弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人木原鶴松、同榎本精一の昭和三九年一二月一五日付上告理由書記載の
上告理由第一点および第二点について。
 原審がその挙示の証拠により確定した事実関係に照らせば、本件公売処分におい
て原判示三条物件が原判示(A)(B)建物とは切り離されて公売の対象から除外
された旨の原審の判断は、首肯するに足りる。然りとすれば、右三条物件を除外し
右建物のみについてなされた公売処分が違法であるか否かの問題は別として、現に
右公売の目的とされなかつた右三条物件が買受人たる上告人の所有に帰すべきいわ
れはない。従つて、原判決には所論の違法は認められないから、論旨は採用できな
い。
 上告代理人榎本精一、同木原鶴松の昭和三九年一二月一八日付上告理由書記載の
上告理由第一点について。
 原審の認定によれば、被上告人が訴外甲株式会社の代表取締役訴外乙と互に意思
を通じて撤去したのは原判示三条物件だけであり、しかも右三条物件については、
すべて工場抵当法三条の規定による目録が提出されていたが、本件公売処分にあた
つて右物件はいずれも公売の目的とされず、従つて上告人において右物件の所有権
を取得しなかつたというのである。論旨は、原審の認定にそわない事実を主張して、
原審の事実認定判断を非難するに帰する。なお、原判示(B)建物に備え附けられ
た所論設備物件が右建物の従物であるから上告人の右建物買受により右物件の所有
権が上告人に帰属した旨の論旨は、原審でなんら主張のなかつたところであるのみ
ならず、独自の見解であつて、採用するに足りない。
 同第二点について。
 所論三条物件が本件公売処分の目的から除外されていた旨の原審の判断が正当で
あることは、前記昭和三九年一二月一五日付上告理由書記載の上告理由第一点およ
び第二点に対する判断に説示したとおりである。論旨は、独自の見解に立つて、原
審の適法にした事実認定判断を非難するに帰し、採用し得ない。
 同第三点について。
 原判示三条物件が公売の目的とされなかつたことを理由に買受人たる上告人の右
物件の所有権取得を否定した原判決の判断が正当であることは、前記昭和三九年一
二月一五日付上告理由書記載の上告理由第一点および第二点に対する判断に説示し
たとおりである。右三条物件が原判示(B)建物の従物である旨、または附合によ
り右物件が右建物の所有権者たる上告人の所有に帰した旨の論旨は、原審でなんら
主張のなかつたところであるのみならず、独自の見解であつて採用するに足りない。
 同第四点について。
 論旨は、原審の認定にそわない事実を主張して、原審の適法になした証拠の取捨
判断、事実認定を非難するに帰するものであつて、採用し得ない。
 同第五点について。
 原判示(B)建物の損傷により上告人の原判示操業が不能に帰し、そのため上告
人が損害を蒙つたとしても、右損害はいわゆる特別事情による損害というべきもの
である旨の原審の判断は、原判示の事情のもとにおいては、正当と認められる。論
旨は、これと異なる独自の見解に立つて、原審の判断を非難するに帰し、採用する
に足りない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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