弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人浜田耕一、同原田豊の上告理由書及び上申書記載の各上告理由並びに
同原田豊の補充上告理由について
 原審の確定したところによると、(一) 上告人(当時満六歳)は、昭和四四年八
月四日午前八時ころ被上告人の管理する神戸市a区b町c丁目d番地先道路(以下
「本件道路」という。)南側端に設置してある防護柵(以下「本件防護柵」という。)
を越えて約四メートル下のD高等学校の校庭に転落し、頭蓋骨陥没骨折等の傷害を
負つた、(二) 本件道路は、昭和三五年ころには右校庭から路面までの高さが約二
メートルにすぎなかつたが、その後の土砂の流入や道路舗装工事等により次第に路
面が高くなり、前記事故当時にはその高さが約四メートルに達し、子どもの転落事
故が数件発生したなどの事情により住民の声もあつて被上告人が昭和四〇年本件防
護柵を設置した、(三) 本件防護柵は、二メートル間隔に立てられた高さ八〇セン
チメートルのコンクリート柱に上下二本の鉄パイプを通して手摺とし、路面からの
高さが上段手摺まで六五センチメートル、下段手摺まで四〇センチメートルであり
(神戸市内において一・五ないし六メートルの高低差のある場所における道路の防
護柵は、路面から手摺までの高さが五二ないし六五センチメートルである。)、右
鉄パイプは、この種の柵に通常用いられる丸棒状のものであつて、幼児がこれを遊
び道具とするのに好適なものではなかつた、(四) 本件道路付近は、住宅地で昼間
車両の通行量が少なく、付近に適当な遊び場所がないため、本件道路が子どもらの
遊び場所となつており、親は転落の危険をおそれて子どもに本件防護柵で遊ばない
よう注意を与えていた、(五) 上告人は、本件防護柵の上段手摺に後ろ向きに腰か
けて遊ぶうち誤つて転落したものと推認されるが、右防護柵設置の後他に子どもの
転落事故が発生したとか、住民が被上告人に対し事故防止措置をとるよう陳情した
とかいう事実はいずれも認められない、というのであり、右事実認定は、原判決挙
示の証拠関係に照らし、是認することができる。
 ところで、国家賠償法二条一項にいう営造物の設置又は管理に瑕疵があつたとみ
られるかどうかは、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事
情を総合考慮して具体的個別的に判断すべきものであるところ、前記事実関係に照
らすと、本件防護柵は、本件道路を通行する人や車が誤つて転落するのを防止する
ために被上告人によつて設置されたものであり、その材質、高さその他その構造に
徴し、通行時における転落防止の目的からみればその安全性に欠けるところがない
ものというべく、上告人の転落事故は、同人が当時危険性の判断能力に乏しい六歳
の幼児であつたとしても、本件道路及び防護柵の設置管理者である被上告人におい
て通常予測することのできない行動に起因するものであつたということができる。
したがつて、右営造物につき本来それが具有すべき安全性に欠けるところがあつた
とはいえず、上告人のしたような通常の用法に即しない行動の結果生じた事故につ
き、被上告人はその設置管理者としての責任を負うべき理由はないものというべき
である。本件道路の設置又は管理に所論の瑕疵はないとした原審の判断は、正当と
して是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することがで
きない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    天   野   武   一
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    服   部   高   顯
            裁判官    環       昌   一

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