弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人A、同B、同C、同D、同Eに関する部分を破棄す
     被告人Aを懲役八月に、同B、同Cを各懲役六月に、同D、同Eを各懲
役四月に処する。
     各被告人に対し本裁判確定の日から三年間右各刑の執行を猶予する。
         理    由
 弁護人武田博の上告趣意について。
 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。以下同じ。)
八三条一項により被告人以外の第三者の所有物を没收することは、同法その他の法
令において、所有者たる第三者に対し、その所有物件の没收につき告知、弁解、防
禦の機会を与えるべき旨の規定を設けていないから、憲法三一条および二九条に違
反し、許されないものと解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三〇年(あ)第九
九五号同三七年一一月二八日大法廷判決)とするところである。
 然るに、原判決が原判示密輸出入の犯行に供用した船舶であるとして、旧関税法
八三条一項により被告人らから没收したF丸は、被告人ら以外の第三者たるGの所
有に属することは、原判決の認定しているところであるから、右F丸の没收の言渡
は憲法の右各条に違反するものといわねばならない。
 よつて刑訴四一〇条一項本文、四〇五条一号、四一三条但書により原判決を破棄
し、被告事件につき更に判決する。
 原審の確定した事実に法律を適用すると、被告人らの原判示各所為は、それぞれ
関税法附則一三項により従前の例によるものとされた旧関税法七六条一項刑法六〇
条に該当するから、各所定刑中懲役刑を選択し、右は同法四五条前段の併合罪であ
るから、同法四七条一〇条により犯情の重い原判示第二の罪の刑に法定の加重をし
た刑期の範囲で、被告人らをそれぞれ主文第二項掲記の刑に処し、同法二五条を適
用して主文第三項記載のとおり右各刑の執行を猶予することとする。なお、差押に
係る真鍮屑、銅屑、鉛屑の換価金八五万八000円および揮発油ドラム缶入五本は、
原判示第二の密輸入の罪に係る貨物であるが、所有者たる原審相被告人Hに対する
没收の言渡が既に確定し国庫に帰属したものであるから、被告人らに対しては没收
の言渡をしないこととする。
 よつて主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官下飯坂潤夫、同高木常七、同石坂修一、同山田作之助の反対
または少数意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。
 裁判官下飯坂潤夫の反対意見は、次のとおりである。
 わたくしは、第三者所有物の没收を違憲とする多数意見に賛成しえない。その理
由は、昭和三〇年(あ)第二九六一号、同三七年一一月二八日言渡大法廷判決にお
けるわたくしの反対意見と同趣旨であるから、これを引用する。
 裁判官高木常七の少数意見は、次のとおりである。
 わたくしは、第三者所有物の没收を違憲とする多数意見に賛同しえない。その理
由は、昭和二八年(あ)第三〇二六号、同三五年一〇月一九日大法廷判決(刑集一
四巻一二号一五七四頁)におけるわたくしの補足意見と同趣旨であるから、これを
引用する。
 裁判官石坂修一の反対意見は、次の通りである。
 本件に関する多数意見に反対する理由は、わたくしが先に昭和三〇年(あ)第二
九六一号、同三七年一一月二八日言渡の大法廷判決に示した反対意見につきて居る
から、これを引用する。
 裁判官山田作之助の少数意見は、次のとおりである。
 没收の点に関するわたくしの意見は、昭和三〇年(あ)第二九六一号、同三七年
一一月二八日言渡大法廷判決におけるわたくしの少数意見と同趣旨であるから、こ
れを引用する。
 検察官 村上朝一公判出席
  昭和三七年一二月一二日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

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