弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       原判決中上告人の被上告人に対する請求を棄却した部分
       を破棄する。
       前項の部分につき,本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由 
 上告代理人古田修の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)に
ついて
 1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
 (1)ア 株式会社D銀行は,昭和56年12月10日,E製函株式会社に対し,
350万円を利息年9.8%,損害金年14%の約定で貸し付けた。
 イ F信用金庫は,昭和58年9月20日,E製函に対し,500万円を利息年
8.5%,損害金年14%の約定で貸し付けた。
 (2) 上告人は,E製函から,上告人が代位弁済したときは代位弁済額に対する
弁済の日の翌日から年14.6%の割合による損害金を支払うとの約定で保証の委
託を受け,上記各貸付日ころ,上記各金融機関との間で,E製函の上記各貸付金債
務を保証する旨の契約をした。
 (3) 被上告人は,上告人との間で,上記各貸付日ころ,上記各保証委託に基づ
きE製函が上告人に対して負担すべき求償債務について連帯保証する旨の契約をし
た。
 (4) E製函は,昭和58年12月13日,破産宣告を受けた。
 (5) 上告人は,同月15日,D銀行に対して上記(1)アの貸付金の残元利金24
0万9665円を,F信用金庫に対して同イの貸付金の残元利金498万9467
円を弁済し,上記各貸付金の元利金を完済した。
 (6) 上告人は,昭和59年1月10日,E製函の破産手続において,上記各貸
付金の残元金と破産宣告の日の前日までの利息金について債権の届出をしたところ
,債権調査期日において破産管財人らから異議がなかったので,その旨債権表に記
載された。
 (7) E製函の破産手続は,最後配当を終わり,平成元年4月14日,破産終結
決定がされ,同年5月2日,その旨公告がされた。
 (8) 上告人は,被上告人ほかから,上記(1)アの貸付金に係る求償債権について
,平成7年4月28日まで第1審判決別紙損害金計算書1のとおり合計240万9
665円の支払を受け,同イの貸付金に係る求償債権について,平成5年9月30
日まで同損害金計算書2のとおり合計498万9467円の支払を受けた。これら
は上記各求償債権の元金に充当され,これにより各元金は完済された。しかし,上
告人は,上記各求償債権の遅延損害金については支払を受けていない。
 (9) 上告人は,平成10年11月18日,本件訴訟を提起した。
 2 本件は,上告人が被上告人に対し,上記1(3)の各連帯保証契約に基づき,
上記各求償債権の遅延損害金の合計額である581万7020円の支払を求めるも
のである。これに対し,被上告人は,主債務の消滅時効を援用し,本件訴訟提起時
においては,被上告人の保証債務は主債務の時効消滅に伴い消滅していたと主張し
た。
 3 原審は,前記事実関係の下において,上記各求償債権のうち平成5年11月
18日以前に生じた遅延損害金債権は破産終結後本件訴訟提起時までに時効消滅し
ており,被上告人の連帯保証債務も主債務である上記遅延損害金債務の時効消滅に
伴って消滅したものと判断し,上告人の請求を9万2550円の限度で認容し,そ
の余を棄却した。
 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
 会社が破産宣告を受けた後破産終結決定がされて会社の法人格が消滅した場合に
は,これにより会社の負担していた債務も消滅するものと解すべきであり,この場
合,もはや存在しない債務について時効による消滅を観念する余地はない。この理
は,同債務について保証人のある場合においても変わらない。したがって,【要旨
】破産終結決定がされて消滅した会社を主債務者とする保証人は,主債務について
の消滅時効が会社の法人格の消滅後に完成したことを主張して時効の援用をするこ
とはできないものと解するのが相当である。
 ところが,原審は,これと異なる見解に立ち,破産終結決定がされ主債務者の法
人格が消滅した後に主債務の一部が時効消滅し,被上告人の保証債務の一部もこれ
に伴って消滅したものと判断し,この消滅時効の援用を認め,上告人の被上告人に
対する請求を一部棄却した。この原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明ら
かな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決中上告人の被上告人に対する請
求を棄却した部分は破棄を免れない。そして,記録によれば,被上告人は主債務の
消滅時効を主張するとともに保証債務の時効消滅をも主張しているものと解する余
地があり,また,上告人が被上告人による保証債務の承認を主張していることは記
録上明らかであるから,本件については,これらの点について更に審理を尽くさせ
る必要があり,上記部分につき,本件を原審に差し戻すのが相当である。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 福田 博 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 梶谷
 玄 裁判官 滝井繁男)

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