弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人中沢喜一、同後藤正三の上告理由第一、二点について。
 記録によると、原審で上告人は被上告人に対し所論のように借地法一〇条による
建物買収請求の意思表示をしたことは認め得るけれど、その代金の支払あるまで当
該建物を留置する旨の抗弁を主張したことを認むべき証跡は存在しない。さればた
とい右建物の買収請求により上告人と被上告人との間に当該建物につき売買契約を
したのと同様の法律上の効果を生じ、建物の所有権は被上告人に移転し、上告人は
被上告人に対しこれが引渡義務を、また被上告人は上告人に対しこれが代金支払義
務をそれぞれ負担することとなり、従つて当然に上告人において被上告人がその代
金の支払をなすまで右建物の上に留置権を取得するに至つたとしても、前説示のよ
うに上告人において該権利を行使した形跡のない以上、原審がこれを斟酌しなかつ
たのはむしろ当然であり原判決には所論第一点のような違法があるとはいえない、
けだし、権利は権利者の意思によつて行使され、その権利行使によつて権利者はそ
の権利の内容たる利益を享受するのである。それ故留置権のような権利抗弁にあつ
ては、弁済免除等の事実抗弁が苟くもその抗弁を構成する事実関係の主張せられた
以上、それがその抗弁により利益を受ける者により主張せられたると、その相手方
により主張せられたるとを問わず、常に裁判所においてこれを斟酌しなければなら
ないのと異なり、たとい抗弁権取得の事実関係が訴訟上主張せられたとしても権利
者においてその権利を行使する意思を表明しない限り裁判所においてこれを斟酌す
ることはできないのである。(民訴一八六条参照)。そしてまた当事者の一方が或
る権利を取得したことを窺わしめるような事実が訴訟上あらわれたに拘わらず、そ
の当事者がこれを行使しない場合にあつても、裁判所はその者に対しその権利行使
の意思の有無をたしかめ、或はその権利行使を促すべき責務あるものではない。さ
れば論旨第二点も理由なきものである。
 同第三点について。
 原判決は上告人が本件建物を間接に占有していることを認定しているのであり、
この事実認定は肯認するに難くないのである。所論は適法になされた原審の事実認
定を非難するに帰着し上告適法の理由とならない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛