弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A外四名弁護人藤原繁夫の上告趣意第一点について。
 強、窃盗罪において奪取行為の目的となる財物とは、財産権殊に所有権の目的と
なり得べき物を言い、それが金銭的乃至経済的価値を有するや否やは問うところで
はない。それゆえ、原判決の引用する証拠によつて認められる原判示の所論中央指
令綴一冊外書類印鑑等数十点は、もとより強、窃盗罪の客体たる財物に当るものと
言わなければならない。そしてまた、被告人等の本件行為の目的が所論のように反
共運動に資するための思想的資料の収奪にあつたとしても、法律上正当に発せられ
た令状によらないで他人の看守する建物に侵入して暴行、脅迫によつて財物を奪取
した以上、強盗罪の成立することは多言を要しない。されば、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判示の所論中央指令綴外書類印鑑等数十点が財物であることについては、論旨
第一点に対して説明したとおりである。それゆえ、原審が原判示の犯罪事実を認定
した上右事実に対し刑法第二四〇条を適用したのはもとより正当であつて、原判決
には所論のような違法はない。
 同第三点について。
 記録を調べてみると、原審公判調書の所論の個所には、作成者たる裁判所書記の
契印を欠いていること所論のとおりである。しかし、右公判調書の契印を欠いてい
る部分の前後における記載は、その筆跡、墨色、記載文の続き具合等から見て、同
一書記によつて真正になされたものと認めることができるのであるから、右調書は
無効とすべきものではなく、従つて証拠能力を欠くものではない(昭和二三年(れ)
第一〇八九号同年一二月九日当裁判所第一小法廷判決参照)。それゆえ、論旨は理
由がない。
 被告人A外四名弁護人中山信一郎の上告趣意第一点について。
 原判決は、証拠として被告人等の原審公判廷における供述を判示同趣旨として引
用している。しかも右公判廷における被告人等の供述によれば、被告人等は書類以
外の品物を持つて来た憶えはないと述べているのであるから、原判決の認定した「
中央指令綴一冊外書類印鑑等数十点」中には所論のようなバター、軍服、毛布等を
含まない趣旨であることは明白である。もつとも、所論被害届の表末尾にはバター
等も強取されたような記載があるが、原判決は右被害届を証拠として引用するにあ
たり「判示に照応する盗難被害事実の記載」としているので、被害届におけるバタ
ー等の記載はこれを証拠として採用せずこれらの物品は原判示の被害品中より除い
た趣旨であると認めるのが相当である。それゆえ、原判決には所論のように理由齟
齬の違法はない。
 同第二点について。、
 所論刑訴応急措置法第一三条第二項の規定が憲法第一四条、第三二条その他の憲
法の規定に違反するものでないことについては、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)
第一二二一号同二四年三月二三日大法廷判決、昭和二二年(れ)第五六号同二三年
二月六日大法廷判決参照)。とするところである。それゆえ、前記応急措置法第一
三条第二項の無効であることを前提とし同条項によつてその適用を排除された旧刑
訴第四一二条所定の事由あることを上告の理由とする本論旨は採用することができ
ない。
 よつて、本件各上告を理由ないものと認め、旧刑訴第四四六条に従い主文のとお
り判決する。
 以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 茂見義勝関与
  昭和二五年八月二九日
     最高裁判所第三小法廷
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠
 裁判長裁判官長谷川太一郎は差支えのため署名押印することができない。
            裁判官    井   上       登

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