弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士林徹の上告理由第一点について。
 原判決は、乙第八号証、甲第一号証の一並びに第一審における被告(被控訴人、
被上告人)本人の供述、本件調停条項第二項、第四項後段並びに甲第二号証の一等
によつて、本件調停成立にいたるまでの経過、他の調停条項との関連、その他諸般
の事情を斟酌し、当事者の意思を忖度して、本件調停条項第四項は、被控訴人が約
定の割賦金の支払を二回以上怠つたときは、本件売買契約は当然解除となるのでは
なく、むしろ、別段の催告をすることなく、控訴人(原告、上告人)は本件売買契
約を解除することができる趣旨であつたと解釈したものである。そして、その解釈
は、その証拠並びに説示に照しこれを首肯することができ、所論の違法は認め難く、
所論引用の判例は本件に適切でない。それ故、論旨は、採るを得ない。
 同第二点について。
 原判決の採用した第一審における被告(被控訴人、被上告人)本人の供述、乙号
各証、第一審証人D、Eの証言を綜合すれば、本件延滞割賦金支払の提供、供託、
判示当座預金額等に関する原判示事実認定を肯認することができ、右認定に反する
原審挙示の証拠は原判決の信用しなかつたところであり、また、所論他の社員の過
半数の決議のなかつた旨の主張は、原審でなされなかつたところである。そして、
原判決が認定した叙上の事実ならびに当事者間に争ない事実として確定した本件調
停の内容および右調停に基く土地代金支払の経緯等を勘案すれば、係争の小切手は
「支払の確実な小切手であり、かつ、従前から控訴人は、小切手による割賦金の支
払を異議なく受領していたことから考えれば、かかる小切手の提供は現金の提供と
同一視すべく、控訴人において受領の意思あれば、当然小切手金額は書き入れられ
る筈であつたから、このことはさまでとがめるにあたらず、翌日現金を提供したこ
ととあいまつて、適法な弁済の提供があつたものと認めるを相当とすべく、従つて、
控訴人において受領遅滞にあり、前記解除の意思表示は、その効力を生ずるに至ら
なかつたものと認むべき」旨の原判決の判断は、信義則に照らし、契約解除の意思
表示が効力を生じないとした点において、結局これを正当として首肯することがで
きる。所論引用の判例は、本件に適切でない。それ故、本論旨も採用できない。
 同第五点について、
 しかし、所論要素の錯誤の主張は、本件調停上の合意自体についてのみ問題とせ
らるべきであつて、本来登記とは何の関係もない。従つて調停で合意した土地と異
る他の土地につき登記がなされたとしても調停上の合意自体に要素の錯誤があると
はいえない。しかのみならず、原判決は、当審における控訴人本人の供述によれば、
控訴人が本件調停において、ともかくも更正前の調停調書記載の土地(すなわち第
一審判決添附別紙第二目録記載の土地)につき売買の合意をなしたことは、控訴人
の否定しないところであつて、仔細に成立に争ない甲第一号証の一、二につき更正
前の土地の表示と更正後の土地の表示とを比較対照するに、更正後の土地の表示は
更正前の土地の表示を現況土地目録としてこれに追加して登記簿上土地目録として
第一審判決添附の別紙第一目録記載(但しaなる記載を除く。)のように記載した
ものであり、両者地目坪数畝歩は多少異なるも、地番は同一なる事実を認めるに足
るべく、又本件売買の目的たる土地は現況宅地であつて登記簿上まだ地目変換手続
のなされてないことは控訴人の争わないところであるので、右調停調書による登記
をなすため当初の土地の表示を更正して現況土地目録と登記簿上土地目録とを併記
して土地の表示を更正することは、明白な誤謬として許さるべきところであるとい
うべく、控訴人の証拠によるも両者全然別異の土地であると認めることができず又
この点に関し控訴人に錯誤があつたと認めうべき証拠もないと判示し、さらに、所
論摘録のごとく、挙示の証拠によれば、本件一八二七番の一三の大部分及び同番の
一九の一部は道路になつていること、及び同番の一三の内四坪七合はFにおいて、
同一坪二合はGにおいてそれぞれ控訴人から賃借していることが明らかであつて、
右事実と前段認定の本件調停成立にいたるまでの経過に徴するときは、控訴人は少
くともF、Gに賃貸している部分は、本件売買の目的に含まれていないと思つてい
たのかも知れないのであるが、これは売り渡した土地の範囲、すなわち売渡土地が
現実どの部分に該当し、どの範囲に及ぶかの問題であつて、他日適当に調整すれば
足るべく、これがため契約全体を要素の錯誤として無効ならしめるにはあたらない
と判示しているのである。そして、挙示の証拠によれば、原審の右認定を肯認する
ことができ、その認定した事実関係の下における要素の錯誤にあたらないとする原
判決の判断は、これを是認することができる。されば、原判決には、所論の違法を
認め難く、所論引用の判例は、本件に適切でない。それ故、所論は採ることができ
ない。
 同第三点、第四点について。
 以上原判決の確定したところによれば、被上告人は、本件調停調書添附の目録(
第一審判決添附の第二目録)記載の土地につき、買受によつてその所有権を取得し、
その買受取得に基く所有権移転登記手続を上告人に対し請求する権利を有するもの
といわなければならない。従つて、本件抹消請求にかかる所有権取得登記(同第一
目録記載の土地に対するもの)は、その登記原因としての所有権の取得が前記第二
目録掲記の土地と同一性を肯定しうる土地の範囲の限度においては、既になされた
登記の効力の点から考え(仮りに、本論旨がその理由があつて、本件更正決定が違
法であり、従つて、これに基く登記申請は本来許されないものであつたとしても)、
これを登記原因ある有効な登記として維持しなければならないが、これが同一性を
認められない、換言すれば、本件調停上の合意の範囲外にある土地についての登記
は、結局登記原因を欠く無効な登記といわざるを得ない。しかしながら、本訴請求
は、別紙第一目録記載の土地が全体として原告の所有であることを前提とするもの
であつて、該土地又は調停条項に基く別紙第二目録記載の売渡土地の範囲の確定を
求めるものとは認められないから、原判決が前点で摘録したとおり、本件第一目録
記載の土地と第二目録記載の土地とが両者全然別異の土地と認められない旨認定し、
その認定が肯認される以上、原判決説示のごとくその土地の範囲は、他日適当に調
整すれば、足りるものとなさざるを得ない。従つて、所論は、結局原判決に影響を
及ぼさない法令違背の主張に帰し、上告理由として採るを得ない。
 よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決す
る。
 裁判官岩松三郎は、退官につき合議に関与しない。
 この判決は、その余の裁判官全員の一致の意見によるものである。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    入   江   俊   郎

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