弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人河原和郎作成の控訴趣意書記載のとおりであるから、こ
こにこれを引用する。
 これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
 控訴趣意第一点(原判示第二事実に関する法令適用の誤りの主張)について
 論旨は要するに、原判示第二事実につき、被告人は、指定制限速度を表示する道
路標識を看過したため、本件場所が公安委員会の設置した道路標識等により最高速
度が四〇キロメートル毎時と制限されていることを認識していなかつたのであるか
ら、指定制限速度違反罪の故意犯が成立しないのにかかわらず、被告人に道路交通
法二二条一項、一一八条一項二号を適用した原判決には、判決に影響を及ぼすこと
が明らかな法令適用の誤りがある、というのである。
 そこで、記録を調査して検討すると、原判決挙示の関係証拠によれば、被告人
は、原判示日時場所において七〇キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転
したが、その際設置してある道路標識を看過し、本件場所が最高速度を四〇キロメ
ートル毎時と制限された場所であるとの認識を欠いていたことは所論指摘のとおり
である。
 しかし、関係証拠によれば、被告人は、かつて運転免許を取得していたことがあ
り、本件当時政令で定められた最高速度が六〇キロメートル毎時であることを知つ
ていたにかかわらず、これを超える速度で車輌を走行<要旨>させる認識を有してい
たことが明らかであるところ、このように法定速度に違反する犯意で指定制限速度
違反を犯した場合には、法定速度違反罪と指定制限速度違反罪の各法益、法
定刑が全く同種、同一であつて、その最高速度の制限が公安委員会の指定に基くも
のか又は政令に定められたものかの差異でしかないことを考慮すれば、生じた結果
についての故意を阻却するものではないと解するのが相当である。してみると、被
告人には指定制限速度違反の故意犯が成立するから、被告人の原判示第二の所為に
道路交通法二二条一項前段、一一八条一項二号を適用した原判決は正当であつて、
所論のような法令適用の誤りは存しない。論旨は理由がない。
 控訴趣意第二点(量刑不当の主張)について
 論旨は要するに、原判決の科刑は、犯情に照らし重きに失して不当であるから、
これを破棄したうえ刑の執行を猶予されたい、というのである。
 しかし、記録を調査し、当審における事実取調べの結果をも加えて検討してみて
も、被告人を懲役三月の実刑に処した原判決の科刑はまことに止むを得ないものと
認められる。すなわち、被告人は、昭和四九年二月ころ道路交通法違反罪(酒酔い
運転)により運転免許を取り消されたのに、その後無免許運転を反覆累行し、これ
までに六回罰金刑に処せられたほか、昭和五三年四月二七日には詐欺罪により懲役
二年・四年間刑執行猶予の判決を受け、その執行猶予期間内であるにかかわらず、
原判示第一日時場所において、無免許で、かつ酒気を帯びた状態で指定最高速度を
三〇キロメートル超える毎時七〇キロメートルの速度で普通乗用自動車を運転し
(原判示第一、第二事実)、右所為の取調べを受けた直後に、またもや無免許で普
通乗用自動車を運転した(同第三事実)というものである。右に明らかなように、
被告人の遵法精神欠如殊に交通法規無視の傾向は顕著であつて、これに、本件の罪
質、態様などをあわせ考慮すれば、被告人の刑責は決して軽いものではなく、被告
人が現在本件を深く反省していること、前記執行猶予が取消される可能性があるこ
と、被告人の家庭情況など被告人に有利又は同情すべき諸事情を十分斟酌してみて
も、本件が刑の執行を猶予すべき事案とは認め難いし、また、その刑期も重きに失
して不当であるとは認められない。論旨は理由がない。
 よつて、刑事訴訟法三九六条に則り本件控訴を棄却することとして主文のとおり
判決する。
 (裁判長裁判官 干場義秋 裁判官 荒木恒平 裁判官 堀内信明)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛