弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人山本茂夫の上告趣意第一点について。
 所論引用の大法廷の判例の趣旨とするところは、いわゆる喧嘩は、斗争者双方が
攻撃及び防禦を繰り返す一団の連続的斗争行為であるから、斗争のある瞬間におい
ては、斗争者の一方がもつぱら防禦に終始し、正当防衛を行う観を呈することがあ
つても、斗争の全般からみては、刑法三六条の正当防衛の観念を容れる余地がない
場合があるというのであるから、法律判断として、まず喧嘩斗争はこれを全般的に
観察することを要し、斗争行為中の瞬間的な部分の攻防の態様によつて事を判断し
てはならないということと、喧嘩斗争においてもなお正当防衛が成立する場合があ
り得るという両面を含むものと解することができる。
 しかるに原審が、控訴趣意を容れて一審判決を破棄する理由として判示するとこ
ろによれば、本件斗争関係の推移として、被害者Aはいわゆる遊人であつて、その
輩下を含めて何らかの理由により被告人の主筋に当るBないしその組織するE会に
敵意を抱いて居り、そのためはじめA側よりB一派に対し挑戦的態度に出で、Aま
たはその輩下によるE会々員Cに対する暴行、さらに自己及び輩下において刺身庖
丁を携帯し同会員D方に押し掛け同人を殴打する等、本件斗争関係がA一派の新開
一派に対する全く一方的攻撃に終始した集団的対立なることを示しながら、「かか
る事情の下においてはD救援が当面の目的であることは勿論だとしても被告人等に
おいてAと喧嘩斗争に至るやも知れないことは当然予期していたものと解するを相
当とする」と断じ、次いで両派の具体的な斗争関係を説明した後、末段において、
「そうだとすれば動機の曲直は何れの側にあるかは暫らく措き」と前提し、終局段
階におけるA対被告人の斗争を捉えて、「被告人とAとの間には後者が前者を蹴り
前者が後者の臀部を刺したことによつて喧嘩斗争は既に開始され」と判示し、結論
として、「Aの追跡、被告人のA刺殺は右斗争の延長でありその一部をなす攻撃防
禦であつて原判決のようにその一部を他から切り離して事を論ずることは事の真相
に徹しないものといわねばならない。そうだとすれば被告人の本件所為は喧嘩斗争
の一駒であり、これを組成する一攻撃に過ぎないものと云うべく素より正当防衛の
観念を容るる余地がない」と判断したのである。
 以上によつてみるときは、原審はAと被告人との間に判示のある特定の段階にお
いて喧嘩斗争が成立したものと認定し、喧嘩斗争なるがゆえに正当防衛の観念を容
るる余地がないと判断したことが認められるから、その結果として正当防衛はもと
より、従つてまた過剰防衛の観念もまた全く成立すべくもないとしてこのことに触
れなかつたものと認められるのである。このような原審判断は、喧嘩斗争と正当防
衛との関係について、ひつきよう喧嘩斗争を認めるにつき一場面をのみ見て斗争の
全般を観察しなかつたか、または喧嘩斗争には、常に全く正常防衛の観念を容れる
余地はないとの前提にたつたか、いずれにしても結局前記判例の趣旨に反するとい
うそしりを免れないのである。従つてかような判断に基く限り、本件につき少くと
も過剰防衛の有無ないし量刑についても影響あること論をまたないところであつて、
右判断は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから論旨は理由があり、原判決はこ
の点において破棄を免かれない。よつて爾余の論旨に対する判断を省略し、刑訴四
一〇条、四一三条により原判決を破棄し、本件を福岡高等裁判所に差し戻すべきも
のとし、裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 吉河光貞出席。
  昭和三二年一月七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    垂   水   克   己

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