理    由
 被告人本人及び弁護人鈴木淳二、同佐伯康博連名の各上告趣意のうち、爆発物取
締罰則の所論形式的無効をいう論旨について
 所論は、違憲をいうが、爆発物取締罰則が現行憲法施行後の今日でも法律として
の効力を保有するものであることは、当裁判所の累次の判例によりきわめて明らか
であるから(昭和二三年(れ)第一一四〇号同二四年四月六日大法廷判決・刑集三
巻四号四五六頁、昭和三二年(あ)第三〇九号同三四年七月三日第二小法廷判決・
刑集一三巻七号一〇七五頁、昭和四六年(あ)第二一七九号同四七年三月九日第一
小法廷判決・刑集二六巻二号一五一頁、昭和四九年(あ)第二一九三号同五〇年四
月一八日第二小法廷判決・刑集二九巻四号一四八頁参照)、所論は前提を欠き、適
法な上告理由にあたらない。
 被告人本人及び弁護人鈴木淳二、同佐伯康博連名の各上告趣意のうち、爆発物取
締罰則二条の所論実質的無効をいう論旨について
 所論は、違憲をいうが、爆発物取締罰則二条の構成要件である「治安ヲ妨ケ」る
の概念は不明確なものとはいえず(前掲昭和四七年三月九日第一小法廷判決参照)、
また、同条は、所定の目的で爆発物を使用せんとする者を処罰するものであつて、
その思想、信条の如何を問うものではなく、さらに、同条所定の行為に対し所定の
ような法定刑を定めることは立法政策の範囲内にとどまる問題であつて憲法適否の
問題ではないから(前掲昭和四七年三月九日第一小法廷判決参照)、所論はいずれ
も前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 被告人本人の上告趣意のうち、その余の論旨について
 所論は、単なる法令違反(記録によれば、所論各供述調書の任意性を肯定した原
判断は相当である。)、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 弁護人鈴木淳二、同佐伯康博連名の上告趣意のうち、その余の論旨について
 所論は、違憲をいうが、爆発物取締罰則の規定のうち所論指摘のものは原判決の
是認する第一審判決が適用していないものであるから、適法な上告理由にあたらな
い。
 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により、裁判官全員一
致の意見で、主文のとおり決定する。
  昭和五三年一二月四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    本   林       讓

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