弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人ら三名の控訴趣意第一点及び弁護人小野清一郎の控訴趣意書を補充する陳
述書中前段について、
 先ず所論のうち、刑法第二百十一条前段所定の業務上の過失は、業務の執行と直
接に関連したものでなければならないから、業務の執行と直接関連のない過失によ
つて人を死に致したときは、業務上の過失致死罪は成立しないとの主張につき案ず
るに、刑法第二百十一条前段にいう業務上の過失は、必ずしも業務の執行と直接に
関連あるものに限るべきではなく、例えばその過失行為が業務の目的範囲を逸脱す
るため業務の執行といえないばかりでなく、業務の執行と直接の関連のない場合で
あつても、苟くも外形上業務の執行との関連においてなされたものと認められる以
上、なおこれにつき業務上の過失をもつて論じ得るものと解するを相当とする。蓋
し、かかる場合を業務上の過失から除外することは、業務上の過失を通常の過失よ
り特別に重く処罰する法の目的に副わないからである。
 <要旨(イ)>いま本件についてみるに、原判決挙示の証拠によると、被告人は向
う十五日間の臨時憲兵として歩哨勤務を命ぜられ、銃及び銃弾を携帯
して歩哨の任務に従事中、歩哨の任務執行のためにするのではなく、却つて歩哨の
守則に違反して徒らに銃及び銃弾を弄び、その取扱上の過失によつて人を死に致し
たのであるから、右の行為は歩哨としての任務の執行といえないばかりでなく、そ
の任務の執行と直接の関連があるとはいえないけれも歩哨の任務を執行するための
銃及び銃弾の取扱(携帯操作)に関連してなされたものであることが外形上らかで
あるから、被告人に対し業務上の過失致死罪が成立するものといわねばならぬ。
 ところで、所論は、原判決は一方において本外が日米安全保障条約第三条に基く
行政協定第一七条第三項(a)(ⅱ)の公務執行中の作為又は不作為から生じた罪
ではないとしながら、他方においてこれを業務上過失致死罪で処断したのである
が、それは理由にくいちがいがあるといわねばならぬ。すなわち、若し、公務執行
中の作為又は不作為から生じた罪でないとするなら、通常の過失致死で処断すべき
であり、公務執行中の作為又は不作為から生じた罪であるとする場合に限り業務上
過失致死罪で処断することが可能であると主張するのである。
 よつて、案ずるに前示日米行政協定第一七条第三項(a)(ⅱ)の「公務執行中
の作為又は不作為」とは「公務執行の過程における作為又は不作為」を意味するも
のであつて、広く公務執行の時及び場所における作為又は不作為がすべてこれに包
含されるものではない。(昭和三十年三月三日最高裁判所第一小法廷判決、最高裁
判例集九巻三号四二六頁参照)
 <要旨(ロ)>そして、本件は歩哨勤務の時及び場所における行為ではあるが、歩
哨の目的を逸脱し、同目的とは関係なしに徒らに銃及び銃弾を弄ぶと
いう単なる個人的行為により惹起されたものであるから、公務執行の過程における
行為とはいえず、従つて日米行政協定第一七条第三項(a)(ⅱ)にいう公務執行
中の作為又は不作為には該当しないものといわねばならぬ。
 しかしながら、公務従つて業務の目的範囲を逸脱するため業務の執行といえない
ばかりでなく、業務の執行と直接関連のない行為についても、我が刑法上なお業務
上過失罪の成立し得るものと解すべきことは、さきに説示したとおりであるから、
原判決が一方において本件が日米行政協定第一七条第三項(a)(ⅱ)の公務執行
中の行為ではないとしながら、他方において業務上過失致死と断じたことをもつ
て、理由にくいちがいがあるとはなし得ないのである。所論はいずれも採用し難
く、論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 坂間孝司 判事 渡辺辰吉 判事 関重夫)

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