弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人三輪一雄の上告理由第一点について。
 論旨は、本件公売処分に際し、被上告税務署長の査定した本件建物の見積価額六
九万九千円は、客観的な市価に比すれば著しく低廉に過ぎるのであつて、かゝる見
積価額による本件公売処分自体、違法無効であり、これを有効とした原判決も亦国
税徴収法二四条一項に違反すると主張する。
 しかし、原審は、原判決挙示の証拠により被上告税務署長の査定した所論見積価
額六九万九千円を妥当であると認定して居るのであり、原判決における原審の説明
によりこの認定に十分首肯し得られる。結局、論旨は、原審の証拠の取捨判断、事
実認定に過誤があるとの見解を前提として、原審に所論の違法あることを主張する
に帰するのであつて、その前提において既に失当であるから、論旨は、採用し得な
い。
 同第二点について。
 論旨は、昭和三〇年三月一四日の本件公売公告当時、本件建物の見積価額が八二
万五千円と査定せられたにも拘らず、入札価額が七五万円であつて、見積価額に達
しないのであるから、本件建物の政府買上或は再公売の措置が執られなければなら
なかつたのに、その措置のなかつたのは、国税徴収法及び同法施行規則に違反し、
本件公売処分を違法無効に帰せしめたものであり、本件公売処分を適法とした原判
決も亦、同法二四条二項に違反する旨主張する。
 しかし、本件公売処分当時の所論施行規則二三条は、公売すべき財産の見積価額
を所論の如く公告すべきことを命じて居らなかつたのであつて、公売すべき財産の
見積価額が、公売実施の際確定せられて居ることを要するものとして居つたに過ぎ
ない。而して本件公売実施の際、本件建物に対する見積価額の査定が所論八二万五
千円と決せられて居つたことは、原審の確定しない所である。却つて、原判文によ
れば、原審は、原判示経緯の後、被上告税務署長により、本件公売実施の際、本件
建物の見積価額が六九万九千円と査定せられて居つた事実を認定して居ること明白
である。尤も、本件建物の見積価額が同規則二三条にしたがつて封書とせられ、公
売の場所に置かれたか否かについては、原判決挙示の証拠によつても分明とはいえ
ないけれども、かゝる違法は、未だ本件公売処分を無効とする程度の暇疵とはなし
えない。
 されば、本件公売処分の入札価額が所論の如く見積価額に達しなかつたとはいえ
ないのであるから、論旨は前提において既に失当である。
 論旨は、理由がない。
 第三点について。
 論旨は、本件建物を事実上買受けた者は、被上告人B1であるけれども、国税徴
収法二六条は、滞納者が直接或は間接に公売財産を貿受けることを禁じて居るため、
被上告人B1より本件建物を含めてその財産の整理を委託せられて居つた被上告人
B2が、後日落札金の償還を受けて被上告人B1に本件建物を返還する約束の下に
被上告人B2名義にてこれを落札したものであつて、以上の事実を認定しなかつた
原審に、社会通念違反があると主張する。
 しかし、被上告人B2が、国税滞納者でありかつ公売処分に附せられた本件建物
の所有者である被上告人B1より、所論の財産整理の委託を受けた事実があつたと
しても、必ずしも直に、所論法条の禁止をさけるため、本件公売処分において被上
告人B2名義を使用して本件建物を被上告人B1自身が買受けたものと認定するの
が、合理的であるとなし得ないのみならず、本件公売により被上告人B1が直接或
は間接に本件建物を買受けたことを認めなかつた原判決を以つて、必ずしも所論の
如く、社会通念に対する違反があるともなすべきでない。
 論旨は要するに、原審の証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰する。
 論旨は、採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

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