弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由二の一について。
 論旨は、所得税法中に政府が所得の帰属を決定し得る旨の規定がないというので
あるが、同法四四条四項は、確定申告書提出義務者が申告書を提出しない場合に、
政府がその調査により決定する趣旨を規定しており、政府は、所得に関する金額の
みならず、何人の所得であるかをも決定できるものと解すべきは当然である。もと
より、政府は、何等の根拠もなく、自由に右の決定をなし得るものでないことはい
うまでもないことであつて、原判決も、所論のように、憲法、民法に関係なく所得
の帰属を判定できる旨を判示しているのではなく、また、調査をしないで決定でき
る旨を判示しているのではない。原判決は証拠に基いて、上告人及びその長男の農
業経営に関する各般の事実を認定し、農業経営の主体は、上告人の長男ではなく上
告人であると認め、また、被上告人が実体調査に基き上告人の農業所得を決定した
旨を認定し、よつて被上告人がした本件決定を是認したのである。所論憲法二九条、
三〇条違背の主張は、原判決認定と違つた事実を前提としているのであつて採用の
限りでない。
 同二の二について。
 論旨は、原判決は憲法及び所得税法に違背するというのであるが、要するに、上
告人長男は職業選択の自由を有し農業に従事しており、本件所得はその勤労による
所得であるから右長男の所得であつて上告人の所得ではないというのである。
 しかし、收入が何人の所得に属するかは、何人の勤労によるかではなく、何人の
收入に帰したかで判断されるべき問題である。原判決の認定するところによれば、
上告人の長男Dが上告人方の農業の経営主体で同人の業として農業が営まれている
とは認められず、上告人が経営主体であつたと推認できるというのであるから、本
件農業による收入は上告人に帰したものとすべきである。かく解したからといつて、
上告人の長男が所論のように奴隷的存在になるというわけではなく、上告人が長男
に賃金を支払つたと仮定しても、所得税法一一条の二により上告人の所得とは関係
がない。また、被上告人が実体調査の上、上告人の所得金額を決定したことも原判
決の認定するところである。論旨は、憲法、民法、所得税法等の多くの規定を引用
して原判決の法令違背を主張するのであるが、これらの規定の解釈について独自の
見解に立つか、あるいは原判決の認定と違つた事実を前提としているのであつて、
原判決に所論のような法令違背の違法はない。論旨は理由がない。
 同二の三について。
 論旨は、原判決は憲法、民法、労働基準法に反するというのである。しかし、本
訴の争点は、上告人方の農業收入が何人に帰したかであつて、上告人長男の上告人
に対する給与請求権の有無、労働基準法の賃金支払義務の存否ではないから、所論
民法、労働基準法違反の有無は本訴に関係がなく、また、違憲の主張もその前提に
おいて理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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