弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする
         事    実
 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第
一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の
判決を求めた。
 当事者双方の主張ならびに証拠関係は、左記に付加するほか、原判決の事実摘示
と同一であるから、これを引用する。
 (控訴代理人の主張)
 一、 受刑者は、その犯した犯罪のゆえに、刑罰の執行を受けなければならない
立場にあるものであつて、刑罰のうち自由刑は、国家権力の強制の下に、受刑者を
社会から隔離し、その自由を拘束することを主眼としながらも、その執行の過程を
通じて、他日受刑者が社会に復帰する場合に備えて、これを矯正、教化し、もつて
更生を図ることを目的とする。したがつて、憲法によつて保障されている基本的人
権も、受刑者の場合にあつては、一般通常の国民の場合とは異り、諸種の制約に服
すべきことは当然と言わなければならない。もちろん、受刑者といえども基本的人
権を全く剥奪されるものではないが、右に述べたような刑の目的に照らして、合理
的な範囲において、制限を受けることを拒みえないものである。
 (一) 一体、自由刑がその目的に適つた執行の実現をみるためには、対象たる
受刑者を収容する刑務所の諸機能が一定の方針と計画の下に、十全に活動すること
を要すべく、まず、受刑者の逃亡を防ぎ、刑務所内の紀律と秩序を維持し、そし
て、そこて行われる作業、教誨、教育、その他諸々の施策が受刑者の性格を改善
し、その更生に資するよら配慮されなければならない。したがつて、受刑者の享受
しうる文書、図画の閲読のごときも、以上の目的に背馳し、執行の円満な実現に支
障をきたす限り、これを制限する必要があるのであつて、監獄法施行規則第八六条
第一項は、この趣旨を闡明したものである。
 (二) 刑務所は、常時、多数の受刑者を収容して、集団管理する営造物である
から、これを管理、運営する上からも、基本的人権が制約を受けることを認める必
要がある。刑務所は、限られた職員と予算をもつて、多数の受刑者を擁し、その一
人一人に対して、適正な処遇を行い、これを矯正、教化してゆくべき機能を営まな
くてはならないのであるから、もし、仮に、ある受刑者の戒護と処遇のために、過
大の労力と時間を費やさなければならない事態に立ち到れば、それだけ他の受刑者
に対する戒護と処遇がおろそかとなり、ひいては刑務所全体の円満な管理、運営に
支障をきたし、刑の執行目的も、結局達しえなくなる筋合である。したがつて、受
刑者の文書、図画の閲読も、それが受刑者にとつて、如何なる影響をもつか、これ
を禁止しないことによつて、刑務所の管理、運営に支障をきたす虞がないか等の観
点から制限する必要がある。監獄法施行規則第八六条第二項の設けられている所以
である。
 (三) 以上のような諸種の観点から、受刑者の基本的人権は制約する必要があ
るが、受刑者としては、この制約を当然受忍すべき義務を負うものである。
 (四) 刑務所長が、受刑者の文書、図画の閲読について、許否を決するにあた
つては、かなり専門的、技術的な配慮が要請される。受刑者のうちには、反社会的
傾向の強い者や、拘禁にともない平常とは異る精神状態に陥いつている者が多いか
ら、前記各観点からする文書、図画の閲読の許否の判断も、個々の受刑者について
慎重になされるべく、刑務所長のこの点に関する判断には裁量の幅があり、その逸
脱がない限り、処分が違法となることはないと言うべきである。
 二、 控訴人が、被控訴人に対して、本件不許可処分をなすにいたつた経緯なら
びにその理由は次のとおりである。
 (一) 被控訴人は、一五才頃から非行が始まり、女教師を傷害して保護観察処
分を受け、昭和三四年一月三〇日窃盗罪により山口地方裁判所岩国支部で懲役一年
以上三年以下の不定期刑に処せられ、岩国少年刑務所に入所し、昭和三六年五月一
七日、同所を仮出獄したけれども、その期間中に再び罪を犯し、現に、昭和三七年
一〇月二七日以降、広島刑務所において、強盗、強姦、強盗致傷、住居侵入等の罪
名により、懲役八年、逃走未遂、窃盗の罪名により懲役二年、窃盗、加重逃走の罪
名により懲役二年六月の刑の執行を受けている受刑者である。被控訴人のかかる非
行犯罪歴をみただけでも、被控訴人が濃厚な犯罪性を身につけており、その矯正教
化に、かなり強度の措置が必要であることは明らかである。のみならず広島刑務所
勤務の精神科医師A作成にかかる昭和四〇年一月一四日付「神経科受診表」によれ
ば、被控訴人は、精神病質者と診断されており、これに対する処遇は、医学的見地
から、徹底した人格無視の方法による強力な措置をなすべき旨、控訴人に対して勧
告されている。また、心理学専攻者を主たる構成員とする広島刑務所分類調査会
も、被控訴人の処遇について、道徳教育および社会教育、とくに勤労の尊さを教え
ることを重点目標とすべきであるとしている。このように被控訴人は、他の受刑者
と異る性格の偏倚が顕著であつて、一般受刑者には、なんらの抵抗もなく受け容れ
られる処遇上の措置も、被控訴人にあつては、思いがけない、重大な結果となつて
発現することがあるので、注意を十分払らことが要請されるのである。
 控訴人は叙上の点に鑑み、日々の処遇に工夫をこらし、その人格を改造して、更
生せしめるよう努力しているのであるが、これに対する被控訴人の服役態度は、こ
とごとく反抗に終始し、入所以来現在にいたるまで独居拘束継続のやむをえない状
態であつて、集団生活における職業教育や勤労の体得は、不可能な有様である。
 およそ刑務所における矯正、教化が、その効を挙げるためには、これを行う刑務
所の職員と、これを受けいれる受刑者との関係が円滑であることを要するが、被控
訴人の服役態度は、つねにこの関係を破壊してやまない。一例を挙げれば、昭和四
〇年八月二六日、B看守が懇切に訓諭したのに対し、真面目に服役する意思のない
旨の暴言をもつて答えたごとき、被控訴人の服役態度を端的に物語るものである。
 (二) 本件の「監獄法」なる書籍には、刑務所内における法律の運用行刑当局
のとつている施策についての立法論的批判が記載してあり、これを閲読することに
よつて、被控訴人は控訴人の行う処遇について、その方針を歪曲して批判し、性来
的な反抗心に油をそそぐ結果を招き、矯正、教化上かえつて有害であると認めざる
をえないのである。
 (三) のみならず、右書籍の閲読を被控訴人に許すことは、控訴人が行刑の責
めを負う広島刑務所内の紀律および秩序の維持にとつて、黙過できない支障をきた
す虞がある。
 広島刑務所は、収容定員九三〇名であるが、本件不許可処分を行つた当時の収容
人員は、一、一〇四名であつて、その拘禁率は過大であり、これを看守(看守部長
を含む。)一九六名で分担戒護するのであるから、看守一人あたりで五・六三人の
収容者を担当(負担率)する計算となる。これを全国平均と対比してみても、拘禁
率において一五%、負担率において、〇・二三人過大となつており、それだけ広島
刑務所における紀律維持、逃走防止は、困難性が増大している状態であつた。のみ
ならず当時受刑者の中には、多数の処遇困難者を含んでおり、右困難性は一層増大
していたのである。
 そして、被控訴人は、広島刑務所に入所以来現在にいたるまで、三五件の多数回
にのぼる紀律違反を犯しており、他の受刑者にして、これと比肩しうる者はなく、
かつ、その違反態様もきわめて悪質である。
 本件の「監獄法」なる書籍には、全国の刑務所収容者の紀律違反の状況、これに
対する懲罰の状況、刑務所の平時における警備方法(たとえば、紀律違反防止のた
めの巡警方法、その際の拳銃の携帯に関する事項等。)、護送の際の逃走方法およ
びその防止方法、護送警備にあたる職員の員数、集団時大規模な紀律違反に対処す
る方法などが記載しである。
 もちろん、一般の刑務所において、一般受刑者が右書籍の右の記載を閲読したか
らといつて、これによつて、ただちに刑務所の紀律維持上、直接支障を生ずるとい
うことはないが、本件不許可処分当時における広島刑務所の前叙のような状況下に
おいて、被控訴人のような行状性行の受刑者に右のような記載内容を閲読せしめる
ことは、これによつて被控訴人に行刑当局の出方を事前に察知することを可能なら
しめ、いよいよもつて巧妙な紀律違反を増大せしめる結果となるであろうことは必
至であるから、控訴人は広島刑務所内の紀律および秩序の維持をはかるうえにおい
て有害であると判断したのである。
 (四) 被控訴人に対して、右書籍の閲読を許すことは、また、広島刑務所の円
滑な管理運営に重大な打撃を与えることになる。
 被控訴人は、入所以来現在にいたるまで、民事、行政の各訴訟を六回提起してお
り、その他監獄法第七条所定の情願を六回、行政不服の申立、人権侵害提訴各一回
等、ありとあらゆる法的手段を弄して、広島刑務所内における処遇を執拗に攻撃し
てやまない。そして、このため必要な書類の作成、提出、筆記用具の購入、使用、
図書の貸出、度数外発信等の願出等各般にわたつて、刑務所側の処遇に対する抗議
を繰り返し、係職員は、その都度これが処理に奔走し、時には残業を余儀なくされ
ている状態である。訴訟についても、通常収容者一人の出廷にあたり、戒護職員と
して配置する人員は二名で足りるのに、被控訴人の場合は、逃走既遂、未遂、予備
を含めて計一三回に及ぶ事実に鑑み、優秀な職員を四名ないし人名も配置せざるを
えずこのため当日の所内の一般戒護態勢は手薄となり、ひいては他の受刑者の入
浴、運動、書信に関する処遇まで意にまかせぬこととなるのである。したがつて、
前記書籍の閲読を許可することによつて、このうえさらに被控訴人の抗争心をあふ
り、他の収容者の処遇にしわよせを招くような事態は、控訴人の許容できないとこ
ろである。
 三、 被控訴人は、控訴人を相手どつて懲罰処分の取消を求める行政訴訟を提起
し、現に、該訴訟は昭和四一年(行コ)第七号事件として、広島高等裁判所に係属
しているが、被控訴人がこの訴訟を遂行するという事実を踏まえても、本件不許可
処分を違法と言うことはできない。
 控訴人は、収容中の受刑者に対して、所内規則の一切を積極的に知らせる努力を
払つており、被控訴人も、入所後間もなく、前記訴訟上必要であるという作業賞与
金の計算方法を含む諸規則の指導を受けている。また、服役中、これら諸規則につ
いて不審を生ずれば、面接願を提出することによつて、幹部職員の面接指導を受け
うるほか、日常接触する職員には、いつでも気軽に質問することが許されている。
しかも、広島刑務所には、大型六法全書(官本)、刑法、民法、訴訟法等の法律専
門図書が用意されており、訴訟遂行上必要とあれば、いつでもその閲読が許可され
るようになつている。被控訴人自身も許可を受けて、小型六法全書を居房内に常時
携帯しており、前記事件につき、被控訴人が昭和四一年一一月八日付をもつて提出
した準備書面は、同人がこの与えさらに本件の監獄法なる書籍を閲読しなければな
らない必要性を全く認める余地のないほど、理解すべき点を理解しつくして記載し
たと言つてもよいものである。
 ただ、観念的にみれば、本件不許可処分が、あたかも訴訟において相対立する関
係にある当事者の一方において、他方の訴訟遂行を妨げるがごとき観を呈し、当事
者の対等の原則を侵しているかのごとくであるが、被控訴人は、訴訟代理人を依頼
する権利をもち、また法律扶助協会の扶助願出の自由も認められているのである。
このほか、被控訴人は、昭和二八年五月二六日矯正甲第六一四号法務事務次官通達
による行刑制度上の篤志面接委員の援助を受けうるところ、現在、広島刑務所に
は、該委員が二八名おり、その中には、弁護士、大学教授、家庭裁判所調停委員等
法律専門家が含まれているのであるから、その援助を受けることによつて、十分前
記訴訟を遂行しうると言わなければならない。これらの事情を考えあわせれば、本
件不許可処分によつて、当事者対等の原則が実質的に侵されたものとみることはで
きない。
 四、 さらに付言すれば、刑務所長の行う受刑者に対する文書、図画の閲読を許
可しない処分は、当該受刑者の閲読によつて、逃亡の防止、所内の紀律および秩序
の維持に明白かつ現在の危険を生ずる蓋然性のない限り、違法である、ということ
はできない。
 アメリカ合衆国連邦最高裁判所の一連の判決で示された、表現の自由を制限する
基準の一つとして、いわゆる「明白かつ現在の危険」なる理論がある。「明白」と
は、表現の自由な行使と害悪の発生との間に明白な因果関係が存在することであ
り、「現在」とは、危険の発生がさしせまつていることを要する意味であり、「危
険」とは重大な脅威とか、公共の利益に対する脅威を言うものとされている。この
ような意味での明白かつ現在の危険がある場合に限つて、表現の自由に対する制限
を認めようとするのが、右の理論の内容とするところであると思われる。このよう
な厳しい条件の下に、はじめて表現の自由に対する制限を認めようという理論の前
提には、あらゆる思想が自由に表明され、受け手の方も自由に受けることができ、
それによつて各人が自由に思想を形成し、それに基づいて自由に行動することによ
つて、はじめて民主的な社会が形成されるということ、したがつて、表現の自由
は、民主主義を支える最も重要な自由として最大限尊重されなければならないとい
う認識がある。それゆえ、「明白かつ現在の危険」の理論は、そのような自由が可
能なところ、すなわち、一般社会において適用される理論であつて、刑務所に収容
され、刑の執行のために種々の自由が制限さるべき受刑者に対して、ただちにその
まま適用される理論ではない。
 したがつて、本件不許可処分時において、「監獄法」の閲読が逃亡の防止、所内
の紀律および秩序の維持に、明白かつ現在の危険を生ずる蓋然性のなかつたことを
理由に、本件不許可処分が違法と断定されてよいものではないのである。もし、し
からずとすれば、刑の執行目的は到底達しうべくもなく、かくては、刑務所に課せ
られた使命を全うすることができないばかりか、社会の人心に大きな不安を与える
こととなり、刑務所の実情にそわないと言わなければならない。
 五、 本件不許可処分自体は、「監獄法」なる図書を閲読するために、その前提
として、被控訴人の領置金使用の出願にかかるものである。領置金使用の許可と、
この許可にともない該図書を必然的に被控訴人が所持して閲読することについての
許可とは、一応別個の問題である。したがつて、まず前段を許可して、しかる後、
後段について許否を判断するということも考えうるところである。しかし控訴人は
領置金使用目的たる購入図書の内容が前叙縷述のものであるところから、領置金使
用額を不許可としたものである。監獄法第五二条所定の「正当ノ用途ニ充テンコト
ヲ請フ場合」に該らないと判断したからである。
 領置金は、監獄法第五五条にいう物品であつて、同条により釈放の際、本人に交
付されるのを原則としている。そして、それが更生資金として活用さるべきことが
期待されているわけである。したがつて、在監中の使用許可については、厳格な制
限が設けられていることは、当然である。同法第五二条に例示するところをみて
も、このことは理解できる。被控訴人の希望する本件図書の閲読にして、前叙のご
とき許すべからざる事情の存するにおいては、右条文にいわゆる「正当ノ用途ニ充
テンコトヲ請フ」場合に該らないと言うのほかないのである。
 (立証)
 控訴代理人は、乙第二ないし第四号証を提出し、被控訴人は、乙号各証の成立を
認めた。
         理    由
 当事者間に争のない事実および控訴人と被控訴人との間に公法上の特別権力関係
が成立していることは、原判決の理由中の説示と同様であるから、これを引用す
る。
 国の営造物たる刑務所における特別権力関係に基づき、自由刑の執行のために必
要な範囲と限度において、右営造物の管理運営上、受刑者が、一般通常の国民と異
り、憲法の保障する基本的人権の制限を受くべきものであること、そして、この場
合に、基本的人権に属すると考えられる各種の権利ないし自由が制限を受くべき<要
旨第一>態様の一様でないことは、控訴人主張のとおりである。これを文書、図画の
閲読の自由についてみれば、行刑目的に照らして、刑務所における紀
律、ひいては受刑者の性格、行状に応じた教化処遇上有害であり、また、刑務所の
管理運営上支障を生ずる虞がある場合には、それが逃亡の防止、刑務所内の秩序維
持に明白かつ現在の危険を生ずる程度にいたらなくても、原則として、刑務所長の
専門的、技術的判断にしたがつて制限しうると解するのが相当であり、監獄法第三
一条第二項、同法施行規則第八六条等の規定等は、この趣旨を明らかにしたもので
ある。
 そして、本件係争図書に、控訴人主張のごとき内容の記載があることは、当裁判
所に顕著であるところ、成立に争のない乙第二、三号証および弁論の全趣旨によれ
ば、被控訴人の性格、服役態度が控訴人主張のとおりであつて、本件係争図書の閲
読を許すことによつて、被控訴人の広島刑務所内における教化目的の実現が、それ
だけ困難性を増し、かつ管理運営上支障の生ずべきことが推認でき、これに反する
証拠はない。
 したがつて、右の限りにおいては、被控訴人に対して本件図書の閲読を許可すべ
きでないとする控訴人の判断も、一応理由なしとしない。
 しかしながら、具体的事案につき、控訴人の前記各条項に基づいてなすべき判断
は、それが直接人権の制限に触れるものであるだけに、単に行刑目的等控訴人主張
の立場からのみ、その適法であるか否かを論ずることはできない。
 被控訴人は、控訴人を相手方として、昭和四〇年一月二二日になされた二〇日間
の軽屏禁および作業賞与金計算高三〇〇円の減削、ならびに同年六月一五日になさ
れた一ヶ月間の軽屏禁の各懲罰処分を取り消す旨の判決を求める訴を昭和四〇年六
月に提起し、該事件は、現在、昭和四一年(行コ)第七号事件として、当裁判所に
係属中であるところ、被控訴人が当事者の一方として、該事件の遂行を準備するに
あたつては、刑務所内における懲罰処分の根拠、そのよつてきたる所以、懲罰処分
と作業賞与金計算高の減削との関係、さらには監獄法の体系の認識等が必要であ
り、本件係争図書が監獄法およびその関係法令を解説した学術専門書であつて、右
目的にそうものであることは、当裁判所に顕著な事実である。もちろん、被控訴人
が弁護士を該事件の訴訟代理人として選任しうる権利を有し、法律扶助協会の扶助
願出の自由を認められており、その他控訴人主張の篤志面接委員の援助を受け、あ
るいは、六法全書を閲読し、広島刑務所の職員の指導を受ける途が拓かれていると
しても、被控訴人自らが該訴訟を遂行している以上、これらの事情の存在のみをも
つてしては、被控訴人の本件係争図書閲読の必要性を否定し去ることをえない。
 国民の裁判を受ける権利の憲法上の保障は、受刑者といえども、ひとしくこれを
享受できるのであつて、それは単に受刑者が訴訟を提起する自由を、いかなる理由
によつても奪われることがないというにとどまらず、右保障の趣旨とするところか
らすれば、訴訟遂行の準備のためにも、控訴人主張の行刑目的や管理運営上の要請
との対比において、能う限り、必要な手段を用いうる自由が尊重されることを要す
るものと解しなければならない。
 <要旨第二>これを本件の場合について見るに、弁論の全趣旨に徴すれば、被控訴
人が前記別件訴訟の遂行を準備するために本件係争図書を閲読する必要
性の程度は、その閲読によつて生ずる被控訴人の広島刑務所内におる教化目的の実
現の困難性の増大、管理運営上の支障につき、さきに認定した程度を考慮に入れて
も、なお、到底これを否定することができず、この点を看過してなした控訴人の判
断は、これを適法と認めることができない。
 そして、本件行政処分の適否についての爾余の判断は、原判決の理由中のこの点
に関する説示部分(ただし、以上の図書閲読の制限についての判断に抵触する部分
を除く。)と同様であるから、これを引用する。
 以上の次第で、原判決の結論は、結局相当であるから、本件控訴は理由がなく、
これを棄却すべきものである。
 よつて、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 宮田信夫 裁判官 辻川利正 裁判官 裾分一立)

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