弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人小町愈一、同木村賢三の上告理由第一点及び第二点について。
 被上告人(被告、被控訴人)Bが、本件不動産につき、上告人(原告、控訴人)
を登記義務者とする所論仮登記仮処分を申請し、その命令を得て所論仮登記手続を
実行するに当り、所論弁護士が同被上告人の申請代理人となり、次で本件不動産に
つき、上告人より同被上告人にその所有権移転の登記手続のなされた際には、同弁
護士が右本登記の義務者であつた上告人の申請代理人となり、更に上告人が右不動
産所有権移転の無効を理由としてその抹消請求のため提起した本訴において、同弁
護士が第一審及び原審を通じ、同被上告人の訴訟代理人となつて手続を進め、何れ
も勝訴の判決を得て居ること、所論の通りであり、第一審判決及びこれを引用する
原判決によれば、原審は、右本登記に関し同弁護士が上告人を代理してなした所有
権移転登記申請を以つて、上告人の既に負担して居つた登記義務を履行するために
なした単なる事実行為であつて、登記義務者の意思決定に立入るものでなかつたと
認定判断して居ること、明かである。しかも、かゝる登記申請の如き行為は、全く
機械的事務に属するのであつて、当時施行せられて居つた所論旧弁護士法二四条所
定の弁護士の職務の中に包含せられないものと解するのが相当である。
 それ故、同弁護士が、前記仮登記仮処分につき被上告人Bの申請代理人となつた
後、前記本登記につき上告人の申請代理人となつた関係においても、またこの申請
代理人となつた後、本訴に応ずるにつき同被上告人の訴訟代理人となつた関係にお
いても、同弁護士の行為に、所論の如く、双方代理を禁止する民法一〇八条の趣旨
に違反し、右旧弁護士法二四条一号に抵触する所為があるとは、解し得られない。
然る以上は、同弁護士が、本訴に応ずるにつき被上告人Bの訴訟代理人となるのも
亦適法であること、勿論であり、したがつて、所論の如くに、同弁護士に、訴訟要
件である適法なる訴訟代理資格を欠いて居たものとは、なし得ない。
 原判決は、これと同趣旨の判断をした第一審判決を引用して居るのであつて、正
当である。
 尤も、第一審判決及びこれを引用する原判決には、同弁護士に本件訴訟について
の代理資格がないとの所論主張を排斥する旨特に説明した迹は、これを見出し得な
いこと、所論の通りであるけれども、既に原審が、同弁護士は、本訴において被上
告人Bの適法なる訴訟代理人である旨判示して居る以上、自ら右主張を排斥して居
るものと解すべきである。また改正後の所論弁護士法二五条一号の規定は、所論旧
弁護士法二四条一号と趣旨において符合し、同一の解釈に帰するのであるから、原
審が右二五条一号の解釈を示して居らなくても、判決に影響を及ぼさない。
 されば、原判決に所論の如き違法あること見出し得ない。
 論旨は、すべて理由がない。
 同第三点の(一)について。
 所論の如き一般的採証法則の存在することは、到底これを認め得ない。論旨は、
独自の見解を前提として原判決を非難するものであつて、その前提においては既に
失当である。
 論旨は、理由がない。
 同点の(二)(三)について。
 論旨は、原審の経験則違反、採証法則違反、理由齟齬その他の違法を主張するけ
れども、その実質は、結局原審の裁量に委ねられた証拠の取捨判断、事実認定を非
難するに帰するものであつて、上告適法の理由とならない。
 論旨は、これを採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

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