弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 一 弁護人高橋正八、同木戸弘の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、所論引
用の各判例は事案を異にして本件に適切でなく、その余の点は、単なる法令違反、
事実誤認の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。
 二 以下、所論にかんがみ職権で判断する。
 1 起訴状記載の公訴事実は、「被告人は、昭和五四年一月三日午後四時二〇分
ころ、業務として大型貨物自動車を運転し、千葉県船橋市ab丁目c番d号先の交
通整理の行われている交差点を習志野市方面から船橋市宮本方面に向かい進行中、
交通渋滞のため同交差点出口に設けられている横断歩道の直前に停止した後発進す
るにあたり、同交差点の対面信号機の表示に注意するとともに、自車直前の横断歩
道を横断する者の有無及び動静に留意し、その安全を確認して発進すべき業務上の
注意義務があるのにこれを怠り、前車の動きに気をとられ右信号機の表示に注意せ
ず、かつ、横断者の有無等その安全確認不十分のまま漫然時速約二、三キロメート
ルで発進した過失により、右横断歩道を信号に従い右から左に横断中のA(当時七
年)運転の自転車に気がつかず、同車に自車左前部を衝突転倒させたうえ、その右
腕を左後輪で轢過し、よつて同人に加療約一年八か月間を要し、肩関節部より前腕
中央部に至るケロイド形成等の後遺症を伴う右上腕骨骨折等の傷害を負わせたもの
である」というものであつたが、検察官は、第一次第一審の途中で、右公訴事実中、
「発進するにあたり、」の次から「轢過し」までの部分を、「自車の周辺を注視し、
歩行者、自転車等の有無及び動静に留意し、その安全を確認して発進すべき業務上
の注意義務があるのにこれを怠り、自転車等の有無等その安全確認不十分のまま漫
然時速約二、三キロメートルで発進した過失により、自車左方にいたA(当時七年)
運転の自転車に気づかず、同車に自車左側部を衝突転倒させ、その右腕を左後輪で
轢過し」とする旨の訴因の予備的追加請求をし、第七回公判において右請求が許可
された。
 第一次第一審裁判所は、起訴状の公訴事実として記載された本位的訴因を排斥し、
予備的訴因に沿う過失を認定して被告人を有罪とした。
 右判決に対して被告人のみが控訴を申し立てたところ、第一次控訴審裁判所は、
被告人に過失があつたとするには第一審で取り調べた証拠による限り合理的な疑い
が残るとして、第一審判決を破棄し事件を原裁判所に差し戻した。
 第二次第一審の公判において、検察官は、本位的訴因及び予備的訴因のいずれも
維持する旨釈明したところ、第二次第一審裁判所は、本位的訴因に沿う過失を認定
して被告人を有罪とし、原審裁判所もこれを支持した。
 2 本件の場合、本位的訴因の犯罪事実も予備的訴因の犯罪事実も同一の被害者
に対する同一の交通事故に係るものであり、過失の態様についての証拠関係上本位
的訴因と予備的訴因とが構成されたと認められるから、予備的訴因に沿う事実を認
定した第一審判決に対し被告人のみが控訴したからといつて、検察官が本位的訴因
の訴訟追行を断念して、本位的訴因が当事者間の攻撃防禦の対象から外れたとみる
余地はない。したがつて、第二次第一審裁判所が本位的訴因について審理、判決し
た点に違法はなく、これと同旨の原判断は正当である。
 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり決定する。
  平成元年五月一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    大   内   恒   夫
            裁判官    佐   藤   哲   郎
            裁判官    四 ツ 谷       巖
            裁判官    大   堀   誠   一

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