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平成15年1月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 高瀬美喜男
平成13年(ワ)第710号 損害賠償請求・同反訴各事件
(口頭弁論終結日 平成14年11月8日)
          判決
          主文
1 本訴原告(反訴被告)は,本訴被告(反訴原告)に対し,760万5000円及び
これに対する平成13年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員
を支払え。
2 本訴原告(反訴被告)の本訴請求を棄却する。
3 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,本訴原告(反訴被告)の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
          事実及び理由
第1 請求
 1 本訴請求
 被告(反訴原告,以下「被告」という。)は,原告(反訴被告,以下「原告」という。)
に対し,2000万円及びこれに対する平成13年2月4日(本訴状送達の日の翌日)
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 反訴請求
 主文同旨
 なお,被告は,平成14年11月8日付け準備書面(第5回口頭弁論期日において
陳述)において,被告が被った損害について1436万5000円と主張するが,訴え
変更(請求拡張)の手続が取られていない(また,不足分の印紙も貼付されていな
い。)ので,上記請求の限度で検討する。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,「ふわふわカウチソファー」(別紙(添付略)「商品の形態状況比
較表」上段の商品,以下「原告の商品」という。)を製造し,これを通信販売等してき
たところ,被告が「意見書」と題する書面(甲2,以下「本件意見書」という。)を通信
販売の仕入れ担当者あてに送付して原告を誹謗中傷するとともに,原告の商品の
通信販売を妨害したとして,被告に対し,不法行為に基づきその損害(得べかりし
利益(1500万円)と慰謝料(500万円)及びこれに対する本訴状送達の日の翌日
から民法所定年5分の割合による遅延損害金)の支払を求めた(本訴)のに対し,
被告が,原告の商品は被告が製造販売する「クッションタイプカウチソファー」(別紙
(添付略)「商品の形態状況比較表」下段の商品,以下「被告の商品」という。)の形
態を模倣したものであり,不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項3号に該当
する不正競争行為であるとして,原告に対し,法4条に基づき,その損害(得べかり
し利益及びこれに対する反訴状送達の日の翌日から民法所定年5分の割合によ
る遅延損害金)の支払を求めた(反訴)事案である。
1 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠等により認定)
(1) 当事者
ア 原告は,寝具・家具及びその資材の製造販売等を目的とする株式会社であ
る。
イ 被告は,いす及び家具類の製造並びに仕入れ販売等を目的とする株式会社
である。
(2) 原告の商品の販売等
ア 原告は,遅くとも平成12年9月1日ころから(証人A),原告の商品を製造し,
これを卸販売のほか通信販売の方法で販売してきた。
イ 通信販売は,株式会社読売情報開発通販事業部の営む読売ハロー通信販
売を利用して行われ,同社の発行する新聞折り込み広告に商品を掲載して電
話注文を受け,商品提供及び提携協力会社である株式会社ファミリーライフ
に原告の商品を納品して販売するというものであった。
ウ 後記(3)のとおり被告が本件意見書を通信販売の仕入担当者あてに送付し
たことから,ファミリーライフは,同年12月29日をもって原告の商品を読売ハ
ロー通信販売に掲載しなくなった(乙4)。
(3) 本件意見書の送付(甲2,弁論の全趣旨)
 被告は,平成12年11月29日ころ,本件意見書を読売ハロー通信販売の仕
入れ担当者あてに送付した。
 本件意見書には,以下のような記載がある。
ア 原告の商品は被告がデザインし販売している商品をそのままコピーした商品
と思われます。
イ 「読売」の名のもとにこのようなまったくのコピー商品を販売なさることに非常
な疑問と大きな憤り,失望を感じます。
ウ 販売部数日本一を誇る「読売」の名前の下でコピー商品を販売されることの
影響は多大なものがあり,黙認することはできません。
エ 弊社の信用を守るためにすべての合法的手段をもっての対応を考えさせて
いただきます
オ 低品質のコピー商品を販売することは,すべての人に不利益をもたらし,正
当な競争のもとで社会に貢献するという企業精神に反するものと考えます。
(4) 被告の商品の販売等(乙1,2,証人A,同B)
ア 被告は,平成11年2月1日,株式会社セゾンダイレクトマーケティング発行
のカタログで被告の商品を販売し始めた。
イ 被告は,平成12年7月5日と6日の両日,原告のショールーム(群馬県太田
市内)で行われた株式会社ジェフサセントラル主催のシミュレーションに被告
の商品を展示した。
2 争点及び争点に対する当事者の主張
(1) 被告は,本件意見書を読売ハロー通信販売の仕入れ担当者あてに送付する
ことにより,原告の名誉及び信用を毀損し,その業務を妨害したか。
【原告の主張(本訴請求の原因)】
ア 被告は,本件意見書を読売ハロー通信販売の仕入れ担当者あてに送付し,
原告の商品が被告のデザインし販売する商品をそのままコピーした商品であ
るとか,被告の商品より劣るなどと虚偽の事実を摘示して原告を誹謗中傷し,
その上で「低品質のコピー商品を販売することはすべての人に不利益をもた
らし正当な競争の下で社会に貢献するという企業精神に反」し,「販売部数日
本一を誇る読売の名前の下でコピー商品を販売されることの影響は多大なも
のがあり,黙認することはでき」ないので,被告の「信用を守るためにすべての
合法的手段をもっての対応を考えさせていただきます」と半ば脅迫し,読売ハ
ロー通信販売をして原告の商品の広告掲載を中止させて,原告の商品の通
信販売による販売を妨害した。
イ 被告の上記行為は,原告に対する誹謗中傷であり,自由競争として許容され
る範囲を逸脱したもので,原告の名誉及び信用を著しく毀損するとともに,そ
の業務を妨害するものであって,原告に対する不法行為を構成することは明
らかであるから,被告にはこれにより原告が被った損害を賠償する義務があ
る。
【被告の認否】
 アの事実中,「被告の商品より劣るなどと虚偽の事実を摘示して原告を誹謗中
傷し」,「半ば脅迫し,読売ハロー通信販売をして原告の商品の広告掲載を中止
させて,原告の商品の通信販売による販売を妨害した」との点は否認し,その余
の事実は認める。イは否認する。
(2) 原告の被った損害
【原告の主張(本訴請求の原因)】
ア 原告は,被告の誹謗中傷行為により読売ハロー通信販売から広告の掲載を
中止されるまで,原告の商品を月間約500台販売してきたものである。原告
の商品の1台の納品価格5500円のうち約45%に当たる2500円が原告の
利益であり,広告掲載中止後の原告の商品の販売予定期間を1年間とする
と,その間の損害は合計1500万円になり,原告は同額の損害を被った。
イ また,被告の原告に対する誹謗中傷行為は原告の名誉及び信用を毀損する
ものであり,原告はこれにより多大な苦痛を受けたものであって,その慰謝料
としては500万円が相当である。
(3) 原告の商品の販売は,法2条1項3号にいう不正競争となるか。
【被告の主張(本訴抗弁及び反訴請求の原因)】
ア 原告の商品は,被告の商品の形態を模倣したものであり,原告の商品の販
売は法2条1項3号に該当する不正競争である。
 すなわち,
(ア) 被告の商品はブルー,グリーン,イエローの3色の格子織りであり,その
生地はリップルといって株式会社幸和がカーテン用の生地として販売したも
のを被告がカウチソファーの生地として応用したものである。
そのリップルの特徴は,ポリエステル100%で汚れに強い撥水加工である
こと,格子の織り柄で,かつ同一の生地で色のバリエーションがある点にあ
る。
(イ) それだけでなく,被告は,平成12年7月5日,6日の両日,原告のショー
ルーム(太田市内)で行われたシミュレーションに被告の商品を展示し(前
提事実(4)),ジェフサセントラル(全国店舗数約130店)の販売する商品と
して採用された。
 したがって,原告は,遅くとも平成12年7月5日には被告の商品の形態を
知り得る状況にあったところ,原告の商品が販売されたのは,同年9月ころ
のことである。
(ウ) 被告の商品と原告の商品は,形態においてほぼ同一である。
すなわち,
a 幅130~180×奥行き69~103×高さ52という品質表示法にいう寸
法も全く同一である。
b フリルの縫製の仕方も特異なものであって同一性がある。
c クッションチップの形状も同一である。
d カバーの特異なデザイン(織り,柄,模様等)についても同一であって,
原告の商品の生地は幸和のオリジナル商品である新リップルを模倣した
外国製(台湾製と思われる。)のものである可能性が極めて高く,寸法の
みならず生地の織り柄まで同一性がある点は,全く偶然とはいえず,明
らかに原告の商品は被告の商品を模倣したものである。
e 被告が読売ハロー通信販売にあてた本件意見書の返答文書であるファ
ミリーライフの書簡における同社代表取締役Cの私見としても,被告の商
品と原告の商品とが類似商品であることを認め,読売ハロー通信販売を
通じての販売を自主的に中止している。
イ 被告は,読売ハロー通信販売に対して本件意見書を提出したときには,掲載
商品が原告の商品であるとは知らず,ファミリーライフからの返答文書を見て
初めて原告が製造した商品であることを知って驚いた。
ウ 被告は,平成13年3月7日に特許庁長官に対し被告の商品について意匠
登録出願をしたところ,同年10月2日に登録査定を受けた(乙8の1,2)。し
たがって,被告の商品の形状が新規かつ創作であることは明らかである。
 また,被告は,同年3月7日に特許庁長官に対し原告の商品について意匠
登録出願をしたところ,同年10月2日に被告の商品の関連意匠として登録査
定を受けた(乙9の1,2)。したがって,原告の商品の形状が被告の商品の形
状と類似することは明らかである。
【原告の認否,反論】
ア 原告は,被告の商品を模倣していない。被告の商品が従前からあったカウチ
ソファーに基づいて製造されたものであることは明らかである。被告の商品や
原告の商品と同様のカウチソファーは,3年以上前から外国ではもちろん,日
本国内でも販売されていた(甲7ないし13の各2,甲14ないし24,28参照)。
 被告の商品は「同種の商品が通常有する形態」であり(被告の商品は被告
が独自に開発した商品ではなく,カウチソファーにおいてありふれた形態であ
る。),原告の商品を販売しても不正競争に当たらない。
 この点について,被告はまずリップルという幸和のオリジナル製品を生かし
てカウチソファーの生地として開発したと主張する。しかし,リップルは中国や
台湾で製造されている汎用品であり,幸和のオリジナルでないことは被告も承
知しているはずであって,素材に独自性などない。カバーの特異なデザインと
の主張も同様である。次に,被告は商品のサイズに言及する。しかし,150幅
の生地を無駄なくカットする場合の寸法は同じであるから自然と同じ寸法にな
る。また,被告はフリルの縫製の仕方について特異なものという。しかし,耳付
フリルは座椅子でも何でも使っているものであって決して特異なものでもな
い。さらに,クッションチップについても,座布団を二つ置いたような形態はどこ
にでもある形態であって,被告の商品に独自性はない。
 ところで,甲28の表紙及び13頁右下の写真の商品(以下「甲28の商品」と
いう。)は脚部を除けば被告の商品と同様のものとなるところ,甲28は平成1
0年秋号であり,被告もこのカタログを見ているはずであるから,そもそも被告
がこの商品を模倣した可能性が高いといわざるを得ない。
イ 被告の行為(本件意見書の送付等)は,工業所有権や保護されるべき権利
を何ら有しないにもかかわらず,他社による類似した商品の販売を妨害して,
不法に自社商品の販売を独占しようとするもので,自由競争として許容される
範囲を逸脱しており,原告に対する不法行為を構成することは明らかである。
(4) 被告の被った損害
【被告の主張(反訴請求の原因)】
 被告の商品の製造原価(運賃込み)は6010円,販売価格は7700円であり,
1690円が1台当たりの利益である。原告は,原告の商品の製造販売を遅くとも
平成12年9月1日には開始しており,同日から平成13年5月31日まで月間約
500台を販売したとのことであるから,被告の受けた損害は760万5000円(1
690円×500台×9か月)である。
 なお,平成12年9月1日から平成14年1月31日(被告が被告の商品を販売し
始めてから3年後)までに,被告の受けた損害は1436万5000円(1690円×
500台×17か月)である。
第3 当裁判所の判断
1 原告は,被告が本件意見書を読売ハロー通信販売の仕入れ担当者に送付するこ
とにより原告の名誉及び信用を毀損し,その業務を妨害したと主張する。しかしな
がら,原告の商品の販売が不正競争となるのであれば,被告が本件意見書を読売
ハロー通信販売の仕入れ担当者に送付したとしても何ら違法なものとはいえない。
そこで,まず原告の商品の販売が不正競争となるか(争点(3))について検討する。
2 争点(3)(原告の商品の販売は不正競争となるか。)について
(1) 「他人の商品(最初に販売された日から起算して三年を経過したものを除く。)
の形態(当該他人の商品と同種の商品(同種の商品がない場合にあっては,当
該他人の商品とその機能及び効用が同一又は類似の商品)が通常有する形態
を除く。)を模倣した商品を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示
し,輸出し,若しくは輸入する行為」は,不正競争となる(法2条1項3号)。
(2) 乙3(別紙(添付略)「商品の形態状況比較表」),5の1,2,乙7,乙8及び9の
各1並びに証人A,同Bによれば,原告の商品と被告の商品の形態は些細な点
はともかくほとんど同一であると認められる。そして,この事実の外,前提事
実(4)イ記載の事実及び証人A,同Bによれば,原告は,原告の商品を販売する
際に,被告の商品の形態を十分に認識しており,しかもそれが既に販売されて
いることも認識していたものと認められるから,原告の商品は被告の商品の形
態を模倣したものと認めるのが相当である。
 なお,証人Aは,原告の商品と被告の商品とでは底面部分の縫製が違うと供
述するが,これは形態としての些細な違いをあたかも重大な違いであるかのよう
に供述するものであって(証人A,同B),原告の商品と被告の商品がほとんど同
一であることは動かしようのない事実である。
 また,原告は,甲28の商品は脚部を除けば被告の商品と同様のものとなるか
ら,被告の商品は甲28の商品を模倣したものであると主張する。しかしながら,
甲28(特に13頁右下イエローの商品の写真)からも明らかなとおり,甲28の商
品の背もたれ部はクッションを置いただけのものであり,甲28の商品の形態が
被告の商品の形態と異なることは明らかである。よって,原告の上記主張はそ
の前提を欠くから,採用することはできない。
(3) これに対し,原告は,被告の商品の形態はカウチソファーが通常有する形態に
すぎないと反論する。
 そこで,以下この点について検討する。
ア そもそも「カウチソファー」とは,背もたれと肘掛けが付いていてそれがリクラ
イニングし,ソファーにも簡易なベッドにもなる製品である(甲26,証人A)。
 そのため,カウチソファーを製造し,販売する業者は,上記のような限定され
た形態の中で自社の製品が消費者のニーズをつかみ,その販売数が増える
よう,自社の商品の特殊性を競い,他社の製品との差別化を図るべく商品の
開発を行っているといえる(証人A,同B)。
イ ところで,被告の商品には,以下のような点に特徴があるといえる(乙1,6,
7,証人B)。
(ア) 生地は,プリント生地ではなく無地で格子の織り柄模様(凹凸がある。)
であり,またポリエステル100%で汚れに強い撥水加工である。
(イ) サイズは幅130~180×奥行き69~103×高さ52である。
(ウ) フリルが付いている。
ウ これに対し,原告は,以下のとおり反論する。
(ア) 素材に独自性などない。また,カバーの特異なデザインとの主張も同様
である。
(イ) 150幅の生地を無駄なくカットする場合の寸法は同じである。
(ウ) 耳付フリルは座椅子でも何でも使っており,特異なものではない。
エ 確かに,被告の商品が有する上記各特徴の一つ一つを個別に取り出して,
各特徴ごとに同一の特徴を有する商品が既に存在するか否かを検討した場
合には,原告が反論するとおり同一の特徴を有する商品が既に存在する可
能性を否定することはできない。
 しかしながら,各特徴はその部分だけが独立して存在しても何ら意味を有す
るものではない(例えば,フリルだけがあっても,本体としての座椅子部分が
なければ商品として何ら意味をなさないことは明らかである。)。つまり,被告
の商品は個別の各特徴が総合され,統合されて1つのカウチソファーという商
品を形作っているのである。したがって,原告の商品が被告の商品とほとんど
同一である本件において問題とすべきは,個々の特徴が総合され,統合され
た一つのカウチソファーという被告の商品と,全体として同一の特徴を有する
商品が既に存在し,被告の商品の全体としての形態がカウチソファーという商
品が通常有すべき形態となっているのかどうかであって,原告が主張するよう
な個々の各特徴についてそれぞれ同一の特徴を有する商品が既に存在する
かどうかではない。
 このような観点から再度本件各証拠(特に甲7ないし13の各2,甲14ないし
24,28)を検討した場合,部分的に似たような形態(あるいは特徴)を有する
商品が既に存在することは間違いないが,全体として被告の商品とほとんど
同一の特徴を有する商品は原告の商品以外には存在しない。
 よって,本件全証拠によっても,被告の商品の全体としての形態がカウチソ
ファーという商品が通常有すべき形態であるとは認められない。
 そのため,被告の商品の形態はカウチソファーが通常有する形態にすぎない
との原告の上記反論は採用することができない。
(4) また,原告は,被告の商品や原告の商品と同様のカウチソファーは3年以上前
から外国ではもちろん,日本国内でも販売されていたので,本件では法2条1項
3号の適用がないと反論する。
 しかしながら,同条項の規定からも明らかなように最初に販売された日から起
算して3年を経過したものが「他人の商品」から除かれているのであるから,ここ
で問題となるのは被告の商品が販売されてから既に3年を経過していたかどう
かであって,カウチソファーという種類の商品が3年以上前から販売されていた
かどうかではない。
 そして,前提事実(4)記載のとおり,被告の商品が販売されたのは平成11年2
月1日であるから,最初に販売された日から起算して3年を経過するのは平成1
4年2月1日となるところ,被告が問題とするのは平成12年9月1日から平成13
年5月31日までの原告の商品の販売である。
 そのため,原告の上記反論も採用することはできない。
(5) したがって,被告の商品の形態を模倣した原告の商品の販売は不正競争であ
るから,原告は,原告の商品の販売により被告に生じた損害を賠償する責を負
うことになる。
3 争点(4)(被告の被った損害)について
 乙15(カウチソファ原価計算説明書)及び証人Bによれば,被告の商品1台当た
りの原価は6010円,販売価格は7700円とそれぞれ認められるから,両者の差
額1690円が被告の商品1台当たりの被告の利益と認められる。
 一方,証人A及び弁論の全趣旨によれば,原告は,原告の商品を遅くとも平成1
2年9月1日から平成13年5月31日まで9か月に渡り1か月当たり少なくとも500
台を販売したものと認められる。そして,上記2(2)で認定したとおり原告の商品は
被告の商品とほとんど同一であり,また,実際にも原告の商品を被告の商品と誤
認する事態が生じている(証人B)ことからすると,原告の商品の販売台数分だけ
被告の商品の販売台数が減少したものと認めるのが相当である。
 よって,原告の商品の販売により被告が被った損害は,760万5000円(1690
円×500台×9か月)と認められる。
 なお,被告が被った損害についての上記認定を覆すに足りる証拠はない。
4 原告の請求について
 上記2で認定したところによれば,原告の商品の販売は不正競争となるから,被
告が本件意見書を読売ハロー通信販売の仕入れ担当者に送付したことが違法と
はいえない。
 したがって,その余の点(争点(1)及び(2))について判断するまでもなく,原告の請
求は理由がない。
第4 結論
 以上によれば,被告の反訴請求は理由があるから認容し,原告の本訴請求は理
由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
      前橋地方裁判所民事第2部
            裁判長裁判官 東 條   宏
               裁判官 原   克 也
               裁判官 高 橋 正 幸

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