弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人平野安兵衛の上告理由について。
 農地を農地以外の土地に転用する目的のもとに売買契約を結んだ売主は、買主と
協力して農地法五条所定の知事に対する許可申請手続をして権利移転の許可を受け、
売買契約を効力あらしめるよう、信義則上要求されるところに従つて努力すべき義
務を当然に負うものであつて、この義務は、右許可を得るか、売主として当然にな
すべき叙上の努力をしても如何ともなしえない事由に基づく不許可処分があるまで
は、売主においてこれを免れることはできないものと解すべきである。
 本件において、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の確定し
たところによると、被上告人が上告人と連名で本件農地につき農地法五条所定の所
有権移転許可申請書を愛知県知事に提出したところ、被上告人の世帯員が他から小
作している農地があり、これを地主に返還するか、あるいは、本件農地の移転につ
き右地主が承諾するかが明らかにされないかぎり、許可を与えることはできないと
いう理由で、申請の任意撤回という形式のもとに、右申請書が返戻され、前記小作
地の地主が本件農地の所有権移転につき承諾を与える見込はなく、また、被上告人
が右小作地を地主に返還することもできない事情にある、というのである。原判決
は、右事実を前提として、被上告人が売主として許可申請手続をなすべき義務はそ
の履行を終り、また、本件農地の売買契約については、法定の条件たる知事の許可
を受けられないことが実質上確定したものとした。
 しかしながら、右返戻の理由とするところは、農地の転用に関する法定ないしは
当然の不許可事由とは認められず、手続上も申請の任意撤回という形式で処理され
ていることに徴すると、右返戻は、小作地の地主との関係の調整を試みることなく
して直ちに許可を与えることは実際上相当でないとの配慮に基づく便宜的な事実行
為であるにとどまり、その調整がつかない限り将来においても許可しない旨の確定
的な判断を示したものとは解されない。したがつて、叙上の認定事実から直ちに本
件売買契約について知事の許可を受けられないことが確定したものとすることはで
きず、原判決判示のとおり、返戻の趣旨にそつた調整をなしうる見込がないとして
も、被上告人はその事情を具して改めて申請手続をとり、知事の実質的判断に基づ
く正式な許否の処分を求める義務があるといわなければならない。
 してみると、原判決が、前記申請書の返戻によつて、本件農地の売買については
法定の条件の不成就が確定したものと判断したのは、その前提において、知事のな
した右返戻行為の解釈を誤り、ひいては理由齟齬の違法を犯したものというべく、
論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
 よつて、民訴法四〇七条一項により、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す
る。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎

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