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平成21年2月25日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成19年(行ケ)第10388号審決取消請求事件(商標)
口頭弁論終結日平成20年11月27日
判決
原告株式会社インディアンモトサイクル
カンパニージャパン
訴訟代理人弁護士佐藤雅巳
同古木睦美
被告東洋エンタープライズ株式会社
訴訟代理人弁護士伊藤真
訴訟代理人弁理士野原利雄
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が無効2005−89065号事件について平成19年10月10日にし
た審決を取り消す。
第2事案の概要
1特許庁における手続の経緯
本件は,被告が商標権者である後記商標登録について,原告が無効審判を請求し
たところ,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,原告がその取消しを求めた
事案である。
(1)被告は,平成3年11月5日「インディアンモーターサイクル」の文字,
を横書きしてなり,指定商品を第17類「被服,その他本類に属する商品」とする
商標登録出願(商願平3−114779号)をし,平成6年3月31日,登録第2
634277号として商標登録を受けた(以下「本件商標」という。。)
(2)平成17年5月13日,原告から本件商標につき商標登録無効審判請求が
なされ,同請求は無効2005−89065号事件として係属した。特許庁は,同
事件を審理の上,平成19年10月10日「本件審判の請求は,成り立たな,
い」との審決をし,その謄本は平成19年10月22日原告に送達された。。
2審決の判断
審決は,本件商標は,商標法(以下「法」という)4条1項7号に違反して登。
録されたものではないとしたものであり,その具体的な内容は,次のとおりである。
(なお,本判決においては,審決を引用する場合を含め,甲第1号証を「甲1,乙第1号証」
を「乙1,法第1条第1項第1号を「法1条1項1号」などと表記し,また,枝番の記載は」
原則として省略する)。
「第4当審の判断
1「同一の事実及び同一の証拠に基づく審判請求」との主張について
(1)確定審決
本件以前の本件商標に関する無効審判について,以下のア及びイが認められる。
ア前審判(A)
本件商標に関して,本件商標が法4条1項7号,同8号及び同15号に該当し,その登録
は法46条1項1号により無効とされるべきであるとの審判請求がなされた。平成6年審判第
13787号事件として審理された結果,平成9年9月30日に請求は成り立たないとの審決
がなされ,当該審決について平成10年4月15日に確定の登録がされている。イ前審
判(B)
本件商標に関して,本件商標が法4条1項7号に該当し,その登録は法46条1項1号に
より無効とされるべきであるとの審判請求がなされた。無効2003−35031号事件とし
て審理された結果,平成16年2月24日に請求は成り立たないとの審決がなされ,当該審決
について平成17年4月15日に確定の登録がされている。
(2)本件における主張事実
,本件審判において,本件商標が法4条1項7号に該当するとして請求人が主張する理由は
要するに,以下のとおりである。
被請求人が「Indian」ブランドを用いたマーチャンダイジングビジネスが米国にお,
いて起ち上げられたことを知り,いずれ日本にかかるブランドビジネスが導入され展開される
ことがあるべきことを予測し,将来何人かにより日本において「Indian」ブランドビジ
ネスが展開されたときに日本において「Indian」ブランドビジネスを展開する者の業務
を妨害する目的で本件商標を出願し,登録を得たものである。
(3)上記(1)及び(2)の理由を構成する事実は,かなりの部分において重なると認め
られるけれども,法56条で準用する特許法167条にいう確定審決における事実と「同一の
事実」に基づく審判請求であると断じ難く,仮にこれが実質上同一であったとしても,証拠も
追加されており「同一の証拠」による請求であるとは断じ難いものである。,
してみれば,本件審判請求が,前審判(A)又は(B)と,同一の事実及び同一の証拠に
基づく請求であるから法56条で準用する特許法167条の規定に該当するとして,本件審判
請求を却下することはできない。
2法4条1項7号該当について
(1)商標自体に公序良俗違反のない商標であっても,その登録出願の経緯に著しく社会的
相当性を欠くものがあり,その登録を認めることが法の予定する秩序に反するものとして到底
容認し得ないような場合には,法4条1項7号に該当すると解される(東京高裁平成14年
(行ケ)第616号事件・平成15年5月8日判決及び東京高裁平成16年(行ケ)第108
号事件・平成16年12月8日判決参照。)
(2)そこで,本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあったか否かについて検
討するに,当事者の主張及び証拠によれば,以下の事実(争いのない事実及び顕著な事実を含
む)が認められる。。
ア被請求人は,昭和40年11月に設立されたアメリカンカジュアル衣料の輸出入及び
国内販売等を行う株式会社であり,請求人は,平成5年6月に設立された装身具,皮革製品,
衣料品等の輸出入及び販売等を業とする株式会社である。
イ旧インディアン社(判決注:インディアン・モトサイクル・カンパニー。当初はヘン
ディー・マニュファクチュアリング・カンパニー)は,1901年(明治34年)に米国マサ
チューセッツ州スプリングフィールドに設立されたオートバイのメーカーであり,その使用し
た「Indianロゴ「ヘッドドレスロゴ」等の商標は,米国,欧州,日本において,需要」
者の間に周知著名性を獲得するに至った。しかし,旧インディアン社は,1953年(昭和2
8年)に操業を停止し,その後,解散した。
ウ旧インディアン社が操業を停止した後にも,旧インディアン社の商標をモチーフとし
て使用した商品は米国内において販売され,我が国においても,従前から,旧インディアン社
の商標に因んだ商標登録がなされている。
エ米国人Aは,旧インディアン社の復活を標榜して,1990年(平成2年)に,ザンギ
インディアン社を設立し,以下(ア)及び(イ)のとおり,1991年(平成3年)7月に,
同人が旧インディアン社の復活を計画している旨の記事が新聞紙上に掲載された。
(ア)1991年7月1日付け「THEDAILYNEWS(甲7)には「Aは今まさ」,
に,アメリカ史に残る伝説であるインディアン・モトサイクルを甦らせるという夢を実現しよ
うとしている「A氏は衣類やアクセサリーのビジネスで大きな成功を収めている。インディ。」
アン・Tシャツ,皮ジャン,皮パンツ,しろめ製バックル,ブーツなどの新シリーズが売り出
されている」等と記載されている。。
(イ)1991年7月5日付け「USATODAY(甲8)には「40年近くの間,製」,
造を中止されていたインディアン・バイクが再び息を吹き返した・・・Aの計画が順調にいけ。
ば,このクラシックの大型バイクは1993年には路上へと帰って来る「彼は去年そのイン。」
ディアンの商標権を買い取り,アクセサリー会社と共にテスト・マーケットをすることにした。
バイヤーたちはその会社のトレードマークであるインディアンヘッドを付したTシャツや皮ジ
ャンに飛びついたのだった」との記載がある。。
オその後,Aは,旧インディアン社及びその商標に関連して,虚偽の報告書を作成するな
どして,多数の投資家から金員等を搾取したとして,1996年(平成8年)6月に逮捕され,
米国の連邦地方裁判所において実刑判決を受けた。また,ザンギインディアン社は倒産してい
る。
カ被請求人の常務取締役(E)が,1990年(平成2年)の終わり頃に,米国在住のビ
ンテージバイクの愛好家に会った。その際に,インディアンという名のバイクに乗る彼のチー
ムのユニフォーム(ジャケット)の作成依頼を受けた(甲226,同239及び同240。)
(3)本件商標の出願に関し,請求人は,被請求人が上記新聞記事を見て,あるいは,人伝
,,えや他の媒体で知り「Indian」ブランドビジネスが展開されるであろうことを予測し
日本において同ビジネスを展開する者の業務を妨害する目的で,本件商標を出願したと主張す
る。
しかしながら,これらの記事は,米国の一般誌上で各1回掲載されたにすぎないうえ,被
請求人が当該記事の存在を認識し,関心を持ったことを示す証拠はない。
また,被請求人の常務が米国内のビンテージバイク愛好家と接触した事実は認められると
しても,そのことから,被請求人が当該記事内容を知ったと認め得る直接的な証左はみいだせ
ない。
そして,仮に被請求人が当該記事に接する機会があったとしても,これらの記事の主たる
内容は,旧インディアン社のオートバイの製造を計画しているというにすぎず,インディアン
ブランドの衣服等のビジネスに触れた部分があるものの,我が国で同衣服等のビジネスを行う
ことやその時期等の情報をはじめ何ら具体的に開示されたものではないから,これをもって,
ザンギインディアン社の業務を妨害する意図に基づき本件商標の出願をしたとは推認できない。
また,他に,本件商標の出願前に,何人かによる同ビジネスの我が国における展開を被請求人
が知り得たと認め得る的確な証拠もない。
そうとすれば,これをもって,我が国における「Indian」ブランドビジネスが展開
されたときに,その業務を妨害する意図(目的)で本件商標の出願をしたとは到底推認するこ
とができない。
さらに,本件商標の出願時,旧インディアン社の商標を独占的に使用する権限を有する者
が存在したと認めるに足りる証拠はなく,被請求人がアメリカンカジュアル衣料の当業者とし
て,インディアンブランドの衣料の事業を開始しようとして,本件商標を出願したとしても,
これを違法視することはできない。
そして,上記のビンテージバイク愛好家との接触の事実は,むしろ,前記の事業開始と本
件商標の出願の動機づけの一とみるのが相当である。
(4)請求人は,被請求人が本件商標を使用せず,請求人が企業努力により平成6年前半頃
までに「Indian」ブランドを我が国の市場に浸透させるや,請求人の使用する「Ind
ianロゴ」と同一態様の標章をシャツ等に使用して,請求人やその取引先の業務を妨害した
旨主張する。
しかしながら,請求人らの営業を妨害したと請求人が主張する被請求人の行為は,本件商
標の出願から2年以上後の,しかも本件商標とは別異の標章の使用に関することであるから,
請求人の主張する標章についての使用行為が仮に認められるとしても,本件商標の出願の経緯
に著しく社会的相当性を欠くといえるような事実を構成するとみることは到底無理である。
また,被請求人が本件商標の使用を仮にしていないとしても,不使用による商標登録の取
消の是非は格別として,本件商標の出願の経緯の社会的相性の欠如を左右する事実とはなり得
ないというべきである。
(5)以上よりすれば,本件商標の出願の経緯が著しく社会的相当性を欠いたとして,当該
商標登録が商標法の予定する秩序に反すると認めることはできないから,本件商標は,法4条
1項7号に該当するということはできない。
…以上のとおり,本件商標は法4条1項7号に違反して登録されたものではないから,法4
6条1項の規定によりその登録を無効とすることはできない」。
3本判決においては,審決で用いた「旧インディアン社「新インディアン」,
社」等の略語をそのまま用い,また,別紙被告商標目録記載のものを,それぞれ被
告商標A∼Jといい,別紙原告商標目録記載のものを,それぞれ原告商標A∼Cと
いうほか,次の略語を使用するものとする。
(1)Indianロゴ
(2)ヘッドドレスロゴ
(3)MOTOCYCLEロゴ
MOTOCYCLE
(4)Indian/Motocycle商標
第3原告主張の審決取消事由
次に述べるとおり,本件商標は,法4条1項7号に該当し,その登録を無効とす
べきものであって,審決は,その認定判断に誤りがあるから,違法として取り消さ
れるべきである)。
1事実関係
(1)1989年(平成元年)6月,米国においてインディアンモトサイクルカ
ンパニーインク(IndianMotocycleCo.,Inc.(新インディアン社)が設立され,)
「Indian」ブランドが,マーチャンダイジングのブランドとして復活された。
(2)この「Indian」ブランドの復活は,米国で大々的に報じられ,業界紙だけ
でなく,一般紙である1991年(平成3年)7月1日付け「TheDailyNews」
(甲6)や1991年(平成3年)7月5日付け「USATODAY(甲7)にも,報」
じられた。これらの記事には「Indian」ブランドのTシャツ,革ジャン等が既に,
製造販売されていること,日本も市場としてターゲットにされていることも述べら
れていた。
(3)被告は,外国ブランドの情報など,ブランドビジネスの核になりそうなキ
ャラクターの情報を集めていたところ「Indian」ブランドの復活の上記報道を直,
接又は人づてに知り,その内容等から「Indian」ブランドによるビジネスが将来,
日本で展開されることを予測した。
なお,新インディアン社が設立され「Indian」ブランドによるビジネスが開始さ
れた直後の新聞記事である上記の「TheDailyNews(甲6)や「USATODAY(甲」」
7)の各記事に,日本進出に関する具体的な記載がないとしても,そもそもブラン
ドが立ち上がった時点では外国でブランドビジネスを行うことについて具体的な企
画等がないのは当たり前であるから,被告が将来日本に「Indian」ブランドが導入
展開されることを予測したことを認定する妨げとなるものではない。
(4)被告は,平成3年11月5日,登録第2634277号商標(本件商標,
被告商標A)を出願した。被告は,米国で「Indian」ブランドが立ち上げられ展開
されたのを知って,いずれ日本に導入されることを予測し「ベアーサーフボー,
ド」と同じく,片仮名で「インディアンモーターサイクル」を押さえておくことに
したものである。
なお,被告は,平成2年に米国ヴィンテージバイクの愛好家団体からそのバイク
ジャケットを作ることを依頼されたと主張するが,平成9年まで皮革製ジャケット
やパンツの商品化がされていなかったことなどに照らし,虚偽である。また,被告
は「インディアンモーターサイクル」が登録されたことを踏まえ,商品の具体的,
な販売企画に着手するとともに,商標「INDIANMOTORCYCLE」についてカナダ国商
標権者(INDIANMANUFACTURINGLTD.)と業務提携したと主張するが,乙19(平
成8年10月25日付け書簡)は,署名がなく会社名の記載も欠いており,商標権
者でない者からの手紙の形式をとった文書にすぎないこと,乙23(平成6年2月
4日付けカナダ商標局「変更証明書)によれば,商標権者は「ONTARIOLIMITE」
D」であり「INDIANMANUFACTURINGLTD.」ではないことなどに照らし,虚偽であ,
る。
(5)日系3世でコンセプト・デザイナーであったB(以下「B」という)は,。
「Indian」ブランドの将来性に着目し,平成3年暮れ,新インディアン社に対して
1億円を支払い,新インディアン社から「Indian」ブランドのビジネス一切につ,
いて「Indian」ブランドに係る商標の出願,登録,ライセンスを含め,日本にお,
けるすべての権利の譲渡を受けた(Bの平成10年7月7日付け宣誓供述書〔甲1
0。これに基づいて,Bは,平成4年2月,Indian/Motocycle商標の登録出願を〕)
した(甲11。)
(6)平成5年1月29日付けの「二輪車新聞」により,新インディアン社の設
立及び「Indian」ブランドによるビジネスの開始が報じられた(甲13。また,)
平成5年1月∼平成5年11月にかけて,雑誌「BRUTUS」に,21回にわたり,
「Indian」ブランドの復活,アパレルマーチャンダイジングブランドとしての展開
や,日本においても「Indian」ブランドのマーチャンダイジングビジネスが展開す
ることが報じられた(甲226∼246。)
「Indian」ブランドは,ヴィンテージバイカー系のアメリカンカジュアルのファ
ッションブランドであり,その商品の需要者である顧客層は,そのようなファッシ
ョンに関心を持つ若年男性層である(甲201,254。また,雑誌「BRUTUS」)
は,発行部数が月25万部に上り,広告価値の非常に高い媒体である(甲249,
250)ところ,その読者層は,上記の「Indian」ブランドの需要者層と重なって
おり,ファッション情報に敏感であって雑誌等によるブランド情報に注意している。
この結果,日本において,平成5年11月頃には「Indian」ブランドは十分需,
要者,取引者の間に浸透していた(甲26,247。)
(7)Bは,平成5年6月3日,株式会社サンライズ社(以下「サンライズ社」と
いう)と合弁して原告を設立し,その代表取締役に就任した(甲19,21。。)
そして,Bは,平成7年6月から平成8年3月にかけて,原告に対し,Indian/Moto
cycle商標等を譲り渡した(甲11,21。)
(8)平成5年7月24日付け「繊研新聞(甲24)において「米アンティー」,
クバイク『インディアン』ウエア発売」との見出しの下,Bを社長とする原告が設
立され,同年秋から「インディアン」をイメージキャラクターにした商品の輸入,
販売及びライセンス事業が開始されるとの記事が掲載された。また,同日付け「日
経流通新聞(甲25)にも「米国のオートバイメーカー,インディアン・モト」,
サイクル社(マサチューセッツ州)のライセンス供与を行っている『インディアン
・モトサイクル・ジャパン(東京・渋谷,B社長)は,米国で人気上昇中のアン』
ティークバイク『インディアン・モトサイクル』関連商品のライセンス事業を,国
内で展開する」などの記事が掲載された。。
(9)原告は,平成5年秋から,次に掲げる商標(以下併せて「原告各表示」とい
うことがある)を付したシャツ,ジャケット,帽子等の輸入販売を開始し(甲1。
2,14∼18,24∼27,輸入販売にかかる商品は,ファッションに関する)
情報の発信地として機能し「Indian」ブランドの需要者に影響力もある「アーバ,
ンメディスン(甲15,16,26,27「ビームス(甲25)などの店舗」),」
で販売された。
(Indianロゴ)
(ヘッドドレスロゴ)
(以下「Indianロゴ+MOTOCYCLE」という)。
MOTOCYCLE
MOTOCYCLE
(以下「ヘッドドレスロゴ+MOTOCYCLE」という)。
MOTOCYCLE
また,雑誌「POPEYE」1993年(平成5年)11月10日号(甲26)には,
Indianロゴ,Indianロゴ+MOTOCYCLE,ヘッドドレスロゴが表示された上,「194
0年代,アメリカでハーレー・ダヴィッドソンと人気を二分したバイクメーカーが,
インディアン・モトサイクル社」であり,そのロゴグッズは「アメリカを象徴す,
るトレードマークのひとつとして,……未だに根強いインディアン・マニアを持つ
ほどの存在」であるところ,これらのロゴグッズがアパレルなどのキャラクターグ
ッズとして復活しており「米国では既にブームとなっている模様」で「日本で,,
も,ブーム着火は時間の問題だといえる」との記事が掲載された。。
これらの結果,遅くとも平成5年暮れには,原告各表示の「Indian」ブランドは,
需要者,取引者の間に十分浸透し,周知となっており,少なくとも相当程度知られ
ていた。
(10)原告は,平成6年1月∼12月に「Indian」ブランドの需要者層である,
若い男性向けのカジュアルファッションの「ビームス「シップス「ユナイテッ」,」,
ドアローズ」等の大手専門店で配布されている月刊広報誌「DICTIONARY」に,Indi
anロゴ及びヘッドドレスロゴを表示した原告及びマスターライセンシーのサンライ
ズ社の広告を掲載し,配布した(甲28。)
また,平成6年始め「アーバンメディスン」を所有開設している株式会社クラ,
スから,原告に対し,若者向けカジュアルファッション流行の発信地として知られ
る東京都内の渋谷公園通りにある大きな「アーバンメディスン」の店舗内に「In,
dian」ブランドの衣類を販売するショップインショップを開設したいとの申し入れ
があり,原告はこれを承諾した。その結果,同「アーバンメディスン」内に「Indi
an」ブランドのショップインショップが開設された。
さらに,平成6年始め,原告のマスターライセンシーであるサンライズ社が,原
告各表示を使用したバッグの製造販売につき,株式会社マルヨシ(以下「マルヨ
。,シ」という)とサブライセンス契約を締結した。マルヨシは,平成6年5月ころ
展示会を開催して「Indianロゴ「ヘッドドレスロゴ「ヘッドドレスロゴ+MO,」,」,
TOCYCLE「左向きのインディアンの図形,Indianロゴ及びMOTOCYCLEロゴを組み」,
合わせた標章」を使用してバッグの製造販売を開始し(甲30,31「旬刊フ),
ァンシー」平成6年6月25日号(甲29「グッズプレス」1994年(平成),
6年)11月号(甲32)及び「フィールド・ギア」1994年(平成6年)12
月号(甲33)において,これらの商標を使用したバッグ,Tシャツ等の商品広告
が掲載された。
この点,アパレルについて需要者の間に浸透していたからこそ,アクセサリーで
あるバッグへのライセンスが展開されたというべきである。したがって,平成6年
初め,遅くとも平成6年中頃には,原告各表示を始めとする「Indian」商標は,若
年男性向けのいわゆるアメリカンカジュアル系のブランドファッション市場におい
て,シャツ,ジャケット,パンツを始めとする商品について,原告を出所とする商
標として,需要者,取引者の間に浸透し,周知となっており,又は少なくとも相当
程度知られていた。また,同様に「IndianMotocycleJapan「インディアンモ,」,
トサイクルジャパン「IndianMotocycle「インディアンモトサイクル」も,」,」,
「Indian」ブランドの提供者である原告の略称として需要者,取引者の間に浸透し,
周知となっており,又は少なくとも相当程度知られていた。
(11)被告は,平成6年9月21日,上記の状況を承知の上で,
登録第4751422号商標(被告商標B)
登録第4751423号商標(被告商標C)
の登録出願をした(以下,併せて「被告第1商標」という。。)
(12)ア被告は,平成7年5月頃,Indianロゴ,Indianロゴ+MOTOCYCLE,ヘッ
ドドレスロゴと類似する商標を使用したジャケット,シャツ,帽子等の販売を開始
した(甲34∼46,甲76∼79。被告の使用したIndianロゴ等は「インデ),
ィアンモーターサイクル」と同一性の範囲内になく,類似性の範囲内にもなかった。
また,次の(ア)∼(エ)の被告の広告の記載から見ても,被告が,新インディアン社
が復活した「Indian」ブランドの日本における正規の取扱者であるとの誤認を取引
者,需要者に植えつけようとしているのが明らかである。
(ア)「POPEYE」1995年(平成7年)6月号(甲34)
①「インディアン・モーターサイクルっていえば,かつてハーレーと人気を二
分したアメリカンバイクの名門中の名門」との記載部分があるが,虚偽である。。
かつてハーレーと人気を二分したのは「インディアン・モトサイクル」であり,,
「インディアン・モーターサイクル」ではない。このような記載は,原告が,新イ
ンディアン社が「Indian」ブランドをマーチャンダイジングブランドとして復活し
たことを告知して「Indian」ブランドを市場に浸透させていることと故意に混同さ
せようとするものである。
②「その名前を付けたウエアブランドが日本とカナダの共同企画で,この秋か
らドカーンと登場することになった」との記載部分があるが「日本とカナダの。,
共同企画」との部分は虚偽である。カナダで活字体の「INDIANMOTORCYCLE」の商
標登録を有するものは,トロントの「ONTARIOLIMITED」である(乙23。他方,)
被告がIndianロゴなどを使用したシャツなどを発注して作らせたのは「INDIANM,
OTORCYCLECLOTHINGCOMPANYINC.(乙37)であり「ONTARIOLIMITED」と別」,
会社である。
(イ)「FINEBOYS」1995年(平成7年)7月号(甲35)
「アメリカ最古のバイクメーカー“インディアンモーターサイクル。もうバイ”
クメーカー自体は倒産してしまったのだけれど,ウエアはまだカナダで作られてい
るのだ」との記載部分は虚偽である。アメリカ最古のバイクメーカーは「イン。,
ディアンモトサイクル」であり「インディアンモーターサイクル」ではない。ま,
た,ウェアは,被告が発注して作らせたものである。
(ウ)「FINEBOYS」1995年(平成7年)9月号(甲36)
①「ハーレーダビッドソンと並び称される,アメリカ最古のバイクメーカーが
インディアンモーターサイクル。現在バイクの生産はされておらず,バイカーウエ
アの生産のみ続けられている」との記載部分も,上記と同様に虚偽である。。
②「これまでビームスなどでも扱っていたが,今秋から東洋エンタープライズ
が大々的に展開」との記載部分も,虚偽である。ビームスなどで販売してきたの。
は,原告であり,新インディアン社のウエアや帽子などを輸入し,ビームスなどで
販売して,市場に浸透させ,周知にしたものである。
(エ)「FINEBOYS」1995年(平成7年)10月号(甲37)にも同様の虚偽
の記載部分がある。
イ新インディアン社は,正当に「Indian」ブランドをマーチャンダイジング,
ブランドとして復活させ,これを広く告知した。Bは正当にこれを日本に導入し,
原告を設立した。原告は,企業努力を傾注し,正当に「Indian」ブランドを日本市
場に浸透させ,周知にし,又は少なくとも相当程度知られるようにしていた。被告
は,それを見計らって,原告の企業努力の成果を収奪し「Indian」ブランドの商,
品を販売し,原告の業務を妨害した。そして,被告があたかも復活された「India
n」ブランドの正規の取扱者であるとの誤認を生じさせるため,上記のような虚偽
の広告をしたものである。
ウ原告は,平成7年6月30日,被告に対し警告書を送付した(甲47)が,
被告は,同警告を無視して,販売広告を継続した。
(13)平成7年に,原告のマスターライセンシーであるサンライズ社が,原告各
表示を使用した革製ジャケットの製造販売につき,西澤株式会社(以下「西澤」と
いう)とサブライセンス契約を締結した。西澤は,平成7年10月ころ,パンフ。
レットを配布して,Indianロゴ+MOTOCYCLE,ヘッドドレスロゴ+MOTOCYCLE等の原
告各表示等を付した革製ジャケットの製造販売を開始し,平成7年から平成8年に
かけて巨額の資金を投入して広告宣伝を行った(甲48∼57。)
この結果,平成8年の上旬には,原告各表示を始めとするIndian商標は,若年男
性向けのいわゆるアメリカンカジュアル系のブランドファッション市場において,
シャツ,ジャケット,パンツはもとより,レザージャケット等の商品についても,
原告を出所とする商標として,需要者,取引者の間で広く認識され,周知になった。
また「IndianMotocycle「インディアンモトサイクル」は原告の略称として需,」,
要者,取引者の間に広く認識され,周知になった。
(14)被告は,原告のサブライセンシーである西澤が,平成8年の秋冬シーズン
に前年の投資の成果を回収しようとした矢先に,平成8年の秋冬シーズンの初めか
ら「インディアンモーターサイクル」と同一性の範囲内にない,Indianロゴ+,
「Motorcycle(Motorcycle」の書体は「Indianロゴ」と同じ)等を使用した革」「。
製ジャケット等の販売を開始し,広告宣伝をした(甲76∼79。)
(15)原告は,平成8年5月21日,被告に対し,Indianロゴ等のTシャツや皮
革製ジャケット,パンツ等への使用の差止め,損害賠償等を求める訴訟を提起した
(東京地方裁判所平成8年(ワ)第9391号。被告は,原告による上記の訴訟)
提起に対抗するため,平成8年7月19日,原告外に対し「インディアンモータ,
ーサイクル」についての商標権に基づく差止等請求訴訟を提起し(東京地方裁判所
平成8年(ワ)第140265号事件(甲80,263∼265,一方で,侵))
害品の販売を継続した。原告は,市場の混乱を抑制するため,取引先に対する通知
を行い,また,平成8年9月17日,被告に対し,仮処分命令の申立てをした。す
ると,被告は,原告による上記申立てに対抗するため,平成8年10月,原告外に
対し「インディアンモーターサイクル」についての商標権に基づく標章使用等の,
差止め仮処分命令の申立てをした。これらの審理の過程で和解が試みられたが(甲
60,被告の拒否により和解成立に至らず,平成8年12月16日,被告に対す)
る仮処分命令がなされた(甲59。しかし,被告は,同仮処分命令後も,侵害品)
の販売,広告を継続した(甲61∼63,65∼75。)
(16)被告は,平成9年1月14日,上記の状況を承知の上で,
登録第4751424号商標(被告商標D)
登録第4751425号商標(被告商標E)
登録第4751426号商標(被告商標F)
登録第4751427号商標(被告商標G)
登録第4751428号商標(被告商標H)
の登録出願をした(以下,併せて「被告第2商標」という。。)
(17)被告は,平成9年3月31日,上記の状況を承知の上で,
登録第4751429号商標(被告商標I)
登録第4751430号商標(被告商標J)
の登録出願をした(以下,併せて「被告第3商標」という。。)
(18)原告は,今日に至るまで「Indian」ブランド商品の販売,ライセンス,,
広告宣伝を継続し,その結果,平成16年2月の段階で「Indian」ブランドは一,
層の周知性を取得している。他方,被告が特許庁に対し登録出願をしていた被告商
標A∼Jが登録され,また,被告は,バッグにおいても,原告の企業努力の成果で
ある「Indianロゴ」及び「Indian/Motocycle商標」の周知性に便乗,ただ乗りをし
ており,その手段として「INDIANARROW」等の商標登録をしている。
2上記1の事実関係を踏まえれば,次のとおりいうことができる。
(1)原告は「Indian」ブランドによるビジネスを正当に展開するものであり,,
日本における「Indian」商標(原告各表示)の正当な出所である。このことは,原
告の取扱商品に関連する取引者,需要者に止まらず,世間一般の広く認識するとこ
ろである。
そして,新インディアン社は,Aとは別のものであり,マーチャイジングブラン
ドとしての「Indian」ブランドの正当な出所である。Bは,日本において「India
n」ブランドによるビジネスを展開する権利につき,対価を支払って新インディア
ン社から取得したものであり,日本において正当に「Indian」ブランドによるビジ
ネスを展開したものである。Bからこのような地位を承継した原告は,日本におい
て正当に「Indian」ブランドによるビジネスを展開したものである。
(2)すなわち,平成5年1月から平成5年11月にかけて,雑誌「BRUTUS」に
21回にわたり「Indian」ブランドの復活,アパレルマーチャンダイジングブラ,
ンドとしての展開や,日本においても「Indian」ブランドのマーチャンダイジング
ビジネスが展開することが報じられた(甲226∼246。雑誌「BRUTUS」は,)
発行部数が月25万部に上り(甲249,250,その読者層は「Indian」ブ),
ランドの商品の需要者層と重なり,ファッション情報に敏感であり,雑誌等による
ブランド情報に注意している。
また,原告は,平成5年暮れから「Indian」商標を使用した新インディアン社の
製造に係るバッグの輸入を開始し(甲12,18,24,25,以後,平成6年)
から継続して,自ら又はライセンシーを介して「Indian商標」を使用したバッグ,
の製造販売を行ってきた(甲433・3∼5頁。)
現在,原告は,ヘッドドレスロゴ,モトサイクルロゴ及びIndianロゴを使用して,
バッグを自ら製造し,店舗又はネットで販売している(甲444∼449。)
ヘッドドレスロゴ,モトサイクルロゴ及びIndianロゴは,原告を出所とするもの
として,衣類や靴はもとより,バッグ類に使用する商標としても,既に周知である。
(3)他方,被告は,被告商標A∼Jの登録出願を行い,その設定登録を経て,
原告の正規のライセンスビジネスを妨害している。
すなわち,被告は,当初メリヤス業者であり,ブランド商品の下請け製造を業と
していたが,その過程で,ブランドビジネスが利益を生むものであることに着目し,
海外のブランド,映画のタイトルや映画中で使用されたブランド,人名,社名,地
名等のいわゆるキャラクターで,日本において,将来ブランドビジネス,キャラク
ターマーチャンダイジング展開の基となりそうなものを権利者に無断で少し変えて
登録出願し,これを利用して,ビジネスを展開しようと企画するに至ったと考えら
れる。そして,被告が出願,登録した商標の中には「ベアーサーフボード」の登,
録及び「BEARSURFBOARDS+図形」の出願等,被告による出願登録が著しく違法性
を有すると解さざるを得ないものが多く含まれている。
3法4条1項7号該当性の主張
本件商標は,法4条1項7号に該当するから,その登録を無効とすべきものであ
る。
(1)他人の業務の遂行を阻害し,他人の業務を妨害する意図で出願し登録を得
た商標は公正な競業秩序を害する商標であり,公序良俗に反するおそれのあるも
のであり,登録を無効とすべきものである。しかるに,本件商標は,被告におい
て,平成2年に米国で「Indian」ブランドのマーチャンダイジングビジネスが立
ち上げられたことを知り,同ブランドビジネスが何人かにより日本に導入され展
開されることのあるべきことを予測し,本件商標を商品に使用する意思なしに,
将来何人かにより日本に「Indian」ブランドビジネスが導入され展開されたとき
に,その導入,展開をした者の企業努力の成果を収奪し,もってその者の業務の
遂行を阻害して業務を妨害することなどを意図して出願し登録を受けたものであ
るから,公正な競業秩序を害し,公序良俗に反するおそれのある商標に当たる。
(2)このことは,次のことから明らかである。
ア原告の企業努力によって,遅くとも平成6年中頃には,原告各表示や「Indi
anMotocycleJapan「インディアンモトサイクルジャパン「IndianMotocycl」,」,
e「インディアンモトサイクル」が,若年男性向けのいわゆるアメリカンカジュ」,
アル系のブランドファッション市場において,シャツやジャケットやパンツを始め
とする商品について,原告を出所とする商標や原告の略称として,需要者,取引者
の間に浸透し,周知となっており,少なくとも相当程度知られていた。しかるに,
被告は,平成7年,Indianロゴ,Indianロゴ+MOTOCYCLE,ヘッドドレスロゴと類
似する商標等を使用したジャケット,シャツ,帽子等の販売を開始し,原告の警告
を無視して,これを継続した。
イまた,原告は,平成7年,レザージャケット等について西澤にライセンスを
し,西澤は,同ライセンスに基づいて企業努力を傾注し「Indian」商標を使用し,
たレザージャケット等の販売や宣伝広告に努めた。この結果,平成8年上旬には,
原告各表示や「IndianMotocycle「インディアンモトサイクル」等が,若年男」,
性向けのいわゆるアメリカンカジュアル系のブランドファッション市場において,
シャツやジャケットやパンツはもとより,レザージャケット等の商品についても,
原告を出所とする商標や原告の略称として,需要者,取引者の間に広く認識され周
知となった。すると,被告は,すかさず,翌平成8年の秋冬シーズンに西澤が前年
の投資の成果を回収しようとした矢先,平成8年の秋冬シーズンの初めから,Indi
anロゴ+MOTOCYCLE等を使用した革製ジャケット等の販売を開始し,その宣伝広告
をした。
ウその後,前記1(15)のとおりの経過を経たが,被告は,その後も本件商標を
商品に使用せず,本件商標と同一性の範囲にないIndianロゴや「IndianMotocycl
e」等を使用している。
第4被告の反論
審決の認定判断は,法56条の準用する特許法167条の適用がないとした点を
除いて正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
1原告は,新インディアン社からの意味のない使用許諾書(乙22)を根拠に,
先願商標である被告商標の存在を知りながら(乙67,これを無視し,旧インデ)
ィアン社と何らかの関係があるかのような宣伝流布により,衣料品等についてブラ
ンドビジネスを開始した。そして,被告に対しては,原告の商標が登録される前か
ら権利侵害である旨の警告書(乙63)を送り,商標権侵害訴訟を提起するととも
に,業界紙等を介してあたかも被告が原告商品のコピー業者であるかのような誹謗
中傷を繰り返し,同様の主張内容によって,被告取引先に対して警告書(乙178
∼180)を送り続けている。
2新インディアン社及びAについて
(1)原告が実際に関係したのは,旧インディアン社やその関係者ではなく,米
国人Aが,1990年(平成2年)に設立した新インディアン社である。新インデ
ィアン社は,社名・住所・社章など,いずれも消滅した旧インディアン社と同一の
ものを採用しているが,両社の間にはいかなる関係も関連もない。
そして,新インディアン社を設立したAという人物は,旧インディアン社及び同
社商標に関連して国内外200人にも及ぶ人々から金員等を詐取したとして平成8
年6月5日に逮捕され(乙15,米連邦裁判所により「投獄90ケ月,百万ドル)
を超える詐取金の返還支払を命ずる」との判決を受け直ちに収監された人物である
(乙16,20,21。)
新インディアン社の実体は,上記事件の起訴状(乙17)からも明らかにされて
いる。すなわち,新インディアン社は,旧インディアン社とは全く関係のない別法
人で,Aが自己の犯罪行為の道具として利用するため,意図的に旧インディアン社
と同一の商号・社章・住所を採用し,あたかも旧インディアン社との間に何らかの
関係又は継続性があるかのように装ったにすぎない会社である。しかも,新インデ
ィアン社は,投資家から金員等を詐取しただけで,オートバイの製造はもちろんの
こと,企業本来の事業活動はおろかその準備行為すら一切せずに,設立後間もなく
倒産している(乙18,20。)
(2)原告は,新インディアン社と旧インディアン社とは全くの別会社で何の関
係もないこと,Aが旧インディアン社及びその商標に関し刑事犯として米国で訴追
され有罪判決を受けたこと,Aが米国で譲り受けたとする商標は,旧インディアン
社の商標とは全く関係のない商標であることなどの事実をライセンシーらに一切告
げず,平成5年6月には旧インディアン社と関係のある日本法人であるかのような
商号を採用した原告を設立するとともに,全く関係のない旧インディアン社の名前
を利用してブランドビジネスを開始し,真実を知り得ない我が国のライセンシーか
ら多額のロイヤリティーを得ている。
(3)Aが米国で譲り受けたとする商標は,旧インディアン社消滅後18年経った
1971年(昭和46年)に,Cという人物が,旧インディアン社とは全く無関係
に登録を受けたものであるところ,Aは,その一部を1990年(平成2年)5月
に当時共有者の一人であったDから持分の2分の1(全体の4分の1)を譲り受け
たにすぎない(乙71。Aの刑事事件の起訴状(乙17)の記載によると「儲け),
させてやるとの甘言により僅か1ドルで譲り受けた」ものであり,しかも,同商標
は,原告が設立される前の1992年(平成4年)6月には,既に新インディアン
社(INDIANMOTOCYCLECOMPANYINC.)から他社(INDIANMOTOCYCLEMANUFACTURIN
GCOMPANYINC.)に移転されている。
3Bについて
(1)新インディアン社の実体は上記のとおりであるが,同社から日本をテリト
リーとする旧インディアン社の商標を登録し使用する権利を譲り受けたと主張する
者が,米国人Bである。Bは,この新インディアン社からの使用許諾書(乙22)を
根拠に「Indian」商標の日本におけるライセンスビジネスを企画し,原告の親会,
社であったサンライズ社と共に原告を設立して自らが代表者に就任した。そして,
後に,B名義で登録出願した原告商標A(無効とされた登録第2710099号商
標)等を原告に譲渡したことにより,原告名による日本におけるライセンスビジネ
スが開始された。
(2)原告は「原告のビジネスは正規のブランドビジネスである「原告は『I,」,
ndian』商標についての正当な所有者である」などとして「被告商標の登録やそ,
の使用は,原告のブランドビジネスを妨害するもので公序良俗に反する」と主張。
する。原告がこのような主張をするそもそもの根拠は,新インディアン社がBに与
えたこの使用許諾書(乙22)であるが,旧インディアン社とは全く無関係なAや
新インディアン社が,旧インディアン社の略称や同社が存続時に使用していた商標,
さらには,これらを原型起源とする商標について,全世界的に,他者による採択や
使用を制限することができるような原権を有さないことは論ずるまでもなく,まし
て,我が国における商標登録の適否を左右する要因とはなり得ない。
4旧インディアン社との関係
旧インディアン社と無関係であることについては,原告も被告も同等であって,
「Indian」商標を被服等の商標として採択,使用することに関し,一方が正当な使
用者で他方が不正な使用者である関係になるものでも,一方が他方の商標を冒用し
た関係になるものでもなく,たまたま,両者の商標の採択動機やその原型起源が同
じであったということ,そして,指定商品「被服類」については被告による出願が
先行し,他の指定商品群については原告が先行していたというものにすぎない。
5被告による「Indian」商標の採択の経緯
(1)採択の起源
被告が「Indian」商標を採択したのは,被告代表者(E)が,1990年(平成
,2年)に米国ヴィンテージバイクの愛好家団体のメンバーである「F」氏と出会い
同氏のために,その名前「F,ラッキーナンバー「13」及び「Indian」のロゴ・」
デザインを入れたレース用のジャケットを作り提供したのがきっかけである(乙7
2,73。すなわち,乙72の1は,1990年(平成2年)4月に作成したそ)
のレース用ジャケットの「仕様書」であり,また,乙72の2は,1996年(平
成8年)9月の訪問時に撮影した同ジャケットの「写真」である。
(2)被告商標A∼Jについて
最初に出願した被告商標Aがカタカナ表記となっているのは,当初ロゴデザイン
が決まっていなかったことから,とりあえず音表示で出願したことによるものであ
る。このような出願手法は,先願主義を基調とする我が国の法制上普通に採られて
いる手法であって,特に不自然なことではない。
(3)「Moto」と「Motor」との違い
原告は,旧インディアン社は「IndianMotocycleCompany」であり「IndianMot
orcycleCompany」ではないと主張するが「Moto/モト」が「Motor/モーター」,

の略語であることは「Motocross=モトクロス(オートバイで舗装されていない,
山道や野原などを走るレース」の用法からも明らかなように周知の事実であり,)
あくまでも,旧インディアン社の社名表記が「IndianMotocycleCompany」である
ということにすぎず,同社のインディアンバイクを指称するときには「IndianMot
orcycle」の語が用いられている(乙27∼29。)

(4)その後の経緯
被告は,平成3年(1991年)11月5日に出願した被告商標Aが,平成5年
(1993年)3月に公告され,平成6年(1994年)3月に登録されたことを
踏まえ,商品化の具体的な検討に入るとともに,輸出入業務に関係して米国やカナ
ダでの権利関係を調査したところ,米国では「Indian」商標について権利を主張す
る者が数多くいて権利関係が特定できないなどの事情から,商標「INDIANMOTORCY
CLE」についてカナダ国で正当な商標権者として認められていた「INDIANMANUFACT
URINGLTD.(以下「カナダインディアン社」という)と業務提携し(乙19,」。
),23,186,平成7年初期に,商社(蝶理,フジエンタープライズ)を介して
同社商品を輸入することにより「Indian」商標を付した商品の日本での販売を本,
格的に開始した(乙34,35,75∼116。これらの商品についての最初の)
雑誌広告は,平成7年6月25日発行の雑誌「POPEYE」による(乙36。なお,)
被告が当初使用していた「Indian」商標のすべては,カナダインディアン社から輸
入した商品に元々付されていたものである(乙37,75,98。)
(5)被告による「Indian」商標の使用の開始時期
被告が,本格的に「Indian」商標を付した商品販売を開始したのは,平成7年の
中頃であったが,商社(蝶理,フジエンタープライズ)からカナダインディアン社
を紹介されたのは,平成6年(1994年)であり(乙77,また,それ以前に)
おいても,被告は,米国の取引先に「INDIAN」ブランド商品の米国市場での状況を
調べてもらい,数多くいた業者の中の数社から「INDIAN」ロゴの入った商品を平成
3年(1991年)に輸入し,同年秋口(10月ころ)に開催した被告の1992
年(平成4年)春夏物展示会において販売していた(乙119。すなわち,被告)
が,実際に「INDIAN」ロゴの入った商品の販売を日本で最初に手掛けたのは,日本
国内市場での感触を得るためのインポート商品ではあったが,平成3年(1991
年)秋口のことであり,輸入行為そのものが商標使用と認められる(法2条3項2
号)とすると,被告による「Indian」商標の最初の使用は,上記被告展示会開催の
数か月前からということができる。
こうした時系列的事実から明らかなのは,被告による「Indian」商標の日本での
使用及び被告商標Aの出願(1991年(平成3年)11月5日)は,新インディ
アン社によるBに対する商標使用許諾(1992年(平成4年)2月12日,Bに)
よる日本での原告商標Aの登録出願(1992年(平成4年)2月6日,AやBら)
による業界紙(甲13)での原告の設立とブランドビジネス立ち上げの告知(19
93年(平成5年)1月29日,原告の設立(1993年(平成5年)6月3)
日,原告による業界紙(甲24,25)でのライセンス事業開始等の告知(19)
93年(平成5年)1月29日,Bから原告への原告商標Aの譲渡(1996年)
(平成8年)5月27日)のいずれにも先行していたということである。そうする
と,被告による「Indian」商標の採択が冒認行為(フリーライド)であるとの原告
主張の誤りは明らかであり,被告が「Indian」商標を使用し,かつ,出願する以前
にあっては,原告らには,フリーライドの対象となり得るような事実や実績などは
全くなかったものである。
(6)カナダインディアン社について
カナダインディアン社とは,グラフィックデザイナーである「G」氏が創立した
「ONTARIOLIMITED(オンタリオ社」から始まる,次のようなカナダ企業のこと)
である。
まず,G氏は,1989年(平成元年)にカナダで「INDIANMOTORCYCLE」商標の
登録を受け,1991年(平成3年)にオンタリオ社にこれを移転させた(乙2
3。その後,オンタリオ社は「INDIANMOTORCYCLECOMPANY」と社名を改め,ま)
た,1990年(平成2年)に高級衣料品の卸売業を営む「H」氏とパートナーを
組み,G氏がデザインを,H氏が生産販売を担当するようになった。その後,H氏が
社長となり,社名を「INDIANMANUFACTURINGLTD.」とした。同社は,衣料品のほ
か,ライター,時計,家具等,多品目を北米やヨーロッパで販売し,1994年
(平成6年)までにはカナダ国内で約100店舗と取り引きし,年商は約300万
ドルまで達していた。そして,1999年(平成11年)に「IMCOALICENSINGAM
ERICAINC」が出資者となり,社名を「INDIANMOTORCYCLECLOTHINGCOMPANYIN
C.」と改めた。
すなわち,カナダインディアン社には,実質的に「INDIANMANUFACTURINGLT
D.」と同一会社と認められる「ONTARIOLIMITED「INDIANMOTORCYCLECOMPAN」,
Y」及び「INDIANMOTORCYCLECLOTHINGCOMPANYINC.」も含まれる。
(7)米紙報道について
被告商標Aの出願前の事実があるとすれば,原告が強調する1991年(平成3
年)7月1日付「TheDailyNews(甲6)と,1991年(平成3年)7月5日」
付「USATODAY(甲7)の掲載記事であるが,その内容は,Aが金員を詐取するた」
めに行った一方的な発表にすぎず,商標使用の実際や事業実態の存在を何ら証明す
るものでない。このことは,その後のAの犯罪行為や,発表内容の一切が実行され
ていない事実に照らせば容易に理解できる。そもそも,日本の一衣料品会社である
被告が外国で発行されたこのような英字新聞を日々購読していたと考えること自体
極めて不自然であり,しかも,当該記事は,被告商標Aの出願日よりわずか4か月
前の記事である。被告による商標の採択は,当該記事の掲載以前に起因するもので
あることは前述したとおりであり,これらの米紙記事からヒントを得て被告商標A
を出願したという原告の主張は失当である。
(8)商標の近似性について
被告及び原告が採択使用する商標態様が近似しているのは,どちらか一方が他方
を真似したからでも,単なる偶然からでもない。両者の商標は,いずれも旧インデ
ィアン社が存続時に使用していた商標(乙27∼29)を原型起源とするもので,
旧インディアン社のバイクイメージや1900年初期の米国の華やかな時代イメー
ジを種々商品に再現することを意図しての採択である。
このような試みは,旧インディアン社が消滅した4年後には既に行われており
(乙30,31,同様の商品を取り扱う業者は各国に存在する。原告も被告もそ)
の中の一業者にすぎず,これらの業者が採択使用する商標は,程度の差はあっても
旧インディアン社の商標に依拠しているから,その構成や書体が近似するのは必然
である。我が国においても「Indian」商標は,古くより数多く登録され,多様な,
商品商標として使用されている(乙32。)
第5当裁判所の判断
1本件の事実関係
証拠(甲2,5∼7,10,11,13∼21,24∼32,48∼58,20
1,226∼246,249,250,254,380,461,462,464
∼466,468,470,472∼478,乙15∼18,20,21,27,
71∼74,119,190,原告代表者,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれ
ば,次の各事実が認められる。
(1)旧インディアン社
1901年(明治34年,米国マサチューセッツ州スプリングフィールドにお)
いて,オートバイのメーカーが設立され,その商号として,1923年に「インデ
ィアン・モトサイクル・カンパニー(旧インディアン社)を名乗った。」
旧インディアン社のオートバイは,パワーと頑丈さに優れているとされ,数々の
歴史的伝統のあるレースで優勝し,州警察や軍のオートバイとして活躍するなどし
てその名を知られるようになった。旧インディアン社は「INDIANMOTOCYCLE」,
(インディアン・モトサイクル)と略称され,1950年代以前,ハーレー・ダヴ
ィッドソンと並ぶ米国を代表するオートバイメーカーとして知られ,同社の使用す
るインディアンロゴ,ヘッドドレスロゴ等は,旧インディアン社の製造販売するオ
ートバイに付された商標として,米国,欧州,日本において周知であった。しかし,
旧インディアン社は,ハーレー・ダヴィッドソンのオートバイとの競争に敗れるな
ど,種々の要因から売上げが落ち,1953年に操業を停止し,その後,イギリス
人のオーナーが工場を別の町に移して製造を再開したが,結局,1959年に会社
が解散されるに至り,その後,同社が再開されることはなかった。
そして,新インディアン社の使用した商標,原告各表示,原告商標A∼C,被告
商標A∼Jは,いずれも,旧インディアン社の使用していた商標に基づいたもので
あり,旧インディアン社の商標と同一ないしは類似するものである。
(2)新インディアン社
ア米国人Aは,1971年(昭和46年)に,Cという人物が旧インディアン社
と無関係に登録していた「IndianMotorcycle」という商標の一部を,1990年
(平成2年)5月,Dから譲り受け,1990年(平成2年)ころ,Aが中心となっ
て,米国マサチューセッツ州スプリングフィールドにおいて「IndianMotocycleC
o.,Inc.(インディアン・モトサイクル・カンパニー・インク」という社名の会)
社を起こした(新インディアン社。新インディアン社は,1992年(平成4)
年)1月,Aらから上記商標を譲り受けた。新インディアン社は,旧インディアン
社とは「IndianMotocycle(インディアン・モトサイクル」社という社名を共通)
にするが,これは,旧インディアン社と共通の商号が採択されたものにすぎず,旧
インディアン社ないしその承継人との関係はなく,また,旧インディアン社ないし
その承継人から,その商標権の譲渡や使用許諾を受けたものでもなく,さらに,旧
インディアン社が有していた技術を当時の従業員等を介するなどして具体的に引き
継いだものでもなかった。
イ新インディアン社について,次の内容の記事が掲載された。
(ア)1991年(平成3年)7月1日付け「TheDailyNews」に「夢追うバ,
タビア人見捨てられたバイク会社を復活に導く実業家」との見出しの下「Aは,
今まさに,アメリカ史に残る伝説であるインディアン・モトサイクルを甦らせると
いう夢を実現させようとしている。40年の沈黙を破り,マサチューセッツ州スプ
リングフィールドにあるインディアン・モトサイクル・カンパニー…がかつての有
名なバイクを製造するための場所としてコネチカット州のウィンザー・ロックスに
ある93エーカーの敷地を確保する為の最終的な交渉が現在進められている」と。
の内容を含む記事が掲載された。
(イ)1991年(平成3年)7月5日付け「USATODAY」に「40年近くの,
間,製造を中止されていたインディアン・バイクが再び息を吹き返した。コネチカ
ットの投資家Aの計画が順調に行けば,このクラッシックの大型バイクは1993
年には路上へと帰って来る「彼は去年そのインディアンの商標権を買い取り,。」,
アクセサリー会社と共にテスト・マーケットをすることにした。バイヤーたちはそ
の会社のトレードマークであるインディアン・ヘッドを附したTシャツや革ジャン
に飛びついたのだった」との内容を含む記事が掲載された。。
(ウ)そして,我が国でも,平成5年1月29日付け「二輪車新聞」に,ヘッド
ドレスロゴを冠したオートバイの写真や,ヘッドドレスロゴ+MOTOCYCLEが付され
たウェアの写真とともに「よみがえるアメリカンインディアン復活7月4日,
米国で1号車を発表」との見出しの下「1920年代から40年代にかけて全,
盛を誇ったアメリカンモーターサイクル『インディアン』の製造元インディアン・
モトサイクル社の40年ぶりの復活が決定,1月22日(金,同社オーナーのA)
,氏の来日に合わせ,同社の日本代表B氏の同席のもと記者会見が行われた。当日は
新生インディアンモーターサイクルの概要および今年7月4日アメリカ独立記念日
に発表される第1号モデルの内容などが明らかにされた」との内容を含む記事が。
掲載された。
ウ新インディアン社は,上記のように,1991年(平成3年)の新聞記事で
紹介され,1993年(平成5年)1月に,上記イ(ウ)のように,そのオーナーと
されるAの来日記者会見が行われ,1993年(平成5年)の春までに,工場建設
用の敷地を取得し,オートバイのプロトタイプを2台製造したものの,結局,上記
イ(ウ)の1993年(平成5年)7月4日の第1号モデルの発表もなされることは
なく,本格的なオートバイの開発製造等を何ら行うことがないまま,やがて倒産す
るに至った。そして,Aも,新インディアン社の多数の投資家から金員等を詐取し
たとの証券詐欺等の容疑で,1996年(平成8年)6月5日ころ逮捕,拘禁され,
1997年(平成9年)12月19日,米国マサチューセッツ地区連邦地方裁判所
により有罪を宣告され,投獄90か月(7年6月)に処せられるとともに,百万ド
ルを超える弁償金等の支払を命ずる旨の判決を受けた。
なお,新インディアン社による旧インディアン社の商標と同一ないしは類似の商
標を付した衣料等の生産についても,そのアイテム数は必ずしも多くなかった上,
ライセンス先のトリニティー・プロダクツ社による衣料,アクセサリーの販売等を
含め,雑誌「POPEYE」平成5年11月10日号の「米国では既にブームとなってい
る模様」等の記事はあるものの,その具体的な販売規模は不明であり,少なくとも
大規模であったと認める証拠はない。
(3)原告の設立
ア米国人Bは,日本に居住してファッション・コンサルタントなどの仕事をし
ていた折,前記(2)イ(イ)の「USATODAY」紙の記事を読み,ブランドとしての「In
dian」に興味を持って,1991年(平成3年)12月,新インディアン社のAを
訪問して面談した。その結果,新インディアン社のAとBは,Bが新インディアン社
から,日本をテリトリーとして「Indian」商標を使用してライセンス及びマーチャ
ンダイジングビジネスを展開する独占的権利を,約70万ドルの対価を払って買い
受けることに合意した。これに基づき,Aは,新インディアン社の「Chairmanoft
heBoard(取締役会長)として,1992年(平成4年)2月12日付けで,」
「関係者各位」宛「IndianMotocycle商標の所有者として旧インディアン社はB,
に対して日本における営業目的のために当社のロゴ及び商標を使用する権利を付与
する」との文書に署名した。。
イBは,新インディアン社からの協力を得ることなく独自で日本において「Ind
ian」商標を使用したビジネスを展開するため,原告の現代表者が取締役本部長を
務めていたサンライズ社と共に,平成5年6月3日,皮革製品,衣料品の輸出入及
び販売等を目的として原告を設立し,その代表取締役に就任した。そして,Bは,
原告設立と同時に,原告に対し,Indian/Motocycle商標やインディアンロゴからな
る商標等の「Indian」商標の使用を許諾し,その後,平成7年10月16日付けで
原告商標Aを原告に譲渡するなど,平成7年から平成8年にかけて「Indian」商,
標に関する権利をすべて原告に譲渡した。なお,原告においては,平成7年9月,
現代表者が代表取締役に就任し,現在に至っている。
ウ平成5年7月24日付けの「繊研新聞」紙には「米アンティークバイク,
『インディアン』ウエア発売」という見出しの下「アンティークバイクとして有,
名なアメリカの『インディアン』をイメージキャラクターにした商品が今秋から日
本で発売される。同ブランドの世界戦略の一環で,すでに一部商品はアメリカで販
売されているが,このほどインディアン・モトサイクル・ジャパン(本社東京,B
社長)が設立され,今秋から輸入販売をはじめる。ライセンス事業も行い,日本で
は5年後,20億−30億円を目標としている」との内容を含む記事が掲載され。
た。また,同日付けの「日経流通新聞」にも,同様の内容の記事が掲載された。
(4)原告による原告各表示の使用
ア平成5年1月から11月にかけて,雑誌「BRUTUS」に,21回にわたり,新
インディアン社の創業や,原告の設立等について,原告の設立当初の取締役であっ
た松木直也が執筆した記事が掲載された。このうち,雑誌「BRUTUS」平成5年10
月号には「インディアン社,アパレル事業驀進。オーナーのB氏語る」との見出,。
しの下に「ついに,インディアン社のアパレル事業がこの秋冬にかけて本格的に,
動き出した「インディアン・モトサイクル・ジャパンの代表でもあり,アパレ。」,
ルでもアジア地区の総代理人であるB氏は,次のように語る『アメリカ本社のオ。
ーナー,A氏と私のアパレルにおける契約は,日本…を含んだアジア地区における
ものです。インディアン・モトサイクル・ジャパンは,日本におけるマスターライ
センシーであるサンライズ社との共同出資で設立しました。日本市場でのブランド
管理,ライセンスビジネス事業,輸入業務などを行います」との内容を含む記事』
が掲載されている。
イ原告は,平成5年秋から,原告各表示を付したジャケット等の輸入販売を開
始したところ,輸入販売に係る商品は「アーバンメディスン」や「ビームス」な,
どの店舗でも販売された。そして,雑誌「POPEYE」平成5年11月10日号には,
「米国では既にブームとなっている模様。日本でも,ブーム着火は時間の問題だと
いえる」との内容を含む記事が掲載され,雑誌「CLiQUE」平成6年1月号,同。
「DICTIONARY」平成6年1月号においても,関連記事等が掲載された。
ウ原告のマスターライセンシーであるサンライズ社は,平成6年始めころ,マ
ルヨシに対し,バッグ,袋物類等について「Indian」商標のサブライセンスを許諾
した。これに基づき,マルヨシは,原告のサブライセンシーとして,平成6年5月,
取引業者等を呼んで展示会を開催した。これに関して,平成6年6月25日付け
「旬刊ファンシー」に「◇マルヨシ◇『インディアン』が復活40年ぶりにバ,
ッグなど商品化」という見出しの下「マルヨシは5月16∼18日,本社2階展,
示室で'94秋∼'95春の展示会を行った。…今回,新ブランドとして『インディ
アン』を商品化。…『インディアン』は3つのシリーズから構成されている。トー
トなどのタウンバッグ系5アイテム…リュックなどのアウトドア系6アイテム…秋
冬用のタウンバッグ系5アイテム…」との内容を含む記事が掲載された。また,雑
誌「グッズプレス」平成6年11月号に,マルヨシが販売する「Indian」商標が付
されたバッグ類が掲載された。
エ原告のマスターライセンシーであるサンライズ社は,平成7年5月ころ,西
澤に対し,レザージャケットなどについて「Indian」商標のサブライセンスを許諾
した。これに基づき,西澤は,原告のサブライセンシーとして,また,平成10年
1月∼12月は原告の直接のライセンシーとして「Indian」商標が付されたレザ,
ージャケットの製造販売を行った。これに関して,各種雑誌類(GETON!」19「
95年別冊4号〔平成7年10月,同別冊5号〔平成7年12月「マッシモ」〕〕,
平成7年11月号「Hot・DogPRESS」平成7年10月10日号「OutRider」平,,
成7年11月号「エム・エー・ワン」平成7年12月号「FINEBOYS」平成7年,,
12月号,平成8年1月号「ブーン」平成8年1月号)に,西澤が販売する「In,
dian」商標が付されたレザージャケットが掲載された。
オ原告は,平成8年7月22日付け「繊研新聞」において,その広告を掲載し
た。これは,Indian/Motocycle商標を中央に大きく配し「LEGENDRETURNS伝説,
のブランド,復活」との見出しの下「現在のライセンシング状況<マスター。,
ライセンシー>株式会社サンライズ社…<サブライセンシーおよび正規ディストリ
ビューター>西澤株式会社…,株式会社三竹産業…,株式会社元林,兼松日産農林
株式会社…,新規ライセンシー募集」等と記載されたものであった。
(5)被告による被告商標A∼Jの使用と商品の製造販売
被告代表者は,1990年(平成2年,米国ヴィンテージバイクの愛好家団体)
のメンバーであるFと出会い,その名前「F,ラッキーナンバー「13」及び「Indi」
an」のロゴ・デザインを入れたレース用のジャケットを作ったことがあったが,被
告は,このことをきっかけとして「Indian」商標を使用することを考え始めるよ,
うになった。そして,被告は,平成7年6月ころから,被告商標A∼Jのいずれか
を付した被服等の販売を開始したほか,別紙被告商標目録記載のとおり,平成6年
9月(被告第1商標,平成9年1月(被告第2商標,平成9年3月(被告第3))
商標)に,順次,被告商標A∼Jの商標登録出願を行った。
2以上を前提に,以下,本件商標(被告商標A)の法4条1項7号該当性につ
いて検討する。
(1)原告各表示ないし「IndianMotocycleJapan「インディアンモトサイク」,
ルジャパン「IndianMotocycle「インディアンモトサイクル(この4つを併」,」,」
せたものも,以下単に「IndianMotocycle」という)が,その被服等の商品の出。
所が原告であることを示すもの,ないしは原告の略称として,需要者,取引者の間
に知られるようになっていたということができるかについて検討する。
ア原告の商号は「インディアンモトサイクル(IndianMotocycle」の部分,)
が旧インディアン社と共通であり,原告各表示は,旧インディアン社がその製造・
販売していたオートバイに使用していた商標がその元となっており,しかも同商標
と同一ないし類似のものである。しかるに,同商標は,1940年代において,米
国,欧州,我が国においてオートバイに使用される商標として周知であったが,旧
インディアン社が1953年にオートバイの製造を停止し,1959年に最終的に
解散されるに至ってから,その後,同社が再開されることなく30年の月日が経過
したことにより,1990年代後半において,オートバイの愛好家の間において根
強い人気が続いていたことはともかく,被服・衣服の一般消費者間においてはその
周知性を失っていたものである。
イしかるに,原告とそのライセンシーらは,旧インディアン社の正当な承継人
である新インディアン社からライセンスを受けて,米国インディアンブランドであ
る原告各表示を使用した事業を開始した,という宣伝広告を一貫して行い,これに
基づく製造販売を行っている。これは,原告各表示が,旧インディアン社の商標と
同一ないし類似することと相まって,旧インディアン社の復活を標榜することによ
り,オートバイ愛好家の間に存在する旧インディアン社のオートバイへの根強い人
気や,過去に周知著名であったブランドが今回原告により復活されることの,アメ
リカンカジュアル衣料の一般消費者である若者に対するアピール効果を用いて,被
服類のブランドとしての「Indian」商標の商品のブームを起こそうとしたものと考
えられる。そうすると,原告は,旧インディアン社の用いた商標と同一又は類似の
ものを用いて旧インディアン社の有する潜在的な周知性に訴えてその営業上の信用
を利用しようとしたものであり,あくまで,原告が旧インディアン社の正当な承継
人であることを宣伝広告し原告各表示を付した商品を製造販売等していたものであ
るから,旧インディアン社と離れて,原告独自の「Indian」商標のビジネスを展開
したものと解することはできない。そうすると,このような場合は,原告が旧イン
ディアン社の承継人と認められるのであればともかく,何ら旧インディアン社と関
係がない第三者である場合には,原告が「IndianMotocycle」を含む商号を採択し,
また,原告各表示を使用しても,旧インディアン社と離れて,これらの商号及び表
示が,原告の略称ないし原告が出所であることを示すものとして需要者,取引者の
間に知られるようになっていたということはできないと解するのが相当である。
ウしかるに,Bが許諾を受けた先である新インディアン社は,旧インディアン
社とは「IndianMotocycle(インディアンモトサイクル」社という社名を共通)
にするが,これは,旧インディアン社と共通の商号を意図的に採択したものにすぎ
ないというべきであり,本件において,旧インディアン社と新インディアン社との
間に法的に意味のある連続性を認めるに足りる証拠はない。そして,新インディア
ン社は,経済的に見ても,その従業員,営業組織,オートバイ製造の技術等が旧イ
ンディアン社から引き継がれていると認めるに足りる証拠はなく,実際にその本来
の事業であるオートバイの本格的な製造販売を行うことなくやがて倒産したもので
あって,アパレルのライセンス事業も大規模のものと認めるに足りる証拠もない。
さらに,新インディアン社をその中心となって創業したAは「Indian」商標に関,
連する証券詐欺等の罪により有罪の宣告を受けて投獄されているものである。
これらに照らせば,新インディアン社について「Indian」商標を付したオート,
バイを製造販売していた旧インディアン社を復活させたものと評価することはでき
ないというほかない。また,Bないし原告が,旧インディアン社ないしその承継人
から,原告各表示ないし「IndianMotocycle」について,商標権等の譲渡や使用許
諾を受けたものと認めるに足りる証拠もない。
エ以上によれば,原告は,何ら旧インディアン社と関係がない第三者であると
の評価を免れないというべきであるから,このような原告が,旧インディアン社と
共通の「IndianMotocycle(インディアンモトサイクル」との部分を含む商号)
を採択し,旧インディアン社の商標と同一又は類似のものである原告各表示を使用
しても,旧インディアン社と離れて,原告の略称ないしは原告の原告を出所とする
ものとして需要者,取引者の間に知られるようになるということはできない。
(2)上記(1)の説示によれば,新インディアン社は,法的には旧インディアン社
との連続性は何らない会社である上,その従業員,営業組織,オートバイ製造の技
術等,その他その具体的活動状況等に照らしても「Indian」商標を付したオート,
バイを製造販売していた旧インディアン社を復活させたものと評価することはでき
ないのであり,原告は,何ら旧インディアン社と関係がない第三者であるとの評価
を免れず,このような原告が旧インディアン社と共通の「IndianMotocycle(イン
ディアンモトサイクル」との部分を含む商号を採択し,旧インディアン社の商)
標と同一又は類似のものである原告各表示を使用しても,旧インディアン社と離れ
て「IndianMotocycle」ないし原告各表示が,原告の略称として,ないしはその,
被服等の商品の出所が原告であることを示すものとして,需要者,取引者の間に知
られるようになっていたということはできない。
そうであれば,同様の第三者である被告が,同様に旧インディアン社の商標と類
似のものである本件商標を出願しても,旧インディアン社との関係ではともかく,
原告各表示により展開されている原告の「Indian」商標のビジネスを妨害するもの
とはいえないことも明らかである。すなわち,被告商標A∼Jの登録出願,登録に
より,競合する被服等の分野において同一又は類似する被告商標A∼Jが登録出願
を経て登録され,存在することによって,原告が原告各表示を使用した「Indian」
商標のビジネスに事実上の影響を被っているとしても,それは,原告があえて旧イ
ンディアン社に依拠したビジネス展開を行ったことが招いた当然の結果であるとい
わざるを得ず,被告の行為は自由競争の範囲内のものと評価され,原告のビジネス
展開を被告が妨害したものということはできない。
したがって,本件商標を含む被告商標A∼Jの登録出願が,原告による原告各表
示を付した「Indian」商標のビジネスを阻害し妨害する行為であるということはで
きず,そうである以上,本件商標の出願をもって,原告の業務の遂行を阻害し業
務を妨害する意図でなされたものということもできない。
以上によれば,本件商標が,法4条1項7号に該当するということはできない。
3原告の主張に対する判断
以上判断したとおりであるから,原告主張の審決取消事由は理由がなく,これに
反する原告の主張は,いずれも失当であるか,又はことさら判断する必要がないも
のであるが,原告の主張のうち以下の主張については,事案に鑑み,念のため,個
別的に判断を加えることとする。
(1)原告は,原告は「Indian」ブランドによるビジネスを正当に展開するもの
であり,日本における「Indian商標」の正当な出所である,このことは,原告の取
扱商品に関連する取引者,需要者に止まらず,世間一般の広く認識するところであ
ると主張する。
しかし,前記に説示したとおり,Bが契約を締結した新インディアン社は,法的
には旧インディアン社との連続性は何らない会社である上,その従業員,営業組織,
オートバイ製造の技術等,その他その具体的活動状況等に照らしても「Indian」,
商標を付したオートバイを製造販売していた旧インディアン社を復活させたものと
評価することはできないから,原告は,何ら旧インディアン社と関係がない第三者
であるとの評価を免れない。
以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。
(2)原告は,新インディアン社は,Aとは別のものであり,マーチャイジングブ
ランドとしての「Indian」ブランドの正当な出所である,Bは,日本において「Ind
ian」ブランドによるビジネスを展開する権利につき,対価を支払って新インディ
アン社から取得したものであり,日本において正当に「Indian」ブランドによるビ
ジネスを展開したものであり,Bからこのような地位を承継した原告は,日本にお
いて正当に「Indian」ブランドによるビジネスを展開したものであると主張するが,
上記アの説示に照らし,原告の同主張は失当である。
(3)原告は,本件商標の出願(平成3年11月5日)当時,原告各表示は,若
年男性層向けのいわゆるアメリカンカジュアル系のブランドファッション市場にお
いて,シャツ,ジャケット,パンツなどの商品について,原告を出所とする商標と
して,需要者,取引者の間に少なくとも相当程度知られており,本件商標の登録時
(平成6年3月31日)には,需要者,取引者の間で広く認識され周知であった,
また「IndianMotocycle(インディアンモトサイクル「IndianMotocycleJ,)」,
apan(インディアンモトサイクルジャパン」は「Indian」ブランドの提供者),
である原告の略称として,需要者,取引者の間に,本件商標の商標登録出願時(平
成3年11月5日)には少なくとも相当程度知られており,本件商標の登録時(平
成6年3月31日)には広く認識され周知であった,と主張する。
しかし,前記に説示したとおり,原告は,旧インディアン社の復活を標榜し,旧
インディアン社の正当な承継人であることを宣伝広告して原告各表示を付した商品
を製造販売等していたものであるにもかかわらず,何ら旧インディアン社と関係が
ない第三者であるとの評価を免れないのであって,このような原告が,旧インディ
アン社と共通の「IndianMotocycle(インディアンモトサイクル「IndianMo)」,
tocycleJapan(インディアンモトサイクルジャパン」との部分を含む商号を)
採択し,旧インディアン社の商標と同一又は類似のものである原告各表示を使用し
ても,旧インディアン社と離れて,原告を出所とする商号,原告の略称として需要
者,取引者の間に知られるようになるということはできない。
以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。
(4)原告は,本件商標は,被告において,平成2年に米国で「Indian」ブラン
ドのマーチャンダイジングビジネスが立ち上げられたことを知り,同ブランドビ
ジネスが何人かにより日本に導入され展開されることのあるべきことを予測し,
本件商標を商品に使用する意思なしに,将来何人かにより日本に「Indian」ブラ
ンドビジネスが導入され展開されたときに,導入や展開を行った者の使用する商
標と同一又は類似の商標を同一又は類似の商品に使用し,その者の企業努力の成
果を収奪し,もってその者の業務の遂行を阻害し,業務を妨害することなどを意
図して出願し登録を得たものである,と主張する。
しかし,前記のとおり,原告が,旧インディアン社と共通の部分を含む「Indi,
anMotocycle(インディアンモトサイクル「IndianMotocycleJapan(イン)」,
ディアンモトサイクルジャパン」などからなる商号を採択し,旧インディアン)
社の商標と同一又は類似のものである原告各表示を使用しても,旧インディアン社
と離れて,原告を出所とする商号,原告の略称として需要者,取引者の間に知られ
るようになっていたということはできない。さらに,前記に説示したとおり,原告
と,何ら旧インディアン社と関係がないという意味で同様の第三者である被告が,
同様に旧インディアン社の商標と類似のものである本件商標を出願しても,旧イン
ディアン社との関係ではともかく,原告各表示により展開されている原告の「Indi
an」商標のビジネスを妨害するものとはいえないから,新インディアン社のビジネ
ス展開についての被告の認識の程度や,被告の本件商標「インディアンモーターサ
イクル(被告商標A)の使用の有無等について検討するまでもなく,本件商標を」
含む被告商標A∼Jの登録出願が,原告による原告各表示を付した「Indian」商標
のビジネスを阻害し妨害する行為であるということはできず,本件商標の出願や
登録をもって,原告の業務の遂行を阻害し業務を妨害する意図でなされたものと
いうことはできない。
以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。
(5)原告は,被告は,商標の冒用出願登録を行い,正規のライセンスビジネス
を妨害している,すなわち,被告は,海外のブランド,映画のタイトルや映画中で
使用されたブランド,人名,社名,地名等のいわゆるキャラクターで,日本におい
て,将来ブランドビジネス,キャラクターマーチャンダイジング展開の基となりそ
うなものを権利者に無断で少し変えたりしてまず登録出願し,これを利用して,ビ
ジネスを展開しようと企画しているものであり,被告が出願,登録した商標の中に
は「ベアーサーフボード」の登録及び「BEARSURFBOARDS+図形」の出願等,被,
告による出願登録が著しく違法性を有すると解さざるを得ないものが多く含まれて
いる,と主張する。
しかし,たとえ上記の点を指摘したとしても,前記のとおり,原告が,旧インデ
ィアン社と関係がないのにあえて旧インディアン社に依拠したビジネス展開を行っ
たことに変わりはなく,原告のビジネス展開を被告が妨害したものということはで
きないという前記の説示が左右されるものではないから,原告の上記主張は失当で
ある。
4結論
以上によれば,審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決す
る。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官
塚原朋一
裁判官
本多知成
裁判官
田中孝一

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