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平成15年(行ケ)第465号審決取消請求事件
平成16年4月8日口頭弁論終結
判決
原告X
訴訟代理人弁理士仲村晋一
被告ポロ・ビーシーエス株式会社
訴訟代理人弁護士山本忠雄
同安部朋美
同酒井一
主文
1特許庁が平成10年審判第35260号事件について平成15年
10月7日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1原告
主文と同旨
2被告
(1)原告の請求を棄却する。
(2)訴訟費用は原告の負担とする。
第2当事者間に争いのない事実
1特許庁における手続の経緯
被告は「POLO」の欧文字から成り,商標法施行令旧別表第17類,
「被服(運動用特殊被服を除く,布製身回品(他の類に属するものを除く,))
寝具寝台を除くを指定商品とする商標登録第2721189号商標昭()」,(
和56年4月6日商標登録出願,平成9年5月2日設定登録。以下,審決と同
様に「本件商標」という)の商標権者である。。
原告は,平成10年6月9日,本件商標の商標登録をすべての指定商品
に関し無効にすることについて審判を請求した。
特許庁は,これを平成10年審判第35260号事件として審理し,そ
の結果,平成15年10月7日に「本件審判の請求を却下する」との審決を,。
し,その謄本を,そのころ,原告に送達した。
2審決の理由
。,「()別紙審決書の写しのとおりである要するに請求人判決注・原告
は(1「POLO」は「スキー「テニス「ゴルフ」と同等の一つの「スポ,)」」
ーツ名」に過ぎない(2)請求人は,海外に実在する「ポロ・クラブ」と契。
約して,日本で商品化事業を行うことを希望しているが,本件商標が登録され
ている為,その計画を断念せざるを得ない状況であること(3)被請求人の。
。。,,姿勢は不健全なものであること等を主張しているしかしながら請求人は
「POLO」に関する実情を述べるのみで,本件商標の登録を無効とすべき請
求の理由を具体的に述べることなく,また,その違反適用条文を何ら示してい
。,。ないそうとすれば本件商標の無効理由は実質的に審理できないものである
したがって,本件審判請求は不適法なものであるから,商標法第56条におい
て準用する特許法第135条の規定により却下すべきものとする」というも。
のである。
第3原告主張の審決取消事由の要点
1審判における原告の主張について
,,,「「」「」原告は審決も述べるとおり審判においてPOLOはスキー
「テニス「ゴルフ」と同等の一つの「スポーツ名」に過ぎない」と主張した」。
のである。原告のこの主張は,その適用条文を明示していなくとも,平成3年
法律第65号改正前の商標法(以下「旧商標法」という)3条1項1号,2。
号,4号等の無効理由を主張したものであることが,明らかである。現に,原
告は,被告が有する商標登録第4172780号商標(本件商標と同一の文字
から成り,単に字体が異なる商標)についてなした無効審判請求事件(平成1
1年審判第35260号)においても,同様の主張をなしたのに対し,同事件
においては,同商標登録を無効とするとの審決がなされているのである。
2旧商標法4条1項10号,同15号の各規定違反について
本件商標は,旧商標法4条1項10号,同15号の各規定に違反して登
録されたものであるから,同法46条の規定により,その登録は無効とされる
べきである。
第4被告の反論の要旨
1審判における原告の主張について
原告の審判における上記の主張は,根拠となる条文が明示されていない
ので,無効事由が明確ではない。
2旧商標法4条1項10号,同15号の規定違反について
原告は、審判においては,旧商標法4条1項10号及び同15号の主張
をしていなかった。本訴において,同各号の規定に違反するとの主張をするこ
とは許されない。
第5当裁判所の判断
1審判における原告の主張について
原告が,審判において「POLO」は「スキー「テニス「ゴルフ」,「」」
と同等の一つの「スポーツ名」に過ぎない」と主張したことは,上記第2の。
2のとおり,審決自体が説示しているとおりである。この主張は,その根拠条
文が明確にされていないとしても,少なくとも旧商標法3条1項5号,6号等
の主張と解し得るものである。
旧商標法56条で準用する特許法135条は「不適法な審判の請求で,
あって,その補正をすることができないものについては,被請求人に答弁書を
提出する機会を与えないで,審決をもってこれを却下することができる」と。
規定している。審判における原告の上記主張は,根拠条文が明示されていない
など,不明確な面があることは否定し得ないとしても,同条にいう「その補正
をすることができないもの」に当たらないことは,明らかである。審決が,原
告の本件審判の請求が「その補正をすることができないもの」に当たるとし,
て,これを却下したことは誤りである。審判官(審判長)は,請求人(原告)
に対し,根拠条文その他の不明確な点を明確にするように求め,それでも請求
人がその主張を明確にしないときは,根拠条文が明示されていなくとも,請求
人の上記主張を旧商標法3条1項5号,6号等の主張であると理解することは
可能であったのであるから,請求人の主張をそのようなものと把握し,理解し
た上で,その主張について実体的な判断をすべきであったのである。
2結論
以上に検討したところによれば,審決の取消しを求める原告の請求には
理由があることが明らかである。そこで,これを認容することとし,訴訟費用
の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文の
とおり判決する。
東京高等裁判所知的財産第3部
裁判長裁判官山下和明
裁判官設樂隆一
裁判官若林辰繁

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