弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役七年に処する。
     原審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
     本件公訴事実中第二の窃盗住居侵入事件の公訴はこれを棄却する。
         理    由
 被告人及び弁護人の控訴趣意は各提出の控訴趣意書記載のとおりであるからこれ
を引用する。
 被告人及び弁護人の控訴趣意(いずれも原判示第一事実に対する事実誤認)につ
いて
 被告人及び弁護人は原判示第一の強盗傷人の事実を否認し原判決の認定は事実を
誤認したものであるというのであるが、しかし原判決挙示の証拠を綜合し仔細に検
討すると原判示第一の強盗傷人の事実を十分認められるのであつて、原判決に事実
の誤認はない。また弁護人の主張するように審理不尽の違法はない。論旨はいずれ
も理由がない。
 職権で調査するに、本件控訴事実第二は「被告人は昭和二十七年十一月十六日午
後一時三十分頃帯広市ab丁目c番地医師A便所窓より同家屋内に侵入し同人所有
の現金一千八百円余在中の財布一個スリツパ二足及び煙草光二個を窃取したもので
ある。」とし、罪名罰条としては、窃盗住居侵入刑法第二百三十五条、第百三十
条、第五十四条第一項後段を掲げているのであるが当裁判所において取調べた(法
廷外における事実の取調)被告人に対する当裁判所昭和二十八年(う)第二一一号
常習累犯窃盗被告事件の記録によると被告人に対し本件と同じく釧路地方裁判所帯
広支部に昭和二十七年十二月九日常習累犯窃盗として公訴の提起があり、その公訴
事実は
 被告人は(イ)昭和十六年九月三十日札幌区裁判所において窃盗罪により懲役二
年に(ロ)昭和二十一年十一月十六日帯広区裁判所において住居侵入窃盗罪により
懲役三年に(ハ)昭和二十四年三月二十五日釧路地方裁判所帯広支部において窃盗
罪により懲役二年に各処せられ当時その刑を受け終つたものであるが更に常習とし

 第一 昭和二十七年十月七日午後十時頃帯広市de丁目B工業所においてC所有
のリヤカー一台を窃取し
 第二 同月三十一日午前零時頃帯広市fg丁目h番地D方において同人所有の軍
手外三十六点を窃取し
 第三 Eと共謀の上昭和二十七年十一月十三日午前零時頃河東郡i市街F方にお
いて、同人所有のオーバー外二百七十点を窃取し
 たものである。
 として罪名罰条につき常習累犯窃盗、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第三条、
刑法第二百三十五条を掲げているのである。
 更に被告人に対し同裁判所支部に昭和二十八年一月十七日常習累犯窃盗として起
訴がありその公訴事実は、冒頭の前科の事実は前と同一であつて
 第一 被告人は
 (イ) 昭和二十七年九月二十八日午前一時頃帯広市jk丁目l番地G方におい
て同人所有の現金五百円位及びセーター、シヤツ類、革手袋等在中のボストンバツ
ク一個を窃取し
 (ロ) 同年十月三日頃同市mn丁目o番地H方店舗において、同人所有のスズ
ラン香水二本外化粧品十八点及び煙草光ピース合計二百五十本を窃取し
 第二 Eと共謀の上
 (イ) 同月二十二日午前一時頃中川郡p町q区I方において同人所有の現金一
万一千五百円位腕時計一個同バンド一個写真機二個風呂敷一枚を窃取し
 (ロ) 同月三十一日午前一時頃河西郡r町st丁目J方より同人並にK各所有
の自転車二台を窃取したものである。
 として、罪名罰条につき常習累犯窃盗、盗犯等の防止に関する法律第三条刑、法
第二百三十五条を掲げているのである。
 そして、原審は以上の二つの被告事件を併合審理して昭和二十八年三月四日常習
累犯窃盗として有罪の判決をしていることが明かである。
 元来盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条の常習累犯窃盗の罪は反覆累行し
て同条所定の条件による窃盗をなす習癖をいいその行為が数箇ある場合でも単純一
罪を構成するいわゆる集合犯であるからその同一性を害しない限りその公訴の効力
は事件即ち右公訴事実の全体に及びまた判決の既判力もその全体に及ぶのであつて
その公訴の効力の及ぶ範囲内において裁判所は検察官の請求があるときは起訴状に
記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならないし、また裁
判所は審理の経過に鑑み適当と認めるときは訴因又は罰条を追加又は変更を命ずる
ことができるのであるがその効力の及ぶ範囲内の行為と認められる限りその行為に
ついてはたとえ訴因を異にしても再度の公訴提起及び審判をすることは許されない
わけである。
 <要旨>そして常習累犯窃盗事件の公訴の効力及び判決の確定力の時的限界は事実
審理の可能性のある最後の時すなわち刑事訴訟法第三百十三条第一項の法意
よりして判決言渡の時を標準とすべきであつてそれまでに行われた行為については
公訴の効力及び判決の既判力が及ぶのである。
 ところで本件及び前記別件の記録によると本件における昭和二十八年四月九日付
起訴状によると本件窃盗の犯行は昭和二十七年十一月十六日であつて、同年十二月
九日付及び昭和二十八年一月十七日付の各常習累犯窃盗被告事件の犯行は、昭和二
十七年九月二十八日より同年十一月十三日までに至る七回に亘る犯行であつて原審
は弁論を併合して昭和二十八年三月四日有罪の判決をしているのである。本件窃盗
の犯行は右常習累犯窃盗事件の起訴状記載の最後の犯行の日より後の行為である
が、各常習累犯窃盗事件の起訴前の犯行でありまたその判決前の犯行であることが
明かである。そして本件第二の公訴事実は単純窃盗の訴因であつて、訴因を異にし
ているのであるが、事件としては常習累犯窃盗事件の公訴範囲内に属しこれに包含
される単一なものであり、公訴事実も同一性を具備するものであるから、同一事件
といわなければならない。それゆえ検察官において強いて本件の窃盗を審理の対象
とするを欲するならば叙上のとおり訴因の追加の手続を採るべきであつて、新に公
訴の提起は許されないのである。
 従つて本件公訴事実第二の窃盗事件は同一事件につき同一裁判所に二重に公訴の
提起があつたのであるから、後になされた本件窃盗の公訴は刑事訴訟第三百三十八
条第三号により判決をもつて棄却しなければならないわけである。然るに原審はか
かる措置を採らず、後になされた本件窃盗の公訴につき単純窃盗として審理をなし
有罪の判決をしたのは、不法に公訴を受理した違法があるので原判決は破棄すべき
である。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第三百七十八条第二号により原判決を破棄し、
同法第四百条但書により更に判決する。
 当裁判所の認定したる罪となるべき事実は原判示第一の事実のとおりであつて、
その証拠は原判決挙示の原判示第一の事実に対する証拠と同一であるから、いずれ
もこれを引用する。
 なお被告人は昭和二十四年二月二十五日釧路地方裁判所帯広支部で窃盗罪より懲
役二年に処せられ、本件犯行当時その執行を受け終つたものであることは、検察事
務官作成の被告人に対する前科調書及び被告人に対する身上調査に関する照会書の
回答により認める。
 法令の適用
 被告人の所為は刑法第百三十条第二百三十八条第二百四十條に該当するものであ
るが住居侵入の罪と強盗傷人の罪は手段結果の関係にあるので同法第五十四条第一
項後段第十条により重い強盗傷人の罪の刑により処断するものとしてその所定刑中
有期懲役を選択し、なお被告人には前科があるので同法第五十六条第五十七条第四
十条に則り累犯加重をなした刑期範囲内で被告人を懲役七年に処すべく、原審にお
ける訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項に従い全部被告人に負担せしめるこ
ととする。
 公訴棄却の理由
 前記説示の理由により刑事訴訟法第四百四条第三百三十八条第三号により本件公
訴事実中第二の住居侵入、窃盗事件の公訴はこれを棄却することとする。
 よつて主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 熊谷直之助 判事 成智寿朗 判事 笠井寅雄)
 (弁護人及び被告人の控訴趣意は省略する。)

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