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平成25年6月20日判決言渡
平成24年(行ケ)第10311号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成25年6月4日
判決
原告日本写真印刷株式会社
訴訟代理人弁理士山田卓二
和田充夫
岡部博史
稲葉和久
伊藤晃
被告特許庁長官
指定代理人清水稔
山田正文
田部元史
堀内仁子
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1原告の求めた判決
特許庁が不服2012-10565号事件について平成24年7月23日にした
審決を取り消す。
第2事案の概要
本件は,特許出願拒絶審決の取消訴訟である。争点は,①本願発明の解釈の誤り
の有無,②周知技術認定の誤りの有無,③容易想到性判断の誤りの有無及び④手続
違背の有無(拒絶理由通知の要否)である。
1特許庁における手続の経緯
原告は,平成23年4月28日,名称を「相互静電容量方式タッチパネル」とす
る発明について特許出願(特願2011-101926号,請求項の数10,甲7)
をし,同年8月29日付けで拒絶理由の通知を受け(甲9),同年11月7日付けで
特許請求の範囲の全文変更等の補正をしたが(請求項の数6,甲8),同年12月8
日付けで拒絶理由の通知を受け(甲10),平成24年2月28日付けで拒絶査定を
受けたので(甲11),同年6月6日,不服の審判請求をした(不服2012-10
565号,甲12)。
特許庁は,平成24年7月23日付けで「本件審判の請求は,成り立たない。」と
の審決をし,その謄本は同年8月7日原告に送達された(本件訴訟提起・平成24
年9月5日)。
2本願発明の要旨
本件出願に係る発明は,これを簡約にいえば,相互静電容量方式(相対する複数
の電極の間の静電容量の変化を測定することで検知点を特定する方式)のタッチパ
ネルの骨見え現象(透明電極のパターンが視認されてしまう現象)を低減させるた
めに,タッチ面側にある上部の電極同士及びその対向面側にある下部の電極同士を
それぞれ近付けて配置するとともに上部の電極側に所定の規則性をもった開口部を
設けるとする発明であり,上記1の平成23年11月7日付け手続補正書による補
正後の請求項1の発明(本願発明)に係る特許請求の範囲の記載は,次のとおりで
ある(甲8,段落符号は本判決で付した。)。
【A】透光性電極材料により大略帯状に形成され,第1の方向に沿って互いに平行
に配置された複数の下部電極と,
【B】透光性電極材料により大略帯状に形成され,第1の方向と交差する第2の方
向に沿って互いに平行に配置されるとともに,下部電極よりもタッチ面側に配置さ
れた複数の上部電極と,を備え,
【C】隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する上部電極同
士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣
接する下部電極同士が近づいて配置され,
【D】上部電極と下部電極との交差部分において,上部電極に同じ大きさおよび形
状を有する複数の開口部が第1および第2の方向に配置されて形成され,
【E】上部電極の全体において,それぞれの開口部が第2の方向に沿って一定の間
隔で配置されている,
【F】相互静電容量方式タッチパネル。
3審決の理由の要点
(1)引用発明
引用例(特開2010-250770号公報,甲1)には,次の発明(引用発明)
が記載されていることが認められる(段落符号は本判決で付した。)。
【Ⅰ】透明電極であって,ストライプ状であって,水平方向xに延在している複数
の対向電極と,
【Ⅱ】透明電極であって,ストライプ状であって,垂直方向yに延在している複数
の検出電極と,を備え,
【Ⅲ】スリットは,各検出電極の内部において,垂直方向yに延在しており,複数
が,垂直方向yおよび水平方向xにおいて,間を隔てて並ぶように設けられ,矩形
状のスリットが格子状に形成されている,
【Ⅳ】検出電極に設けられたスリットを介したフリンジ電界を生ずることにより,
被検知体の有無による静電容量の変動が大きくなり,タッチセンサの検出感度を向
上させることができる,
【Ⅴ】静電容量型のタッチセンサからなるタッチパネル。
(2)一致点
本願発明と引用発明との一致点は,次のとおりである。
【ア】透光性電極材料により大略帯状に形成され,第1の方向に沿って互いに平行
に配置された複数の下部電極と,
【イ】透光性電極材料により大略帯状に形成され,第1の方向と交差する第2の方
向に沿って互いに平行に配置されるとともに,下部電極よりもタッチ面側に配置さ
れた複数の上部電極と,を備え,
【ウ】上部電極と下部電極との交差部分において,上部電極に同じ大きさおよび形
状を有する複数の開口部が第1および第2の方向に配置されて形成され,
【エ】上部電極の全体において,それぞれの開口部が第2の方向に沿って一定の間
隔で配置されている,
【オ】相互静電容量方式タッチパネル。
(3)相違点
本願発明と引用発明との相違点は,次のとおりである。
本願発明では「隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する
上部電極同士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁が確保できる
程度に,隣接する下部電極同士が近づいて配置され」たもの(【C】)であるのに対
し,引用発明(引用例)にはその様な構成(記載)がない点。
(4)相違点の判断
審決は,次のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受ける
ことができないとした。
透明電極の設けられていない領域をできるだけ少なくすることで均一な視認性を
確保することは,周知例1(特開2006-344163号公報「静電容量型タッ
チパネル」,甲2),周知例2(特開平2-30024号公報「透明タツチパネル」,
甲3),周知例3(特開平11-40351号公報「発光表示パネルおよびその製造
方法」,甲4),周知例4(特開2010-2958号公報「静電容量型入力装置お
よび入力機能付き表示装置」,甲5)及び周知例5(特開2010-86498号公
報「表示装置」,甲6)に記載されるように周知技術であり,引用発明において,上
記周知技術を適用し,相違点に係る本願発明の構成(【C】)とすることは,当業者
が容易に想到し得たものである。
なお,審決は,相違点中の「電気的絶縁が確保できる程度」の間隔の意義につい
て,次のように説示している。
「電極間の電気的絶縁が確保できるように電極を配置するのは自明のことであるが,本願の
明細書段落(【0044】)には,上部電極の間隔について『上部電極50の幅は,隣接する上
部電極50間の間隙よりも大きく形成されている。すなわち,(上部電極50の幅寸法/(上部
電極50の幅寸法+上部電極50間の間隙寸法)が少なくとも50%を超えるように形成され
ている。』と記載され,本願発明における『電気的絶縁が確保できる程度』の間隔とは,『電気
的絶縁が確保できる』最小の間隔ではなく,ある程度の余裕を持たせた間隔を意味していると
解される」(審決10頁)
第3原告主張の審決取消事由
1取消事由1(本願発明の解釈の誤り)
審決は,相違点中の「電気的絶縁が確保できる程度」の間隔について,本願明細
書段落【0044】の記載を引用して,これを,『電気的絶縁が確保できる最小の間
隔』ではなく,『ある程度の余裕を持たせた間隔』を意味していると解釈した。
しかしながら,本願明細書段落【0044】の記載からは,電極の幅寸法と隣接
する電極間の間隔寸法との相対的な関係を把握することができるものの,電極間の
間隔の絶対的な寸法を把握することはできない。
本願発明における隣接する上部電極間の間隔及び隣接する下部電極間の間隔は,
本願明細書段落【0055】に具体的な寸法が記載されているとおり,透光性電極
材料をエッチングして形成する場合に製造上求められる加工制約や透光性電極材料
の電気的絶縁を確保するための電気的な特性から決定される可能な限り狭く設定さ
れた間隔であり,審決が認定判断したようにある程度の余裕を積極的に含むように
決定された間隔ではない。
したがって,「電気的絶縁が確保できる程度」の間隔を,『電気的絶縁が確保でき
る最小の間隔』ではなく『ある程度の余裕を持たせた間隔』とした審決の認定判断
には誤りがある。
2取消事由2(周知技術の誤認)
(1)周知例1~5
審決は,周知例1~5の記載から「透明電極の設けられていない領域をできるだ
け少なくすることで,均一な視認性を確保すること」を周知技術と認定した。
しかしながら,これは,周知例1~5の具体的な記載内容である電極の配置構成
や検出方式を離れて各技術内容を抽象化又は上位概念化して,透明電極が用いられ
るあらゆる形態の装置において当該技術内容を周知技術とするものであり,引用発
明のような静電容量方式であって電極が交差配置構造をとり,上部電極の間の間隙
の大きさが検出機能に影響するタッチパネルにおいては,かような抽象化又は上位
概念化された技術内容を周知技術とすることはできない。均一な視認性を確保する
という解決課題自体は,タッチパネルであれば共通のものであるとしても,その解
決手段はすべての方式・構造で共通ではない。各周知例についてみれば,次のとお
りである。
周知例1(甲2)記載の静電容量型タッチパネルは,光通過性を有さない金属細
線からなる網目構造の電極が1層のみ設けられた構成であり(【0020】【002
1】【0023】),引用発明のように透光性電極による電極の交差構造が採用されて
いない。それにもかかわらず,審決は,上記網目構造の電極間のスリット幅の寸法
についての技術内容を抽象化又は上位概念化して上記周知技術を抽出した。
周知例2(甲3)記載のタッチパネルは,対向配置された2枚の透明電極が物理
的に接触することにより位置検出をする抵抗膜方式タッチパネルを開示するもので
あり(2頁右上欄15~19行,4頁右上欄6~11行),引用発明のような検出電
極と対向電極との間の静電容量の変化を測定する相互静電容量方式タッチパネルと
は検出方式が全く相違する。抵抗膜方式の場合,電極同士が電気的に導通されてい
なければ足り,電極間の間隙の大きさが位置検出に実質的に影響を与えることはな
い。
周知例3(甲4)に記載されているのは,タッチパネルとは異なるエレクトロミ
ネセンス(EL)発光表示パネルであり,透明電極層を1層のみ配置する構成であ
り(【0001】【0021】),引用発明のように複数の電極が交差配置された構成
は採用されていない。それにもかかわらず,審決は,透明電極層を微小な空隙(分
割線)により互いに分離して,分割線が肉眼では認識できないようにするという技
術内容を抽象化又は上位概念化して上記周知技術を抽出した。
周知例4(甲5)記載のタッチパネルは,第1と第2の各透明電極層をタッチ面
側に同一層により形成された構成を採用するものであり(【0027】【0051】),
引用発明のように電極を検出電極と対向電極に分ける構成は採用されていない。周
知例4のような平面配置構造の場合,第1電極から第2電極へと向かうように形成
され,電気力線を遮るような構造物が存在しないため,電極同士が電気的に導通さ
れていなければ足り,その間の間隙の大きさが位置検出に実質的に影響を与えるこ
とはない。それにもかかわらず,審決は,透光性導電膜が存在しない領域にダミー
パターンを形成して電極パターンの存在を目立たなくするという技術内容を抽象化
又は上位概念化して上記周知技術を抽出した。
周知例5(甲6)記載のタッチパネルは,タッチ位置の検出に用いられる電極部
分が,X電極とY電極とが交差していない部分とする構成を採用しているのであり
(【0016】【0018】),引用発明のようにタッチ位置の検出に用いられる電極
部分が電極同士が交差している部分とする構成とは異なる。それにもかかわらず,
審決は,隣接するX電極とY電極との間隔にダミーの電極を配置してその間隔が肉
眼で見えてしまうことを抑制するという技術内容を抽象化又は上位概念化して上記
周知技術を抽出した。
したがって,周知技術を誤認した審決の結論は誤ったものである。
(2)追加周知例(周知例6)に対して
被告は本件訴訟で周知例6を追加した。周知例6(特開2009-259003,
乙1)に記載されているのは,電極の交差配置構造を有する静電容量方式タッチパ
ネルではあるが,周知例6には,電極間の間隔を3mmとする記載があり(【004
9】),このような間隙寸法は,本願明細書の実施例の10倍であって間隙における
空間の幅を明確に視認できるような寸法である。そうすると,周知例6に電極間の
間隙を狭くして均一な視認性を確保するという技術内容が開示されているとはいえ
ない。
3取消事由3(容易想到性判断の誤り)
(1)検出方式又は電極の配置構成の相違
審決の認定した「透明電極の設けられていない領域をできるだけ少なくすること
で,均一な視認性を確保する」技術は,一般的,横断的な周知技術ということはで
きない。周知例1~5と引用発明とは,タッチパネルの検出方式または電極の配置
構成において互いに相違する。
したがって,周知例1~5に記載の技術内容を引用発明に適用する動機付けは存
在しない。
(2)解決課題の相違
引用発明は,高精度の検出を実現する装置を提供することを目的とする発明であ
り,周知例1~5と引用発明とは解決課題が異なる。
引用例(甲1)には,透明電極である検出電極及び対向電極の視認性に関する記
載は一切存在しない。引用例の「【0017】また,検出電極をITOなどの透明電
極として形成する場合において,より高い透明度を確保しようとする場合には,検
出電極の比抵抗が大きくなってしまうので,時定数の増加が生ずる。このため,検
出時間が長くなる場合がある。」との記載は,ITO自体の光学特性に言及するもの
であり,透明電極同士の重なりの有無による透明度の差異について言及したもので
はない。
したがって,周知例1~5に記載の技術内容を引用発明に適用する動機付けは存
在しない。
(3)阻害要因
審決の認定した周知技術は,「透明電極の設けられていない領域をできるだけ少な
くすることで,均一な視認性を確保する」というものであるが,引用発明は,透明
電極である検出電極に積極的に開口(スリット)を設け,タッチセンサの検出感度
を向上させるようにするものである(【0137】~【0143】)。
したがって,引用発明は透明電極が形成されていない領域を積極的に形成しよう
とする技術思想に基づくものであり,上記周知技術と相反する技術内容をその課題
解決手段として採用するものであるから,引用発明に当該周知技術を適用する阻害
要因が存在している。なお,上記周知技術は,利用者に視認されるタッチパネル全
体において透明電極が設けられていない領域をできるだけ少なくすることで均一な
視認性を確保するものであって,当該周知技術を引用発明における電極間の間隔な
どという特定の領域(【0078】【0207】)のみに適用できるものではない。
(4)小括
したがって,本願発明を引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到す
ることができるとした審決の判断は,誤りである。
4取消事由4(手続違背)
本願発明の「隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する上
部電極同士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁が確保できる程
度に,隣接する下部電極同士が近づいて配置され」たもの(【C】)との構成に対し,
平成23年12月8日付けの拒絶理由通知(甲10)では「電極間の幅や間隙等に
おいて・・・・・格別な相違は見いだせない」と,拒絶査定(甲11)では「各電極間の
距離がどの程度であるかを特定したことにならない」として,本願発明の上記構成
は引用発明との相違点ではないか又は引用発明から容易に想到であると判断してい
る。これに対し,審決では,上記構成を本願発明と引用発明との相違点と明確に認
めたが,上記相違点に係る構成に対し,審決で初めて引用された周知例1~5に基
づく周知技術を適用して容易想到であると判断した。この審決における認定判断の
理由は,拒絶査定における認定判断の理由とは明らかに相違する。
原告は,本願発明と引用発明との間に電極間の間隙の点について相違点が存する
ことが明らかになれば拒絶査定の理由が解消するものと信じて,拒絶査定不服審判
の請求を行っていたものである。
また,拒絶理由に示されていない周知技術を適用するのは,①拒絶理由を構成す
る引用発明の認定上の微修正に用いる場合,②容易想到性の判断の過程で補助的に
用いる場合,又は③関係する技術分野で周知性が高く技術の理解の上で当然又は暗
黙の前提となる知識として用いる場合に限られるが,本件ではどの場合にもあたら
ない。
したがって,本件においては,拒絶査定不服審判において拒絶査定の理由と異な
る理由を発見した場合にあたるということができ,原告の意見を述べる機会や補正
の機会を与えなかった本件審判手続には,特許法159条2項で準用される同法5
0条の規定に違背する瑕疵がある。
第4被告の反論
1取消事由1(本願発明の解釈の誤り)に対し
審決は,相違点中の「電気的絶縁が確保できる程度」の間隔について,本願発明
は,電気的絶縁が確保できれば電極間の間隔は求められる光学特性の好ましさに応
じてある程度の余裕を持たせた間隔にとどめてもよいことを意味していると解釈す
るのが合理的であるとして,『電気的絶縁が確保できる最小の間隔』ではないとした。
本願発明の技術的意義は「【発明の効果】【0021】・・・・・上部電極間および下部
電極間の間隙を狭くして,間隙を目立ちにくくできる。・・・・・」との点にあるから,
本願明細書段落【0044】の記載は,電極の幅寸法と隣接する電極間の間隔寸法
との『相対的な関係』を説明しているのではなく,電極間の間隔の『絶対的な寸法』
を説明していることは明らかである。
本願明細書段落【0055】の記載は,単位寸法(電極間の間隔)を決定するに
当たり,製造上求められる加工制約に違反したり,透光性電極材料の電気的絶縁の
確保を無視できないという当業者に自明な事項を述べた記載にすぎず,本願発明に
おける「電極間の電気的絶縁が確保できる程度」の「程度」を解釈するための指針
となる記載ではない。
したがって,「電気的絶縁が確保できる程度」の間隔を『電気的絶縁が確保できる
最小の間隔』ではなく,『ある程度の余裕を持たせた間隔』とした審決の認定判断に
は誤りはない。
2取消事由2(周知技術の誤認)に対し
(1)周知例1~5
タッチパネルにおいて均一な視認性が得られないという現象は,タッチパネルの
具体的な電極の配置構成や検出方式から離れ,およそ透明電極を用いた場合には,
透明電極の透明度が十分でないために共通して現れる欠点であり解決課題である。
したがって,審決の認定した技術,すなわち透明電極の設けられていない領域をで
きるだけ少なくすることで透明電極層が配されている箇所と透明電極層が配されて
いない箇所との透明度(透明性)の差に起因する視認性の不均一さを目立たなくし
て均一な視認性を確保するという技術自体は,透明電極を用いる場合において,タ
ッチパネルの具体的な電極の配置構成や検出方式を離れて一般的に適用できる技術
である。
周知例2によれば,タッチパネルにおいて均一な視認性が得られないのは,透明
電極自体の透明度(透明性)が十分でないため,透明電極層が重なって配されてい
る箇所,透明電極層が一層のみ配されている箇所及び透明電極層を配していない箇
所のそれぞれの透明度(透明性)に,人間が認識しうる程度の差が生じてしまうこ
とに起因するものであることが分かる。
したがって,審決の認定した周知技術に誤りはない。
(2)追加周知例(周知例6)
周知例6(特開2009-259003,乙1)には,光の透過量の差によって
ディスプレイの表示品位が悪くなることは,抵抗膜方式,静電容量方式といったタ
ッチパネルの検出方式に依らない共通の解決課題であり,電極の無い箇所を非常に
小さくすると,電極の配置構成の違いとは関係なく,電極の有無によるタッチパネ
ルの表示品位低下を防ぐことができることが記載されている(【0003】~【00
08】【0045】【0049】【0050】)。周知例6からみて,審決の認定した周
知技術がタッチパネルの検出方式や電極の配置構成に関わらない技術であり,引用
発明にも当然に適用し得るものであることは明らかである。
3取消事由3(容易想到性判断の誤り)に対し
(1)検出方式又は電極の配置構成の相違
審決が認定した「透明電極の設けられていない領域をできるだけ少なくすること
で,均一な視認性を確保する」技術は,個々のタッチパネルにおける具体的な電極
の配置構成や検知方式の相違から離れた,一般的,横断的な周知技術であって,引
用発明のような電極の配置構成と検出方式のタッチパネルにも適用できる。
(2)解決課題の相違
引用例(甲1)には,「【0017】また,検出電極をITOなどの透明電極とし
て形成する場合において,より高い透明度を確保しようとする場合には,検出電極
の比抵抗が大きくなってしまうので,時定数の増加が生ずる。このため,検出時間
が長くなる場合がある。」と検出電極の透明度が不十分であることの認識が示されて
いる。透明電極層が重なって配されている箇所,透明電極層が1層のみ配されてい
る箇所及び透明電極層が配されていない箇所それぞれの透明度(透明性)に人間が
認識しうる程度の差が生じてしまうことは,当業者に広く認識されていたことであ
る。
(3)阻害要因
引用発明が開口(スリット)を設けるとした箇所は各検出電極上である一方(【0
208】),引用発明に審決が認定した周知技術が適用される箇所は,検出電極間の
間隔又は対向電極間の間隔であるから(【0078】【0207】),両者は全く別の
領域を意味し,引用発明に審決が認定した周知技術の適用を阻害する要因は存在し
ない。
むしろ,引用例の段落【0016】及び【0142】の教示に従って,スリット
を設けつつ検出電極の全体の幅を太くすれば,検出電極同士の間隔は狭くできるの
であるから,審決が認定した周知技術と引用発明とは親和性を有する。
(4)小括
したがって,本願発明を引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到す
ることができるとした審決の判断に誤りはない。
4取消事由4(手続違背)に対し
拒絶査定(甲11)の備考欄には「しかしながら,骨見え,すなわち透明電極に
よる見え方(光学特性)と,各電極間の電気的絶縁性との間には何等の因果関係も
存在せず,単に各電極間の電気的絶縁の状態を特定したところで,特に骨見え対策
としての各電極間の距離がどの程度であるかを特定したことにならない」との記載
は,本願発明と引用発明とが同一であることを説示しているのではなく,両者の構
成が異なっていることを前提としつつ,「電気的絶縁性」と「光学特性」とは異質の
特性であることから,電気的絶縁性に依っただけでは光学特性に関係する骨見え対
策としての各電極間の距離を特定するのに十分ではなく,その結果,引用発明との
相違があるとは認められないことを原告に教示したものである。
また,拒絶査定の備考欄の「引用例1には,・・・・・隣接する上部電極間の電気的絶
縁が確保できる程度に,隣接する上部電極同士が近づいて配置され・・・・・本願請求項
1に係る発明と格別相違しない。」との記載も,電気的絶縁性だけでは本願発明と引
用発明との構成上の差異が明確にできないことを述べたものである。
そうすると,拒絶査定及び審決とは,本願発明と引用発明との間に電極の間隔(各
電極間の距離)について「電気的絶縁が確保できる程度」との要件が付されている
か否かの違いはあるが,その相違は『格別とは認められない』との判断に立脚して
いる点で,基本的に一致している。
審決で認定した周知技術は,およそ透明電極を用いる技術分野全般にわたり横断
的に通用する一般的な技術であり,文献等を示すまでもなく当業者ならば当然に知
っているはずの事項であるから,そのような周知技術を用いることについて原告に
対し意見を述べる機会や補正の機会を与えなかったとしても,適正手続の保障に欠
けることはない。
したがって,本件審判手続に手続的瑕疵はない。
第5当裁判所の判断
1本願発明について
(1)本願明細書の記載
本願明細書(甲7,8)には次の記載がある。
「【技術分野】【0001】本発明は,タッチパネルにおいて指などの操作物体が接触したパ
ネル上の位置を相互静電容量方式により感知する相互静電容量方式タッチパネルに関する。」
「【発明が解決しようとする課題】【0008】・・・・・相互静電容量方式タッチパネルでは,タ
ッチ面側から上部電極と下部電極との電極パターンが見えてしまうという現象,いわゆる骨見
え現象が生じる。このような骨見え現象は,電子デバイスにおいてタッチパネルを通して視認
される映像に対して視覚的な影響を与える場合があり,骨見え現象を低減させることが求めら
れている。」
「【発明の効果】【0021】本発明によれば,隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保でき
る程度に,隣接する上部電極同士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁が確
保できる程度に,隣接する下部電極同士が近づいて配置されていることにより,上部電極間お
よび下部電極間の間隙を狭くして,間隙を目立ちにくくできる。さらに大略帯状に形成された
上部電極と下部電極との交差部分において,上部電極に複数の開口部が形成されているため,
開口部が形成されていない交差部分に比して交差部分を視覚的に目立たなくすることができる。
よって,相互静電容量方式タッチパネルにおいて,上部電極および下部電極の電極パターンの
骨見え現象を低減できる。」
「【0027】・・・・・タッチパネル1の電極パターンでは,上部電極20の幅が下部電極10
と実質的に同程度の幅に形成されている点において,従来のタッチパネル501の電極パター
ンとは相違している。具体的には,隣接する下部電極10間の間隙11は,下部電極10間の
電気的絶縁が確保できる程度に狭く形成されており,同様に,隣接する上部電極20間の間隙
21は,上部電極20間の電気的絶縁が確保できる程度に狭く形成されている。すなわち,上
部電極20間の間隙21は,上部電極20の幅よりも十分に狭く形成されている。【002
8】・・・・・タッチパネル1の電極パターンでは,上部電極20間の間隙21と下部電極10間の
間隙11とが,互いの電気的絶縁が確保できる程度に狭く形成されているため,間隙11,2
1を目立ちにくくでき,上部電極20および下部電極10の端縁の輪郭を目立ちにくくするこ
とができる。したがって,図11の従来のタッチパネル501の電極パターンと比較して明ら
かなように,タッチパネル1では,電極パターンの骨見え現象を低減させることができる。【0
029】・・・・・タッチパネル1では,骨見え現象を低減することができるものの,タッチパネル
に本来求められる検知機能が低下するという問題が生じる。・・・・・隣接する上部電極20間の間
隙21が,下部電極10間の間隙11と同程度に狭く形成されているため,指などの物体2が
上部電極20に近づいた場合であっても,電気力線Lが上部電極20間の間隙21を通過して
物体2へと向かうことができない場合がある。・・・・・【0030】そこで,本発明の実施の形態
のタッチパネル31では,・・・・・タッチパネル1と同様に,・・・・・互いに隣接する上部電極50
間の間隙51は,互いに隣接する下部電極40間の間隙41と同程度,すなわち電気的絶縁が
確保できる程度に狭く形成されている。【0031】上部電極50と下部電極40との交差部分
33では,上部電極50に複数の開口部52が形成されている。この開口部52の形状として
は,様々な形状を採用できる・・・・・」
「【0035】まず,開口部52の1つ目の役割は,電極パターンの骨見え現象を低減させる
役割である。・・・・・交差部分33に複数の開口部52が形成されることにより,交差部分33自
体を視覚的に目立たなくすることができる。」
「【0038】次に,開口部52の2つ目の役割は,タッチパネル31に本来的に求められる
検知機能を確保することである。タッチパネル31では,上部電極50の間隙51が,下部電
極40の間隙41と実質的に同程度に狭めて形成されているが,交差部分33において,開口
部52が電気力線Lを通過させる役割を担うことにより,物体2がタッチ面側に接触したこと
を確実に検知することができる。」
「【0044】また,本実施の形態では,上部電極50の幅は,隣接する上部電極50間の間
隙よりも大きく形成されている。すなわち,(上部電極50の幅寸法/(上部電極50の幅寸法
+上部電極50間の間隙寸法))が少なくとも50%を超えるように形成されている。(上部電
極50の幅寸法/(上部電極50の幅寸法+上部電極50間の間隙寸法))が80%を超えるよ
うにすることが好ましく,さらに(上部電極50の幅寸法/(上部電極50の幅寸法+上部電
極50間の間隙寸法))が90%を超えるようにすることがより好ましい。」
「【0055】・・・・・上部電極120および下部電極110の形状について寸法例を用いて詳
細に説明する。上部電極120の幅W11および下部電極110の幅W12は共に4.3mmに形
成されており,隣接する上部電極120間の間隙D11および隣接する下部電極110間の間隙
D12は共に0.3mmとなっている。なお,本実施例1では,この0.3mmという寸法が単位
寸法となっており,この単位寸法は,例えば,ITOをエッチングして上部電極120および
下部電極110を形成する場合に製造上求められる加工制約(すなわち,最小加工スペースの
制約など)や,透光性電極材料の電気的絶縁を確保するための電気的な特性から決定すること
ができる。」
(2)本願発明の技術的課題と解決手段
本願発明は,指などの操作物体が接触したパネル上の位置を相互静電容量方式に
より感知する相互静電容量方式タッチパネルに関するものであり(【0001】),上
部電極に複数の開口部が形成されるとともに,隣接する上部電極間の電気的絶縁が
確保できる程度に上部電極同士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的
絶縁が確保できる程度に下部電極同士が近づいて配置されていることにより,間隙
を目立ちにくくさせて骨見え現象を低減させるとともに(【0008】【0021】
【0027】),このとき,間隙が狭くなると下部電極から上部電極へ向かう電気力
線が間隙を通過できなくなって検出感度に問題が生じることから(【0029】),上
部電極に開口部を設けることで(【0031】),間隙を目立ちにくくするとともに
(【0035】),この開口部に電気力線を通過させる役割を担わせることによってタ
ッチ面への物体の接触を確実に検知することができるよう構成したものである(【0
038】)。
2取消事由1(本願発明の解釈の誤り)について
(1)請求項の記載
原告は,本願発明では,隣接する電極間の間隙は加工制約や電気的特性に基づい
て『電気的絶縁が確保できる最小の間隔』として決定されるものであり,審決の解
釈するように『ある程度の余裕を持たせた間隔』として積極的に間隔を含むよう決
定されるものではない旨を主張する。
しかしながら,「程度」とは,「①物事の高低・強弱・優劣などがどのくらいかと
いう度合。②適当と考えられる度合。ころあい。ほど。」を,「余裕」とは「必要な
分のほかに余りにあること。また,その余り。」をそれぞれ意味する語である(広辞
苑第6版参照)。審決が「本願発明における『電気的絶縁が確保できる程度』の間隔
とは,『電気的絶縁が確保できる』最小の間隔ではなく,ある程度の余裕を持たせた
間隔を意味していると解される。」(審決10頁)として隣接する電極間の間隙を『あ
る程度の余裕を持たせた間隔』と説示したのは,電極間に積極的にある程度の間隔
を持たせるとの意ではなく,隣接する電極間の間隔が電気的絶縁が確保できる『最
小の間隔ではない』(最小の間隔以上)ということを単に言い換えたにすぎない。
したがって,審決が,本願発明【C】中の「電気的絶縁が確保できる程度」をあ
る程度の余裕を『積極的に含む』(最小の間隔を除く)ように間隔を決定すると解釈
した,との原告の主張は,採用することができない。
(2)「電気的絶縁が確保できる程度」の構成について
原告が援用する本願明細書段落【0055】の記載は,「なお,本実施例1では,
この0.3mmという寸法が単位寸法となっており,この単位寸法は,例えば,・・・・・
製造上求められる加工制約(すなわち,最小加工スペースの制約など)や,透光性
電極材料の電気的絶縁を確保するための電気的な特性から決定することができる。」
とするのみであり,単位寸法は,光学的特性の観点から間隙を目立ちにくくするた
めの開口部の大きさの基準となることがあるが(【0032】【0036】【0066】),
『電気的絶縁が確保できる最小の間隔』との観点から規定されているとはいえない。
したがって,本願明細書段落【0055】の記載は,本願発明における「電極間の
電気的絶縁が確保できる程度」の解釈の根拠とはならない。
むしろ,上記1(2)の本願発明の特徴並びに本願明細書段落【0044】に「上部
電極50の幅は,隣接する上部電極50間の間隙よりも大きく形成されている。す
なわち,(上部電極50の幅寸法/(上部電極50の幅寸法+上部電極50間の間隙
寸法))が少なくとも50%を超えるように形成されている。」と記載され,電極間
の間隙が電極の幅との相対関係にありかつ一定の上下幅も許容していることを参酌
すると,本願発明における「電気的絶縁が確保できる程度」とは,電気的絶縁が確
保されることを前提に,電極間の間隙が電極の幅よりも十分に狭く形成されること
によってその間隙を目立ちにくくできる程度に電極同士を近づけて配置する以上の
ことを意味するものではないと解するのが相当である。そして,電気的絶縁が確保
されることを前提に光学的特性の観点から電極間の間隙を目立ちにくくできる程度
に近付けて配置した間隔は,『電気的絶縁が確保できる最小の間隔』以上の幅となる
から,その間隔には,『電気的絶縁が確保できる最小の間隔』に比して一定の余裕を
生じることも含む。
(3)小括
以上のとおりであり,審決が,本願発明の構成【C】にある「電気的絶縁が確保
できる程度」を『電気的絶縁が確保できる最小の間隔ではない』としたのを誤りと
することはできない。
よって,取消事由1は理由がない。
3取消事由2(周知技術の誤認)について
(1)周知例の記載
原告は,審決が周知例1~5の記載から「透明電極の設けられていない領域をで
きるだけ少なくすることで,均一な視認性を確保すること」を周知技術と認定した
のは,技術内容を抽象化又は上位概念化したものであり,この技術は引用発明に係
る技術分野の周知技術ではない旨を主張する。
周知例1~5には次のとおりの記載がある(下線及び強調は本判決で付したも
の。)。
①周知例1(特開2006-344163号公報,甲2)
「【0048】また,上記透光性電極透光性電極透光性電極透光性電極については,スリットによって開口部外周を形成する導導導導
電部電部電部電部をををを区切区切区切区切るるるることにより,特定入力領域および該領域から電極端子までの回路パターンを構成
することができる。【0049】図7〔判決注省略〕は導電部3をスリット6が通過する部分
を拡大して示したものであり,Sはスリット幅を示し,Saは網目寸法を示している。この場
合の網目寸法とは,網目における対角線長さを示している。【0050】上記スリット幅Sは,
20μm~網目の最大寸法の範囲に設定することが好ましく,スリットスリットスリットスリット幅幅幅幅SSSSがががが20202020μμμμmmmmにににに満満満満たたたた
ないとないとないとないと製造製造製造製造がががが困難困難困難困難になりになりになりになり,,,,スリットスリットスリットスリット幅幅幅幅SSSSがががが網目網目網目網目のののの最大寸法最大寸法最大寸法最大寸法をををを超超超超えるとえるとえるとえるとスリットスリットスリットスリットがががが目立目立目立目立ってってってって,,,,デデデデ
ザインザインザインザイン性性性性がががが損損損損なわれるなわれるなわれるなわれる。」
②周知例2(特開平2-30024号公報,甲3)
「〔2頁左上欄11行~右上欄8行〕透明電極基板の透明度は透明電極を配している個所,例
えば第1図の2,第2図の2〔判決注いずれも省略〕に示した個所の方が配していない個所
3より悪くなる。従って従来の透明タッチパネルは第3図〔判決注省略〕でわかるようにタ
ッチスイッチ構成部では透明電極透明電極透明電極透明電極がががが2222枚重枚重枚重枚重なるなるなるなる部分部分部分部分1111のののの透明度透明度透明度透明度がががが最最最最もももも悪悪悪悪くくくく,,,,次次次次いていていていて一方一方一方一方のののの透明透明透明透明
電極基板電極基板電極基板電極基板のののの透明電極層透明電極層透明電極層透明電極層にににに他方他方他方他方のののの透明電極基板透明電極基板透明電極基板透明電極基板のののの非透明電極部非透明電極部非透明電極部非透明電極部がががが重重重重なっているなっているなっているなっている個所個所個所個所2222のののの透明度透明度透明度透明度がががが
悪悪悪悪くくくく透明電極層透明電極層透明電極層透明電極層をををを配配配配していないしていないしていないしていない個所個所個所個所3333同士同士同士同士がががが重重重重なっているなっているなっているなっている部分部分部分部分のののの透明度透明度透明度透明度がががが最最最最もももも良良良良いいいいものになっ
ている。(本発明が解決しようとする問題点)前記の如く,従来の透明タッチパネル例えばCR
T画面を透視した場合,透明電極部2は特に透明電極部2が重なった個所1の透明性が透明電
極2の無い部分3より顕著に劣るため均一均一均一均一なななな視認視認視認視認性性性性がががが得得得得られずられずられずられずCRTCRTCRTCRT画面画面画面画面がががが見苦見苦見苦見苦しというしというしというしという問題問題問題問題
があった。これは透明タッチパネルとしては好しくないものである。」
「〔3頁右上欄7~17行〕透明電極部と透明電極部以外の部分の透明度を等しくする方法と
しては電極部形成時に電極部以外の部分も同じ材料,同じ条件で同時に製膜することが工程簡
略状好ましいが,この際,透明タッチパネルのスイッチ1の機能や位置を阻害しないようにす
るには,タッチスイッチ1を形成する透明電極部2とそれ以外の部分4との間に分離帯5を施
す必要がある。分離帯分離帯分離帯分離帯5555ははははその部分の透明導電層透明導電層透明導電層透明導電層をををを一般に知られている適宜の方法を用いてエエエエ
ッチングッチングッチングッチング除去除去除去除去するするするすることによって設けることができる。」
「〔3頁左下欄2~11行〕この分離帯分離帯分離帯分離帯5の透明度は優れているが,そのそのそのその巾巾巾巾はははは極極極極めてめてめてめて狭狭狭狭くするくするくするくする
ことができるので,全体の視認性視認性視認性視認性にににに関関関関しししし見映見映見映見映をををを損損損損なうなうなうなう程程程程のものでないのものでないのものでないのものでない。・・・・・この分離帯5は,
今一方の透明電極基板の分離帯5とは交差することとなるため,この交差点6の透明度はタッ
チスイッチを構成する部分の透明度に比べ著しく高いが,面積面積面積面積がががが微小微小微小微小であるため,見映見映見映見映をををを損損損損なななな
ったりったりったりったり,,,,不快感不快感不快感不快感をををを与与与与えることはないえることはないえることはないえることはない。」
③周知例3(特開平11-40351号公報,甲4)
「【0031】透明電極層4は微小な空隙6によって互いに分離された複数の面領域に分割さ
れている。分割は,具体的には,透明電極層透明電極層透明電極層透明電極層のののの各領域各領域各領域各領域が,電気的電気的電気的電気的にはにはにはには実質的実質的実質的実質的にににに絶縁絶縁絶縁絶縁されるが分分分分
離線離線離線離線がががが肉眼肉眼肉眼肉眼ではではではでは認識認識認識認識できないようにできないようにできないようにできないように行行行行うううう。」
④周知例4(特開2010-2958号公報,甲5)
「【0010】静電容量型入力装置では,透光性基板を平面視したときに,入力領域内には,
第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを構成する透光性導電膜透光性導電膜透光性導電膜透光性導電膜がががが存在存在存在存在すすすす
るるるる領域領域領域領域と,かかる透光性導電膜透光性導電膜透光性導電膜透光性導電膜がががが存在存在存在存在しないしないしないしない領域領域領域領域があって,これらの領域の間には反射率反射率反射率反射率のののの差差差差
があって,第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの存在が目立ってしま
うが,本発明では,第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを構成する透
光性導電膜が存在しない領域には,第1の透光性電極透光性電極透光性電極透光性電極パターンパターンパターンパターンおよび第2の透光性電極透光性電極透光性電極透光性電極パターパターパターパター
ンンンンと同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターンダミーパターンダミーパターンダミーパターンがががが形成形成形成形成されている。このため,本発
明によれば,第第第第1111のののの透光性電極透光性電極透光性電極透光性電極パターンパターンパターンパターン,第第第第2222のののの透光性電極透光性電極透光性電極透光性電極パターンパターンパターンパターン,およびダミーパターンダミーパターンダミーパターンダミーパターン
のいずれもが存在存在存在存在しないしないしないしない領域領域領域領域がががが極極極極めてめてめてめて狭狭狭狭いいいいため,第1の透光性電極パターンおよび第2の透光
性電極パターンの存在存在存在存在がががが目立目立目立目立たないたないたないたない。それ故,静電容量型入力装置における入力面とは反対側
に画像生成装置を重ねて配置したときでも,静電容量型入力装置を介して画像生成装置を見る
者に対して品位の高い画像を提供することができる。」
⑤周知例5(特開2010-86498号公報,甲6)
「【0019】・・・・・図4〔判決注省略〕に示す電極では,浮遊電極4を配置しなかった場
合,隣接するYYYY電極電極電極電極1111ととととXXXX電極電極電極電極2222とのとのとのとの間隔間隔間隔間隔8888がががが広広広広くなるくなるくなるくなる。前述したようにY電極1とX電極2
とは透明導電膜によって形成されるが,この間隔8には,絶縁膜とガラス基板とが形成されて,
透明導電膜が無い領域となる。透過率,反射率及び反射光の色度に関し,透明導電膜がある部
分と無い部分とで差が生じるために,間隔間隔間隔間隔8888がががが肉眼肉眼肉眼肉眼でででで見見見見えてしまいえてしまいえてしまいえてしまい,,,,表示表示表示表示するするするする画像画像画像画像のののの品質品質品質品質をををを下下下下
げるげるげるげる。【0020】我々の検討では,間隔8が30μmの場合は間隔は薄く見え,20μmでは
ほぼ見えなくなった。また10μmでは見えない結果となった。」
また,本件訴訟で周知例として追加された周知例6(特開2009-25900
3,乙1)には,次の記載がある。
「【0003】タッチパネルの種類としては,抵抗膜方式,静電容量式,表面弾性波式,赤外
線方式などがある。抵抗膜方式にはアナログ式とマトリクス式があり,・・・・・。【0004】・・・・・
従来の抵抗膜方式のタッチパネル100は,・・・・・第1基板12と第2基板14のそれぞれ
(に)・・・・・縞模様の電極106,108を形成し,・・・・・電極106,108同士が交叉する
ように両基板12,14を一定間隔で対向させることによって製造できる。・・・・・第1基板12
を指で触れることによって第1基板12が撓み,両電極106,108が接触する。接触時の
電位の変化した箇所を検知することによって,タッチパネル100の座標を検出することがで
きる。【0005】しかし,いずれの電極106,108も厚みは一定であるため,電極10
6,108の交叉箇所とそれ以外の箇所とでトータルトータルトータルトータルのののの電極電極電極電極のののの厚厚厚厚みがみがみがみが異異異異なりなりなりなり,,,,光光光光のののの透過量透過量透過量透過量にににに差差差差
ができるができるができるができるため,ディスプレイ26の表示が見難く表示品位が悪い。【0006】静電容量式の
タッチパネルも抵抗膜方式と同様にアナログ式とマトリクス式があり,・・・・・【0007】・・・・・
従来の静電容量式のタッチパネル110は,・・・・・帯状の電極群116,118を形成し,・・・・・
第1電極116と第2電極118は直交するように形成されている。操作者の指がタッチパネ
ルに近接すると,第1電極群116,第2電極群118の内,指が接近した近傍の電極の静電
容量が変化する。静電容量式タッチパネルは,その静電容量の変化を検出して直交する座標を
求める。【0008】しかし,静電容量式静電容量式静電容量式静電容量式ののののタッチパネルタッチパネルタッチパネルタッチパネルであってもであってもであってもであっても両電極両電極両電極両電極116116116116,,,,118118118118のののの厚厚厚厚
みがみがみがみが同同同同じであるのでじであるのでじであるのでじであるので,,,,抵抗膜方式抵抗膜方式抵抗膜方式抵抗膜方式とととと同様同様同様同様ににににディスプレイディスプレイディスプレイディスプレイのののの表示品位表示品位表示品位表示品位をををを低下低下低下低下させるおさせるおさせるおさせるおそれがあそれがあそれがあそれがあ
るるるる。」
「【0045】以上のいずれの静電容量式のタッチパネル30,50であっても,抵抗膜方式
のタッチパネルと同様に,第1電極36,56と第2電極38,58との厚みを,電極同士が
重なる箇所とそれ以外の箇所とで異なるようにして光の透過量の差が出ないようにしている。
従来に比べてディスプレイ26の表示品位の低下を防止できる。」
「【0049】・・・・・実施例1と比較して,両電極の幅を広げ,電極電極電極電極のないのないのないのない面積面積面積面積をををを狭狭狭狭くくくくしてい
る。両電極において,交叉部分とそれ以外の箇所とでは光の透過量の差が出ず,従来に比べて
表示品位を上げることができた。タッチパネルタッチパネルタッチパネルタッチパネルにおけるにおけるにおけるにおける電極電極電極電極のののの無無無無いいいい面積面積面積面積がががが非常非常非常非常にににに小小小小さくさくさくさく,電極
の有無によってタッチパネルの表示品位低下表示品位低下表示品位低下表示品位低下をををを防防防防いでいるいでいるいでいるいでいる。」
「【0050】・・・・・両電極において,交叉部分とそれ以外の箇所とでは光の透過量の差が出
ず,従来に比べて表示品位を上げることができた。また,電極電極電極電極のののの無無無無いいいい箇所箇所箇所箇所がががが非常非常非常非常にににに小小小小さくさくさくさく,電
極の有無によってタッチパネルの表示品位低下表示品位低下表示品位低下表示品位低下をををを防防防防いでいるいでいるいでいるいでいる。」
(2)周知技術の認定
審決が引用した周知例1~5及び新たに追加された周知例6の記載によれば,①
透明電極が設けられた領域と透明電極が設けられていない領域とでは透明度が異な
ること,また,透明電極が重なる領域と透明電極が重ならない領域とでも透明度が
異なること,②透明度が異なる領域が広い場合には肉眼で認識可能となり,③隣接
する透明電極の間の透明電極の設けられていない領域の間隔が肉眼で認識できる程
度に広い場合には均一な視認性を確保することができないこと,は透明電極を用い
た技術分野において周知事項であると認めることができる。そして,透明度が異な
ることは,タッチパネルが,抵抗膜方式か静電容量方式のいずれかであるか,電極
の構造が平面配置か交差配置かに依らないことも明らかである(照明装置又は発光
装置の種類に依らないこともいうまでもない。)。したがって,このことをもって,
技術内容の抽象化又は上位概念化ということは当を得ていない。
そして,上記①~③の周知事項に基づけば,隣接する透明電極の間の透明電極の
設けられていない領域の間隔を肉眼で認識できない程度に狭くすれば均一な視認性
を確保できることは周知事項として認識されていると認めることができる。
(3)小括
以上のとおりであり,審決がした「透明電極の設けられていない領域をできるだ
け少なくすることで,均一な視認性を確保する」との周知技術の認定に誤りがある
とはいえない。
よって,取消事由2は理由がない。
4取消事由3(容易想到性判断の誤り)について
(1)引用発明
ア引用例の記載
引用例(甲1)は,静電容量型のタッチセンサパネルを含む表示装置に関する発
明の特許公開公報であるが,そこには次の記載がある。
「【0015】しかしながら,上記のような静電容量式のタッチセンサにおいては,その検出
感度が十分に高くない場合があり,タッチ位置の検出を高精度に実施することが困難な場合が
ある。【0016】たとえば,検出器の寄生容量に対して走査電極と検出電極とによる静電容量
が著しく小さいときは,検出が好適でなくなる場合があるために,検出電極の幅を太くする必
要が生ずる。しかし,この場合には,その太い検出電極によってフリンジ電界が遮られること
になるので,検出感度の低下が生ずる場合がある。【0017】また,検出電極をITOなどの
透明電極として形成する場合において,より高い透明度を確保しようとする場合には,検出電
極の比抵抗が大きくなってしまうので,時定数の増加が生ずる。このため,検出時間が長くな
る場合がある。」
「【0086】本実施形態においては,・・・・・検出電極24のそれぞれは,対向電極23に対
面する面にスリットKKが形成されている。スリットKKは,各検出電極24の内部において,
垂直方向yに延在しており,複数が,水平方向xにて間を隔てて並ぶように設けられている。
たとえば,スリットKKの幅としては,100~1100μmとすることが好適である。」
「【0139】・・・・・被検知体Fが検知面(表示面)に近接していない場合において,対向電
極23に共通電位Vcomが印加されたときは,対向電極23と検出電極24との間に電界が
生ずる。本実施形態においては,対向電極23と検出電極24との平板間の電界に加えて,検
出電極24に設けられたスリットKKを介したフリンジ電界も生ずる。【0140】そして,指
などの被検知体Fが検知面(表示面)に近接した場合においては,・・・・・その被検知体Fによっ
てフリンジ電界・・・・・が遮られる。本実施形態においては,検出電極24に設けられたスリット
KKを介したフリンジ電界についても,遮断されて発生しない。【0141】このため,検出電
極24にスリットKKを設けた場合には,スリットKKを設けない場合と比較して,被検知体
Fの有無による静電容量の変動が大きくなる。【0142】よって,本実施形態は,検出電極2
4にスリットKKを設けることで,タッチセンサTSの検出感度を向上させることができる。
また,検出電極24においてスリットKKが設けられた部分以外の幅の合計値を保持すること
で,検出電極24の全体の幅が太くなっても抵抗値を維持できるので,検出電極24にて時定
数が増加することを防止できる。このため,検出時間が長くなることを防止できる。」
「【0208】また,検出電極24dにおいては,スリットKKが形成されている。スリット
KKは,各検出電極24dの内部において,垂直方向yに延在しており,複数が,垂直方向y
および水平方向xにおいて,間を隔てて並ぶように設けられている。つまり,矩形状のスリッ
トKKが格子状に形成されている。」
イ引用発明の技術的課題と解決手段
上記アの記載によれば,引用発明は,静電容量式のタッチセンサにおいて,検出
電極の幅を太くするとその太い検出電極によって電極間の間隙を介したフリンジ電
界が遮られることにより検出感度の低下が生ずるため,タッチ位置の検出を高精度
に実施することが困難となるという課題(【0016】)に対して,検出電極にスリ
ットを垂直方向yに延在して形成すると(【0086】),検出電極に設けられたスリ
ットを介したフリンジ電界も生ずることから,検出電極にスリットを設けることで
タッチセンサの検出感度を向上させるもの(【0139】~【0142】)である。
さらに,矩形状のスリットを格子状に形成すること(【0208】)も記載されてい
る。
(2)引用発明への周知技術の適用
引用発明の上記課題は,本願発明の骨見え現象の低減という課題の解決手段とし
て電極間の間隙を電極の幅よりも十分に狭く形成した結果生じる検知機能の低下と
いう課題と同等の課題と解される。そして,引用発明は,検出電極の幅を太くした
場合,すなわち反面からいえば隣接する検出電極間の間隙を狭くした場合であって
も,検出電極にスリットを形成し,スリットを介したフリンジ電界も生じさせてタ
ッチセンサの検出感度を向上させることにより,この課題の解決を可能とする構成
となっている。
したがって,検知機能の低下という課題の解決手段として構成されている引用発
明に,骨見え現象の低下という本件発明の課題の解決手段として,本願発明の属す
るタッチパネルの技術分野において周知技術である「透明電極の設けられていない
領域をできるだけ少なくすることで,均一な視認性を確保すること」を適用して,
「隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する上部電極同士が
近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接す
る下部電極同士が近づいて配置され」たとの相違点に係る本願発明の構成とするこ
とは,当業者が容易に想到し得たものである。そうすると,これと同旨の審決の判
断に誤りはない。
(3)解決課題の相違に関する原告の主張について
原告は,引用例には透明電極である検出電極及び対向電極の視認性に関する記載
は一切存在しないから,周知例1~5の「透明電極の設けられていない領域をでき
るだけ少なくすることで,均一な視認性を確保する」との技術を引用発明に適用す
る動機付けがない旨を主張する。しかしながら,引用例には,「【0017】検出電
極をITOなどの透明電極として形成する場合において,より高い透明度を確保し
ようとする場合には,検出電極の比抵抗が大きくなってしまうので,時定数の増加
が生ずる。」と記載されており,引用例においても,より高い透明度を確保しようと
する課題が存在することが記載されており,これは,反面,透明電極の透明度が不
十分であるゆえに透明度をより高めようとの認識を示すものであって,透明電極の
視認性に関する課題を示唆するものといえる。そして,上記2に認定判断のとおり
「透明電極の設けられていない領域をできるだけ少なくすることで,均一な視認性
を確保する」ことは周知事項として当業者に認識されているのであるから,引用発
明にこの周知技術を適用する動機付けが存在するというべきである。
これに対して,原告は,上記引用例の記載がITO自体の光学特性に言及するも
のにすぎない旨を主張するが,上記記載はITO自体の光学特性ではなく,ITO
などを検出電極とした場合の透明度(光学特性)と比抵抗に関するものであるから,
その主張は失当である。そして,ITOの透明度に関する課題はそのITOを用い
た透明電極を重ねた場合の透明度においてさらに顕著なものとなるのは自明なこと
であるから,動機付けとしては十分というべきである。
(4)阻害要因に関する原告の主張について
原告は,引用発明は透明電極が設けられていない領域を積極的に形成しようとす
る技術思想に基づくものであり,審決が認定した「透明電極の設けられていない領
域をできるだけ少なくすることによって,均一な視認性を確保する」という周知技
術の技術思想とは相反するから,引用発明に周知技術を適用するには阻害要因があ
る旨を主張する。
しかしながら,引用発明には,静電容量の変動の検出感度を向上させるために検
出電極の開口部(スリット)の幅をより広くすることが好ましいとの技術思想の開
示はあるとしても(【143】~【148】),透明電極として形成された検出電極に
開口(スリット)を設ける箇所は,各検出電極上であって(【0139】~【142】),
この部分をもって検出電極間の間隙(審決が認定した上記周知技術を適用する「透
明電極の設けられていない領域」に対応する。)と同視することはできず,引用発明
に検出電極間の領域をも積極的に広げて形成しようとする技術思想を抽出すること
はできない。引用発明に周知技術を適用するのに原告主張の阻害要因があるとは認
められない。
なお,原告は,審決の認定した上記周知技術の適用をタッチパネル上の特定の領
域にとどめることはできない旨を主張するが,上記周知技術をタッチパネルのどの
領域に適用するかは,当業者が適宜決定すべき設計的事項にすぎないというべきで
ある。
(5)小括
以上から,取消事由3は理由がない。
5取消事由4(手続違背)について
(1)拒絶査定の理由
原告は,拒絶査定の理由と審決の理由とが異なる旨を主張する。そこで,平成2
3年12月8日付け拒絶理由通知書(甲10)と拒絶査定(甲11)の各備考欄を
みると,次の記載がある(なお,下記引用中の「本願請求項1に係る発明」及び「引
用例1」とは,それぞれ,本判決の「本願発明」及び「引用例」に対応する。)。
①拒絶理由通知書の備考欄
「引用例1には,・・・・・上部電極に同じ大きさおよび形状を有する開口部が第1および第2の
方向に配置されて形成され,当該上部電極全体において,それぞれの開口部が第2の方向に沿
って一定の間隔で配置されている相互容量方式タッチパネルが開示されており,電極幅や間隙
等において,上記請求項に係る発明との格別の相違は見いだせない。」
②拒絶査定の備考欄
「引用例1には,透光性電極材料により大略帯状に形成され,第1の方向に沿って互いに平
行に配置された複数の下部電極(対向電極23)と,透光性電極材料により大略帯状に形成さ
れ,第1の方向と交差する第2の方向に沿って互いに平行に配置されるとともに,下部電極よ
りもタッチ面側に配置された複数の上部電極(検出電極24)と,を備え(・・・・・),隣接する
上部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する上部電極同士が近づいて配置され
(・・・・・),隣接する下部電極間の電気的絶縁が確保できる程度に,隣接する下部電極同士が近
づいて配置され(・・・・・),上部電極と下部電極との交差部分において,上部電極に同じ大きさ
および形状を有する複数の開口部が第1および第2の方向に配置されて形成され,上部電極の
全体において,それぞれの開口部が第2の方向に沿って一定の間隔で配置されている(・・・・・)
の,相互静電容量方式タッチパネル(・・・・・)が記載されていて,本願請求項1に係る発明と格
別相違しない。なお,意見書にて出願人は,主に,本願請求項1に係る発明と引用例1に記載
された発明との課題の違いに言及し,引用例1には,『隣接する上部電極間の電気的絶縁が確保
できる程度に,隣接する上部電極同士が近づいて配置され,隣接する下部電極間の電気的絶縁
が確保できる程度に,隣接する下部電極同士を近づいて配置する』点が記載も示唆もされてい
ない旨を主張している。しかしながら,骨見え,すなわち透明電極による見え方(光学特性)
と,各電極間の電気的絶縁性との間には何等の因果関係も存在せず,単に各電極間の電気的絶
縁の状態を特定したところで,特に骨見え対策としての各電極間の距離がどの程度であるかを
特定したことにならない・・・・・本願その余の請求項に係る発明は,引用例1に記載された発明と
格別異ならないか当該発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。」
(2)理由変更の有無
上記拒絶理由通知及び拒絶査定は,本願発明を特許法29条1項3号と29条2
項に該当するとしているところ,拒絶理由通知が「電極幅や間隙等において,上記
請求項に係る発明との格別の相違は見いだせない。」とし,拒絶査定が「骨見え,す
なわち透明電極による見え方(光学特性)と,各電極間の電気的絶縁性との間には
何等の因果関係も存在せず,単に各電極間の電気的絶縁の状態を特定したところで,
特に骨見え対策としての各電極間の距離がどの程度であるかを特定したことになら
ない」と記載していることにかんがみれば,本願発明が,各電極間の間隔について
「電気的絶縁が確保できる程度」との要件が付されているとの点で引用発明と異な
る構成を有することは所与の前提とした上で,そうであるとしても,引用発明もま
た各電極間の絶縁が確保できる程度に電極を配置しているのは自明であるから,電
気的絶縁性の観点のみからでは本願発明と引用発明との間に構成上の差異が明確に
は認められず,したがって,光学特性の観点から骨見え対策としての各電極間の距
離を特定しない限りは,引用発明と本願発明との間に進歩性を肯定しうるほどの実
質的な構成上の差異があるとは認められないことを示したものと解することができ
る。
したがって,拒絶査定も,引用発明との間の相違点を前提としつつその容易想到
性を判断しており,拒絶査定と審決とは,本願発明と引用発明との間に,電極間の
間隔に「電気的絶縁が確保できる程度」との要件が付されているか否かという点の
構成の相違は認められるものの,それは格別な相違とは認められないとし,特許法
29条2項も根拠としている点で一致しており,審決は,拒絶査定における理由と
は異なる理由により拒絶査定を維持したものではない。拒絶査定の理由と審決の理
由とが異なることを前提とする原告の上記主張は,理由がない。
(3)周知例の適用の可否
原告は,審決には,拒絶理由に摘示されていない周知例を適用する要件が欠けて
いたにもかかわらず周知例を適用して判断した点に手続違背がある旨を主張する。
しかしながら,前記2に認定判断したとおり,前記3(2)の事項が透明電極を用い
たタッチパネルの技術分野において周知技術として認識されているとの審決の認定
に誤りはなく,このような周知技術は当業者にとって極めて常識的・基礎的な事項
として周知性の高いものということができる。そうであれば,審判において改めて
周知例を示して拒絶理由を通知しなかったとしても,原告の意見書の提出や補正の
機会が奪われたということはできない。
よって,原告の上記主張は,理由がない。
(4)小括
以上から,取消事由4は理由がない。
第6結論
以上によれば,原告主張の取消事由はすべて理由がない。
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
塩月秀平
裁判官
中村恭
裁判官
中武由紀

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