弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成28年(あ)第190号現住建造物等放火被告事件
平成29年12月19日第三小法廷決定
主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中610日を本刑に算入する。
理由
弁護人赤坂裕志,同大道智子,同永井崇志の上告趣意は,憲法違反をいう点を含
め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条
の上告理由に当たらない。
所論に鑑み,現住建造物等放火罪で起訴された本件において,刑の量定に当た
り,放火によって人が死亡したことを考慮したことの当否について,職権で判断す
る。
1本件公訴事実の要旨は,被告人は,平成23年12月29日午前4時38分
頃,埼玉県大里郡寄居町所在の2名が現に住居に使用し,かつ,同人らが現にいる
居宅(木造トタン葺平屋建,床面積約115.03㎡)に延焼し得ることを認識し
ながら,上記居宅に隣接した作業場建物の軒下に積み上げられていた段ボールに,
ライターで着火して火を放ち,その火を上記居宅に燃え移らせて全焼させたという
ものである。
2第1審判決は,公訴事実記載のとおりの事実を認定し,量刑事情として,上
記居宅に居住していた2名が逃げ切れず一酸化炭素中毒により死亡したことをも考
慮し,被告人を懲役13年に処した。
3原判決は,第1審判決が,刑の量定に当たり,放火行為から人の死亡結果が
生じたことを被告人に不利益に考慮したことは,それ自体不当なところはなく,余
罪処罰に当たるようなものでもないなどとして,これを是認した。
4所論は,現住建造物等放火罪の訴因にも罪となるべき事実にも記載されてい
ない死亡の結果を量刑上考慮したことは,不告不理の原則に反する旨主張する。
5放火罪は,火力によって不特定又は多数の者の生命,身体及び財産に対する
危険を惹起することを内容とする罪であり,人の死傷結果は,それ自体犯罪の構成
要件要素とはされていないものの,上記危険の内容として本来想定されている範囲
に含まれるものである。とりわけ現住建造物等放火罪においては,現に人が住居に
使用し又は現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船又は鉱坑を客体とするものであ
るから,類型的に人が死傷する結果が発生する相当程度の蓋然性があるといえると
ころ,その法定刑が死刑を含む重いものとされており,上記危険が現実に人が死傷
する結果として生じた場合について,他により重く処罰する特別な犯罪類型が設け
られていないことからすれば,同罪の量刑において,かかる人の死傷結果を考慮す
ることは,法律上当然に予定されているものと解される。したがって,現住建造物
等放火罪に該当する行為により生じた人の死傷結果を,その法定刑の枠内で,量刑
上考慮することは許されるというべきである。
本件においては,放火により焼損した居宅内にいた2名が一酸化炭素中毒により
死亡しており,これを本件の量刑事情として考慮した第1審判決を是認した原判決
に所論のいうような違法はない。
よって,刑訴法414条,386条1項3号,刑法21条により,裁判官全員一
致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官木内道祥裁判官岡部喜代子裁判官山崎敏充裁判官
戸倉三郎裁判官林景一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛