弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 論旨主張の要点は、別件課税処分取消、増加所得税債務不存在確認訴訟において
(一)被告たる国の指定代理人たる被上告人B1が課税原因たる所謂横流しの事実
をまず具体的に主張するを要するのに拘らず、そのことなくして証拠調(証人訊問)
の申出をし、裁判所はその証人訊問をなしたこと、(二)右証人たる被上告人B2
のなした証言は、(イ)係争事実に関係なく、(口)抽象的で具体性なく、(ハ)
伝聞先を明かにしない伝聞証言であることにおいて、証拠価値なきに拘らず、これ
を証拠として顕出せしめたことは適法な攻撃防禦の方法とは認められない。然るに
原判決は、これを適法であると判示しているのであつて、右原審の判断は訴訟法の
解釈を誤り且つ判例に違反するものであるというにある。
 しかし右(一)について、原審の判示したところによれば、横流しの主張は上告
人がこれに対し答弁し得ない程に抽象的なものではなく、これに関し証拠調に入る
に先だち裁判所が釈明権を行使するか否かは結局受訴裁判所の訴訟指揮権の範囲に
属し、自由心証の問題に帰着するのであつて、被上告人B1が横流しの主張をなし
これを立証するため証拠調の申出をすることは、前記別件訴訟における防禦方法と
して不適法なものということはできないというのであつて、右判断は正当であり所
論は採ることを得ない。なお、右に関連する上告理由第五ノ三の所論は、原審の判
示に副わない事項を前提として原判決を非難するに帰し、上告理由として不適法で
ある(原審は、被上告人B1のなした課税原因の主張についてのみ論旨指摘の判示
をしたのであつて、所得の発生原因のすべてについて何らの主張なくして証拠調の
申出をしても適法であるとしたものでないことは判文上明らかである。)。
 また右(二)(イ)については、前記別件訴訟における審判の範囲は横流しの事
実のみに限定せらるべきでなく、これと関連性ある事実は、その関連性の限度にお
いては審判の範囲に属するものと解すべきところ、論旨指摘の証言は直接間接に横
流しの事実を推測させる事実に関するものとみられるのであつて、その間に関連性
を認めうべく、これと結論を同じくする原判決には所論のような違法は認められな
い(右に関する所論引用の判例にいうところの係争事実とは関連性ある間接事実を
も含むと解すべきであつて、従つて原判決は、右判例にも違反するものではない。)。
(二)(ロ)については、上告人は原審において抽象的事実は証拠とすること能わ
ずとの学説判例を陳述したに止まり、所論証言がかかる証言に該当する旨の主張を
明らかにした形跡なく、従つて所論は原審においで主張判断のない事実に基づき原
判決を非難するに帰し上告理申として不適法である。(二)(ハ)については、伝
聞先を明らかにしない伝聞証言であるからといつて、その一事をもつて証拠能力が
ないとすることはできず、原審の認定した事実によれば、本件証言においては単に
徴税の便宜上伝聞先を明にしないのにすぎず、かような証言の証拠力の有無は、事
実審裁判所の自由心証に委ねられていると解すべきであり、従つて、かような証言
も適法な防禦方法たるを失わないとした原判決には所論のような違法なく、右に関
する論旨引用の判例は、空漠たる風聞が証拠力を有しないと判示したものであるか
ら、本件には適切でない。
 以上説明をした以外の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に
関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号ないし三号のいずれにも該
当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認めら
れない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛