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            主     文
       1 原判決中被控訴人に関する部分を取り消す。
       2 被控訴人は,控訴人株式会社マルサン機械に対し,1500万
円及びこれに対する平成12年11月11日から支払済みまで年6分の割合による
金員を支払え。
       3 被控訴人は,控訴人俊徳工業株式会社に対し,1500万円及
びこれに対する平成12年11月11日から支払済みまで年6分の割合による金員
を支払え。
       4 訴訟費用中当審において生じた部分並びに原審において控訴人
らに生じた費用の各2分の1及び被控訴人に生じた費用は被控訴人の負担とする。
       5 本判決主文2及び3は,仮に執行することができる。
            事実及び理由
 第1 控訴の趣旨
 1 控訴人株式会社マルサン機械
 (1) 原判決中控訴人株式会社マルサン機械の被控訴人に対する請求に関する部分
を取り消す。
 (2) 主位的請求
 主文2と同旨
 (3) 予備的請求
 ア A株式会社が平成12年7月7日付けで被控訴人との間でした道成寺カント
リークラブの営業譲渡契約を1500万円の範囲で取り消す。
 イ 被控訴人は,控訴人株式会社マルサン機械に対し,1500万円を支払え。
 2 控訴人俊徳工業株式会社
 (1) 原判決中控訴人俊徳工業株式会社の被控訴人に対する請求に関する部分を取
り消す。
 (2) 主位的請求
 主文3と同旨。
 (3) 予備的請求
 ア A株式会社が平成12年7月7日付けで被控訴人との間でした道成寺カント
リークラブの営業譲渡契約を1500万円の範囲で取り消す。
 イ 被控訴人は,控訴人俊徳工業株式会社に対し,1500万円を支払え。
 第2 事案の概要
 1 本件は,1審被告A株式会社が吸収合併した会社との間でそれぞれゴルフク
ラブの会員契約を締結して預託金各1500万円を預託した控訴人らが,据置期間
の経過後,退会の意思表示をして,Kに対し,預託金各1500万円及びこれに対
する本件訴状送達の日の翌日である平成12年11月11日から支払済みまで商事
法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,Kは被控訴人と
の間で本件ゴルフクラブの経営(管理)委任契約を締結することにより被控訴人に
対して本件ゴルフクラブの営業を譲渡又は賃貸し,被控訴人は本件ゴルフクラブを
その名称を続用して経営しているなどとして,被控訴人に対し,主位的に,商法2
6条1項に基づき又は法人格否認の法理により,Aと連帯して預託金各1500万
円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成12年11月11日から支
払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に,
上記の営業譲渡等が詐害行為に該当するとして,詐害行為取消権に基づき,Aと被
控訴人との間の営業譲渡契約等をそれぞれ1500万円の範囲で取り消すとともに
控訴人らに各1500万円の支払を求めた事案である。
 原審は,控訴人らのAに対する請求をいずれも認容したが,控訴人らの被控訴人
に対する請求をいずれも棄却すべきものとした。
 2 前提事実及び争点は,次のとおり訂正,付加するほか,原判決「事実及び理
由」の「第2 事案の概要」の「1 前提事実」及び「3 原告らの被告新道成寺
に対する各請求についての争点」に記載のとおりであるからこれを引用する。
 (1) 原判決3頁26行目から4頁1行目の「経営していた道成寺カントリークラ
ブ」を「道成寺カントリークラブの名称で経営していたゴルフクラブ」に改め,同
頁4行目の「1500万円」の次に「(以下「本件各預託金」という。)を加え,
同頁5行目の「甲2」を「甲2の1,2」に改める。
 (2) 原判決4頁8行目の「被告Aは,」の次に「昭和53年8月に設立され,」
を,同頁9行目冒頭の「の後,」の次に「道成寺カントリークラブの名称で」をそ
れぞれ加える。
 (3) 原判決4頁13行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「ウ 旧道成寺
 旧道成寺は,昭和55年6月に設立され,昭和62年4月の本件ゴルフクラブの
開場時から平成2年10月のAへの吸収合併時まで道成寺カントリークラブの名称
で本件ゴルフクラブを経営していた(争いのない事実)。」
 (4) 原判決4頁20行目の「乙2」を「乙2。以下「前契約書」という。」に,
改め,同頁21行目の「契約」の次に「(以下「前契約」という。)」を加える。
 (5) 原判決4頁の22行目から24行目までを次のとおり改める。
 「 前契約書(乙2)によれば,Kは,被控訴人に対し,契約成立と同時に経営
を委任しなければならないとされ(2条),被控訴人は,委任された経営をKの名
義をもって運営するが,支店又は出張所の設置,営業資金の借入れ,その他経営に
関する重大な行為をするについてはAの承諾を得なければならないものとされ(3
条),被控訴人は,Kに対し,毎決算期末の経常利益の50%を経営委任料として
支払うものとされ(4条),被控訴人は,契約と同時にKの株式会社B外2社に対
する計2億3000万円の債務を引き受け,引受け後に発生する支払利息及び遅延
損害金は被控訴人の負担とするものとされ(5条),KがC株式会社外2社からの
借入金に係る支払利息及び遅延損害金を支払ったとき及び未払利息を計上したとき
は,約定利率,約定遅延損害金の額を限度として被控訴人がこれを負担するものと
されていた(9条)。」
 (6) 原判決4頁25行目から26行目の「上記アの契約」を「前契約」に改め
る。
 (7) 原判決5頁3行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「本件契約書(乙1)によれば,Kは,本件ゴルフクラブの経営及びこれに関連
する業務の一切(管理を含む。)を被控訴人に委託し,被控訴人はこれを受託する
ものとされ(1条),Kは,被控訴人に対し,契約成立の日までに営業を引き継が
なければならないものとされ(2条),被控訴人は,委任された営業を現在のゴル
フ場の名称である「道成寺カントリークラブ」で経営するものとされ(3条),被
控訴人は,Kに対し,毎決算期末の経常利益の20%を経営委任(受任)料として
支払うものとされ(4条),経済情勢の変動,公租公課の増減等により受託料の改
定が必要とみなされる場合は協議の上これを増減することができるものとされ(5
条),本件ゴルフクラブの売上高のほか年会費を含む営業収入は被控訴人に帰属
し,税金,社会保険料ほかの公租公課その他経営上必要とする経費は一切被控訴人
の負担とするものとされ(7条),契約期間は,契約成立の日から満5年間とし,
いずれかが期間満了の3か月前までに特段の意思表示をしない限り,期間満了の日
から更に2年間継続し,以後も同様とするものとされている(8条)が,前契約書
の3条,5条及び9条に相当する規定は置かれていない。」
 (8) 原判決5頁4行目から5行目の「本件契約の締結の前後を通じ,前記アの契
約を締結した後,」を「前契約を締結した後,本件ゴルフクラブの経営に従事して
いた従業員の雇用を引き受け,本件契約の締結の前後を通じ,現在に至るまで,そ
の敷地,クラブハウス及び関連資産を使用して,その計算において,」に改める。
 (9) 原判決6頁5行目の冒頭に「前契約が締結された平成8年5月以降,被控訴
人が主体となって本件ゴルフクラブの経営を行ってきたことからすれば,前契約も
その実態は本件ゴルフクラブの営業譲渡であったというべきであるが,仮に前契約
が本件ゴルフクラブの経営委任にすぎなかったとしても,」を加える。
 (10) 原判決6頁7行目の「本件契約書には,」の次に「前契約書とは異な
り,」を加え,同頁11行目の「である。」を「を定めたものである。」に改め
る。
 (11) 原判決6頁11行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「 また,前契約書では,その3条において,被控訴人は本件ゴルフクラブをA
名義で経営する旨記載されているが,本契約書では,この条項が撤廃されて,被控
訴人は委任された営業を現在のゴルフ場の名称「道成寺カントリークラブ」で経営
する旨記載されており,この営業名義についての契約条項の変更は,本件契約にお
いて契約の内容,実態が営業譲渡に変更されたことを裏付けるものである。」
 (12) 原判決6頁12行目の「株式は,」の次に「前契約当時はすべてKが所有
していたが,」を加える。
 (13) 原判決7頁4行目の「自らの収入として」を「直接」に改める。
 (14) 原判決7頁15行目の「ないほか,」の次に「被控訴人によるクラブハウ
ス及びゴルフ場の敷地の使用は競売に付されない限り半永久的なものであり,」を
加え,同頁16行目から17行目の「金融機関から抵当権の抹消の同意を得ること
ができる見込みがないことから見れば,」を「競売の可能性や登録免許税の負担を
考えると所有権移転登記を行う利益がないことからして,」に改める。
 (15) 原判決7頁21行目の「前記1(3)アの契約」を「前契約」に改める。
 (16) 原判決7頁24行目の「営業」を「営業上の重大な行為」に改める。
 (17) 原判決7頁26行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「 また,前契約では,被控訴人がAの株式会社B等に対する債務を引き受け,
かつ,KのC等からの借入利息等を被控訴人の負担で支払う旨約定されていたが,
本件契約では,これらの条項が撤廃され,被控訴人の上記債務及び利息等の支払責
任がなくなっている。
 (コ) 以上のとおり,Aは,同社から完全に独立した会社となった被控訴人に対
して本件ゴルフ場の経営一切をゆだね,Aが本件ゴルフクラブの経営主体として復
帰する可能性はなく,被控訴人は,競売に付されない限りクラブハウスやゴルフ場
の敷地を賃料も支払わずに永久に使用することになるから,本件契約の実態は,経
営委任を仮装した営業譲渡であるというべきである。
 本件契約が営業譲渡であるか否かは,本件ゴルフクラブの営業の目的のために組
織化され,有機的一体として機能する財産が,Aから被控訴人に対して移転したか
否かという実体に基づいて決すべきであり,株主総会決議の手続が採られているか
否かは重視すべきではなく,営業の譲受人である被控訴人が,株主総会決議の手続
がとられていないことを理由に本件契約が営業譲渡でないと主張するのは,信義に
反し許されない。」
 (18) 原判決8頁5行目の「行うための」の次に「株主総会の特別決議等」を,
同頁6行目の「採っていないし,」の次に「営業譲渡が他に及ぼす影響が大きいこ
とにかんがみ設けられたこのような重大な手続が一切採られていないことからし
て,本件契約が営業譲渡と認められないのは当然である。」をそれぞれ加える。
 (19) 原判決8頁7行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「(2) 本件契約が本件ゴルフクラブの営業全部の賃貸借であるかどうか。
 ア 控訴人らの主張
 本件契約書上,Aはゴルフ場の経営及びこれに関連する業務の一切を被控訴人に
委託するものとされ(1条),被控訴人は,Aが所有するゴルフ場の敷地及び関連
資産を使用して本件ゴルフクラブを経営しており,本件ゴルフクラブの営業による
営業収入は被控訴人が取得し,仕入代金等の債務は被控訴人がKより引き継ぎ支払
うとともに,引継ぎ後に発生した仕入代金等も被控訴人において支払い,公租公課
その他経営上必要とする経費は被控訴人の負担とされ,税務署,県税事務所への営
業届上も営業主は被控訴人とされ,本件ゴルフクラブで働いている従業員の雇用保
険,労災保険上の雇用主も被控訴人とされているところからすれば,被控訴人は,
外部に対し,営業の主体,すなわち,営業から生ずる権利義務の主体となってお
り,営業の譲受人と異なるところがない。他方で,本件契約書上経営委任料の増減
について賃貸借契約における賃料の増減と同様の規定(5条)が置かれており,4
条所定の経営委任料の実質は,被控訴人がA及びD株式会社所有のゴルフ場敷地及
び関連資産を使用して本件ゴルフクラブの営業を行うことの対価,すなわち,賃料
とみることができる。経営委任料の金額が不確定であっても賃料としての性格と矛
盾するものではなく,また,本件契約書上,経常利益が出なかったときは賃料を支
払わなくてもよいと解することはできず,したがって,本件契約は,その実質にお
いて,営業全部の賃貸借というべきである。
 イ 被控訴人の主張
 賃貸借関係の重要な要素は使用収益の対価としての賃料の支払であるところ,本
件契約書上,被控訴人は,Aに対し,毎決算期末の経常利益の20%を経営委任
(受任)料として支払うものとされており,支払額が不確定であるのみならず,利
益が出なければ経営委任(受任)料を支払わなくてもよいことになっているから,
経営委任(受任)料をもって賃料とみることはできず,したがって,本件契約が本
件ゴルフクラブの営業の賃貸借であるということはできない。」
 (20) 原判決8頁8行目冒頭の「(2)」を「(3)」に改め,同頁9行目の次に改行
の上次のとおり加える。
 「ア 控訴人らの主張
 Aは,親会社として,子会社である被控訴人を実質的に支配しているところ,A
は,巨額の預託金返還債務を負担してその返還が不可能な状態となったことから,
控訴人ら本件ゴルフクラブの会員による預託金返還請求権に基づく強制執行を阻止
し,ひいては預託金返還債務を免れるため,被控訴人の法人格を利用して,遅くと
も平成12年7月,本件契約により本件ゴルフクラブの営業を被控訴人に譲渡した
ものであるから,控訴人らの預託金返還請求との関係では,被控訴人の法人格を濫
用したものとして,被控訴人の法人格は否定されるべきである。また,本件ゴルフ
クラブの営業がAから被控訴人に譲渡されたにもかかわらず,被控訴人に支払われ
るべき本件ゴルフクラブの新規入会会員の入会金及び会員権譲渡の場合の名義書換
料がAに支払われているなど,Kと被控訴人の財産,経理上の処理が混同してお
り,被控訴人の法人格は形骸化しているというべきであるから,控訴人らの預託金
返還請求との関係では,同様に,被控訴人の法人格は否定されるべきである。
 イ 被控訴人の主張
 控訴人らの主張は争う。」
 (21) 原判決8頁10行目を次のとおり改める。
 「(4) 被控訴人が商法26条1項の適用又は類推適用により控訴人らに対する本
件各預託金の返還債務を負うか。」
 (22) 原判決8頁20行目の「したがって,」を「このように,ゴルフクラブの
営業においては,他の営業とは異なり,ゴルフクラブの名称がその経営主体の商号
以上に重要な機能を果たしているところ,Aは,旧道成寺を吸収合併した後も,旧
道成寺の商号でもあった「道成寺カントリークラブ」の名称を本件ゴルフクラブの
名称として使用し続け,」に,同頁23行目から24行目の「のであるから,商法
26条1項により,Aと連帯して,Aの原告らに対する各預託金返還債務を弁済す
る義務を負う。」を「。のみならず,Aが旧道成寺を吸収合併した事実は会員に通
知されず,吸収合併後も,年会費請求書にはKの商号は記載されず,その振込先金
融機関の預金口座名義も「道成寺カントリークラブ」又は「株式会社道成寺カント
リー」と表示され,従業員はAの商号が記載されず「道成寺カントリークラブ」の
名称が記載された名刺を使用するなど,Aは旧道成寺を吸収合併した事実を会員に
隠蔽しようとしたのであり,さらに,本件契約による経営主体の変更の事実も会員
に通知されず,当該経営主体の変更は違法な強制執行免脱の目的で行われたもので
ある。これらに加えて,Aと被控訴人との資本構成上及び人的構成上の密接な関係
をもしんしゃくすれば,商法26条1項にいう商号を続用する場合に当たるという
べきである。」にそれぞれ改める。
 (23) 原判決8頁24行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「 前記(1)アのとおり本件契約は本件ゴルフクラブの営業譲渡であるから,商法
26条1項により,被控訴人はAと連帯して控訴人らに対し本件各預託金返還債務
を負う。
 仮に本件契約が営業譲渡ではないとしても,前記(2)アのとおり本件契約の実質は
本件ゴルフクラブの営業全部の賃貸借というべきであり,商法245条が営業の譲
渡と並んで営業全部の賃貸及び経営の委任を株主総会の特別決議事項として規制し
ているところからすれば,営業の賃貸又は経営の委任であっても,その実態及び経
済的効果が営業譲渡と異ならないときは商法26条1項が類推適用されるべきであ
るから,被控訴人は,同項の類推適用により,Aと連帯して控訴人らに対し本件各
預託金返還債務を負う。」
 (24) 原判決9頁1行目冒頭の「(4)」を「(5)」に改める。
 (25) 原判決9頁4行目から5行目の「営業譲渡代金」を「経営委任料」に,同
頁8行目の「営業譲渡代金」を「経営委任料その他の金銭」に,同頁9行目から1
0行目の「前記1(3)アの契約に係る契約書」を「前契約書」にそれぞれ改める。
 (26) 原判決9頁14行目の「営業譲渡代金」を「経営委任料」に改める。
 (27) 原判決9頁24行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「(ウ) Kは,平成12年当時,約215億円もの債務超過となっていて事実上
倒産状態であり,他方で,本件ゴルフクラブの営業以外にめぼしい資産を有してい
なかったから,Kは,本件ゴルフクラブの営業譲渡が控訴人ら債権者を害する行為
であることを認識していたことは明らかである。また,被控訴人の代表取締役は,
平成8年2月までAの取締役であって,Aが事実上倒産状態となり,控訴人ら会員
に対する巨額の預託金の返還が不可能になっていることを知っており,Aが平成1
2年7月まで被控訴人の全株式を所有していて両者が非常に密接な関係にあったこ
とからすれば,被控訴人も,上記営業譲渡が控訴人ら債権者を害することを知って
いたというべきである。
 (エ) 詐害行為取消しの場面では,営業譲渡は可分であるから,その取消しの範
囲は,控訴人らの各債権額の範囲に限定されるべきであり,現物返還に代えて,控
訴人らの各債権額を限度とする価格賠償が認められるべきである。
 (オ) 仮に本件契約が営業譲渡ではなく経営委任であるとしても,本件契約が控
訴人ら債権者を害することに変わりはないから,詐害行為として取り消されるべき
であり,同様の価格賠償が認められるべきである。」
 (28) 原判決9頁26行目の次に改行の上次のとおり加える。
 「 前契約当時,被控訴人は実質的にAの代表取締役であったEに支配されてお
り,Aが多額の負債を抱えていて被控訴人が支援しなければ倒産することが明らか
であったため,やむを得ず,前契約を締結して,Aの負担していた債務2億300
0万円を被控訴人において引き受けるなどAに対して毎年多額の金銭的支援を行っ
てきたが,このままでは本件ゴルフクラブ自体の存立が危うくなり,会員のプレー
権が確保できなくなるおそれが高まったことから,被控訴人の現代表取締役である
FとGが全株式を取得してその支配を消滅させるとともに,本件ゴルフクラブの会
員のプレー権を守るため,本件契約を締結したものであって,被控訴人は,違法に
強制執行を免れる意図もなければ,そのような行為もしていない。」
 (29) 原判決10頁の1行目から4行目までを削る。
 第3 当裁判所の判断
 当裁判所は,本件事実関係の下においては,被控訴人は,商法26条1項の類推
適用により,控訴人ら各自に対し,本件ゴルフクラブの会員契約に基づく本件各預
託金返還債務についてこれを弁済する責任を負うものと解すべきであり,控訴人ら
の被控訴人に対する主位的請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由
があるものと判断する。その理由は,次のとおりである。
 1 前記前提事実並びに甲5の1,2,乙1,乙2,乙3の1ないし5,乙4な
いし9,被控訴人代表者及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
 (1) 被控訴人は,平成元年7月28日,その商号を「株式会社A」として設立さ
れ,平成6年2月28日,その商号を現在の商号である「株式会社道成寺カントリ
ー」に変更した。
 (2) 被控訴人の株式は,平成12年7月まで,その全部をAが所有していたが,
同月,その代表取締役であるF及び取締役であるGがそのすべてを取得した。
 (3) 本件ゴルフ場の敷地は,その一部をD株式会社が所有しているほかはAが第
三者から賃借しており,クラブハウスはD株式会社が所有している。
 (4) 被控訴人は,平成8年5月15日,Aとの間で「経営(管理)委任契約書」
と題する契約書(前契約書)に係る契約(前契約)を締結した。なお,前契約の締
結に当たり,A又は被控訴人において商法245条の定める株主総会の特別決議の
手続が採られた形跡はない。
 前契約書によれば,Aは,被控訴人に対し,本件ゴルフクラブ及びこれに関連す
る営業の経営(管理を含む。)を委任し,被控訴人はこれを受託するものとされ
(1条),Aは,被控訴人に対し,契約成立と同時に経営を委任しなければならな
いとされ(2条),被控訴人は,委任された経営をAの名義をもって運営するが,
支店又は出張所の設置,営業資金の借入れ,その他経営に関する重大な行為をする
についてはAの承諾を得なければならないものとされ(3条),被控訴人は,Aに
対し,毎決算期末の経常利益の50%を経営委任料として支払うものとされ(4
条),被控訴人は,契約と同時にAの株式会社B外2社に対する計2億3000万
円の債務を引き受け,引受け後に発生する支払利息及び遅延損害金は被控訴人の負
担とするものとされ(5条),被控訴人は,Aの所有するゴルフ場及び関連資産等
をこの経営のため無償で使用するものとし,Aが第三者(Aの関係会社を含む。)
から賃借中の資産に係る賃料はAの名義で被控訴人が支払うものとされ(6条),
AがC株式会社外2社からの借入金に係る支払利息及び遅延損害金を支払ったとき
及び未払利息を計上したときは,約定利率,約定遅延損害金の額を限度として被控
訴人がこれを負担し,また,公租公課その他経営上必要とする経費は一切被控訴人
の負担とし,A及びD株式会社名義となっているゴルフ場資産に課される固定資産
税等もそれぞれの課税名義で被控訴人が納税するものとされ(9条),被控訴人
は,Kの承諾なくして本契約に係る経営及び関連資産等のすべてについて他に転貸
してはならないものとされ(10条),被控訴人は,Aより委任を受ける経営に必
要な要員として委任の対象となっている経営の場所で現に経営に従事しているAの
従業員の全員を引き受け,当該従業員についてはAにおける各人の勤続年数を継承
するものとされていた(11条)。
 (5) 前契約の締結後,被控訴人は,本件ゴルフ場の敷地,クラブハウス及び関連
資産を使用して,本件ゴルフクラブの名称である「道成寺カントリークラブ」の名
称で本件ゴルフクラブの経営を開始し,本件ゴルフクラブの経営に従事していたA
の従業員との雇用契約を引き継いで雇用保険及び労災保険上の雇用主となり,所轄
税務署及び県税事務所に対し被控訴人を本件ゴルフクラブの営業主として営業の届
出をした。被控訴人は,本件ゴルフクラブの営業による売上げ及び会員が納入する
年会費を自らの収入として取得したが,ゴルフ会員権の入会金及び名義変更料につ
いては,被控訴人においてその支払を受けた上,これをAの収入として処理してい
た。被控訴人は,前契約締結時点において発生していた本件ゴルフクラブの経営に
係る小口の債務を承継したほか,仕入代金等の経営上必要な経費を負担し,また,
A及びD株式会社名義のゴルフ場資産を無償で使用してその固定資産税を負担した
ほか,上記2社以外のゴルフ場敷地の地主に対する賃料を負担し,さらに,前契約
書9条により被控訴人において負担するものとされたAの借入金に係る支払利息等
を負担したが,前契約書5条により被控訴人において引き受けるものとされたAの
債務については,計算書類上は債務引受の処理をしない代わりに,Aに対して毎年
少なくとも1億円を超える多額の送金をし,前契約書4条所定の50%の経営委任
料は平成8年8月1日から平成9年7月31日までの会計年度を除いて経常利益が
出なかったため支払われなかった。
 (6) 被控訴人は,平成12年7月7日,Aとの間で改めて「経営(管理)委任契
約書」と題する契約書(本件契約書)に係る契約(本件契約)を締結した。なお,
本件契約の締結に当たり,A又は被控訴人において商法245条の定める株主総会
の特別決議の手続が採られた形跡はない。
 本件契約書によれば,Aは,本件ゴルフクラブの経営及びこれに関連する業務の
一切(管理を含む。)を被控訴人に委託し,被控訴人はこれを受託するものとされ
(1条),Aは,被控訴人に対し,契約成立の日までに営業を引き継がなければな
らないものとされ(2条),被控訴人は,委任された営業を現在のゴルフ場の名称
である「道成寺カントリークラブ」で経営するものとされ(3条),被控訴人は,
Aに対し,毎決算期末の経常利益の20%を経営委任(受任)料として支払うもの
とされ(4条),経済情勢の変動,公租公課の増減等により受託料の改定が必要と
みなされる場合は協議の上これを増減することができるものとされ(5条),本契
約に際し保証金の授受は行わないものとされ(6条),本件ゴルフクラブの売上高
のほか年会費を含む営業収入は被控訴人に帰属し,被控訴人は,Aの所有するゴル
フ場及び関連資産を本件ゴルフクラブの経営のため無償で使用し,Aが第三者(A
の関係会社を含む。)から賃借中の資産に係る賃料はAの名義で被控訴人が支払
い,税金,社会保険料ほかの公租公課その他経営上必要とする経費は一切被控訴人
の負担とするものとされ(7条),契約期間は,契約成立の日から満5年間とし,
いずれかが期間満了の3か月前までに特段の意思表示をしない限り,期間満了の日
から更に2年間継続し,以後も同様とするものとされ(8条),被控訴人は,Aの
承諾なくして本契約に係る経営及び関連資産等のすべてについて他に転貸してはな
らないものとされていた(9条)が,前契約書の3条,5条及び9条に相当する規
定は置かれていない。
 (7) 被控訴人は,本件契約の締結後も,従前と同様に本件ゴルフ場の敷地,クラ
ブハウス及び関連資産を使用して本件ゴルフクラブの経営を行い,本件ゴルフクラ
ブの営業による売上げ及び会員が納入する年会費を自らの収入として取得し,仕入
代金等の経営上必要な経費を負担し,A及びD株式会社名義のゴルフ場資産を無償
で使用してその固定資産税を負担し,上記2社以外のゴルフ場敷地の地主に対する
賃料を負担している。もっとも,ゴルフ会員権の入会金及び名義変更料について
は,被控訴人においてその支払を受けた上,Aの収入とする処理をしている。ま
た,被控訴人は,前契約により被控訴人において引き受けるものとされたAの債務
及び被控訴人において負担するものとされたAの借入金に係る支払利息等について
は本契約によりそれぞれその引受け又は負担を免れることになったが,後記のとお
り本件ゴルフクラブの経営に必要な資産である本件ゴルフ場の敷地及びクラブハウ
スに対する担保権の実行を阻止する目的から,被控訴人に対し,本件契約書4条所
定の経営委任料のほかに毎月約500万円程度の送金をしている。
 (8) Aは,H株式会社,C株式会社及び株式会社I銀行に対し,本件契約の締結
された平成12年7月ころから現在まで少なくとも40億円の債務を負担してお
り,D株式会社名義の本件ゴルフ場の敷地及びクラブハウスには,既に前契約の締
結以前において,これらの金融機関のためにA又は旧道成寺を債務者とする極度額
合計43億円の根抵当権が設定されている。Aは,既に前契約の締結時点において
少なくとも48億円程度の負債を抱えて借入金の返済が滞り,本件契約が締結され
た平成12年7月ころから現在まで,少なくとも約215億円の債務超過となって
おり,これらの金融機関に対する債務の返済が困難な状態にある。
 (9) Aは,現在,本件ゴルフクラブの営業に一切関与していない。
 2 前記前提事実並びに甲2の1,2,甲3,甲11の1,2,甲13の1ない
し5,甲14,甲15の1ないし3,甲16及び弁論の全趣旨によれば,次の事実
が認められる。
 (1) 本件ゴルフクラブは,会則により「道成寺カントリークラブ」と称するもの
と規定され,昭和62年4月の開場時以降現在に至るまで一貫して「道成寺カント
リークラブ」の名称で運営され,会報が発行されるなどしてきた。
 (2) 本件ゴルフクラブは,開場時からAが旧道成寺を吸収合併した平成2年10
月まで商号を「株式会社道成寺カントリー」とする会社(旧道成寺)により経営さ
れ,同月から前契約が締結された平成8年5月まで「A株式会社」を商号とする会
社(A)により経営され,同月以降現在に至るまで「株式会社道成寺カントリー」
を商号とする会社(被控訴人)により経営されてきた。
 (3) 控訴人らが本件ゴルフクラブの法人正会員契約を締結して資格保証金(本件
各預託金)を預託した当時の本件ゴルフクラブの経営主体は旧道成寺であり,旧道
成寺作成名義の預託金証書が控訴人らに交付された。
 (4) 平成2年10月に旧道成寺がAに吸収合併されたことにより本件ゴルフクラ
ブの経営主体はAとなり,その後平成8年5月に前契約により被控訴人が本件ゴル
フクラブを経営することになったが,これらの経営主体の変更の事実はいずれも控
訴人らを含む本件ゴルフクラブの会員に対して通知されず,会員に対する年会費の
請求は道成寺カントリークラブの名において行われ,振込先名義人を株式会社道成
寺カントリー又は道成寺カントリークラブとする振込用紙が送付された。
 (5) 控訴人らが平成12年6月ころ本件各預託金について返還交渉を行った際,
本件ゴルフクラブの担当者は,Aの商号も被控訴人の商号も記載されず,「道成寺
カントリークラブ 和歌山事務所」とのみ記載された名刺を使用していた。
 3 前記1において認定した事実関係等によれば,前契約のみならず本件契約に
ついても,各契約書上は一貫して経営委任ないし経営委託の形式が採られ,A又は
被控訴人において商法245条の定める株主総会の特別決議の手続が採られた形跡
はなく,前契約のみならず本件契約の締結後もD株式会社の所有していた本件ゴル
フ場の敷地及びクラブハウスについての所有権移転登記手続や第三者の所有する本
件ゴルフ場の敷地についての賃借名義人の変更手続が行われた形跡もうかがわれな
いが,前契約の締結後,被控訴人は,D株式会社名義の本件ゴルフ場の敷地及びク
ラブハウス並びに同社又はAが所有する関連資産を無償で使用してその固定資産税
を負担し,第三者所有に係る本件ゴルフ場の敷地についてはAに代わってその賃料
を負担しているというのであり,しかも,D株式会社名義の本件ゴルフ場の敷地及
びクラブハウスには,既に前契約の締結以前において,金融機関のためにK又は旧
道成寺を債務者とする極度額合計43億円の根抵当権が設定されていた上,Aは,
既に前契約の締結時点において,少なくとも48億円程度の負債を抱えて借入金の
返済が滞っていたというのであるから,本件ゴルフクラブの営業に必要なこれらの
敷地(賃借権を含む。),クラブハウスその他の関連資産は,実質的にみて,前契
約によりAから被控訴人に移転したものと評価することができる。また,被控訴人
は,前契約の締結後,これらの財産関係のみならず,本件ゴルフクラブの経営に従
事していたAの従業員との雇用契約をもそのまま引き継ぎ,さらに,控訴人らを含
む本件ゴルフクラブの会員との関係についても,被控訴人において本件ゴルフクラ
ブの施設を提供し,年会費のみならずゴルフ会員権の入会金及び名義変更料の支払
をも受けているのであって,入会金及び名義変更料についてはAの収入とする会計
処理がされていたものの,実質的にみて,前契約によりAから被控訴人に移転した
ものと評価することができる。そして,被控訴人は,前契約の締結時点において発
生していた本件ゴルフクラブの経営に係る小口の債務を承継したほか,仕入代金等
の経営上必要な経費を負担して,従前と同様の「道成寺カントリークラブ」の名称
で本件ゴルフクラブの営業的活動を行い,本件ゴルフクラブの営業による売上げ及
び会員が納入する年会費を自らの収入として取得しているのであって,前契約書3
条の規定にもかかわらず,前契約の締結後にAが本件ゴルフクラブの経営に関して
何らかの関与をした形跡はうかがわれない。
 しかるところ,上記事実関係等によれば,本件契約は,被控訴人の代表取締役で
あるF及び取締役であるGが被控訴人の株式の全部を取得してAとの資本関係を解
消したことに伴い,Aの債務の引受け及びAの借入金に係る支払利息等の負担をも
廃止して被控訴人のAからの独立性を高めるとともに,文言上はなお経営委任ない
し経営委託の形式を維持しつつも,契約内容をその実態に合わせようとしたものと
いうことができるのであって,以上説示したような前契約の締結後の被控訴人によ
る本件ゴルフクラブの経営の態様は,本契約の締結の前後を通じて変わるところが
なく,本件契約の締結後,Aが本件ゴルフクラブの経営に関与した形跡は全くな
い。そして,本件契約書上は,契約期間が契約成立の日から満5年間とされ,特段
の意思表示がない限り2年ごとに更新するものとされている(8条)が,Aは,既
に前契約が締結された平成8年当時において,少なくとも48億円程度の負債を抱
えて借入金の返済が滞り,本件ゴルフクラブの経営を続けることが困難な状態に陥
っていたのであって,現在においては,本件ゴルフクラブの運営能力を完全に喪失
し,今後本件ゴルフクラブの経営主体として復帰する可能性はほとんどないという
ことができる。なお,被控訴人は,本件契約の締結後も,Aに対し,本件契約書に
おいて定められた経営委任料のほかに毎月約500万円程度の送金をしているが,
それは,主として,本件ゴルフ場の敷地及びクラブハウスに対する担保権の実行を
阻止するためであるということができる。
 そうであるとすれば,前契約書及び本件契約書の文言上,一貫して経営委任ない
し経営委託の形式が採られている上,被控訴人に経常利益が生じた年度には各契約
書所定の経営委任料が支払われたものとして会計処理がされているものの,既に前
契約の締結により,本件ゴルフクラブの営業目的のため組織化され,有機的一体と
して機能する財産が,本件ゴルフクラブの会員関係や従業員の雇用関係をも含め
て,実質的にみてAから被控訴人に移転したものということができ,Aと被控訴人
との間には,前契約により,本件ゴルフクラブの営業全部が譲渡されたのと同視す
べき実体関係が成立し,これが本件契約以降も引き継がれたものというべきであ
る。
 4 ところで,商法26条1項が営業の譲渡人の商号を続用する譲受人をして譲
渡人の当該営業上の債務を弁済する責任を負担させるものとした趣旨は,譲受人が
当該商号を続用することによって,営業上の債権者をしてみずからが債務者である
ような信頼を生じさせる外観的事実を作出したことにあるものと解される。
 しかるところ,以上説示したところによれば,Aと被控訴人との間には,前契約
により,本件ゴルフクラブの営業全部が譲渡されたのと同視すべき実体関係が成立
し,これが本件契約以降も引き継がれたものというべきであるが,前契約の締結後
現在に至るまで,被控訴人は,「株式会社道成寺カントリー」を商号として使用し
ており,Aの商号を続用するものではない。
 しかしながら,前記1及び2において認定した事実関係等によれば,本件ゴルフ
クラブは,その開場時から現在に至るまで一貫して,会則により定められた「道成
寺カントリークラブ」の名称で運営され,会報の発行や会員に対する年会費の請求
等が行われてきたのみならず,前契約により経営主体がAから被控訴人に移転した
後も,前契約書3条の規定にもかかわらず,被控訴人は,本件ゴルフクラブをその
名称である「道成寺カントリークラブ」の名称で経営してきた上,本件契約書3条
においては,被控訴人は本件ゴルフクラブの営業を現在のゴルフ場の名称である
「道成寺カントリークラブ」で経営するものと明記されているのであり,また,控
訴人らが平成12年6月ころ本件各預託金について返還交渉を行った際,本件ゴル
フクラブの担当者は,「道成寺カントリークラブ 和歌山事務所」とのみ記載され
た名刺を使用していたなどというのであるから,これらによれば,本件ゴルフクラ
ブの開場以来現在に至るまで,その経営主体は,本件ゴルフクラブの名称である
「道成寺カントリークラブ」をその営業を表示する名称として使用してきたものと
推認することができる。他方で,Aから被控訴人への経営主体の変更の事実のみな
らず旧道成寺からAへの経営主体の変更の事実も控訴人らを含む本件ゴルフクラブ
の会員には通知されなかったというのである。
 以上のとおり,前契約により実質的にみてAから本件ゴルフクラブの営業の移転
を受けた被控訴人において本件ゴルフクラブの営業を表示するものとして本件ゴル
フクラブの名称を続用し,しかも経営主体がAから被控訴人に変わった事実を本件
ゴルフクラブの会員に通知しなかったというのであって,ゴルフクラブの会員とそ
の経営主体との間の法律関係が専ら当該ゴルフクラブの会則等により規律されるこ
とにもかんがみると,被控訴人は,少なくとも控訴人らを含む本件ゴルフクラブの
会員に対する関係においては,みずからが債務者であるような信頼を生じさせる外
観的事実を作出したものということができる。これに加えて,被控訴人は,控訴人
らが本件ゴルフクラブの法人正会員契約を締結して資格保証金(本件各預託金)を
預託した当時の本件ゴルフクラブの経営主体(旧道成寺)と同一の商号(株式会社
道成寺カントリー)を使用していることをも併せ考えると,少なくとも控訴人らに
対する本件各預託金の返還債務については,たといAと被控訴人との間において被
控訴人が本件ゴルフクラブの会員に対する預託金返還債務を承継しない旨の合意が
されていたとしても,被控訴人は,商法26条1項の類推適用により,これを弁済
する責任を負うものと解するのが相当である。
 5 以上説示したところによれば,被控訴人に対しそれぞれ預託金1500万円
及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成12年11月11日から支払
済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める控訴人らの主
位的請求は,いずれも,その余の点について判断するまでもなく,理由がある。
 よって,以上と結論を異にする原判決を取り消し,控訴人らの主位的請求をいず
れも認容することとして,主文のとおり判決する。
     大阪高等裁判所第3民事部
         裁判長裁判官    岡   部   崇   明
裁判官    白   井   博   文
裁判官    西   川   知 一 郎

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