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平成20年4月24日判決言渡
平成19年(行ケ)第10333号審決取消請求事件
平成20年3月11日口頭弁論終結
判決
原告株式会社フジ医療器
訴訟代理人弁護士辻本希世士
同笠鳥智敬
同松田さとみ
訴訟代理人弁理士辻本一義
同窪田雅也
同神吉出
同上野康成
同森田拓生
同種市傑
被告ファミリー株式会社
訴訟代理人弁理士角田嘉宏
同古川安航
同山田久就
主文
1特許庁が無効2006−80229号事件について平成19年8月
24日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文第1項と同旨
第2争いのない事実
1特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「手揉機能付施療機」とする特許第3806396号
の特許(平成14年11月28日出願,平成18年5月19日設定登録。登録
時の請求項の数は6である。以下「本件特許」という)の特許権者である。。
被告は,平成18年11月2日,本件特許の請求項1ないし6に係る発明に
ついての特許を無効とすることについて審判を請求し,この請求は無効200
6−80229号事件として特許庁に係属した。その審理の過程で,原告は,
平成19年1月22日付け訂正請求書により,本件特許に係る明細書(以下,
登録時の同明細書を,図面と併せ「本件特許明細書」という)の特許請求の,。
範囲及び発明の詳細な説明の記載を訂正する請求をしたが,同年4月10日付
の訂正拒絶理由通知書を受けたので,同年5月11日付け手続補正書により,
上記訂正請求書を補正(以下,この補正を「本件補正」といい,本件補正後の
「」,,訂正請求書に係る訂正を本件訂正本件訂正後の本件特許に係る明細書を
図面と併せ訂正明細書とそれぞれいうなお本件訂正により請求項2,「」。,,
が削除され請求項3ないし6が請求項2ないし5に繰り上げられたする手,。)
。,,,,続をした特許庁は審理の結果同年8月24日本件補正は認めたものの
本件訂正は認めないとした上特許第3806396号の請求項1ないし6に,「
係る発明についての特許を無効とする」との審決(以下「審決」という)を。。
し,同年9月5日,その謄本を原告に送達した。
2特許請求の範囲
(1)本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6の各記載は次のと,
おりである以下これらの請求項に係る発明を項番号に対応して本件発(,,「
明1」などといい,これらをまとめて「本件発明」という。。)
請求項1椅子本体の両肘掛部の上面適所に人体手部を各々載脱自在で「【】
これらに空圧施療を付与し得るよう,椅子本体の両肘掛部に膨縮袋を各々配
設し,且つ各膨縮袋に圧縮空気給排装置からの給排気を伝達するホースを各
々連通状に介設してなる圧縮空気給排気手段を具備させた手揉機能付用施療
機であって,該手揉機能付用施療機の各肘掛部は,肘幅方向外側に弧状形成
された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って人
体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成されており,且つ,前記立
上り壁の内側部には膨縮袋を配設して,肘掛部上に人体手部を安定的に保持
させて,立上り壁内側部に配設された膨縮袋と肘掛部の上面間で人体手部に
空圧施療を付与させるようにした事を特徴とする手揉機能付施療機。
【請求項2】椅子本体の両肘掛部の上面適所に人体手部を各々載脱自在で
これらに空圧施療を付与し得るよう,椅子本体の両肘掛部に膨縮袋を各々配
設し,且つ各膨縮袋に圧縮空気給排装置からの給排気を伝達するホースを各
々連通状に介設してなる圧縮空気給排気手段を具備させた手揉機能付用施療
機であって,該手揉機能付用施療機の各肘掛部は,肘幅方向外側に弧状形成
された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って人
体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成されており,且つ,前記立
上り壁の内側部と肘幅方向内側底部とに各々膨縮袋を対設して,肘掛部上に
人体手部を安定的に保持させて,立上り壁内側部と肘掛部の内側底部間に対
設された膨縮袋間で人体手部に空圧施療を付与させるようにした事を特徴と
する手揉機能付施療機。
【請求項3】前記両肘掛部に配設される膨縮袋が,二以上の膨縮袋を重合
させた膨縮袋群である事を特徴とする請求項1又は請求項2記載の手揉機能
付施療機。
【請求項4】前記両肘掛部に配設される膨縮袋の人体手部当接側に,膨縮
施療を強度に付与し得る施療突起を配設した事を特徴とする請求項1乃至請
求項3記載の手揉機能付施療機。
【請求項5】前記両肘掛部の適所に,両肘掛部上面を振動させるに振動部
材を配備させた事を特徴とする請求項1乃至請求項2記載の手揉機能付施療
機。
【請求項6】前記肘掛部の人体手部指先対応位置或いは指先近郊の上面適
所に,圧縮空気給排装置に接続される外部電源を配備させた事を特徴とする
請求項1又は請求項2記載の手揉機能付施療機」。
(2)訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5の各記載は次のとおり,
である(以下,請求項1に係る発明を「訂正発明1」という。下線部は訂正
箇所を示す。。)
請求項1椅子本体の両肘掛部の上面適所に人体手部を各々載脱自在で「【】
これらに空圧施療を付与し得るよう,椅子本体の両肘掛部に膨縮袋を各々配
設し,且つ各膨縮袋に圧縮空気給排装置からの給排気を伝達するホースを各
々連通状に介設してなる圧縮空気給排気手段を具備させた手揉機能付用施療
機であって,該手揉機能付用施療機の各肘掛部は,肘幅方向外側に弧状形成
された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って人
体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成されており,且つ,前記立
上り壁の内側部には膨縮袋を配設すると共に,前記肘掛部の上面に二以上の
膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設して,前記肘掛部の上面に配設した膨縮
袋群は,圧縮空気給排装置からの給気によって膨縮袋の肘幅方向の外側一端
よりも内側他端が立ち上がるように配設され,前記膨縮袋群の内側他端の立
ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起させて肘掛部上
に人体手部を安定的に保持させて,立上り壁内側部に配設された膨縮袋と肘
掛部の上面に配設された膨縮袋群とを対設させた膨張袋間で人体手部に空圧
施療を付与させるようにした事を特徴とする手揉機能付施療機。
【請求項2】前記立上り壁の内側部に配設される膨縮袋が,二以上の膨縮
袋を重合させた膨縮袋群である事を特徴とする請求項1に記載の手揉機能付
施療機。
【請求項3】前記両肘掛部に配設される膨縮袋の人体手部当接側に,膨縮
施療を強度に付与し得る施療突起を配設した事を特徴とする請求項1又は請
求項2記載の手揉機能付施療機。
【請求項4】前記両肘掛部の適所に,両肘掛部上面を振動させる振動部材
を配備させた事を特徴とする請求項1記載の手揉機能付施療機。
【請求項5】前記肘掛部の人体手部指先対応位置或いは指先近郊の上面適
所に,圧縮空気給排装置に接続される外部電源を配備させた事を特徴とする
請求項1記載の手揉機能付施療機」。
3審決の理由
別紙審決書写しのとおりである要するに下記(1)の理由により本件訂正。,,
は,特許法134条の2第5項により準用される同法126条3項の規定に違
反するから,これを認めることはできないところ,下記(2)及び(3)の理由によ
り,本件発明1ないし6についての特許は,同法29条の2の規定及び同法2
9条2項の規定に違反してされたものであって,同法123条1項2号に該当
し,無効とされるべきものである,というものである。
(1)特許法134条の2第5項により準用される同法126条3項違反
本件訂正は,本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載(前記2
(1))を訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載(前記2(2))のとお
り訂正すること以下訂正事項というを含むものであるところ訂正(「」。),
事項は,第一次的に下記アの理由により,第二次的に下記イの理由により,
本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてされたものとはいえな
い。
ア訂正事項に係る「肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群
を配設」した点は,本件特許明細書の段落【0027】に記載されている
ということも,その記載から当業者にとって自明な事項ということもでき
ず,また,本件特許明細書の図7∼図9に図示された肘掛部の上面に配設
された2つの膨縮袋12が必ずしも「二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋
群」を意味するとはいえないから,訂正事項は,本件特許明細書に記載さ
れた事項の範囲内においてされたものとはいえない以下理由(1)アと(「」
いう。。)
イ仮に,本件特許明細書の図7∼図9に図示された肘掛部の上面に配設さ
れた2つの膨縮袋が「二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群」を意味する
としても,図7∼図9の図示内容からだけでは,訂正事項に係る「膨縮袋
群の内側他端の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を
隆起させることと肘掛部上に人体手部を安定的に保持させることと」,「」
の間に,因果関係があるとは必ずしもいえないから,訂正事項は,本件特
許明細書に記載された事項の範囲内においてされたものとはいえない(以
下「理由(1)イ」という。。)
(2)特許法29条の2違反
本件発明は,いずれも特願2002−64823号(特開2003−26
0099号)の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明(以
下先願発明というと同一でありしかも先願発明の発明者が本件発「」。),,
明の発明者と同一の者ではなく,また本件特許の出願の時にその出願人と先
願発明に係る特許出願の出願人とが同一の者でもないから,特許法29条の
2の規定により特許を受けることができない。
(3)特許法29条2項違反
本件発明は,いずれも特開2001−204776号公報(甲6)に記載
された発明及び特開昭50−136994号公報(甲8)並びに周知技術に
基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法2
9条2項の規定により特許を受けることができない。
第3取消事由に係る原告の主張
審決は,以下のとおり,訂正事項が本件特許明細書に記載された事項の範囲
内においてされたものではないと誤って認定判断し,本件訂正を許さないこと
とした結果,判断の対象となるべき発明の要旨認定を誤った違法があるから,
取り消されるべきである。
1理由(1)アに係る認定判断の誤り
審決は,①訂正事項に係る「肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨
縮袋群を配設」した点は,本件特許明細書の段落【0027】に記載されてい
,,るということもその記載から当業者にとって自明な事項ということもできず
また,②本件特許明細書の図7∼図9において,肘掛部の上面に膨縮袋が2つ
設けられているとはいっても,これらの膨縮袋は,例えば紙面の奥行き方向に
位置を前後にずらして重合しないように設けられたものとみることもできるか
ら,図7∼図9に図示された肘掛部の上面に配設された2つの膨縮袋12が必
ずしも「二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群」を意味するとはいえず,訂正
事項が本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてされたものとはいえ
ないと認定判断した。
しかし,以下のとおり,審決の上記認定判断は誤りである。
(1)図7∼図9の記載
以下のとおり,本件特許明細書の図7∼図9には,訂正事項に係る「肘掛
部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設」した事項が示され
ている。
ア膨縮袋を前後にずらして重合しないように設けた場合,後側の膨縮袋よ
りも前側の膨縮袋が大きく膨らんでいる状態や,両者が同等の膨らみであ
る状態では,断面図には一つの膨縮袋しか表れないから,断面図において
2つの膨縮袋が上下方向にそれぞれ表れるのは,前側の膨縮袋よりも後側
の膨縮袋が大きく膨らんだ状態である。そして,膨縮袋は表面カバーに覆
(【】)われて肘掛部に内装されている本件特許明細書の段落0027参照
から,そのような状態の断面図には,後側の膨縮袋の外側に位置して同膨
縮袋を覆う表面カバー後部と共に,前側の膨縮袋の外側に位置して同記膨
縮袋を覆う表面カバー前部の双方が表れることになる。
ところが,本件特許明細書の図8には一つの表面カバーしか表れていな
いから同図について紙面の奥行き方向に位置を前後にずらして重合し,,「
ないように設けられたもの」とみることはできない。同図は,2つの膨縮
袋を上下方向に重ね合わせて重合したことを示している。
イまた,本件特許明細書の図7∼図9では,肘掛部の上面において上下方
向に位置する各膨縮袋から符合「12」に向けて二本の引出線が描かれて
いるから,肘掛部の上面に2つの膨縮袋が重合配設されているとみるのが
自然である。
(2)本件特許明細書の記載
「」,肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設した点は
本件特許明細書に明示的に記載されているか,少なくとも本件特許明細書の
記載から自明である。
ア以下のとおりの理由から肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた,「
膨縮袋群を配設」した点は,本件特許明細書に明示的に記載されていると
いうべきである。
(ア)まず,本件特許明細書の段落【0008】には「手部及び腕部を安
定的に載設して,手部や腕部に対する効果的な空圧施療を行える手揉機
能付施療機を提供する事を目的としてなされたものである」と記載され
ている。
(イ)次に,本件特許明細書の特許請求の範囲には,請求項1に「立上り
壁の内側部には膨縮袋を配設」する構成が記載され,請求項2に「前記
立上り壁の内側部と肘幅方向内側底部とに各々膨縮袋を対設」する構成
が記載され,請求項3に「両肘掛部に配設される膨縮袋が,二以上の膨
縮袋を重合させた膨縮袋群である事を特徴とする請求項1又は請求項2
記載の手揉機能付施療機」と記載されていることから,立上り壁の内側
部や肘掛部上面の膨縮袋を二以上の膨縮袋を重合した膨縮袋群とするこ
とが記載されているということができる。
(ウ)さらに,本件特許明細書の段落【0009】には「前記立上り壁の
内側部には膨縮袋を配設して,人体手部を両肘掛部上面に安定的に保持
させて手部に効率良い空圧施療を行なわせる事ができる」と記載され,
段落【0011】には「前記立上り壁の内側部と肘幅方向内側底部とに
各々膨縮袋を対設して,構成し,人体手部を両肘掛部上面に安定的に保
持させて立上り壁側の膨縮袋と肘幅方向内側底部に配設される膨縮袋に
,」,より手部両側を挟持して効率良く空圧施療を行なわせると記載され
段落【0012】には「両肘掛部に配設される膨縮袋が,二以上の膨縮
袋を重合させた膨縮袋群に構成し,手部に強度な空圧施療を効率良く行
なわせる」と記載され,段落【0017】には「人体手部を立上り壁側
の膨縮袋と肘幅方向内側底部に配設される膨縮袋により両側から挟持し
て,人体手部及び腕部を上側面と内側底面下部から効率良く空圧施療・
空圧挟持施療・空圧押上施療を行なわせる事ができる」と記載され,段
落【0025】には「椅子本体2の両肘掛部21・21の上面適所に配
設される膨縮袋12は,前述したように,弧状に曲折した固定板11の
上部左右の少なくとも曲折側一側(立上り壁の内側部)に膨縮袋12を
配設すれば良いが,該固定板11の上部左右に一定間隔を存して一対の
膨縮袋12・12を対設させたり,図2及び図3に示したように,固定
板11の上部左右に一定間隔を存して重合状に膨縮袋12・12・12
・12(膨縮袋群)を夫々対設させたりする事で,これらに圧縮空気給
排気装置14からの圧空を給排気させて膨縮させ,使用者の人体手部3
及び腕部を一側上面側と他側下部側の両側から順次挟持して,圧迫感の
ある施療を実施する事ができるようになる」と記載されている。。
(エ)そして,本件特許明細書の図7∼9には,肘掛部の上面から膨縮袋
を意味する符合「12」に向けて二本の引出線が図示されると共に,肘
幅方向の外側一端と内側他端とを有する膨縮袋が肘掛部の上面に重合配
設された構成が図示されており,図8には,膨縮袋が給気によって肘幅
方向の外側一端よりも内側他端が立ち上がることにより肘掛部上面の肘
幅方向内側の先端部を隆起させた構成が図示されている。
イまた本件特許明細書の記載を総合すれば肘掛部の上面に二以上の膨,,「
縮袋を重合させた膨縮袋群を配設」した点は,少なくとも自明な事項とい
うべきである。
すなわち,本件特許明細書の記載を総合的に考察すると,同明細書に記
,「,載された膨縮袋は肘幅方向外側に弧状形成された立上り壁を立設して
肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って人体手部の外面形状に沿う形
状の肘掛部」を前提に,単独で用いるか重合して用いるかは適宜選択され
る技術的性質を有する事項である。また,発明の目的が「手部及び腕部を
安定的に載設して,手部や腕部に対する効果的な空圧施療を行える手揉機
能付施療機を提供することであることに照らせば立上り壁の内側部に」,「
は膨縮袋を配設する構成であっても立上り壁の内側部には膨縮袋を配」,「
設すると共に,前記肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群
を配設」する構成であっても,同様に,人体手部を安定的に載設して,手
部や腕部に対する効果的な空圧施療を行うことができるしたがって肘。,「
掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設」した点が,自
明な事項として,願書に添付した明細書又は図面に記載されているとみる
べきである。
2理由(1)イに係る認定判断の誤り
審決は,訂正事項に係る「膨縮袋群の内側他端の立ち上がりによって肘掛部
上面の肘幅方向内側の先端部を隆起させることと肘掛部上に人体手部を安」,「
」,,定的に保持させることとの間に因果関係があるとは必ずしもいえないから
訂正事項が本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてされたものとは
いえないと認定判断した。
しかし,以下のとおり,審決の上記認定判断は誤りである。
(1)判断手法の誤り
審決は本件訂正後の請求項1について膨縮袋への圧縮空気の給排制御,,「
について何も限定がされていないため,立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨
縮袋群とを交互に膨張させるような給排制御を行う場合も含まれる。この場
合,人体手部は,一方向への力が交互にかかるため,肘掛部に対して揺さぶ
られることになる。特に,肘掛部上面の膨縮袋群が収縮し,立上り壁の膨張
袋が膨張する時,人体手部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱
落してしまうこともあり得る。また,立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨縮
袋群とを同時に膨張させる場合であっても,立上り壁の膨縮袋の押圧力が肘
掛部上面の膨縮袋群の押圧力よりも十分に大きい場合には,その可能性があ
る。さらに,図8において,肘掛部上面の膨縮袋群の紙面奥行き方向の長さ
が立上り壁の膨縮袋の紙面奥行き方向の長さに比べて十分小さい場合や,両
者の紙面奥行き方向の配置が前後にずれている場合などにおいても,人体手
部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱落してしまう可能性があ
る(審決書7頁28行∼8頁3行)と述べている。。」
しかし,審決は,仮定的な前提を置いた上で因果関係が成立しないと判断
しているが,このような判断手法は,訂正事項が「願書に添付した明細書又
は図面に記載した事項の範囲内」か否かを判断する手法として,合理性を欠
く。
ちなみに,このような仮定的な前提を置いた上で,訂正要件の充足性を判
断することが是認されるとすれば,下記①及び②の例も含めて,ほとんどす
べての訂正は認められないという不合理な結論を導くことになる。
すなわち,請求項1を下記①のとおり訂正する場合(本件特許明細書の請
求項1に請求項3に記載された内容を追加するもの)や,下記②のとおり訂
正する場合本件特許明細書の段落00240025請求項2図(【】,【】,,
7∼9に基づくもの)は,訂正要件を充足することに疑問の余地はない。し
かし仮に審決の判断手法を採用するとすればこれらについても二以上,,,「
の膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設」するとの構成と「肘掛部上に人体手
部を安定的に保持するとの構成との間の因果関係や肘掛部上面に膨縮袋」,「
を配設」するとの構成と「肘掛部上に人体手部を安定的に保持」するとの構
成との間の因果関係が必ずしも成り立つとはいえないという理由により,訂
正が認められないという不合理な結果をまねくことになる。
①「椅子本体の両肘掛部の上面適所に人体手部を各々載脱自在でこれらに
空圧施療を付与し得るよう,椅子本体の両肘掛部に膨縮袋を各々配設し,
且つ各膨縮袋に圧縮空気給排装置からの給排気を伝達するホースを各々連
通状に介設してなる圧縮空気給排気手段を具備させた手揉機能付用施療機
であって,該手揉機能付用施療機の各肘掛部は,肘幅方向外側に弧状形成
された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って
人体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成されており,且つ,前
記立上り壁の内側部には二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設して
肘掛部上に人体手部を安定的に保持させて,立上り壁内側部に配設された
膨縮袋と肘掛部の上面間で人体手部に空圧施療を付与させるようにした事
を特徴とする手揉機能付施療機」。
②「椅子本体の両肘掛部の上面適所に人体手部を各々載脱自在でこれらに
空圧施療を付与し得るよう,椅子本体の両肘掛部に膨縮袋を各々配設し,
且つ各膨縮袋に圧縮空気給排装置からの給排気を伝達するホースを各々連
通状に介設してなる圧縮空気給排気手段を具備させた手揉機能付用施療機
であって,該手揉機能付用施療機の各肘掛部は,肘幅方向外側に弧状形成
された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って
人体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成されており,且つ,前
記立上り壁の内側部には膨縮袋を配設し,肘掛部上面に膨縮袋を配設して
肘掛部上に人体手部を安定的に保持させて,立上り壁内側部に配設された
膨縮袋と肘掛部の上面間で人体手部に空圧施療を付与させるようにした事
を特徴とする手揉機能付施療機」。
(2)本件特許明細書の記載及び技術常識との相反
審決の認定判断は,以下のとおり,本件特許明細書の記載を無視したもの
であり,当業者の技術常識にも反する。
ア本件特許明細書の段落0015には肘幅方向一側の肘幅方向外側【】,「
に弧状形成された立上り壁を設け,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で
覆って人体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成された肘掛部を
両側に設けた椅子本体の上面適所に,人体手部を各々載脱自在で該人体手
部に膨縮施療を付与し得る圧縮空気給排気手段を配設している為,施療者
は着座状態で人体手部を両肘掛部上面に安定的に保持させて,人体手部及
び腕部の上側面から効率良く空圧施療する事ができる」と記載されている
ことから,人体手部が立上り壁側の膨縮袋と肘掛部上面との間で保持され
ることは自明である当該構成ないし状態について人体手部が肘掛部の。,「
内側方向に押し出され肘掛部から脱落してしまう審決書7頁32行∼,」(
33行)とする審決の認定判断は,本件特許明細書の記載に適合していな
い。
イ審決は両者の紙面奥行き方向の配置が前後にずれている場合などにお,「
いても,人体手部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱落して
しまう可能性がある(審決書7頁39行∼8頁3行)と認定判断してい。」
るが,肘掛部後側に立上り壁に配設された膨縮袋を,肘掛部前側に肘掛部
上面に配設された膨縮袋をそれぞれ設けたと仮定すると,前者においては
上記アと同様であり,後者については,人体手部は立上り壁と肘掛部上面
の膨縮袋群との間で保持されることは自明である。したがって,審決の上
記認定判断は,本件特許明細書の記載に適合していない。
ウさらに審決のように肘掛部上面の膨縮袋群が収縮し立上り壁の膨,,「,
張袋が膨張する時,人体手部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部か
」(),ら脱落してしまう審決書7頁32行∼33行などと認定判断するには
「膨縮袋の一膨張動作によって生じる押圧力で肘掛部から人体手部が離脱
してしまう椅子式マッサージ機」を想定することになるが,そのようなも
のでは,押圧動作等を複数回繰り返して施療部に刺激を与えるというマッ
サージ動作を行うことが不可能であるから,当業者の技術常識に照らし,
あり得ないものを想定することになる。
(3)因果関係の存在
本件特許明細書の記載及び技術常識に照らせば以下のとおり膨縮袋群,,「
の内側他端の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起
させることと肘掛部上に人体手部を安定的に保持させることとの間に」,「」
は,因果関係が認められる。
ア訂正発明1は肘幅方向外側に弧状形成された立上り壁を立設して肘,「,
掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って人体手部の外面形状に沿う形状
の肘掛部」を備えることから,肘掛部に載置した人体手部の肘幅方向外側
への移動を制限することができると共に,肘掛部に載置した人体手部の上
下方向への移動をも制限することができる。そして,本件特許明細書の図
7及び8において肘掛部の先端部が隆起し,人体手部の肘幅方向内側を立
上り壁方向に押圧する構成が示されていることからも自明なように,訂正
発明1は上記構成に加え膨縮袋群の肘幅方向内側他端の立ち上がりに,,「
よって肘掛部の肘幅方向内側の先端部を隆起」させる構成を備えることに
より,肘掛部に載置した人体手部の肘幅方向内側への移動をも制限するこ
とができる。このように,訂正発明1では,人体手部の上下方向や左右方
向(肘幅方向)への移動を制限することによって,人体手部を肘掛部上に
安定的に保持して空圧施療を行うのであるから膨縮袋群の内側他端の立,「
ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起させ」ること
と肘掛部上に人体手部を安定的に保持させることとの間には因果関,「」,
係が認められる。
イ審決の指摘に係る「立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨縮袋群とを交互
に膨張させるような給排制御を行う場合」における「肘掛部上面の膨縮袋
群が収縮し立上り壁の膨張袋が膨張する時とは各肘掛部は肘幅方,」,「,
向外側に弧状形成された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の
立上り壁で覆って人体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成され
ており,且つ,前記立上り壁の内側部には膨縮袋を配設する」構成を備え
る訂正発明1において,立上り壁に配設された膨縮袋のみが膨張する状態
である。訂正明細書の段落【0014】に「肘幅方向一側の肘幅方向外側
に弧状形成された立上り壁を設け,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で
覆って人体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成された肘掛部を
両側に設けた椅子本体の上面適所に,人体手部を各々載脱自在で該人体手
部に膨縮施療を付与し得る圧縮空気給排気手段を配設している為,施療者
は着座状態で人体手部を両肘掛部上面に安定的に保持させて,人体手部及
び腕部の上側面から効率良く空圧施療する」と記載されているとおり,非
現実的な強さの押圧力であるなどのことがない限り,人体手部は立上り壁
()。膨縮袋と肘掛部上面との間で挟持されて安定的に保持されるといえる
第4取消事由に係る被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。
1理由(1)アに係る認定判断の誤りに対し
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「二以上の膨縮袋を重合させた膨
縮袋群」と記載されていることは認めるが,審決の結論に影響しない。
2理由(1)イに係る認定判断の誤りに対し
,,本件訂正が本件特許明細書に記載した事項の範囲内にあるというためには
前段の構成が記載されているのみでは足りず,訂正事項に係る「前記膨縮袋群
の内側他端の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起さ
せてとの構成以下前段の構成というと肘掛部上に人体手部を安定」(「」。)「
的に保持させて」との構成との因果関係が記載されている必要があるところ,
本件特許明細書には,上記因果関係は記載されておらず,また,自明であると
いうこともできない。
(1)「肘掛部上に人体手部を安定的に保持させて」との構成の意義
ア本件特許の出願審査過程において,原告は,本件発明1における「肘掛
部上に人体手部を安定的に保持させて」との構成は,人体手部を保持する
保持部が肘掛部上で移動しないようにするという程度のものであると主張
した。すなわち,原告は,平成18年3月31日付け意見書(甲2)にお
いて,本件発明は,審査官からの拒絶理由通知書が引用文献1として挙げ
た特願2002−118191号特開2003−310683号公報甲(〔
3)記載の発明とは相違するとして,同発明では「背凭れ部の傾倒によ〕,
って,被施療者の腕部が移動した場合であっても,被施療者の腕部を保持
することを目的として前記背凭れ部の傾倒方向と略同一の方向へ移動」,「
することが可能であり,被施療者の腕部を保持する保持部」を備えている
ため本件発明のように肘掛部上に人体手部を安定的に保持させること,,「
ができないと主張し6頁29行∼7頁10行参照本件発明1の肘」(),「
掛部上に人体手部を安定的に保持させてとの構成について人体手部腕」,(
部)を保持する保持部が肘掛部上で(背凭れ部の傾倒方向に)移動しない
ようにするという程度のものであり,人体手部が肘掛部から脱落しないよ
(,うにするというものではないことを自認しているそのように解さないと
甲3記載の発明と本件発明1との差異が生じない。。)
以上の経過に照らすならば「肘掛部上に人体手部を安定的に保持させ,
」,「」,てとの構成は前記立上り壁の内側部には膨縮袋を配設してとの構成
あるいは該手揉機能付用施療器の各肘掛部は肘幅方向外側に弧状形成,「,
された立上り壁を立設して,肘掛部の上面をこの弧状の立上り壁で覆って
人体手部の外面形状に沿う形状の肘掛部に各々形成されており,且つ,前
記立上り壁の内側部には膨縮袋を配設して」によって得られる構成ではな
く,独立した性質を有する構成であると解されるべきである。
以上のとおり,原告が,本件特許明細書には,前段の構成と「肘掛部上
に人体手部を安定的に保持させて」との構成との因果関係は記載されてお
らずまた肘掛部上に人体手部を安定的に保持させてとの構成は人,,「」,
体手部を保持する保持部が肘掛部上で移動しないようにするという程度の
ものであることを前提とした主張をしたという出願経緯に照らすならば,
上記因果関係が自明であるとはいえない。
,「」,イ仮に肘掛部上に人体手部を安定的に保持させてとの構成について
人体手部が肘掛部から脱落しないようにするというものであると解したと
しても,以下のとおり,前段の構成と「肘掛部上に人体手部を安定的に保
持させて」との構成の因果関係は,本件特許明細書に記載されておらず,
また,自明であるということもできない。
審決が指摘しているように,立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨縮袋群
とを交互に膨張させるような給排制御を行う場合,立上り壁の膨縮袋の押
圧力が肘掛部上面の膨縮袋群の押圧力よりも十分に大きい場合,本件特許
明細書の図8において,肘掛部上面の膨縮袋群の紙面奥行き方向の長さが
立上り壁の膨縮袋の紙面奥行き方向の長さに比べて十分小さい場合,両者
の紙面奥行き方向の配置が前後にずれている場合などは,人体手部が肘掛
部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱落してしまう可能性がある(審
決書7頁28行∼8頁3行参照。)
本件特許明細書には,給排制御方法等の条件に関する記載がないから,
人体手部が肘掛部から脱落する可能性があることを考慮すると,本件特許
明細書の記載に接した当業者であれば,誰もが前段の構成と人体手部が肘
掛部から脱落しないようにすることの因果関係を理解することができると
はいえない。
(2)原告の主張に対し
ア原告が,訂正要件を満たすことに疑問の余地がないとして挙げた前記第
32(1)の①及び②の訂正例はいずれも新たに付加した構成と肘掛部,,「
上に人体手部を安定的に保持させ」との構成の間に因果関係があることが
前提とされた例を示したにすぎない。本件訂正の場合と同様に,これらの
因果関係が本件特許明細書に記載されていなければ,訂正要件を充足しな
い。
イ原告は,人体手部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱落し
てしまうことがあるとする審決の認定判断について,本件特許明細書の記
載を無視したものであり,当業者の技術常識にも反すると主張する。
,,(),しかし原告は平成19年1月22日付け答弁書甲21において
「,(,),この点甲第7号証判決注特開2003−260099号公報は
図4に示されているとおり,肘掛部の上面の略中央,具体的には肘掛部の
上面の肘幅方向内側ではなくやや外側よりの位置に単一の空気袋を配設し
ているところ,該空気袋は圧縮空気給排装置からの給気によって中央部分
が膨らんでドーム状となるため(必要であれば特開2001―37829
の段落0003参照肘掛部の上面の肘幅方向内側の先端部が中央部【】),
よりも相対的に低くなり,人体手部がアームレストの肘幅方向内側の開口
方向へと逃げて脱落しやすく,人体手部に対して効果的に圧力を与えるこ
とができない。とりわけ,空気袋を膨張させて人体手部を押圧することに
よって人体手部を肘幅方向内側に移動させる力が働くと,人体手部が肘掛
部の開口から脱落する可能性がより高まり,肘掛部上に人体手部を安定的
に保持させることができない(10頁6行∼17行)と述べ,特許明細。」
書の記載を無視し,当業者の技術常識に反する主張をしていることに照ら
せば,審決の認定判断に対する原告の指摘は許容されるべきものでない。
ウ原告は,本件発明1が肘掛部上に人体手部を安定的に保持させるもので
あることから,審決において人体手部が肘掛部から脱落する例として挙げ
られた「立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨縮袋群とを交互に膨張させる
ような給排制御を行う場合」についても,肘掛部上に人体手部を安定的に
保持させることができる旨主張する。
しかし,本件訂正の前後で「肘掛部上に人体手部を安定的に保持させ」
との構成は,その意義が変化しているから,原告の主張は失当である。
また,原告は,訂正発明1は,本件発明1に「前記膨縮袋群の内側他端
の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起させて」
という構成を付加したにすぎないと主張するが前記(1)のとおり本件訂,,
正は,単に上記構成を付加しただけでなく,上記構成と「肘掛部上に人体
手部を安定的に保持させ」という構成との間に新たな因果関係を生じさせ
る構成に変更したものである。
第5当裁判所の判断
1理由(1)アに係る認定判断の誤りに対し
(1)本件特許明細書における肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合させた膨「
縮袋群を配設」との構成の記載の有無について
ア本件特許明細書(甲1)の記載
(),(,)本件特許明細書甲1には特許請求の範囲の記載前記第22(1)
のほか,次の記載がある。
(ア)0012更にまた本発明の手揉機能付施療機は前記両肘掛部「【】,
,,に配設される膨縮袋が二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群に構成し
手部に強度な空圧施療を効率良く行なわせる事ができるようにした事を
特徴とする」。
(イ)0018更に本発明の手揉機能付施療機は両肘掛部に配設「【】,,
される膨縮袋が,二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群に構成している
為,人体手部及び腕部を膨縮袋群の膨縮袋で順次相乗的に挟持して強度
で圧迫感のある空圧施療を効率良く行なわせる事ができるのである」。
(ウ)「0023・・・前記手揉機能付施療機1は,図1に示したよう【】
,,に椅子本体2の両肘掛部21・21の上面適所に固定板11を配設し
該固定板11の上部左右の少なくとも一側に膨縮袋12を配設し,要す
れば,該固定板11の上部左右に一定間隔を存して膨縮袋12・12を
対設して,これらを各肘掛部21の内部に内装しており,且つ,椅子本
体2の座部下部に外部電源(図示せず)に接続される圧縮空気給排装置
14を配設し,該装置14と各膨縮袋12・12間に各々ホース13・
13を介設して,圧縮空気給排装置14からの給排気をホース13・1
3を介して各膨縮袋12・12に連繋させ,各膨縮袋12・12を所定
の時間毎のサイクルで繰り返し膨縮させる事ができるようにしている。
【0024】そして,前記図1で示した固定板11の一側を弧状に曲折
して肘掛部21の上面をこの弧状の立上り壁211で覆って人体手部の
外面形状に沿う形状の空間部を有する釣針形状に立設させた状態にし
て,これを肘掛部21に内装させる事で,図10及び図11のような外
形状に形成できるものであり,このような状態にする事で施療者は図1
2及び図13に示したような着座状態で両肘掛部21・21上の人体手
部3をその上側面から空圧施療行なうようにする事ができるのである。
【0025】また,前記椅子本体2の両肘掛部21・21の上面適所に
配設される膨縮袋12は,前述したように,弧状に曲折した固定板11
の上部左右の少なくとも曲折側一側(立上り壁の内側部)に膨縮袋12
を配設すれば良いが,該固定板11の上部左右に一定間隔を存して一対
の膨縮袋12・12を対設させたり,図2及び図3に示したように,固
定板11の上部左右に一定間隔を存して重合状に膨縮袋12・12・1
2・12(膨縮袋群)を夫々対設させたりする事で,これらに圧縮空気
給排気装置14からの圧空を給排気させて膨縮させ,使用者の人体手部
3及び腕部を一側上面側と他側下部側の両側から順次挟持して,圧迫感
のある施療を実施する事ができるようになる」。
(エ)0026図4乃至図6は前記肘幅方向外側に弧状形成された「【】,
立上り壁211を設けた肘掛部21の一実施形態を示すものであり,上
記したように椅子本体2に配設された立上り壁211内に,該立上り壁
211を有する肘掛部21の上面形状に沿設するよう弧状曲折された固
定板11と該固定板11の立上り壁211内側部に固定配備された膨縮
袋12を内装し,該膨縮袋12には圧縮空気給排装置14からの圧空を
給排気させる為のホース13が連通状に介設されている。
【0027】また,図7乃至図9は,前記肘幅方向外側に弧状形成され
た立上り壁211を設けた肘掛部21の他の実施形態を示すものであ
り,上記したように椅子本体2に配設された立上り壁211内に,該立
上り壁211を有する肘掛部21の上面形状に沿設するよう弧状曲折さ
れた固定板11と該固定板11の立上り壁211内側部に固定配備され
た膨縮袋12及び肘掛部21の肘幅方向内側底部に配設される膨縮袋1
2とを内装し,両各膨縮袋12・12には圧縮空気給排装置14からの
圧空を給排気させる為のホース13が各々連通状に介設されている。
【0028】尚,前記固定板11は,膨縮袋12を配設する際に肘掛部
21上面に安定した状態で固定配備させる為のものであるが,その配置
場所が安定している場合にはこれを設ける必要はない」。
(オ)図2及び図3には,固定板11の上部左右に一定間隔を存して膨縮
袋が重合状に対設させているものが示されている。
(カ)図4ないし6には,肘幅方向外側に弧状形成された立上り壁211
の内側部に膨縮袋が内装されたものが示されており,肘掛部21の肘幅
方向内側底部(肘掛部上面)には,その肘幅方向内側に隆起形成するこ
とで斜面が形成されていること,図6において,当該斜面と膨縮袋とで
人体手部3が保持されている様子が示されている。
(キ)図7ないし9には,肘幅方向外側に弧状形成された立上り壁211
の内側部に膨縮袋が内装されているとともに,肘掛部21の肘幅方向内
側底部(肘掛部上面)に膨縮袋12が配置されている態様が示されてお
り,図8及び図9には,その膨出袋12が膨らんだ状態であって,肘掛
部21の肘幅方向内側底部(肘掛部上面)に膨縮袋12が複数の膨出袋
からなるものであることが示されている。また,図9においては,肘掛
部21の肘幅方向内側底部(肘掛部上面)に膨縮袋12が膨張して,そ
の肘幅方向内側が隆起して斜面を形成し,当該斜面と膨縮袋とで人体手
部3が保持されている様子が示されている。
イ訂正事項の記載の有無についての判断
(ア)本件特許明細書の特許請求の範囲(前記第2,2(1))には「前記,
両肘掛部に配設される膨縮袋が,二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群
である事を規定するとともに請求項2を引用する請求項3に椅子」,,「
本体の両肘掛部の上面適所に人体手部を各々載脱自在でこれらに空圧施
療を付与し得るよう,椅子本体の両肘掛部に二以上の膨縮袋を重合させ
た膨縮袋群を各々配設し,且つ各膨縮袋群に圧縮空気給排装置からの給
排気を伝達するホースを各々連通状に介設してなる圧縮空気給排気手段
を具備させた手揉機能付用施療機であって,該手揉機能付用施療機の各
肘掛部は,肘幅方向外側に弧状形成された立上り壁を立設して,肘掛部
の上面をこの弧状の立上り壁で覆って人体手部の外面形状に沿う形状の
肘掛部に各々形成されており,且つ,前記立上り壁の内側部と肘幅方向
内側底部とに各々膨縮袋群を対設して,肘掛部上に人体手部を安定的に
保持させて,立上り壁内側部と肘掛部の内側底部間に対設された膨縮袋
群間で人体手部に空圧施療を付与させるようにした事を特徴とする手揉
機能付施療機」と記載されていることから「肘掛部の上面に二以上の。,
膨縮袋を重合させた膨縮袋群を配設する」との構成は明確に記載されて
いる。
そして本件特許明細書の段落0012及び0018には両,【】【】,「
肘掛部に配設される膨縮袋が,二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群に
構成し」たものであることが記載され,本件特許明細書の図2及び3に
は,肘掛部の上面適所に配設された固定板11に膨出袋群が対設される
構成が示されていることから固定板11の一側を弧状に曲折して肘,「」
掛部21の上面をこの弧状の立上り壁211で覆って人体手部の外面形
状に沿う形状の空間部を有する釣針形状に立設させた状態にして,これ
を肘掛部21に内装させることで,図10及び11のような外形状に形
成するものであることが理解される。また,本件特許明細書の図7ない
し9は,前記肘幅方向外側に弧状形成された立上り壁211を設けた肘
掛部21の他の実施形態を示すものであることが理解される。
さらに,本件特許明細書の図8及び9には,肘幅方向内側底部に2つ
の膨縮袋12が重合状に配設されていると理解される(図7ないし9に
おいて,肘幅方向内側底部の膨縮袋にいずれも12から2つの線が引か
れている。。)
(イ)そうすると,本件特許明細書の図7ないし9に記載の実施形態は,
図2及び3に記載されているような固定板11を弧状形成したものであ
ると説明されているものと理解できるのであるから,図7ないし9に記
載の実施形態における膨縮袋には,図2及び3に示されているような二
以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群より構成されるものが含まれること
は,当業者であれば容易に理解できることというべきである。
(ウ)以上のとおり本件特許明細書には肘掛部の上面に二以上の膨縮,,「
袋を重合させた膨縮袋群を配設」する構成が記載されているということ
ができる。
(2)審決の認定判断について
ア審決は本件特許明細書の段落0027には該固定板11の立,「【】,『
上り壁211内側部に固定配備された膨縮袋12及び肘掛部21の肘幅方
向内側底部に配設される膨縮袋12とを内装し』と記載されていることか
らも明らかなように,立上り壁211と肘幅方向内側底部とに配設されて
いるものはどちらも膨縮袋12であり膨縮袋12・12・12・,『』,『
12膨縮袋群のような膨縮袋群を示唆するような記載はなされて()』『』
いない(審決書6頁26行∼31行)と認定判断している。。」
しかし,段落【0025】には,弧状に曲折りした固定板11に一対の
膨縮袋を設ける態様と一対の膨出袋群を設ける態様とが合わせて記載され
ているところ,段落【0027】は,固定板11を弧状形成することによ
り形成された態様について述べたものであることからすればここでの膨,「
縮袋」が両方の態様を含むものとして記載されていると解する方が自然で
あって膨縮袋としか記載されていないことをもって図7ないし9の,「」,
ものが,複数の膨縮袋からなる構成を排除するものと解するのは相当でな
い。
また,図7ないし9においては,膨縮袋が2つの袋からなるものとして
示されていることからすれば,むしろ,段落【0027】の「膨縮袋」は
両方の態様,すなわち,1つの膨縮袋を配置するものと,複数の膨縮袋を
配置する膨縮袋群を含むものと解する方が,図7ないし9と整合する。
イ審決は本件特許明細書の図7ないし9について肘掛部の上面に膨縮,,「
袋が2つ設けられているとはいっても,これらの膨縮袋は,例えば紙面の
奥行き方向に位置を前後にずらして重合しないように設けられたものと見
ることもできることから,これらの図7∼図9が必ずしも図2及び図3に
示すような『二以上の膨縮袋を重合させた膨縮袋群』を図示しているとは
いえないことは明らかである(審決書7頁5行∼9行)と認定判断して。」
いる。
しかし本件特許明細書には膨縮袋群として図2及び3に記載され,,「」
ているような重合するものが記載されているところ,図8の2つの「膨縮
袋」が,図2及び3に記載のように重合して設けられているのとは異なる
。,,ものであると解すべき根拠はないむしろ図7ないし9に記載の態様は
図2及び3の固定板11の一側を弧状に曲折することにより形成される態
様なのであるから,図8の「膨縮袋」は,図2及び3と同様の構成である
と解するのが相当であるし,そのように解する方がその他の記載とも整合
する。
(3)小括
以上のとおり,訂正事項に係る「肘掛部の上面に二以上の膨縮袋を重合さ
せた膨縮袋群を配設した点は本件特許明細書に記載されており理由(1)ア」,
に係る審決の認定判断は誤りというべきである。
2理由(1)イに係る認定判断の誤りに対し
(1)膨縮袋群の内側他端の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の「
先端部を隆起させ」る構成と「肘掛部上に人体手部を安定的に保持させ」る
構成との因果関係の存否について
ア本件特許明細書の記載
前記第22(1)によれば本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項2,,
,「,には立上り壁の内側部と肘幅方向内側底部とに各々膨縮袋を対設して
肘掛部上に人体手部を安定的に保持させて,立上り壁内側部と肘掛部の内
側底部間に対設された膨縮袋間で人体手部に空圧施療を付与させる」こと
が記載されておりまた前記1(1)ア(ウ)によれば段落0025に,,,【】
は図2及び図3に示したように固定板11の上部左右に一定間隔を存,「,
して重合状に・・・膨縮袋群・・・を夫々対設させたりする事で,これら
に圧縮空気吸排気装置14からの圧空を吸排気させて膨縮させ,使用者の
人体手部3及び腕部を一側上面側と他側下部側の両側から順次挟持して,
圧迫感のある施療を実施する事ができるようになることが記載されてい。」
る。したがって,本件特許明細書には,膨縮袋を対設して配置し,両側か
ら順次挟持して圧迫感のある施療を実施することができるようになること
が記載されているということができる。
また前記1(1)ア(カ)によれば図6には肘幅方向内側底部の肘幅内,,,
側の先端部を隆起させて斜面が形成され,当該斜面と立上り壁211の内
側部の膨縮袋との間で人体手部3が挟持されて肘掛部上に安定して保持す
,,,る態様が示されるとともに前記1(1)ア(キ)によれば図8及び9には
上側膨縮袋と下側膨縮袋群が同時に膨張している様子及びそれにより,人
体手部3が,図6と同様に上側膨縮袋と下側膨縮袋群との間で挟持されて
いる態様が示されており,同図において,下側膨縮袋群の肘幅内側の先端
部が隆起している様子が示されている。
イ判断
そうすると本件特許明細書に接した当業者であれば膨縮袋群の内側,,「
他端の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起さ
せることにより肘掛部上に人体手部を安定的に保持させることがで」,「」
きることが容易に把握できるものというべきであるから,本件特許明細書
には膨縮袋群の内側他端の立ち上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内,「
側の先端部を隆起させ」ることと「肘掛部上に人体手部を安定的に保持さ
せ」ることの因果関係が示されているというべきである。
(2)審決の認定判断について
審決は,本件「訂正後の請求項1は,膨縮袋への圧縮空気の給排制御につ
いて何も限定がされていないため,立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨縮袋
群とを交互に膨張させるような給排制御を行う場合も含まれる。この場合,
人体手部は,一方向への力が交互にかかるため,肘掛部に対して揺さぶられ
ることになる。特に,肘掛部上面の膨縮袋群が収縮し,立上り壁の膨張袋が
膨張する時,人体手部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱落し
てしまうこともあり得る。また,立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面の膨縮袋群
とを同時に膨張させる場合であっても,立上り壁の膨縮袋の押圧力が肘掛部
上面の膨縮袋群の押圧力よりも十分に大きい場合には,その可能性がある。
さらに,図8において,肘掛部上面の膨縮袋群の紙面奥行き方向の長さが立
上り壁の膨縮袋の紙面奥行き方向の長さに比べて十分小さい場合や,両者の
紙面奥行き方向の配置が前後にずれている場合などにおいても,人体手部が
,。」肘掛部の内側方向に押し出され肘掛部から脱落してしまう可能性がある
(審決書7頁28行∼8頁3行)と認定判断している。
しかし,以下のとおり,審決の上記認定判断は誤りである。
ア本件特許明細書には使用者の人体手部3及び腕部を一側上面側と他側,「
下部側の両側から順次挟持して,圧迫感のある施療を実施する」ことが記
載されているところ審決のいうように立上り壁の膨縮袋と肘掛部上面,,「
の膨縮袋群とを交互に膨張させるような吸排制御を行う」ものでは,その
ような施療をすることができないし前記(1)のとおり図8には両者が,,,
同時に膨張する様子が示されているのであるから,審決の認定判断は,本
件特許明細書の記載と矛盾するものというべきである。
イ審決は,両側の膨縮袋が同時に膨張する場合であっても立上り壁の膨縮
袋の押圧力が肘掛部上面の膨縮袋群の押圧力よりも十分大きい場合には,
人体手部が内側方向に押し出されて肘掛部から脱落してしまう可能性があ
るとするがその場合には使用者の人体手部3及び腕部を一側上面側と,,「
他側下部側の両側から順次挟持して,圧迫感のある施療を実施する」こと
ができないことは明らかであって,両膨縮袋の押圧力には,大きな差はな
いものと解すべきであるから,審決の認定判断はこの点においても,本件
特許明細書の記載と矛盾するものというべきである。
ウ審決は図8において肘掛部上面の膨縮袋群の紙面奥行き方向の長さ,「,
が立上り壁の膨縮袋の紙面奥行き方向の長さに比べて十分小さい場合や,
両者の紙面奥行き方向の配置が前後にずれている場合などにおいても,人
体手部が肘掛部の内側方向に押し出され,肘掛部から脱落してしまう可能
性があると認定判断するが前記1(2)のとおり図8に記載のそれぞれ」,,
の膨縮袋群がそのようなものであると解することは相当でない。
(3)被告の主張に対し
ア被告は本件訂正前後において肘掛部上に人体手部を安定的に保持さ,,「
せる」の意義が変更された旨主張する。
しかし,本件特許明細書には「膨縮袋により,人体手部を圧迫すること
でマッサージを行う」ものが記載されているところ,仮に当該マッサージ
動作により人体手部が肘掛部より脱落するものであれば,マッサージの効
果を奏しないことに鑑みれば,本件特許明細書に記載された「肘掛部上に
人体手部を安定的に保持させることの意味は膨縮袋により人体手」,「」「
部を圧迫する動作に対して人体手部を肘掛部から脱落することを」,「」「
防止する」ことを含むものと解するのが自然である。
また前記(1)のとおり本件特許明細書には図6に示されているよう,,,
な肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起させて形成した斜面により,
人体手部を保持する構成と,図8に示されているように,下側膨縮袋群の
肘幅方向内側の先端部を隆起させることにより人体手部を保持する構成が
記載されていることに照らすならば,本件特許明細書には,膨縮袋の存在
が肘掛部上に人体手部を安定的に保持させることに必要不可欠なもの,「」
のみならず,必要不可欠とはいえないものも含めて示されていると理解す
べきであるそして本件発明1において肘掛部上に人体手部を安定的。,,「
に保持させる」ことと膨縮袋の存在とが無関係であったものについて,本
件訂正により,訂正発明1においては,膨縮袋の存在が必要不可欠なもの
となったとしても,それをもって,本件特許明細書に記載した事項の範囲
を超えるものと解することはできない。
イ被告は原告が平成18年3月31日付け意見書甲2において肘,,(),「
掛部上に人体手部を安定的に保持させて」との構成について,人体手部を
保持する保持部が肘掛部上で移動しないようにするという程度の意味で使
用し,人体手部が肘掛部から脱落しないようにするという意味では使用し
ていない旨主張する。
しかし,原告は,上記意見書において,甲3記載の発明が背凭れ部の傾
倒方向と略同一の方向へ移動することが可能である保持部を備えるもので
あって,肘掛部上面に固定設置されたものではない点で,本件発明とは異
なると主張したにすぎず肘掛部上に人体手部を安定的に保持させてと,「」
の構成について,人体手部を保持する保持部が肘掛部上で移動しないよう
にするという程度の意味に限定して用いたものということはできない。
(4)小括
以上によれば審決が本件特許明細書には膨縮袋群の内側他端の立ち,「,『
上がりによって肘掛部上面の肘幅方向内側の先端部を隆起させることと肘』『
』」掛部上に人体手部を安定的に保持させることの因果関係が示されていない
と認定判断したことは誤りというべきである。
3結論
請求項1に係る訂正事項が本件特許明細書に記載された事項の範囲内におい
てされたものではないとした審決の認定判断には誤りがあり,この誤りが,本
件訂正を認めないことを前提として,本件発明1ないし6についての特許を無
効とすべきであるとした審決の結論に影響することは明らかである。
したがって,原告の本訴請求は理由があるから,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官飯村敏明
裁判官嶋末和秀
裁判官大鷹一郎は,転補のため,署名押印することができない。
裁判長裁判官飯村敏明

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