弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告訴訟代理人勅使河原直三郎の上告理由第一点について。
 昭和二四年七月二九日の原審最終口頭弁論に関与した裁判官が村木達夫、松村美
佐男、猪狩真泰の三判事であり、原判決に署名捺印した裁判官も亦右と同じ三判事
であることは記録上明らかである。従つて原判決はその最終口頭弁論に関与した裁
判官によつてなされたものと認め得るから、原判決には所論のような違法はなく、
論旨は採るを得ない。
 同第二点について。
 判決の言渡が適式になされたか否かは、口頭弁論の方式に関する規定遵守の問題
であり調書によつてのみ証することができる。然るに昭和二四年一〇月一四日の原
審口頭弁論調書によれば、右期日に開かれた公開法廷において原判決が言渡された
ことを認め得る。されば原判決が公開法廷で言渡されなかつたことを云為する論旨
は採用し得ない。
 同第三点について。
 借家法一条の二による解約の申入に正当の事由があるか否かは、右申入の効力発
生当時における事情に従つて判断すべきであつて、爾後に生じた事情の如きはこれ
を斟酌すべきものでないことは勿論であり(昭和二五年(オ)第一二〇号、同二八
年四月九日当小法廷判決参照)しかも原判決が昭和二三年五月六日になされた本件
解約申入に正当の事由なきものと判示するに当り論旨の指摘するような昭和二四年
四月以降の事情を判断の一資料としていることは所論のとおりである。従つてこの
点において原判決は失当たるを免れ得ないのであるが、原審がその判断の基礎とし
た認定事実の全体を通観すれば所論昭和二四年四月以降の事情は極めて軽微な情況
の一に過ぎないのであつてこれを除外しても本件解約申入に正当事由なきものとし
た原判旨の結論に消長を来たすものとは認められない。それ故所論の違法は原判決
の主文に影響なきものといわざるを得ないのであつて、論旨は理由なきものである。
 同第四点について。
 記録によれば本訴請求は上告人が被上告人との間に存する係争家屋の賃貸借につ
き解約の申入をなしたことを原因として該家屋の明渡を求めるものであり、右賃貸
借に期間の定めがなかつたことは当事者間に争なき事実であつたのである。されば
原審が本件賃貸借に期間の定めがありその更新がなされたか否かについて判断を与
えなかつたとしてもこれを違法視することはできない。それ故論旨は理由がない。
 同第五点について。
 原審が認定した事実関係によれば、本件解約申入に正当の事由なきものとした原
判旨は首肯し得るのであつて原判決には所論のような違法はない。論旨は事実誤認、
それを前提とする法令違反を主張するに帰し、上告適法の理由に当らない。(若松
市がいわゆる戦災都市でないことは顕著な事実であるが非戦災都市であるがために
また戦時中戦災を蒙る可能性の低かつた都市であつたがために却つて急激に居住人
口の増加を来し一層家屋の払底を招来したものであることは容易に推断し得るとこ
ろであつてこの点につき原判決には何等所論のような違法はない。次に本訴提起前
若松簡易裁判所に申立てられた家屋明渡の調停、第一審裁判所における和解がいず
れも成立に至らなかつたことは当事者間に争ない事実ではあるが、その不成立が被
上告人に誠意なく協調の精神を欠いたことに起因するものとは速断し得ないのであ
り却つて原審認定の事実関係によればむしろ被上告人に誠意のあつたことが窺い知
ることができるのである。)
 同第六点について。
 原審は所論のように本訴請求の全部が失当であるから従つてその一部の請求も亦
当然に失当であると判断したものではなく、判示認定事実に基ずいて当事者双方の
事情を勘酌しても、なお上告人主張にかかる係争家屋の一部について本件賃貸借を
解約するにつき正当の事由がない旨判示しているのである。そして原審認定の事実、
殊に係争家屋の構造、利用状況、当事者の職業等を考慮すれば、原審の右判断は首
肯し得るのであつて原判決には所論のような違法はない。論旨は採るを得ない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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