弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     被告人Aの本件上告を棄却する。
     原判決及び第一審判決中、被告人B石油販売株式会社及び同Cに関する
有罪の部分を破棄する。
     第一審判決の判示中、潤滑油に関する臨時物資需給調整法違反の事実に
ついて、被告人B石油販売株式会社及び同Cを免訴する。
     被告人B石油販売株式会社を罰金五拾万円に、同Cを懲役一年六月及び
罰金二拾万円に処する。
     被告人Cにおいて右罰金を完納することができないときは金二千円を一
日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
     但し、被告人Cに対しこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶
予する。
     当審における訴訟費用(国選弁護料)は被告人C及び同Aの負担とする。
         理    由
 被告人三名の弁護人吉井元市、同三浦寅之助の上告趣意は末尾書面記載のとおり
であつて、憲法違反を云為するけれども、原審において主張せずその判断を経てい
ないものであるから刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また職権で記録を調べて
も被告人Aに関しては同四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四
一四条、三九六条により同被告人の本件上告を棄却することとする。次に被告人B
石油販売株式会社及び同Cに対する公訴事実中、潤滑油に関する臨時物資需給調整
法違反の事実については、昭和二七年政令一一七号大赦令一条八八号により大赦が
あつたのであるが、第一審判決は右事実を他の判示事実と併合罪の関係として処断
しているので、刑訴四一一条五号、四一三条但書、四一四条、三三七条三号により
原判決及び第一審判決中有罪の部分を破棄し、潤滑油に関する配給統制違反の譲渡
並びに譲受の事実について右被告人両名を免訴すべく、爾余の事実について法令を
適用すると、被告人Cの第一審判決の判示第一の一、二の各事実は臨時物資需給調
整法一条、四条一項、石油製品配給規則一一条(譲渡につき)、一二条(譲受につ
き)、罰金等臨時措置法二条一項、(判示第一の一の各所為についてはなお刑法六
〇条)に該当するところ、情状により臨時物資需給調整法四条二項を適用して懲役
及び罰金を併科すべく、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから懲役刑について
は同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の一の(ロ)の罪の刑に法定の加重
をなし、罰金刑については同法四八条二項を適用し、その所定刑期並びに金額の範
囲内において主文四項の刑を量定し、罰金不完納の場合の労役場留置につき同法一
八条を、懲役刑の執行を猶予するにつき同法二五条を適用すべく、被告人B石油販
売株式会社に対してはその代表者である被告人C及びその使用人である被告人Aが
同会社の業務に関し判示の如く各臨時物資需給調整法違反の所為をなしたものであ
るから同法六条、四条一項、刑法四五条前段、四八条二項を適用しその罰金額の範
囲内において主文四項の刑を量定することとし、なお当審における訴訟費用の負担
(被告人C、同Aの国選弁護人に支給した弁護料)につき刑訴一八一条一項を適用
することとする。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 浜田龍信出席
  昭和二八年五月二九日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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