弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A本人の上告趣意について。所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反および
量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 被告人Aの弁護人大竹武七郎の上告趣意について。
 所論第一のうち、判例違反をいう点は、所論引用の判例は本件と事案を異にし適
切でなく、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由
にあたらない。
 所論第二は、原判決が起訴されていない贈賄事実を余罪として認定し、これを量
刑の資料としたのは、判例に違反し、ひいては憲法三一条に違反する、と主張する。
しかし、原判決は、措辞に妥当を欠く点がないではないが、所論指摘の事実を余罪
として認定しているとは認められないから、所論は前提を欠き、適法な上告理由に
あたらない。
 所論第三は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 被告人Aの弁護人小林健治の上告趣意について。
 所論は、量刑に関する事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあ
たらない。
 被告人Aの弁護人戸澤重雄、同山田茂の上告趣意について。
 所論は、量刑に関する事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあ
たらない。
 被告人Bの弁護人植村武満、同萩原菊次の上告趣意について。
 所論第一点は、原判決が起訴されていない犯罪事実を余罪として認定し、実質上
これを処罰する趣旨で量刑の資料としたのは、判例に違反し、ひいては憲法三一条
に違反する、と主張する。しかし、原判決は、措辞に妥当を欠く点がないではない
が、所論指摘の事実を、被告人の本件各犯行の犯情を推知する一情状として考慮し
たにすぎないものと認められるから、所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたら
ない。
 所論第二点は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらな
い。
 (被告人Aの弁護人斎藤悠輔の補充上告趣意書、同辻畑泰輔の補充上告趣意書、
同福原忠男の上告趣意補充書、同竹内誠の補充上告趣意書、同小野清一郎の上告趣
意書、同野口恵三の上告趣意補充書および被告人A本人の補充上告趣意書は、いず
れも上告趣意書差出期間経過後に差し出されたものであるから、判断を加えない。)
 また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり決定する。
  昭和四五年三月一〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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