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平成23年10月13日判決言渡
平成22年(行ウ)第12号公務外認定処分取消請求事件
主文
1処分行政庁が平成18年8月24日付けで原告に対してした,亡A
の被った災害を公務外の災害と認定した処分を取り消す。
2訴訟費用は,被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要
原告の夫であるAは,平成▲年▲月▲日に勤務先である横浜市消防局X1消
防署X2消防出張所(以下「X2出張所」という。)の救急隊員用の寝室で死
亡したため,原告は,地方公務員災害補償基金横浜市支部長(以下「処分行政
庁」という。)に対し,Aの死亡が公務に起因して発生したものとして公務災
害認定請求をした。
本件は,前記公務災害認定請求に対し,処分行政庁が平成18年8月24日
付けでAの被った災害を公務外の災害と認定した(以下「本件処分」とい
う。)ため,原告が,Aは過重業務から喘息発作に引き続く心室細動により死
亡したものであるなどとして,本件処分の取消しを求める事案である。
1前提となる事実(争いのない事実及び当裁判所に顕著な事実)
(1)Aの身分関係等
アAは,昭和▲年▲月▲日生まれの男性であり,原告は,Aの妻であり,
Aとの間に3人の子どもがいる。
イAは,平成▲年▲月▲日,X2出張所の救急隊員用の寝室で死亡したが,
その死体検案書には,死亡推定時刻として同日午後11時と,直接の死因
として気管支喘息と,それぞれ記載されていた。
(2)Aの経歴
Aは,昭和54年4月1日から横浜市消防職員として勤務を開始し,平成
7年10月から平成14年9月まで横浜市消防局X3消防署(以下「X3消
防署」という。)に勤務し,同年10月から平成▲年▲月▲日に死亡するま
でX2出張所に勤務していた。Aは,その間,救助隊員,大型機関員,はし
ご消防車機関員,救急隊員の各資格を取得して,警防部門における救助,消
火,救急の全業務に精通していた。
(3)消防士の業務内容等
横浜市消防局の警防部門のほとんどの消防職員は,1課,2課が交代して
勤務する2部制であり,1勤務(当直)の拘束時間は朝から翌朝までの24
時間となる。この拘束時間中,昼・夕・翌朝の休憩時間及び夜間の仮眠時間
を合算した「休憩時間」といわれる時間が8時間30分,「休息時間」とい
われる時間が30分,「勤務時間」といわれる時間は15時間30分あり
(「休息時間」は「勤務時間」に含まれる。),職員は,労働時間の150
パーセント以上に当たる時間について拘束された状況のもとにある。
また,職員は,「休憩時間」中の食事中,深夜の仮眠中であっても,出場
命令があれば直ちに災害現場に向かわなければならず,その活動は,消火活
動にせよ救急活動にせよ,それ自体,危険を伴っている。
(4)Aの健康状態等
アAは,平成13年,平成14年の健康診断において心電図の異常が認め
られており,平成16年には異常所見の「判定区分C」により「イエロー
カード」(受診勧告)を受け,横浜市に対し,循環器科での受診状況を報
告した。
Aは,平成17年の健康診断でも心電図上の頻発性心室期外収縮が認め
られたが,同年の異常所見(判定区分C)については,受診を求めるイエ
ローカードに対する報告義務がなくなったことから,Aに対し,受診状況
報告書用の文書は交付されなかった。
イAは,X3消防署に勤務していた平成13年12月ころ,気管支喘息の
診断を受け,治療を受けており,平成14年2月24日には,喘息重症発
作を起こした。
(5)Aの死亡当日の行動等
Aは,平成17年10月2日及び同月3日,連続して年次休暇を取得した。
Aは,同月4日,5日は勤務日ではなく,休日であった。
Aは,同月▲日に勤務に就き,同日午前中に交通事故の救急出場が,午後
には安全運転講習会がそれぞれあり,その後,午後4時ころ,救急出場があ
った。Aは,救急出場による病人搬送を終えた後,消防署への帰途において,
喘鳴が出るようになり,X2出張所内での同僚との夕食の後,具合が悪いと
言って一人で救急隊員用の寝室に行き,その後,(1)イのとおり,死亡した。
(6)本件処分の経緯等
ア原告は,平成18年3月24日,処分行政庁に対し,Aが死亡するに至
った疾病は公務に起因して発生したものであるとして公務災害認定請求を
した。
イ処分行政庁は,同年8月24日,原告に対し,Aが発症1か月前から死
亡当日までの間に従事していたのは本人に割り当てられた通常の職務であ
り,異常な出来事・突発的事態もなく,過重な精神的,肉体的負荷はなか
ったとし,Aの死亡は,アレルギー等の病的素因や基礎疾患が自然経過的
に発病したことによるものであるなどとして,その疾病を公務外の災害と
認定する決定を行い(本件処分),その旨を通知した。
ウ原告は,同年11月6日,地方公務員災害補償基金横浜市支部審査会に
対し,本件処分を不服として審査請求を行ったが,同審査会は,平成20
年11月26日,審査請求を棄却する旨の裁決を行った。
そのため,原告は,平成21年1月8日付けで,地方公務員災害補償基
金審査会に対し,再審査請求を行ったが,同審査会は,同年7月27日,
再審査請求を棄却する旨の裁決を行い,原告は,同年8月19日,それを
知り,平成22年2月17日,本件訴訟を提起した。
2争点及び争点に対する当事者の主張
本訴の争点は,(1)Aの死因とその死亡の公務起因性,(2)Aの公務のための
治療機会喪失の有無であり,これらの争点に対する当事者の主張は,以下のと
おりである。
(1)争点(1)について
ア原告
(ア)Aは,死亡時,腹臥位で顔は下向きにまっすぐベッドに向けられて
いたところ,喘息の重症発作を起こした患者は,呼吸困難となり,少し
でも空気を吸い込もうとし,呼吸を容易にする姿勢をとるはずであるか
ら,その姿勢は,喘息発作による窒息によって死亡した状況と異なって
いる。また,Aの解剖所見によっても,主気管支の完全閉塞の所見はな
く,気管支喘息の重症発作によって死亡した場合の組織学的所見である
杯細胞の過形成,基底膜の肥厚などの所見は認められていない。そして,
心臓死と矛盾する所見は存在しない。
前記1(4)記載のAの既往症からすれば,Aは,喘息発作に引き続き
期外収縮により致死性の心室細動が引き起こされて死亡したものと認め
られる。
(イ)Aの勤務体制は,前記1(3)のとおりであって,Aが26年間もの
間,拘束されてきた24時間拘束2交代制の過重性は明らかであり,そ
のような勤務体制の中で長年従事してきた消防職員・救急隊員の通常業
務の過重性,それによる生理的,肉体的負担,慢性的な蓄積疲労,身体
への悪影響等は顕著である。
(ウ)Aは,平成14年2月24日以後は大きな喘息発作を起こしていな
かったが,前勤務署であるX3消防署及び死亡当時の勤務署であるX2
出張所の署内外の車両による排気ガスにさらされた環境や過重な公務の
中で,大きな負荷が加われば喘息発作が起こり得る状況にあった。
そして,Aは,平成▲年▲月▲日午後4時ころ,横浜市α区β町の急
病出場を担当した。この急病出場は同日午後4時14分から午後5時ま
での間に行われたが,傷病者の自宅が長い階段上のさらに細い道の奥に
位置していたため,約80キログラムの重い傷病者を他の救急隊員らと
3人がかりで重さ約9キログラムのスクープストレッチャーから落とさ
ないように気を付け,階段を踏み外すなどして転倒しないように注意し
て,階段下に停車させた救急車までの道のりを運ばなければならず,A
に著しく緊張を強い,体力を消耗させる重労働となった。
そのため,Aは,その搬送を終えた後,X2出張所への帰途において
喘鳴が出るようになり,前記1(5)のとおり,死亡した。
(エ)Aの突然死は,発症当日の大きな負荷によるものであると同時に,
それまでの過重な労働が基礎となって現れたものであり,心室細動のき
っかけとなった喘息発作自体が過重な業務と悪環境によるものであって,
公務起因性がある。
仮にAの死亡が喘息の重症発作によるものであるとしても,1度しか
なかった重症発作が繰り返されたのは発症当日の業務の大きな負荷によ
るものであり,また,喘息の増悪は,過重な労働,排気ガスについての
劣悪な環境によるものであって,Aの喘息の増悪,その中での死亡は,
公務起因性がある。
イ被告
(ア)地方公務員災害補償法施行規則の別表第一の八に定める疾病につい
ては,通常の業務に従事するだけでは,その発症の危険があるとは評価
できず,通常の公務と比較して特に過重な公務に従事した場合に初めて,
公務に内在する危険が現実化して当該疾病が発症したと評価できる。し
たがって,公務が当該疾病発生の単なる誘因にすぎない場合には公務起
因性は認められない。
(イ)Aの平成17年4月から死亡時までの時間外労働が長時間に及ぶと
はいえない。
Aの死亡当日の救急出場による病人搬送については,救急隊員がスト
レッチャーで傷病人等を搬送することは通常の公務であることから,過
重な公務とはいえない。
Aは,同年10月2日から同月5日まで4日連続で休んでおり,十分
に休養の取れた翌日である同月▲日に死亡しているから,公務過重性は
認められない。
(ウ)Aの死体検案書では,直接死因が気管支喘息とされ,解剖の結果等
についても,「気管支内に多量の粘液,両肺肺気腫及びうっ血,左右冠
状動脈硬化狭窄軽度,心筋に肉眼的に病変認めず。左肺620g,右肺
630g。外傷なし。」とされた上,心室性期外収縮とAの死亡の因果
関係はないと判断されている。
こうした事実に,X3消防署及びX2出張所の環境に問題が認められ
ないこと,Aの既往歴を踏まえれば,Aは,自宅で飼っていたペットの
ウサギアレルギーにより喘息に罹患し,喫煙習慣を継続するなどして,
これを増悪させた結果,死亡に至ったものであり,公務起因性は認めら
れない。
(2)争点(2)について
ア原告
(ア)Aは,平成17年10月5日夜,咳のためにろくに眠れなかったに
もかかわらず,既に年休を直前に取得し,24時間2交代制という人員
の余裕がない状況のために年休を取得することが極めて困難であったた
め,同月▲日,診察を受けることもなく,勤務に就いた。
(イ)医師の治療を受ければAの喘息は早期におさまり,仮に心室細動が
発生しても適切な措置を受けられたにもかかわらず,Aは,同月▲日午
後の急病出場の後,喘鳴が発生していたものの,治療のために勤務から
離脱することができず,医師の診察を受けることができず,救急隊員用
の寝室で休んだにすぎなかった。
(ウ)Aの職場であるX2出張所は,常時最低限の人員しか配置されてい
ないことから,本署(X1消防署)から人員が送り込まれない限り,体
調不良を理由とする職場離脱をすることができない。そして,交代人員
は誰でもよいわけではなく,Aのように救急隊員や機関員などの資格が
必要な人員の欠如の場合,本署において必要な資格を持つ者が余剰人員
の中にいなければ,X1消防署の他の出張所を当たり,他の出張所の該
当者と本署の余剰人員とを交代させた上で,必要な資格者を消防車等で
送り込むなどのやりくりが必要となり,こうした交代の手続には相当の
手間と時間を要する。また,当日の必要な人員が確保できない場合,当
直勤務を終えたばかりの明け番の者をそのまま午後5時まで勤務させ,
翌日朝から勤務する予定の者を前日の午後5時から勤務させて交代させ
るというような強引な引継ぎによって,消防隊・救急隊が定員不足を理
由とした運行停止に陥らないよう阻止することとなる。
また,出張所においては,人員交代の指示を出せる管理所監督者は出
張所長(係長級)であるが,所長は平日の日中のみの勤務時間であるた
め,夜間や休日には,職員の健康管理を司る責任者がいない。よって,
実際のところ,本件被災当日の夜間にはAの職場離脱を許可することが
できる者がX2出張所にはいなかった。
(エ)Aは,以上のとおり,その症状をおして勤務に就かざるを得ず,公
務の体制から治療機会を奪われた結果,死亡に至ったから,この点から
も公務起因性は明らかである。
イ被告
(ア)治療機会の喪失が認められるためには,①Aに治療を受ける意思が
あったこと,②その意思を表明したにもかかわらず,公務遂行を指示さ
れたこと,③意思を表明したとしても,公務を遂行せざるを得ない客観
的状況が認められること,④治療を受ければ,救命できたことが必要で
ある。
しかし,Aは,平成13年12月19日にBクリニックで気管支喘息
の診断・治療を受けたものの,平成15年5月2日を最後に,同クリニ
ックに通院しておらず,その後,平成17年3月3日にCクリニックで
「のどの痛み」「下痢(++)」等で診断を受けたものの,気管支喘息
患者にとって必要な気管支喘息コントロールのための定期的な通院をし
ていた形跡はなかったから,気管支喘息の発作が起きていない状態で,
Aが診察治療を受けたとする根拠はない。Aは,平成▲年▲月▲日午後
5時に帰署後も喘息発作を起こしておらず,同日午後6時には夕食,同
日午後6時30分頃から午後7時まではミーティングに参加していたの
であるから,Aに同日に治療を受ける意思があったとは認められない。
(イ)Aは,平成17年4月1日から死亡するまでの間に,11日間の年
休を取得しており,年休を取得することができないという客観的状況は
なく,仮に,年休取得で人員不足が生じた場合は,他消防署等から応援
を受けることができるのであり,人員不足が生じるからといって,年休
を取得できないことはない。
第3当裁判所の判断
1公務起因性の判断枠組み
地方公務員災害補償法31条及び42条の「職員が公務上死亡した場合」
とは,職員が公務に起因して死亡した場合,すなわち,公務と職員の死亡と
の間に相当因果関係がある場合を意味する(最高裁判所第二小法廷昭和51
年11月12日判決・裁判集民事119号189頁参照)。
この相当因果関係は,職員の死亡が公務を唯一の原因または相対的に有力な
原因とする場合に限らず,当該職員に基礎疾患があった場合において,公務
の遂行が基礎疾患をその自然の経過を超えて増悪させて死亡に至ったときに
は,公務に内在する危険が現実化して死亡に至ったものとして,これを肯定
することができるというべきである(最高裁判所平成8年1月23日第三小
法廷判決・裁判集民事178号83頁,最高裁判所平成8年3月5日第三小
法廷判決・裁判集民事178号621頁参照)。また,公務が職員の疾病を
自然の経過を超えて著しく増悪させるものと認められない場合であっても,
職員の疾病が客観的にみて治療を要する状況にあるにもかかわらず,職員に
おいて休暇の取得その他治療を受けるための方法を講じることができず,引
き続き職務に従事しなければならないような事情が認められるときは,その
こと自体が職務に内在する危険であるということができるから,このような
事情の下に職務に従事した結果職員の疾病が自然経過を超えて著しく増悪し
たときはこれを職務に起因するものというべきである(東京高等裁判所平成
12年8月9日判決・労働判例797号4頁,最高裁判所平成8年1月23
日第三小法廷判決・裁判集民事178号83頁参照)。
2認定事実
前提事実に以下の証拠(甲4ないし14,17ないし23,25ないし3
9,42ないし44,乙1ないし8,10ないし16,23,24(以上に
ついて各枝番を含む。),証人D,証人E,証人F及び原告本人)及び弁論
の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。
(1)Aの職歴,公務の内容,健康状態等
アAの昭和54年4月1日採用以降の消防署における職歴は以下の
とおりである。
発令年月日所属及び補職
S54.04.01教育課初任教育生初任教育生消防士
S54.09.29X1消防署消防士
S59.07.01X1消防署X4消防出張所一係消防隊隊員消防士
S61.04.01X5消防署X6消防出張所二係救助隊隊員消防士
S63.04.01X7消防署X8消防出張所二救助隊副機関員消防士
H02.10.01X7消防署警備第二課第二消防隊隊員消防士
H03.10.01X7消防署警備第二課第二消防隊副機関員消防士
H04.04.01X7消防署X8消防出張所二梯子消防隊正機関員消防士
H04.11.01X7消防署X9消防出張所二係梯子消防隊正機関員消防士
H05.10.01X7消防署X9消防出張所二係ミニ消防隊機関員消防士
H05.12.20X7消防署X9消防出張所二係梯子消防隊正機関員消防士
H06.06.01X7消防署X9消防出張所二係消防隊副機関員消防士
H07.10.01X3消防署警備第一課第二消防隊隊員消防士
H11.02.26X3消防署警備第一課第二消防隊副機関員消防士
H12.10.01X3消防署警備第一課第二消防隊隊員消防士
H13.04.01X3消防署警備第一課第二消防隊副機関員消防士
H13.10.01X3消防署警備第一課第二消防隊隊員消防士
H14.04.01X3消防署警備第一課救急隊隊員消防士
H14.10.01X1消防署X2消防出張所二係ミニ消防隊機関員消防士
イAの資格等
Aは,普通自動車運転免許,第2級陸上特殊無線技士,危険物取扱者丙
種,大型自動二輪車運転免許,消防機動二輪隊員認定,救助員認定者,大
型自動車運転免許,機関員認定者,(旧)航空救助員認定者,梯子機関員
認定者,消防機動二輪隊指導員認定,酸素欠乏危険作業主任者第二種,職
員,救急標準課程隊員,救急隊員認定者の免許,資格を有していた。
ウAの勤務実態
Aは,横浜市消防局の警防部門の他の消防職員と同様,以下のとおりの
隔日勤務をしていた(横浜市消防職員の勤務時間等に関する規程第3条)。
8:4512:0013:0017:1517:45
勤務時間休息時間
(15分)
休憩時間
(45分)
勤務時間休憩時間
(30分)
勤務時間
21:006:007:157:307:458:45
休憩時間21時から翌朝6時まで
(7時間)うち2時間を勤務
勤務時間休息時間
(15分)
休憩時間
(15分)
勤務時間
通常,午前8時45分交代で翌日午前8時45分まで24時間2交代
制で勤務する。午前8時45分に前日の当直勤務員と引き継ぎ交代し,
車両点検,無線試験等を行った後に事務所で業務調整を行う。
特に訓練や防災指導等がない場合は,担当業務の事務処理を行う。
昼食後午後1時まで休憩し,午後については管内の巡回を中心に消防
車両で出向する。
救急隊として勤務する時は,出場が多いために担当事務以外に救急活
動の事務処理が加わり,時間外業務が多くなる。
夜間については午後9時から翌日午前6時までの間に2時間の勤務
(通常午後9時から午後11時)を行う以外は休憩時間となり,X2出
張所2階にある寝室で仮眠を取ることができる。
消防隊,救急隊ともに昼の休息,休憩時間,夜の休憩時間中であって
も,災害指令があれば出場する。
エAの事務分掌
X2出張所事務分掌によれば,Aの職務内容は,X2出張所の1係の
副担当者であり,事務分掌は,庁舎(付属する施設及び器具を含む。)
の保全及び庁中取り締まりに関すること,超過勤務に関すること,週休,
休暇等に関すること,市内外出張旅費に関することなどであった。
オAの救急出場
Aは,平成17年4月から同年10月にかけて合計57回当直勤務を
行っているが,そのうち23時から翌朝6時までの仮眠時間に出場した
当直日が26回あった(乙1の79頁)。
カ時間外勤務
Aの,平成17年4月から同年▲月▲日までの時間外勤務時間(休憩
時間における出場,深夜の休憩時間における出場を含む。)は以下のと
おりであった。
月時間外勤務時間数(週休日を含む)
421時間57分
568時間27分
622時間27分
734時間14分
815時間14分
932時間35分
100時間
キ休暇取得
Aは,平成17年4月以降,同月に2日,同年5月に3日,同年6月
に1日,同年7月は夏季休暇2日,同年8月に1日と夏季休暇3日,同
年9月に2日,同年10月に2日の年次有給休暇を取得していた。
クAの勤務状況
Aの死亡1か月前の勤務状況は,以下のとおりであった。
年月日状況
9月6日当直(救急隊)救急出場(14:19~15:11)
救急出場(19:49~21:05)
救急出場(22:28~0:00)
9月7日非番救急出場(8:15~9:35)
9月8日当直(消防隊)学校巡回(14:30~15:10)
9月9日非番救急出場(4:15~5:30)
9月10日週休
9月11日非番
9月12日当直(救急隊)救急出場(9:45~10:45)
救急出場(13:00~14:56)
救急出場(16:24~17:21)
救急出場(17:21~18:20)
救急出場(22:00~23:30)
9月13日非番救急出場(3:44~5:04)
救急出場(8:30~9:45)
9月14日救急隊救急出場(13:56~14:50)
救急出場(15:14~16:14)
救急出場(16:14~17:00)
救急出場(20:48~21:37)
救急出場(23:22~0:42)
9月15日非番救急出場(2:41~4:25)
救急出場(5:54~6:40)
救急出場(7:32~8:23)
救急出場(8:23~9:40)
9月16日当直(はしご隊)救急出場(12:26~13:15)
夜間巡回(22:30~23:30)
9月17日非番
9月18日週休
9月19日非番
9月20日当直(消防隊)巡回広報(15:00~16:10)
巡回警戒(22:00~23:00)
9月21日非番
9月22日当直(はしご隊)巡回広報(13:50~15:00)
災害出場(15:00~16:00)
夜間巡回(23:00~0:00)
9月23日非番
9月24日当直(はしご隊)広報(9:45~10:45)
広報(13:30~14:00)
広報(15:15~16:00)
9月25日非番
9月26日週休
9月27日非番
9月28日年次休暇
9月29日年次休暇
9月30日当直(はしご隊)訓練(0:00~翌2:00)
10月1日非番
10月2日年次休暇
10月3日年次休暇
10月4日週休
10月5日週休
ケAの喫煙習慣
Aは,16歳ころから1日約20本の喫煙習慣があったが,後記コ
(イ)のとおり,平成14年2月24日に喘息発作を起こした際,医師か
ら禁煙を勧められたこともあり,それ以降,自宅では喫煙しなくなり,
喫煙本数は減っていた。
コAの受診状況
(ア)Aは,平成13年,同14年,同16年,同17年に健康診断にお
いて心電図の異常が認められた。Aは,平成16年7月28日に受診
した健康診断において,心室性期外収縮によりC判定を受けて受診勧
告を受け,同年9月13日,G市民病院で受診したところ,不整脈を
指摘され,約3か月間継続して通院した。
Aは,平成17年8月22日実施の健康診断においても医師の指示と
して心電図専門医受診とされたが,横浜市消防局において,C判定に
ついては受診結果の報告を求められなくなったことから,受診しなか
った。
(イ)Aは,平成13年12月に,Bクリニックを受診し,気道過敏症,
アレルギー性鼻炎との診断を受け,また,平成14年1月,気道過敏
症,アレルギー性鼻炎,気管支喘息との診断を受けた。
Aは,自宅において,平成14年2月24日の夜から咳が激しくな
り,重症の喘息発作を起こした。Aは,呼吸が困難となり唇の色が変
わったことから,原告が救急車を呼ぼうとしたが,Aから,救急車を
呼ぶとこの状態だと入院になり,入院すると何週間も仕事に出ること
ができなくなるかもしれない,そんなに休むわけにはいかないと言わ
れたため,救急車を呼ぶことなく一晩過ごし,Aは,翌朝2月25日
になって,Bクリニックを受診した。Aは,BクリニックからG市民
病院を紹介され,同病院で受診したが,診察と処方のみで入院しない
ことになった。Aは,その後,平成15年5月までBクリニックに継
続して通院していた。Aは,その後は,喘息の大発作でBクリニック
を受診することはなく,感冒等をきっかけに小発作を起こし,短期間
のステロイド薬の内服を数回要していたが,仕事が忙しいため,受診
せず,処方のみのこともあった。
Aは,平成17年3月,Cクリニックを受診し,上気道炎,細気管
支炎,急性胃腸炎,気管支喘息との診断を受けた。また,Aは,平成
17年4月,Cクリニックを受診し,上気道炎,細気管支炎,急性胃
腸炎,気管支喘息,食欲不振,脱水症,糖尿病疑い,高脂血症,イン
フルエンザ疑いと診断されているが,これを最後に医療機関を受診し
ていない。
サウサギ
Aの自宅では,平成13年6月頃から,ペットとしてウサギを飼い始め
た。ウサギは,購入時から専用の飼育ケージに入れて屋外において飼って
いるが,雨の強い時にケージごと玄関に入れることはあった。ウサギの世
話は原告が,リードを付けての散歩はAの子ども達が行っており,Aがウ
サギに接触することはほとんどなかった。
Aは,平成14年2月25日,Bクリニックにおいて受診した血液検査
において,スギ(杉)とカトジョウヒ(家兔上皮)に対するIGE値
(アレルギー反応を示す値)が基準範囲を大幅に上回っていた(スギは
16.02,カトジョウヒは5.18)。
(2)Aの死亡に至る状況(この項について日付は特に記載のない限り▲月▲
日である。)
アAは,年次休暇を取得していた平成17年10月3日頃から咳をするよ
うになり,Cクリニックから半年前に処方された薬(具体的な薬剤名は不
明である。)を飲んでいた。Aは,午前2時頃,Aは,咳がひどい状況で,
布団の上に正座で座り,居間から持ってきた椅子にもたれていた。
イAは,午前6時30分頃に自宅を出て,午前8時頃にX2出張所に出勤
した。
当日,X2出張所に勤務していたのは,合計9名であり,Aは,正規の
配置はミニ消防隊の機関員(運転手)であるが,当日は,救急隊機関員と
して,E,Hとともに合計3名で救急隊を構成していた。X2出張所には,
他に,消防隊として,3名,ミニ消防隊として1名,はしご隊として2名
が勤務していた。
出勤時のAの顔色は悪く,引き継ぎの際に顔を合わせたはしご隊のDと
Aとの間で,「あれ,Aさん,ずいぶん顔色悪いね,疲れているの,夜更
かしのしすぎじゃあないんですか」「そお,そんなに悪い」「悪いっす
よ」「またまた,人を病人にしようとして,でも,最近疲れがとれなくて
さ」「健康診断でひっかかっているのだから気をつけないと」「血圧でひ
っかかっている,Dちゃんには言われたくないよ」「でも,調子悪いなら
休暇取った方が良いですよ。」「出勤しちゃったしね。人がいればね」と
いう会話が交わされた。Aは,日頃と比べ,当日は明らかに疲れている様
子であった。
ウ午前中,Aは,横浜市γ区のδ町で発生した交通事故に救急出場した。
Aは,汗をかく体質であったが,昼食時,いつもより大量の汗をかいて
いた。
Aは,昼食後,午後1時15分から午後3時まで,横浜市γ区η町の米
軍施設ノースピアで行われた安全運転講習会に出席した。
Aは,午後4時14分から午後5時まで,横浜市α区β町に急病出場し
た。腰痛の体重約80キログラムの女性高齢者を病院に搬送するというも
のであったが,傷病者の自宅は階段の上にあり,救急車が付近まで入るこ
とができなかったため,Aを含めた救急隊員3名で徒歩で傷病者を停車し
た救急車まで搬送することになった。救急車を停車した場所から自宅まで
の道のりは,幅3.8メートル,長さ9.55メートル,段数30段,一
段の高さ17センチメートル,踏み場の幅25センチメートル,斜度が約
35度の階段を上り,さらに,長さ28メートルの27段の階段を上る必
要があった。なお,救急車の停車位置から現場までの歩行距離は全長62.
55メートルであった。当日の負傷者は,腰痛であり,坐位の姿勢がとれ
なかったために,金属製の担架で落下防止のため傷病者を確実に固定でき
るスクープストレッチャー(重量約9キログラム)を使用した。Aは,ス
クープストレッチャーの下側をHとともに持ち,Eが上側を持った状態で,
負傷者を搬送した。
エAは,患者を病院に搬送した後,帰路に救急車を運転していたが,Aの
隣に座っていたHは,Aの呼吸の音が「ひゅーひゅー」となっていること
に気がつき,「どうしたの,大丈夫」と声をかけたところ,Aは「風邪を
ひいただけだよ」と答えた。
午後6時頃の夕食時,Aはいつも食べ終わるのが一番遅かったが,この
日は早めに食事を済ませ(残さず食べていた。),Dが半分も食べ終わっ
ていないのに食事を終えていた。Dが「兄貴,はぇ。どうしたんですか」
と言うと,Aは「そんなことないよ。でも,疲れているから今日は早く休
むよ。」と言い,疲れている様子であった。
Aは,夕食の後片づけ,食事代の精算,示達(ミーティング)が終わっ
た後,午後8時30分頃,食堂に入ってきて,Dに「疲れたから少し休む
ね。」と言って食堂を出て寝室に向かった。
Eが午後11時過ぎに救急隊寝室のベッドに入ったときは,照明は減光
された状態であり,EはAはうつぶせでベッドで寝ていると考え,就寝し
た。
Hは,翌7日の午前0時頃,救急隊寝室に入ったが,照明は減光された
状態で,Aの様子は分からず,照明を消して就寝した。
オこの日の夜間には,救急出場はなく,消防隊だけの災害出場が翌7日の
午前2時57分にあり,救急隊の寝室を含めた全館に火災指令が流れたた
め,EとHは一度起きあがったが,直ぐ就寝した。この際,Aは起きあが
らなかった。
翌7日午前6時に起床の一斉放送が放送されたが,Aが起床しないため,
EがAに声をかけたところ,Aはベッドの上に置いてある布団の上に腹臥
位の状態で,顔は下向きにまっすぐベッドに向けられており,少量の嘔吐
と失禁があり,死後硬直が始まっていた。
Aは,仮眠時には,いつも作業服を脱いで就寝していたが,発見された
際,Aは,作業服の上着は脱いでいたものの,ズボンと靴下を履いたまま
であった。
(3)Aの職場環境
アX2出張所の状況
X2出張所は,所長以下,消防第1係8名,消防第2係8名,救急第
1係4名,救急第2係5名で構成され,Aは第2係のミニ消防隊機関員,
消防士として配属されていた。X2出張所には,4台の車両(はしご車,
大型消防車,小型消防車,救急車)があったが,Aは,いずれも車両の機
関士(運転手)としての資格を有していたことから,その日の部隊編成に
よって,異なる車両を運転していた。
X2出張所は,交通量の多い幹線道路(主要地方道ε線(ζ通り))
に面して2階建の建物である。1階には車両の駐車場,事務室,訓練室,
洗面所,風呂があり,2階には,食堂,トイレ,消防隊寝室,救急隊寝室
がある。1階の駐車場は幹線道路に面してシャッターがあり,午前6時か
ら日没までシャッターが開かれたままにされていた。Aが死亡時に発見さ
れた救急隊の寝室は広さ約11平方メートルであり,内部には,横幅10
0センチメートル,縦200センチメートルの簡易ベッドが3台置かれて
いた。救急隊寝室は幹線道路からの騒音を防ぐため二重窓にされ,さらに,
ベニア板が張られていた。
X2出張所において,夜間の休憩時間中に消防隊にのみ出場指令があ
る場合は,救急隊寝室の照明が点灯されることはないが,救急隊寝室を含
めた全館放送で指令音声が拡声されるため,救急隊隊員の睡眠も分断され
ることとなった。
イX3消防署の状況
Aは,平成7年10月から平成14年9月までX3消防署に勤務していた
ところ,X3消防署は昭和44年築の老朽化した建物であり,消防車両の排
気ガスが外に出にくい構造になっていた。また,ガレージにシャッターがつ
いていない庁舎であったことから,ガレージが面している道路を走る車両に
よる排ガスや埃などもガレージ内の排気ガスに加わることとなった。ガレー
ジの唯一の開口部は,2階の寝室や事務所に通ずる階段であり,2階の事務
室や寝室に排気ガスや埃が流入する環境であった。
(4)Aの死因についての医師の所見
ア神奈川県監察医I医師
(ア)神奈川県監察医I医師作成のAの死体検案書には,死亡推定時刻は
▲月▲日午後11時,Aの直接死因は「気管支喘息」,主要所見として,
「両肺肺気腫及びうっ血,気管支内に多量の粘液」と記載され,死因の
種類として,病死及び自然死の欄に丸印が付されている(乙1の16
頁)。
(イ)神奈川県監察医I医師は,被告からの照会に対して,以下のとおり
回答している。
(検死時の所見)
気管支内に多量の粘液,両肺肺気腫及びうっ血,左右冠状動脈硬化狭搾
軽度,心筋に肉眼的に病変認めず。左肺620グラム,右肺630グラ
ム。外傷なし
(Aの平成14年2月24日の喘息重症発作と死亡との因果関係につい
て)
重症発作については診療していないので不詳
(Aは,平成16年9月から同年11月まで心室性期外収縮で医療機関
を受診しているところ,死亡との因果関係について)
因果関係はないと考えられる。
(気管支喘息の発症原因)
喘鳴を伴う呼吸困難発作を生じる慢性の炎症性気道疾患で,基本的な病
態として種々の刺激に対して気道が過剰な収縮反応を示す,好酸球が関
与する慢性の気道炎症が考えられる。
また,同医師は,原告代理人弁護士からの,Aの死因について,心臓
に起因する死亡の可能性,心室細動が発生し,死に至った可能性はない
でしょうかという照会に対し,平成19年3月20日付けで,「本屍は
喘息発作をおこしたことは間違いないが,肺の一部がうっ血しているこ
とから本屍がもともと持っている病気である,不整脈が発症したことに
より死期を早めた可能性は十分あるが,断定はできない。なぜなら,解
剖所見では不整脈と断定できないため。」と回答している。
イJクリニック院長・K大学工学部客員教授L医師作成の意見書(乙1
の193頁以下)
法医解剖医による死体検案書の記載からは,少なくとも気管支喘息はあ
ったと考える。しかし,主気管支の完全閉塞の所見は全くなく,急死の形
態をとるとは考えられない。以上より,Aの健康診断で何度も指摘されて
いた不整脈のもとでは,その救急隊・消防隊業務自体が身体的な状況を悪
化させ,致死性の不整脈が出やすい状態をもたらし,死亡当日も,前夜の
咳で体調が極めて悪いのに,「休めない」状況で,それにもかかわらずあ
えて出勤した勤務における出場で過重・重激な労働負担を強いられ,致死
性の不整脈が多くなる条件が整っていた,あるいは実際に不整脈が多数回
出ていたと考えられる。そして疲労困憊し,さらに咳が出てつらい状態が
起きていた。その中で引き起こされた低酸素状態が,致死性の心室期外収
縮,さらには心室細動を引き起こし,心停止となったものと考える。
ウM診療所所長N医師作成の意見書(甲34)
健康診断で見つかった不整脈との関係は不明であるが,喘息発作による
酸素欠乏から致命的な不整脈が惹起された可能性もあるとはいえる。
3争点(1)-Aの死因及び死亡の公務起因性
(1)Aの死因
原告は,第2・2(1)ア(ア)のとおり,Aは,喘息発作に引き続き,致死
性の期外収縮により心室細動が引き起こされた結果死亡したと主張し,Aは,
発見時,腹臥位で顔は下向きにまっすぐベッドに向けられていたところ,重
症発作を起こした喘息患者は呼吸困難となって少しでも空気を吸い込もうと
し,呼吸を容易にするような姿勢をとるはずであり,また,解剖所見によっ
ても,主気管支の完全閉塞の所見はなく,重症発作によって死亡した場合の
組織学的所見である杯細胞の過形成,基底膜の肥厚などの所見は認められて
いないこと,心臓死と矛盾する所見は存在しないことを指摘する。
そこで検討するに,Aの平成14年度,平成16年度,平成17年度の心
電図(乙5ないし7)に心室性期外収縮がみられること,Aが平成16年9
月13日にG市民病院で検査した心電図(乙8)に心室性期外収縮が存在す
ることを示す「RonT」が見られたこと,喘息発作によって心室性期外収
縮が惹起されることがあること(乙14・O医師の回答書)は認められるも
のの,原告が提出するL医師の意見書(甲27)及びN医師の意見書(甲3
4)によっても,Aの死因について心臓死としても矛盾する所見が存在しな
い,あるいは喘息発作による酸素欠乏から致命的な不整脈が惹起された可能
性もあるとはいえるというのみで,Aが心室性期外収縮によって引き起こさ
れた心室細動が原因で死亡したことを積極的に裏付ける所見があるものでは
なく,あくまでその可能性を指摘するにすぎない。また,神奈川県監察医I
医師も,Aに不整脈が発症したことで死期を早めた可能性は十分あるが,断
定はできないとしている(前記2(4)ア(イ))。
そして,死体検案書(乙1の16頁)を作成した前記I医師の判断によれ
ば,死亡時のAに気管支喘息があったことが認められること(前記2(4)ア
(ア)),原告が提出する上記医師らの意見書(甲27,34)によってもA
が死亡直前に喘息発作を起こしていたことを前提とした意見を述べているこ
と,Aが平成13年12月頃から,断続的ではあるものの,喘息の治療を受
けていたこと(前記2(1)コ(イ)),Aが平成▲年▲月▲日深夜に咳が出て,
座位の姿勢をとっていたこと(前記2(2)ア),同日午後の救急出場からの
帰路,Aに「ひゅーひゅー」という喘鳴がみられたこと(前記2(2)エ)か
らすると,遅くとも同日午後の救急出場からの帰路の時点で,Aに喘息症状
があったと認められ,これらの事実を考慮すると,Aは,死亡直前に重篤な
喘息発作を起こし,そのことによって死亡したものと判断するのが相当であ
る。
仮に,Aの喘息発作に引き続き心室細動が起こったとしても,それは,喘
息発作と無関係に発症したものではなく,喘息発作が起こったことによりA
の心臓に負担がかかったことによって引き起こされたものみることができる
から,結局,Aの死亡は当日の死亡直前の喘息発作が引き起こしたもの判断
するのが相当である。
そこで,以下においては,Aが基礎的素因として有していた喘息症状が悪
化し,死亡直前に重篤な喘息発作が起こったことにより死亡したことを前提
に検討する。
(2)公務起因性
ア職場の環境
(ア)原告は,第2・2(1)ア(イ)及び(ウ)のとおり,Aの勤務形態(変
則的隔日勤務)及び当直の仮眠・休憩の環境が身体に対する負担の重
いものであったと主張するところ,前記2(1)で判示したとおり,Aは,
昭和54年4月1日に消防士に採用されて以来,同様の形態の勤務を
約26年間続けてきていたのであって,このような勤務形態及び職場
環境に十分慣れていたと考えられるし,消防職員の,夜間にも消防あ
るいは救急出場を余儀なくされることによる勤務形態による疲労は,
通常であれば,非番,週休日の休養により回復されていたものと推測
され,現に平成13年頃までは,勤務を継続していてもAに格別身体
的変調は見られなかったのであるから,消防署の勤務形態及び職場環
境がAの死亡を引き起こしたということまでは認めることはできない。
(イ)原告は,第2・2(1)ア(ウ)のように,平成13年12月頃からA
に喘息症状が見られるようになったことについて,Aが勤務したX3
消防署及びX2出張所内の排気ガスが流入するような劣悪な環境によ
るものと主張するが,前記2(1)コ,サのとおり,Aは,自宅でウサギ
を飼い始めた平成13年6月の後,平成13年12月にBクリニック
を受診し,気道過敏症,アレルギー性鼻炎の診断を受け,平成14年
1月,気道過敏症,アレルギー性鼻炎,気管支喘息の診断を受け,通
院を継続しているところ,Aの血液検査の結果では,Aがウサギに対
するアレルギーを有していたことが示されていることからすれば,A
の喘息の主な原因は,発症の時期も符合するウサギをアレルゲンとす
るものであることを推認することができる。
(ウ)そして,AがX3消防署に勤務するようになったのは,平成7年1
0月1日からであるから,勤務開始後,6年以上経過した平成13年
12月になって,X3消防署の環境(前記2(3)イ)が原因で喘息を発
症したとするのは,前記ウサギをアレルゲンと判断することに比べて
相当性を欠くから,Aの喘息の原因がX3消防署の環境によるものと
認めることはできない。また,Aは,喘息発症後の平成14年10月
1日からX2出張所において勤務を開始したものであるから,X2出
張所の環境(前記2(3)ア)が原因で喘息を発症したということもでき
ない。
イ死亡前のAの勤務状況
Aの死亡前6か月間の勤務状況については,消防署に24時間勤務の形
態で勤務する者として通常の勤務であり,ある程度の時間外勤務をしてい
ること(前記2(1)カ)は認められるものの,平成17年5月の月間68
時間を除いては,月間35時間未満であって,公務起因性の観点からすれ
ば著しい長時間勤務であるとまではいえず,非番日のほか,週休日が設定
され,年次休暇や夏季休暇も毎月取得していること(前記2(1)キ)から
すれば,Aが消防署に勤務する他の24時間勤務者と比較して過重な勤務
を行っていたということはできない。
また,Aは,死亡前日に出勤する前日まで,取得した有給休暇と週休日
を合わせて4日間連続して休暇を取ることができており,この休暇を取る
直前についても,通常の勤務と比較して特に過重な勤務を行った事実は認
められないから(前記2(1)ク),死亡前日の勤務を開始するに当たり,
十分な休養を取ることができていたと認められる。
ウ死亡前日及び当日のAの勤務状況
前記2(2)のとおり,Aは,死亡当日,通常どおり朝8時45分から勤
務を開始し,午前中に交通事故の現場に救急隊として出場し,午後は1時
15分から3時まで安全運転講習会に出席し,午後4時14分から午後5
時まで,横浜市α区β町に救急隊として出場している。
原告は,第2・2(1)ア(ウ)のとおり,Aが死亡当日の午後に行った横
浜市α区β町への救急出場が,過重な職務遂行であり,Aの死亡の原因と
なったことを主張するところ,Aは当日は救急隊員として勤務していたの
であるから,傷病者を救急車まで運搬するという職務は,Aが救急隊員と
して勤務するに際に日常的に行っている通常の職務であるといえ,上記救
急出場のように,重量約9キログラムのスクープストレッチャーを使用す
ることも,傷病者の体重が80キログラムを超えることも,車が進入する
ことができない場所から停車した救急車まで傷病者を運搬することも,救
急隊員として救助活動をすることが想定された業務の一環であり,訓練を
受けた標準的な救急隊職員を基準とすれば,これをもって過重な職務とい
うことはできない。この点,当日,救急隊の隊長代行を務めていたEも,
3人では安全に搬送できない,車内収容まで持ち込めないという状況であ
れば,増強隊を呼んで対応することができたが,救急隊員3名でぎりぎり
この傷病者を運搬することができると判断した旨証言しており,この点か
らもこの救助活動が救急隊員として過重な職務執行であったとは認められ
ない。
エ以上検討してきたとおり,Aが,消防署の勤務形態,職場環境が原因で
死亡の原因となった喘息を発症したと見ることはできないし,また,Aの
死亡前6か月あるいは直前の職務遂行が,標準的な消防署職員を基準とし
た場合に著しく過重なものであったと見ることもできないのであるから,
Aが,消防署職員としての公務を遂行したことによって,死亡に至ったも
のと見ることはできない。
よって,この点についての原告の主張は理由がない。
4争点(2)-治療機会の喪失
(1)原告は,Aは,治療を要する状況にあったところ,交代要員を確保する
ことが困難であったことから,その症状をおして勤務に就かざるを得ず,公
務の体制から治療機会を奪われた結果,死亡に至ったことを主張する。
(2)そこで,検討するに,証拠(甲14ないし16,19ないし24,35,
38,39,42ないし44(以上について各枝番含む。),証人D,証人
E及び証人F)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができ
る。
ア消防隊,救急隊を構成する職員に体調不良者が出た場合の対応
消防隊,救急隊等の部隊運用を図る上で,階級や資格をきちんと満たし
ていることが必要であり,突然人員が欠けるといった事態が生じた場合,
人員が欠けたまま部隊を運用することはできず,交代要員を確保する必要
がある(これができなければ欠隊(運行停止)となり,その消防隊,救急
隊には出場指令を出すことができないから,管轄区域から出場要請があっ
てもこれに対応することができず,近隣の他の消防署や出張所に出場を要
請することとなる。)。交代要員を確保するためには,人員に余裕があり,
内部で有資格者を確保することができる場合には,同じ消防署内,出張所
内で人員を確保すれば足りるが,人員が不足している場合,あるいは有資
格者を確保することができない場合には,X2出張所であれば,通常本署
(X1消防署)に人員の補充(助勤)を依頼することとなり,本署におい
ても有資格者が不足している場合は,他の消防署から有資格者を補充して
もらい,本署からその消防署に人員を送り込むなどして部隊を構成するこ
とが必要となる。そのような業務は,日中であれば,X2出張所の所長が
担当することになるが,所長は日勤勤務であり,夜間は勤務していないこ
とから,夜間にそのような事態が生じた場合は,当直の責任者である本署
の警備課長が人員の確保を行うこととなる。
このような人員の補充は,事前に判明していれば本署等からの助勤者の
手配を行う時間的な余裕があり,それほど困難なことではないが,突発的
な欠員を補充する場合は,部隊配置を緊急に整える必要があり,人員を確
保する責任者の負担が増大することとなる。
他の消防署からの補充の人員を確保することが容易でない場合には,当
日午前8時45分に勤務を終えた職員をそのまま勤務させたり,翌日の午
前8時45分から出勤する予定の者を前日の夜間から勤務させる非直助勤
と呼ばれる勤務を職員に要請することになるが,そのようなことは,本来
休息すべき日に勤務を要請される職員の疲労が蓄積し,また,時間外手当
の支給を要することから,望ましくないことと認識されていたものの,横
浜市消防局全体において,A死亡後の平成19年の時点で,1署1か月あ
たり,昼間は17.6人,夜間に3.2人の非直助勤が生じていた(甲3
8資料5,A死亡当時の資料は提出されていない。)。
なお,現在は,所属長判断による1欠運用(本来の人員から1人欠員が
生じた状態で部隊を運用すること)が認められているが,Aの死亡当時は,
このような運用は認められていなかった。
イ当時のX2出張所の人員配置状況
A死亡当時のX2出張所では,余裕を持った人員及び有資格者の配置は
されておらず,Aは,本来はミニ消防隊機関員として配置されていたが,
消防士,救急隊機関士等の複数の資格を有していたことから,欠員の出た
部隊の補充として勤務することが頻繁にあったところ,死亡当日は救急隊
として補勤(当日出勤していない正規消防隊員の補充)していた。A死亡
当日のX2出張所は,X4出張所から助勤者(補充の人員)に勤務しても
らうことで部隊を編成しており,正規の部隊配置からすると,既に欠員が
生じている状況にあった。
Aは,過去に週休編成の業務を担当したことがあり,欠員が生じた場合
に補充人員を確保するについて,担当職員に相当程度の負担が生じること
を認識しており,このことを裏付けるように,死亡当日も,Aの体調を気
遣うDに対し,「出勤しちゃったしね。人がいればね。」と話していた。
ウ当時の消防隊,救急隊職員の認識
A死亡当時のX1消防署の消防隊,救急隊を構成する職員の間には,勤
務中に多少の体調不良が生じても,交代の人員を確保することには困難を
伴い,代替勤務を要請される職員及びその手配に当たる職員に多大な負担
をかけることになるから,勤務から離脱することは考えず,無理を押して
でも勤務を続けることを是とする共通の認識があり,また,体調不良が生
じても,すぐに勤務から離脱することは許されず,まず人員の確保が優先
されるという理解が浸透していた。実際に,勤務を開始した後に体調不良
を理由に勤務を離脱する職員はきわめて少なく,Eの記憶する限りでは,
年間1,2名程度であった。
(3)以上の事実に基づいて検討するに,前記1のとおり,公務と死亡との相
当因果関係は,職員の死亡が公務を唯一の原因または相対的に有力な原因と
する場合に限らず,当該職員に基礎疾患があった場合において,公務の遂行
が基礎疾患をその自然の経過を超えて増悪させて死亡に至ったときにも,公
務に内在する危険が現実化したものとしてこれを肯定することができるとい
うべきであるところ,職員が基礎疾患を有する場合に,その公務を遂行する
標準的な職員を基準とすれば公務の過重性が認められないとしても,職員の
疾病が客観的にみて治療を要する状況にあるにもかかわらず,当該公務が職
種自体あるいは人員配置などの職場環境から代替性がなく,職員において休
暇の取得その他治療を受けるための方法を講じることができず引き続き職務
に従事しなければならないような事情が認められるときは,そのこと自体が
職務に内在する危険であるということができるから,公務と死亡との間に相
当因果関係があるものと認めるのが相当である。
(4)そして,A死亡当時のX1消防署は,制度としては,体調不良者が出た
場合に,代わりの人員を補充して部隊を編成し,あるいはその部隊を欠隊
(運行停止)にして他の消防署や出張所に代わりに出場を要請する手段が整
備されていたことが認められるし,証人Fの証言に照らせば,事前に勤務で
きないことが判明している職員の代替人員を確保するについては,そのよう
な制度が有効に機能していたということができるものの,当日勤務を開始し
た後に治療を要する身体的状況が生じた職員について,当該職員から自発的
に交代を申し出て勤務を外れることは,制度としては存在し,認められてい
るものの,当時は,現在とは異なり,人員が1名欠けた状態で消防隊,救急
隊を運営する手法も許容されていなかったこともあり,消防隊員及び救急隊
員においてそのような申し出をするべきではないとの共通認識があり,実際
にそのような申し出をする職員は極めて少数であったことからすると,この
ような制度が実質的に機能していたとは到底いうことができず,実際に勤務
する職員にとっては有名無実のものであったといわざるを得ない。現に,A
は,死亡当日,その体調を気遣うDに対し,「出勤しちゃったしね。人がい
ればね。」と話しており,このことも,そうした現実を裏付ける発言と評価
することができる。
(5)Aの治療の必要性及び救命可能性
Aは,死亡当日出勤する前夜から咳が出て,当日の出勤時には顔色が悪く,
体調不良であったところ,午後の救急出場からの帰路の時点で喘鳴が出て,
喘息症状が出現していたことが認められるから(前記2(2)),軽度の喘息
症状でも放置すれば重篤な喘息発作を引き起こすことがあるという喘息の特
性に照らせば,Aは,重篤な喘息発作を回避するために,喘鳴が出た時点で
速やかな治療を要する客観的状況にあったと認められる(甲28の2の3,
5,10及び11並びに乙22の4)。
喘息を適切にコントロールするためには,継続的に通院し,医師の指示に
従って予防的措置を続けることが必要であるところ(乙17ないし24),
Aの通院状況(前記2(1)コ(イ))からすれば,Aは,このような認識に欠
けており,Aが自身の喘息を適切にコントロールするための措置を取ってい
たとはおよそいえない。しかしながら,他方,Aは,平成13年12月にB
クリニックを受診し,平成14年1月に同クリニックにおいて気管支喘息の
診断を受けた以降,平成15年5月までの約1年6か月,継続的に喘息の治
療のために通院を続け,その後,感冒等をきっかけに小発作を起こし,ステ
ロイド薬の服薬をしたりし,その後はしばらく通院は途絶えているが,平成
17年3月及び4月には,別の医院であるCクリニックに上気道炎,気管支
喘息等により通院しているから(前記2(1)コ(イ)),Aは,少なくとも,
自身が気管支喘息を基礎的素因として有していること,感冒等をきっかけに
喘息の小発作を起こした経験から,体調不良等により喘息症状が悪化するこ
とがあること,悪化した場合は医師を受診する必要があることは認識してい
たことが推認される。
前記2(2)エのとおり,Aが,平成▲年▲月▲日午後の救急出場からの帰
路において救急車に同乗していたHから,喘鳴が出たことについて「大丈
夫」と問いかけられ,また,A自身が当日の夕食の際に「疲れているから今
日は早く休むよ。」と述べ,さらに,当日午後8時30分頃,本来であれば
まだ勤務時間であり,他の職員は体力錬成等を行っている時間帯であるにも
かかわらず(証人D),「疲れたから少し休むね。」と述べて,救急隊の寝
室に向かったことからすると,A自身も自身の喘息症状が悪化しつつあるこ
とを認識していたものと認められる。
そして,前判示のとおり,重篤な喘息発作を回避するために喘鳴が出た時
点で治療を開始すべきであり,仮に,ひとたび喘息発作状態になっても,速
やかに治療すれば死亡に至る可能性は低く,救急外来でステロイド薬などの
点滴注射の後,吸入ステロイド薬の連用で入院を免れることが多く,重症で
あっても,入院しステロイド薬の点滴注射や酸素吸入で回復する可能性が高
いから(N医師の意見書,甲34),Aに喘鳴が出た死亡当日午後5時頃の
時点,あるいは遅くともAが救急隊の寝室に向かった午後8時30分頃の時
点で,Aが公務を離脱し,医師の診察を受けていれば,Aの死亡は避けるこ
とができたということができる。
しかし,上記(4)のとおり,Aの当時の職場環境においては,勤務途中で
公務から離脱することは著しく困難であり,Aも自身の26年に及ぶ長年の
勤務経験から自身の置かれたそのような職場環境を十分認識していたことか
ら,公務から離脱することを申し出ることなく,公務を続けたものと認めら
れる。
(6)以上検討したところによれば,Aは,死亡当日,客観的にみて治療を要
する状況にあるにもかかわらず,Aの当時の職場環境が職種自体あるいは人
員配置の点から代替性がなく,Aが休暇の取得その他治療を受けるための方
法を講じることができず引き続き職務に従事しなければならないような状況
にあり,公務を続けることを余儀なくされたものと認められるから,Aの公
務とAの死亡との間には相当因果関係があるものと認めるのが相当である。
5結論
以上のとおりであるから,Aの死亡についてその公務起因性を否定した本件
処分は,取り消されるべきである。
よって,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条
を適用して,主文のとおり判決する。
横浜地方裁判所第7民事部
裁判長裁判官深見敏正
裁判官新谷祐子
裁判官林まなみ

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