弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
原告が昭和四四年七月一八日にした八尾市議会の原告に対する除名決議について地
方自治法第二五五条の三に基づく審決申請に対し被告が何らの処分をしないことは
違法であることを確認する。
訴訟費用は被告の負担とする。
       事   実
第一、申立
一、原告
 主文同旨の判決。
二、被告
1 本案前の申立
 原告の訴を却下する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決。
2 本案の申立
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決。
第二、当事者双方の主張
一、原告の請求原因
1 原告は、八尾市議会議員であるが、昭和四四年六月二八日本会議で市長に対し
代表質問をなしたところ、八尾市議会は同年七月七日本会議において原告の代表質
問の内容が同市議会会議規則第一〇九条に違反するとの理由で原告を除名する旨の
決議をなした。そこで、原告は被告に対し昭和四四年七月一八日地方自治法第二五
五条の三に基づき右除名決議を取消す旨の審決の申請をなしたところ、同日被告は
右申請を受理した。
2 しかるに、被告は相当の期間を経過した現在も、右審決の申請に対し何らの応
答をしない。
3 ちなみに、原告の右審決の申請に対する審理の経過はつぎのとおりである。
(一) 原告は前記のとおり昭和四四年七月一八日被告に対し審決の申請をなし、
被告の受理と同時に証拠として書証一号から三四号までを提出し、八尾市議会は同
年八月二日弁明書を提出し、その後も同年九月三日までの間審決申請補充書、弁明
補充書をそれぞれ提出し、原告、八尾市議会の双方は十分主張をつくした。なお、
原告は口頭にて意見を求め八月一五日原告および同代理人、補佐人が意見陳述をな
し、また、参考人の陳述を求め原告の申立てた参考人のうち、参考人陳述を三度に
わたつて拒否した八尾市議会議員を除いて二名の参考人が事実を陳述した。そし
て、同年九月三日被告は十分に審理をつくした、これ以上審理することは何もな
い、早期に判断を示す旨言明して審理を終結した。その後、被告から原告に対して
なんらの釈明も証拠提出の要求もなされたことがない。
 なお、被告は原告および原告代理人らと同年九月末頃会見した際、決定の下書き
もできている、あとは決議がのこつているのみだと言明していたが、同年九月二〇
日大阪地方裁判所において原告に対する前記除名処分の執行停止決定(昭和四四年
(行ク)第二一号)がなされてからは慎重に審議をしていると言を左右にするに至
つた。
(二) 昭和四四年一〇月一一日大阪府議会総務常任委員会において、大阪府副知
事A、同総務部長Bらは「審決の遅延は遺憾である。すみやかに公正な結論を出
す。」と述べた。
(三) ところが、昭和四五年四月六日原告および同代理人、共産党府会議員らが
前記A副知事、B総務部長に審決を早期になすべく要求したところ、同人らは大阪
地方裁判所で現在進行中の除名処分取消訴訟の審理の状況をみてしか審決は出せな
いと言明するに至つた。右のように裁判の進行中を理由として審決を遅延させてい
ることは明らかに違法である。
4 よつて、原告は被告の右不作為が違法であることの確認を求める。
二、被告の答弁並びに主張
1 本案前の主張
 本来、行政事件訴訟法第三条五項の「不作為違法確認の訴え」は、行政庁が処分
あるいは裁決をなさず、それがため取消訴訟等の手段もとりえない場合の救済制度
として認められたものであり、処分あるいは裁決取消の訴えの補充的な性質をもつ
訴訟である。したがつて、すでに処分取消の行政訴訟を提起し、そこで終局的な救
済を得るべく審理が遂行されている限り、不作為違法確認の訴えのごとき補充的な
訴訟を認めるべきではない。本件についてこれをみるに、原告はすでに昭和四四年
九月八日大阪地方裁判所に対し八尾市議会の原告に対する除名処分の取消の訴えを
提起し、あわせて執行停止の申立てをなしたところ、同年同月二〇日同裁判所にお
いて右除名処分につき執行停止決定がなされた。そして、右除名処分取消の訴えの
本案審理は同年一〇月二八日第一回口頭弁論が開かれ、以後昭和四五年五月一一日
まで六回の口頭弁論があり審理が進められている。右にみたように原告は除名処分
取消の訴えによりこの決着をつけようとしており、その訴訟も順調に審理されてい
るばかりでなく、原告は裁判所の執行停止決定により八尾市議会の議員たる身分を
回復しているのであるから、右除名処分取消の請求とは別個に、本件不作為の違法
確認を求める利益はないというべきである。
2 原告主張の請求原因に対する答弁
 原告主張の請求原因第1項記載の事実は認める。同第2項記載の事実のうち、被
告が現在まで原告の申請に対する審決をしていないことは認める。
 同第3項の(一)の事実のうち、原告が昭和四四年七月一八日審決申請と同時に
証拠として書証一号から三四号証までを提出し、八尾市議会が同年八月五日に弁明
書を提出し、その後同年九月三日までの間に審決申請補充書、弁明補充書等がそれ
ぞれ提出されたこと、同年八月一五日原告および同代理人、補佐人の意見陳述があ
つたこと、参考人として陳述を求めた者のうち欠席のため聴取できなかつた者を除
き二名の参考人の陳述を聴取したこと、同年九月三日頃以後被告が原告に対し釈明
や証拠提出の要求をしなかつたこと、同年九月二〇日大阪地方裁判所において原告
に対する除名処分の執行停止の決定がなされたことは認めるが、その余は否認す
る。
 同第3項の(二)の事実は認める。
 同第3項の(三)の事実のうち、昭和四五年四月六日A副知事、B総務部長が原
告らに対し、原告主張のような趣旨のことを述べたことは認めるが、その余は否認
する。
3 本案についての主張
 被告は原告の審決申請につき未だ応答をしていないが、つぎの理由により被告の
右不作為は違法ではない。
(一) 慎重審議の必要性
(1) 本件審決の対象たる処分は八尾市議会の除名議決である。この除名議決は
議員定数の八分の一以上の者の発議による懲罰動議が本会議に付され、その採択に
より懲罰委員会が設置され、その委員会で除名を相当と認めたうえ本会議に上程さ
れ、そこで議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意により
その議決が成立するという非常に慎重にして厳格な手続を経てなされる処分である
ところ、本件においては、賛成二七名反対一名で懲罰動議が採択され、除名決議の
本会議において賛成三一名反対一名の圧倒的多数にて議決されたものである。この
ようにしてなされた議会の除名の決議は議会の本来有する規律権に基づくものであ
り、地方自治の本旨からしても充分なる尊重を払わねばならないのであるから、そ
の取消を求める審決の審議は自ずから慎重にならざるを得ない。
(2) 他方、審決庁たる被告大阪府知事は本来八尾市議会とは上下関係に立たな
いうえ、指揮監督する立場にもない第三者行政庁であるところ、本件のごとき除名
決議取消の場合には、知事が一地方議会の決議を左右しうることになり地方自治の
精神にそぐわない面があるばかりではなく、審決の結果によつては八尾市議会は更
に争う方途を失うという制度的にも問題がある。したがつて、この意味からも審決
は慎重審議を要する。
(3) 審決の審理手続は書面審理を原則としており、前記(1)(2)のように
慎重なる判断が要求されるにもかかわらずその審理手続は必ずしも充分でなく、そ
れを補うべく参考人の陳述を得ようとしても希望する参考人の欠席により陳述が得
られず、重大なる結論を出すにふさわしい審理手続の制度的保障がない。本件にお
いても八尾市議会側の参考人の出席がいずれも得られなかつた。
(二) 審理の中断中止の合理性
(1) 同一事項について行政不服申立てと行政訴訟とが同時に並行して係属した
場合、公正取引委員会の審決、特許審判、海難審判のごとく専門の審判機関が訴訟
の前審的性格をもつて審決審判を行なう場合はともかく、本件のごとく第三者行政
庁に対する通常の行政不服申立てにおいては、かかる前審的性格は稀薄であり、行
政庁の判断にとくに高度の専門的知識経験が加味されているがため裁判所の審理が
容易になるというものではないから、両者の並行審理は手続上無駄であるばかりか
両者の判断の相違はいたずらに当事者を困惑させることにもなる。したがつて、行
政庁は行政不服申立て中に処分取消の訴えが提起された場合、事案の性質内容によ
り事実上行政不服申立ての審理を一時中止し、組織、手続、効果等すべて優位にあ
る行政訴訟の審理の経過をみてその最終結論を得ることが許されるというべきとこ
ろ、本件においては原告はすでに除名処分の取消の訴えを大阪地方裁判所に提起
し、執行停止の決定を得て議員としての地位を一応回復しており、処分取消の本案
裁判の方も今まで六回の口頭弁論が開かれ、審決手続において参考人として聴取し
えなかつた証人の尋問も行われているうえ、本件のように審理の対象が議会の自律
権の尊重という地方自治の本旨に矛盾しないでもない性格の、しかも第三者たる行
政庁が行なうという不備な審決手続においては、審決手続の中断中止の要請が強く
認められる。ちなみに、他府県の同種議員除名議決取消の審決事例(四件)におい
ては福島県知事の行なつた容認の審決事例を除いて他の三件はいずれも行政訴訟の
提起後も長期にわたつて審決の結論が出されていない。
(三) 以上の事情により、被告は一応その審決の審理を中止し、裁判所の審理の
経過をみて判断するのが相当であると考え、審決をいまだなさないのである。した
がつて、被告が現在まで審決を出すに至つていないことにつき何ら違法は存しな
い。
三、被告の主張に対する原告の反論
1 被告の本案前の主張に対する反論
(一) 不作為違法確認の訴えは、国民の行政庁に対する申請を行政庁が不作為の
まま放置し、その当否の決定を不当に遅延させている場合に、不作為の違法を確認
して決定の促進をはかり、法律上国民の有する申請権の実効性を期する訴訟であ
る。したがつて、本訴の訴訟物は行政庁の不相当期間にわたる不作為により国民の
申請権が侵害されているか否かである。かかる性質をもつ本訴について訴えの利益
の有無を考えるならば、申請に対し行政庁が不作為状態を持続している以上は法令
の改正等で行政庁の応答義務が消滅するような特別の事情のない限り、訴えの具体
的利益または必要性は存在すると解されるところ、被告が主張列挙する理由は右の
特別の事情に該当ないしは相当とするものではない。仮に、一般的抽象的には不作
為違法確認の訴えがいわゆる抗告訴訟の補完的機能をはたすものであつたとして
も、それとは別に、行政庁による申請権の侵害そのものの救済をはかつて、行政庁
自らが法律による行政の原則を履践すべく国民に訴権を認めたものである。
(二) 原告が除名取消の訴えを提起し、これによりことの決着をつけようとした
としても、これにより本訴の訴えの利益がなくなるものではない。なぜなら、不服
申立てと行政訴訟の並行審理が現実化することは法律制度上想定されており、両者
の審理は必らずしも趣旨、目的、範囲を常に共通するものではない。また、審理の
手段方法においても相違するところがあり、両者を同一視したり、行政訴訟が不服
申立ての審理をすべて包摂すると解することは明らかに誤りである。本件について
みても、被告の主張のごとくであれば訴願(審決)前置を義務づけ簡易迅速な略式
の手続によつて争いを解決し、国民の権利利益の救済をはかる法の趣旨は全く没却
されるに至る。
(三) 被告において除名処分を取消す審決を行なうならば、行政不服審査法上八
尾市議会においてその審決を争う方法がないから原告は確定的に議員たる地位を回
復する。被告が不相当な期間にわたつて審決しないことによつて原告は早急に確定
的に議員たる地位を回復する機会を奪われ続けているのである。議員たる地位は定
められた任期によつて時間的に限定された地位である。したがつて、除名処分取消
請求の訴えが議員の地位を確定的に回復するという効果を発揮するのは残存任期の
期間内に請求を認容する確定判決を得る以外にない。被告が審決をしない以上原告
はその任期中(昭和四六年三月末まで-被告は昭和四六年四月三〇日までと主張す
る)に確定的に議員たる地位を回復する途がない。かかる場合に被告が原告の申請
権を侵害していることの違法を確認し、速やかに被告が審決をすべく促がすことを
求める利益は極めて大きいというべきである。
(四) 被告は原告が裁判所の執行停止決定を得ていることをもつて訴えの利益が
ない理由の一つとするが、執行停止決定を得た原告の現在の地位の暫定性、不安定
性は多くを論ずるまでもない。
(五) 被告が法律上の義務を遂行して原告の請求を認容する審決をすれば、即座
に紛争は確定的に解決し得るのであつて同一対象事実を行政審査、司法審査の対象
として別異に審理する事態にはならない。また、仮に被告が原告の請求を棄却する
審決をしたとすれば、原告は原処分の取消を求めて訴訟手続により救済を求めるこ
とになるが、これは行政機関が終審として裁判を行なうことができないことの当然
の帰結である。
(六) 原告は、一日も早く議員たる地位の確定的な回復を求めて(議員の除名は
当人にとつては死刑にひとしい極刑であり、除名された状態が長期にわたることは
選挙によつて選出される議員にとつて住民からの信頼を失い、その政治生命にもか
かわる重大なことであるから)、あらゆる手段、方法を利用すべく努力しているの
であり、除名処分取消訴訟を提起したのは被告が違法に審決を行わないのでとつた
措置であつて、審決申請を取下げたりこれを諦めたりするものではない。
(七) 付言するに、原告は地方自治法二五七条にしたがつて除名処分取消の訴
(昭和四四年(行ウ)第八三号除名処分取消請求事件)を大阪地方裁判所に提起し
たのではなく、行政事件訴訟法八条二項二号によつて右訴えを提起し適法に係属し
たものである。したがつて、被告の応答を擬制することはできないし、また、地方
自治法の前記規定は絶対的不服申立前置主義ないし裁決主義をとる同法中の審査申
立てにつき出訴の道をひらく法意であり、原告の本訴請求、換言すれば申請権を●
奪するものでないことは明白である。
2 被告の本案についての主張に対する反論
(一) 被告は除名決議に対する審決が慎重に行われなければならない旨述べてい
るが、それは被告の不作為を正当化するものではない。被告は審決申請に対し昭和
四四年一〇月には「それ以上に審理することは何もなく早期に公正な結論を出す」
旨言明していたのであるから、結局被告が決定をためらうのは政治的圧力に屈した
か、政治的判断によるかのいずれかである。被告は被告が第三者行政機関であるこ
と、地方議会の意思を尊重すべきことを理由に慎重審議の必要性を述べているが、
議会の決議が違式の決議であること、法令の解釈適用を誤つたものであること、地
方自治、議会制民主主義の根幹をふみにじつたことが歴然としている本件除名決議
のごとき場合において審決庁たる被告が憲法と地方自治の本旨に立脚して審決すべ
きことは法の予定するところである。また、被告は審決手続の審判手続としての不
備ないし不完全さを論じているが、これは司法審査と全く均しい方式をとることな
く、法の規定する程度に簡易な方式で迅速に判断すべきことを要請されていること
の結果であつて何ら異とするに足らない。それゆえ法律上正当な申請権を有するも
のには司法審査への権利救済の途を開いていると言えるのである。被告の主張は失
当である。
(二) 被告は行政不服申立てと行政訴訟の併行審理の不合理性を論じているが、
本件除名処分に対する原告の審決申請を容認する審決は原告の議員たる地位を確定
的に回復するものであることは前記のとおりであつて、一般に論じられ、特に人事
委員会審理との併行審理について論じられるものとはその様相を異にする。また、
中止処分のごときものは法律上の手続としてあり得べきものでなく、被告の「裁判
待ち」の態度は、自らの法律上の義務を怠り、よつて原告の申請権を侵害するもの
であつて違法である。
(三) 本件除名処分のような場合においては、行政事件訴訟法八条二項に定める
事由がある場合のほか、知事の審決を経た後でなければ、その取消を求める訴えを
裁判所に提起することができない(地方自治法二五六条)。このことは行政不服審
査法一条の趣旨からしても、審決庁の早急な判断をより強く要求している。しかも
八尾市議会の議員の任期は昭和四六年三月末までであり七ケ月後の四月には選挙が
ひかえている。このことは一層審決がいそがれねばならない客観的事情である。
       理   由
一、まず、被告の本案前の主張について判断する。
 被告は、本件除名処分取消の抗告訴訟が提起され、終局的な救済手続が遂行さ
れ、かつ、除名処分の執行停止決定が裁判所によつてなされている場合には、不作
為の違法確認の訴えのごとき補充的な性質をもつ訴訟を認める利益はない、旨主張
する。
 しかしながら、原告は、八尾市議会のなした原告に対する除名処分について、地
方自治法二五五条の三に基づき被告に対し審決を申請したもので、もし、右申請が
認容されて本件除名処分取消しの審決がなされた場合には右審決は、同法二五八
条、行政不服審査法四三条により八尾市議会を拘束し、原告は、本件除名処分取消
の抗告訴訟の結果をまつまでもなく、迅速、簡易に救済される訳であつて、たまた
ま行政救済手続たる本件審決の申請と司法救済手続たる本件除名処分取消の抗告訴
訟とが併存するに至つた(もともと、地方自治法二五六条、行訴法八条一項ただし
書からすれば、かかる結果は生じないのであるが、審査庁が応答しない場合、行訴
法八条二項によりかかる結果を生ずる)からといつて、原告が被告の本件審決を求
める利益が消滅するものではなく、特段の規定がない本件においては審決庁たる被
告は、相当期間内に本件審決の申請に対する判断(応答)をなすべき法律上の義務
を負うものである。
 このことは、原告にかかる除名処分の執行停止決定がなされている場合において
も同様であり、右は、司法救済手続による終局的判断をなすための暫定的仮の措置
であるから、執行停止決定がなされていることをもつて被告の前記応答義務に何等
影響を及ぼすものでないことはいうまでもない。
 したがつて、被告のこの点の主張は到底採るを得ない。
二 よつて本案について判断する。
1 原告主張の事実のうち、「(一)原告が、八尾市議会のした原告を除名する旨
の決議について、昭和四四年七月一八日被告に対し地方自治法二五五条の三に基づ
き審決の申請をなし、同日被告がこれを受理したが、いまだ右申請に対する審決を
していないこと、(二)原告は、同日証拠(書証一号証ないし三四号証)を提出
し、一方八尾市議会も同年八月五日弁明書を提出し、その後同年九月三日までの間
に、審決申請補充書、弁明補充書等が提出されたこと、(三)同年八月一五日、原
告、同代理人及び補佐人の意見陳述がなされたこと、(四)参考人(二名)の意見
聴取がなされたこと、(五)同年九月三日頃以降、被告が原告に対し釈明ないし証
拠提出等の要求をしていないこと、(六)同年一〇月一一日、A大阪府副知事、B
同総務部長が大阪府議会総務常任委員会において、「審決の遅延は遺憾である。す
みやかに公正な結論を出す。」と述べたことについては、いずれも当事者間に争い
がない。
 右の事実からすると、昭和四四年一一月頃には既に審決をなしうる状況に至つ
た、というべきであり、したがつて、その後一〇ケ月にも及ぶ間なんらの審決をし
ないことは違法である、というの外はない。
2 被告は、被告がいまだ審決をしないのは、(一)地方自治の本旨の尊重、
(二)審決の結果、もし八尾市議会の原告に対する除名決議取消の結論が出た場
合、八尾市議会はこれを争う途がないこと、(三)審理手続の制度的保障の欠除、
(四)審決手続の中断、中止は認められるべきであり、本件の場合は、結局裁判所
の処分取消訴訟の経過をみて判断するのが相当であるから、慎重なる審議をすべき
であり、したがつて、審決の遅延は止むを得ないもので、違法ではない、旨主張す
るが、右はいずれも立法論的意見であつて、いまだ応答義務を尽していない違法に
つき、これを阻却するに足る具体的事実の主張(及び立証)とは認められず、他に
違法阻却事由の主張、立証はないので被告のこの点に関する主張は採用しえない。
三 以上の次第で、原告の本訴請求は正当としてこれを認容することとし、民訴法
第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 井上三郎 矢代利則 大谷種臣)

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