弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人徳矢卓史、同徳矢典子、同梅本弘、同布施裕の上告理由第二点につい

 占有者がその占有の侵奪者の特定承継人に対して占有回収の訴を提起することが
できるのは、その者が右侵奪の事実を知つて占有を承継した場合に限られるが、こ
の場合侵奪を知つて占有を承継したということができるためには、右の承継人が少
なくともなんらかの形での侵奪があつたことについての認識を有していたことが必
要であり、単に前主の占有取得がなんらかの犯罪行為ないし不法行為によるもので
あつて、これによつては前主が正当な権利取得者とはなりえないものであることを
知つていただけでは足りないことはもちろん、占有侵奪の事実があつたかもしれな
いと考えていた場合でも、それが単に一つの可能性についての認識にとどまる限り
は、未だ侵奪の事実を知つていたものということはできないと解するのが相当であ
る。
 これを本件についてみると、原審の認定したところによれば、上告人は訴外Dか
ら本件株券を貸金の担保あるいは売買の目的物として引渡を受けたものであるが、
その際本件株券がDらにおいて他人から盗取し、横領し又は騙取してきた物件であ
ることを察知しながら、そのいずれの方法で取得してきたものであつても構わない
気で、本件株券の引渡を受けたものであるというのであり、原審は、上告人におい
てDらによる株券の取得が右のような犯罪行為によるものであることを確実に知つ
ており、かつ、それが窃盗である可能性も十分あることを知つていれば、上告人は
侵奪についての悪意の特定承継人にあたると解すべきであるとして、上告人に対す
る被上告人の本件占有回収の訴を認容している。しかしながら、上告人が右の程度
の認識を有していたというだけでは未だ侵奪の事実を知つていたということができ
ないことはさきに述べたとおりであり、また、民法二〇〇条但書の規定を拡張解釈
して右のような場合をもこれに含ましめることを相当とすべき理由も見出だすこと
ができないから、原判決には、結局、この点につき法令の解釈適用を誤つた違法が
あるといわざるをえず、右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。論旨は
結局理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件においては、盗品の被害
者の回復請求の主張があり、その要件の存否についてさらに審理を尽くす必要があ
るから、これを原審に差し戻すのが相当である。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    団   藤   重   光
            裁判官    本   山       亨
            裁判官    中   村   治   朗
            裁判官    谷   口   正   孝

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