弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
一 原判決を次のとおり変更する。
1 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六一年分の所得税についてした更
正処分のうち、納付すべき税額二〇一万円を超える部分を取り消す。
2 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六一年分の所得税についてした過
少申告加算税賦課決定処分のうち、同加算税額三万五五〇〇円を超える部分を取り
消す。
3 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六二年分の所得税についてした更
正処分のうち、納付すべき税額二五四万九八〇〇円を超える部分を取り消す。
4 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六二年分の所得税についてした過
少申告加算税賦課決定処分のうち、同加算税額五万五〇〇〇円を超える部分を取り
消す。
5 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六三年分の所得税についてした更
正処分のうち、納付すべき税額七〇二万七〇〇〇円を超える部分を取り消す。
6 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六三年分の所得税についてした過
少申告加算税賦課決定処分のうち、同加算税額五四万六〇〇〇円を超える部分を取
り消す。
7 控訴人のその余の請求を棄却する。
二 訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを一〇分し、その三を被控訴人の、その
余を控訴人の負担とする。
○ 事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が平成元年九月一八日控訴人の昭和六一年分、昭和六二年分及び昭和
六三年分の所得税についてした各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分をい
ずれも取り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
第二 事案の概要並びに証拠関係
本件事案の概要は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実及び理由の「第二
 事案の概要」記載のとおりであり、証拠関係は原審及び当審記録中の証拠関係目
録記載のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決四枚目表九行目の「矯正料」の次に「(ただし、左記金額が各年分の収
入金額に計上されるか否かが争点である。)」を加え、同五枚目表六行目及び同八
枚目表五、六行目の「三九八一万〇九六〇円」をいずれも「三九八一万〇九六四
円」と改める。
二 同六枚目裏一行目の後に改行して、次のとおり加える。
「四 過少申告加算税
国税不服審判所長は、昭和六一年分及び昭和六二年分の納付すべき税額のうち次の
金額については、その納付すべき税額の計算の基礎となった事実に国税通則法六五
条四項に規定する「正当な理由」があると認めて、右各年分の過少申告加算税賦課
決定処分の一部を取り消した(乙第一五号証)。
昭和六一年分        一二九万六二〇〇円
昭和六二年分        一九九万二一〇〇円」
第三 争点に対する判断
争点に対する判断は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決事実及び理由
の「第四 争点に対する判断」記載のとおりであるから、これを引用する。
一 1原判決一二枚目裏三行目の「乙第一八、」の次に「第一九、」を、同四行目
の「原告本人」の前に「原審における」を加え、同八行目及び同一三枚目裏六行目
の「治療矯正契約書」をいずれも「矯正治療契約各」と、同一二枚目裏一〇行目の
「契約書」から同一三枚目表二行目の「返済をせず、」までを「右契約書におい
て、患者等のやむを得ない事情(転勤等)により治療の中断を生じたときには、所
定の割合一治療予定期間の五〇パーセント以内のときに治療の中断を生じたときは
右矯正料の三〇パーセント、治療予定期間が五〇パーセント以上経過し七〇パーセ
ント以内のときに治療の中断を生じたときは右矯正料の二〇バーセント一を返金す
る旨定めているものの、患者等の一方的都合により治療の中断や中止がなされた場
合や治療予定期間の七〇パーセントを経過してから治療の中断が生じたときには返
金しない旨を定め、」と、同枚目裏末行目の「事業」を「事案」と改める。
2 同一四枚目裏四行目の「したがって、」から同六行目末尾までを削除し、同一
五枚目表一行目の「特約」から同三行目の「このようなことは」までを「特約又は
慣習は存在せず、矯正治療契約に基づき受領した矯正料は、患者等のやむを得ない
事情(転勤等)による治療の中断がある場合には一部返金することとされているも
のの、その返金割合は治療予定期間ないし治療の進行状況に応じたものとはなって
おらず、また、各年分における返金実績も」と改め、同一五枚目裏一行目の「これ
は」の次に「前受金(あるいは預り金)であって、」を、同三行目の「しかしなが
ら、」の次に「前判示のとおり、本件矯正治療契約における矯正料の返金割合は治
療期間ないし治療の進行状況と対応しておらず、また、治療の中断があっても返金
されない場合もあるから、右矯正料を前受金ないし預り金と認めることはできず、
さらに、」を、同一六枚目表七行目の「按分するのが」の次に「費用収益対応の原
則からして」を、同九行目の「また、」の次に「原審における控訴人本人尋問の結
果及び弁論の全趣旨によれば、」を加える。
二 1同一七枚目裏二行目の「原告本人」の前に「原審における」を加え、同八行
目の「大学医学部」から同末行目の「であって」までを「甲第二三号証及び乙第二
二号証によれば、原判決添付別表五記載の接待交際費は、昭和六二年三月二〇日分
を除き、単なる情報交換の会食や二次会の費用、慶弔費、贈答費、ゴルフの費用等
として支出されたことが認められるのであって」と、同一八枚目表二、三行目の
「また、ゴルフの費用について」を「なお、ゴルフの費用について付言するに」と
改め、同三行目の「原告本人」の前に「原審における」を、同一〇行目の「別表
五」の前に「右昭和六二年三月二〇日分を除き、」を、同末行目の後に改行して
「甲第二三号証及び乙第二二号証によれば、右昭和六二年三月二〇日の六万一七三
〇円は、曽根矯正歯科臨床講習会の参加費用として支出されたことが認められると
ころ、後に説示する理由により、右費用は必要経費に該当する。」を加える。
2 同一八枚目裏二行目から八行目までを、次のとおり改める。
「甲第二三ないし第二九号証、当審証人Aの証言、原審及び当審における控訴人本
人尋問の結果によれば、控訴人は歯科矯正医療技術の指導を受けるため曽根矯正歯
科臨床講習会に参加し、その参加費用として昭和六一年分合計八〇万円、昭和六二
年分合計二二〇万円、昭和六三年分合計二四〇万円の金額を支出したことが認めら
れるところ、右講習会への参加は事業の遂行上必要なものと認められるので、右費
用は必要経費に該当する。」
3 同一八枚目裏一〇行目から同一九枚目三行目までを削除し、同四行目の「な
お、原告は、」を「控訴人は、甲第二三号証(控訴人の陳述書)において、原判決
添付別表七記載の」と改め、同枚目裏一行目の後に改行して次のとおり加える。
「また、甲第二三号証及び乙第二二号証によれば、同表記載の昭和六一年六月一二
日分は控訴人の健康診断のための交通費として、同年一〇月一六日分は控訴人の大
学同窓会へ出席するための交通費として、昭和六二年三月一六日分は同業者診療所
の記念パーティーに出席するための交通費として支出されたことが認められるの
で、これらはいずれも家事関連費に該当し、必要経費に算入することはできない。
しかしながら、甲第二三号証及び乙第二二号証によれば、同表記載の昭和六一年分
の他の支払分(合計金額一六万二七七〇円)、昭和六二年分の他の支払分(合計金
額三四万五三九〇円)及び昭和六三年分については、曽根矯正歯科臨床講習会出席
のための交通費あるいは米国矯正歯科学会出席のための国内交通費(昭和六二年四
月六日分)として支出されたことが認められるので、これらは事業の遂行上必要な
ものとして必要経費に該当する。」
4 同一九枚目裏六行目から同二〇枚目表二行目までを、次のとおり改める。
「以上によれば、事業所書の必要経費額については、昭和六一年分が四〇七七万三
七三四円(当事者間に争いのない三九八一万〇九六四円に詣会費・研究費八〇万
円、旅費交通費一六万二七七〇円を加算)、昭和六二年分が四八八七万七九五六円
(当事者間に争いのない四六二七万〇八三六円に講習会参加費六万一七三〇円、諸
会費・研究費二二〇万円、旅費交通費三四万五三九〇円を加算)、昭和六三年分が
五三九四万四八九一円(当事者間に争いのない五一一二万六一三一円に諸会費・研
究費二四〇万円、旅費交通費四一万八七六〇円を加算)となるので、これに基づい
て各年分の納付すべき税額を算出すると、別表のとおり、昭和六一年分が二〇一万
円、昭和六二年分が二五四万九八〇〇円、昭和六三年分が七〇二万七〇〇〇円とな
る。また、各年分の過少申告加算税額を算出すると、別表のとおり、昭和六一年分
が三万五五〇〇円、昭和六二年分が五万五〇〇〇円、昭和六三年分が五四万六〇〇
〇円となる。」
第四 結論
よって、控訴人の本訴請求は、控訴人が取消しを求める各更正処分及び各過少申告
加算税賦課決定処分のうち右各金額を超える部分の各取消しを求める限度において
理由があるので、これらを認容し、その余は理由がないので棄却すべきところ、右
と結論を異にする原判決は相当でないので、本判決主文一項のとおり変更すること
とし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九六条、八九条、九
二条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 大石貢二 馬渕勉 一志泰滋)

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