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平成20年4月10日宣告
平成19年第165号,第189号
死体遺棄,強盗致死被告事件
主文
被告人Aを懲役22年に,被告人Bを懲役16年に処する。
被告人Aに対し,未決勾留日数中180日をその刑に算入する。
理由要旨
(罪となるべき事実)
被告人両名は,C及びDと共謀の上,
第1E(当時61歳)から金品を強取しようと企て,平成18年8月22日午。
前7時10分ころから同日午前11時ころまでの間,北海道北斗市丁目番abc
号荘階右の被告人A方(当時。以下同じ)において,Eに対し,被告人def。
Aにおいて,その頭部を手拳で殴打し,被告人B,C及びDにおいて,こもご
もEの胸部,腹部,腰背部等を多数回にわたり手拳等で殴打したり,足蹴にし
たりするなどの暴行を加え,さらに,被告人Aにおいて,体重計及びオーブン
トースターでEの頭部を数回殴打したり下腿部を足蹴にするなどし,Cにおい
て,Eに対し数回柔道技をかけ,背負い投げにより頭部から畳に落下させるな
どの暴行を加え,この間,被告人Aにおいて,Eに対し「お前,金どうした,
のよ「どの口座に金が入るのよ」などと申し向けて金品を要求し,同人の反」
抗を抑圧した上,同人管理にかかるキャッシュカード2枚を強取し,その際,
前記暴行により,同人に第7頸椎骨折離断,第11胸椎骨折,肋骨多発骨折等
の傷害を負わせ,同日午前11時ころ,同所において,同人を上記傷害による
外傷性ショックにより死亡させ,
,,第2Eの死体を遺棄しようと企て同日昼過ぎころから午後11時ころまでの間
前記第1記載の被告人A方において,Eの死体をカーペット等にくるみ,これ
を普通貨物自動車等に載せて,北海道北斗市番地付近道路まで運搬し,ghi
翌23日午前1時ころ,同所付近の森林内に掘った穴の中に前記死体を投棄し
て土を被せて埋め,もって,死体を遺棄したものである。
(争点に対する判断)
第1本件の争点
1強盗罪の共謀が認められるか(争点1。)
2強盗の実行行為があったと認められるか(争点2。)
3Eの死亡の結果を生じさせた暴行は,強盗の実行行為ないし強盗の機会のも
のと認められるか(争点3。)
第2前提となる事実
関係各証拠によれば,以下の各事実が認められる。
1被告人両名,C,D及びEの関係等
被告人Bは,平成17年に,E及び被告人Aとそれぞれ警察署の留置場内で
知り合った。被告人Bは,同年12月ころにEと再会し,同人に対して合計4
万2千円を貸し渡し,元利金合計6万円を弁済する約束をさせたほか,わいせ
つDVDを売却し,その売買代金3万円についてEが同DVDを販売した売上
金から支払を受ける約束をしていたが,これらの支払を先延ばしにされ,回収
できないでいた。被告人Bは,平成18年(以下,平成18年の出来事につい
ては,年の記載を省略する)6月下旬ころ,被告人Aと再会し,暴力団構成。
員で年長の被告人Aの弟分として付き合うようになった。また,被告人Bは,
7月ころ,被告人Aに対し,幼なじみのC,アルバイト先で知り合った後輩の
D及びEを順次紹介した(以下,被告人両名,C及びDを併せて「被告人ら。
4名」という)。
2本件に至る経緯
被告人Bは,7月下旬ころ,被告人Aに対し,Eに対する前記の貸金等を
回収できないでいる旨を話したところ,被告人Aから「金の取立てくらいで
きなくてどうする「それが返ってきたら,おれに半分よこせ」などと叱責」
されたことから,種々の方策を講じて債権回収を試みるようになった。
被告人Bは,Eが金銭を貸し付けたというFと交渉し,毎月2万円ずつ合
計100万円を被告人B名義の口座に振り込んでもらう約束を取り付けた
が,被告人Aの助言により,これをEに対する貸金等の利息として受け取る
こととし,元本へは充当しないことにした。
また,被告人Bは,8月8日ころ,Cの協力を得てEをおびき出して被告
人A方に連れて行き,Eを責め立てて金員の支払を要求したところ,Eは,
,。,同月17日に金が入る予定があるのでそれで返済する旨述べたこのころ
被告人Bは,被告人Aの指示により,Eを自己の舎弟としてその支配下に置
き,また,C及びDとともに,その所有する大型テレビを取り上げるなどし
た。
同月17日,Cは,被告人Bから上記貸金等の取立てを依頼され,E方を
訪れたところ,Eは不在であり,また,被告人Bも,同日夜にCとともにE
方を訪れたものの,Eは不在であったので,ポストに入っていたE宛の郵便
物を持ち帰り,被告人Aに渡した。
一方,被告人Aは,Eが同人名義の口座の通帳の売買をしていることを知
り,同月中旬ころ,Eから通帳を買い取って転売したことがあったところ,
上記のとおり被告人Bから受け取ったE宛の郵便物を見て,通帳売買に関し
てEに欺かれたとの疑いをもって憤慨し,被告人Bに対し,Eを探し出して
連れて来るよう指示した。
同月21日夜,被告人ら4名及びGらが,被告人A方で飲食していた際,
Eの話題になり,被告人Bが,Eは金を返さず連絡もつかない旨述べたとこ
ろ,被告人Aは,Eは10万円くらい金を持っているはずだろうなどと述べ
。,,,たまた被告人ら4名はそれまでのEの態度が気に入らなかったことや
Eが約束を守らずに連絡を絶ったことなどから,Eのことを口々に非難し,
Eを捕まえて激しい暴行を加えることなどを話し合い,D及びCがヤミ金業
者を装ってEに電話をかけ,Eと待ち合わせの約束をしておびき出すことと
した。
同月22日午前6時ころ,被告人B,C,D及びGは,Eを発見すると自
動車に乗せ,口々に暴言を浴びせながら被告人A方に向かい,同日午前7時
10分ころ,被告人A方にEを連れ込んだ。
3犯行態様等
,,「」被告人ら4名は被告人A方に到着した直後から前記罪となるべき事実
第1記載の暴行,脅迫行為に及んでEを死亡させ,その後,同第2記載の死体
遺棄行為に及んだ。その際の状況は,次のとおりである。
被告人Aは,玄関先でEの頭部を手拳で2回殴打し,キャッシュカード2
枚を含むEの所持品が入っていたビニール袋を差し出させ,その中身を居間
の床に並べて確認しながら,Eに対し「お前,金どうしたのよ」と申し向,
け,Eが「10時に入金がある」旨答えるや「どの口座に金が入るのよ」,
,「」,,などと追及しEがこれですなどと答えるとその暗証番号を聞き出し
被告人Bらに対し,後で口座の残高を確認するよう指示した。
その後,トイレ掃除をさせられていたEが,台所で手を洗ってタオルで拭
こうとするや,被告人Aが「汚ねえ」と言ってEの頭部を殴打し,これに,
続いて,被告人B,C及びDが,こもごもEの胸部,腹部,腰背部等を多数
回にわたり手拳等で殴打したり,足蹴にしたりするなどの暴行を加え,この
間,被告人Aにおいて,体重計及びオーブントースターでEの頭部を数回殴
打したり下腿部を足蹴にするなどし,Cにおいて,Eに対し数回柔道技をか
け,背負い投げにより頭部から畳に落下させるなどの暴行を加えた。被告人
ら4名は,暴行を加えながら,Eに対し「金返せ「本当にお金入るのか」,」
などと申し向けたこともあった。
CがEに背負い投げをして頭部から畳に落下させた後,Eの具合が目に見
えて悪くなった。その後,被告人Aは出掛けて不在となり,被告人B及びC
は,Eから強取したキャッシュカードを持って2回にわたって近所のコンビ
ニエンスストアに赴き,残高照会をしたが,いずれも残高はなく,被告人B
は,被告人Aに電話でその旨を報告した。
Eの容体はさらに悪化し,同日午前11時ころ,死亡するに至った。同日
昼過ぎころ,被告人Aが帰宅し,被告人ら4名は,死体の処理について話し
合い,Eの死体をレンタカーやCの自動車に載せて,人里離れた森林まで運
搬し,穴を掘ってEの死体を埋めた。
4なお,Dは,当公判廷において,本件前夜,被告人Aは「Eは)10万円(
ぐらい持っているだろう」などと言っていた旨,Gも,被告人Aが「10万。
円・・・」などと言っていた旨供述しているところ,これらの各供述は,被告
人BやCの公判供述とも矛盾しない上,他の共犯者らにとっても不利益な内容
,,であり被告人Aを陥れるために虚偽の供述をするおそれは低いといえるから
高い信用性を有するというべきである。したがって,被告人Aの公判供述中,
Eは金を持っているだろうという趣旨の発言をしたことはないとの部分は信用
できない。また,被告人Aの公判供述中,Eに暗証番号を尋ねたことはなく,
被告人Bらに残高確認の指示をしたこともないとの部分についても,他の共犯
者ら及びGの供述に反し,信用できない。
第3弁護人らの主張に対する判断
1争点1について
被告人Aの弁護人は,被告人ら4名の間では,傷害(ないし脅迫)の共謀
が成立したものであり,強盗の共謀は成立していない旨を,被告人Bの弁護
人は,被告人ら4名の間では,せいぜい恐喝の限度で共謀が成立したに過ぎ
ない旨を,それぞれ主張する。
この点,前記第2で認定した各事実によれば,①被告人BはEに対し合計
9万円の金銭債権を有していたものの,回収できないでいたこと,②被告人
Bは,Eから100万円の債権を譲り受け,被告人Aの指示によりE方から
大型テレビを持ち出した後もなお,Eからの債権回収を止めようとはせず,
Eが支払を約束していた同月17日にも取立てに行ったが,回収には至らな
かったこと,③被告人Bは,Eを舎弟として,自己の,ひいては被告人Aの
支配下に置いていたこと,④本件前夜,被告人A方で飲食していた被告人ら
4名は,いずれもこうした経緯をある程度認識していたこと,⑤この時,被
,,,告人AはEは金を持っているだろうなどと述べたこと⑥被告人ら4名は
本件当日,Eを被告人A方に連れ込んで間もなく,Eに暴行,脅迫を加えて
キャッシュカードを奪い,暗証番号を聞き出した上,そのキャッシュカード
を使って口座の残高照会をしたこと,以上の各事実が認められる。
これらの一連の事情を総合すれば,被告人ら4名は一貫してEから金品を
搾り取る意図で様々な策を講じてきており,Eが連絡を絶つや,これに立腹
すると同時に,手荒い手段を講じてでも金品を奪う計画を立てた上,これを
実行したものと認められ,本件前夜の21日夜の時点で,被告人A方におい
て,被告人ら4名の間で強盗の共謀が成立したことは優に認定できる。
弁護人らは,被告人ら4名はEに私的制裁(いわゆる焼き入れ)としての
激しい暴力を加える旨の共謀をしたものである旨それぞれ主張するところ,
確かに,前記認定の一連の経過に照らすと,被告人ら4名の中でもとりわけ
被告人両名はEの態度に立腹していたことが認められるし,被告人ら4名に
よる暴行の程度は,被告人Bの有する債権を回収する手段としては過剰であ
ったことは否めない。しかしながら,金銭奪取の意図と制裁を加える意図は
併存しうるものであり,前記のとおり,被告人ら4名は,Eの態度に立腹す
ると同時に,手荒い手段を講じてでも金品を奪う計画を立てたものとみるべ
きであって,被告人ら4名の共謀の内容は強盗の機会にEに私的制裁を加え
ることをも含んでいたというべきであるから,弁護人らの主張を前提として
も,被告人ら4名の間で強盗の共謀が成立したとの上記認定に合理的疑いを
入れる余地はない。
被告人Bの弁護人は,被告人Bは,Eからの債権回収に意欲的ではなかっ
たし,Eから金銭の交付を受けるのに暴行,脅迫は不要であった旨主張する
が,被告人B自身,当公判廷において,Eが金を持っていれば取り上げて返
してもらうつもりだった旨述べていること,被告人ら4名はこれまでもEか
ら金品を搾り取るために種々の方策を講じてきたものの,債権を回収するこ
とができず,本件に至ったことなどに照らし,採用できない。
さらに,被告人ら4名は,現にEに激しい暴行を加えることを話し合い,
これを実行していることに照らすと,被告人ら4名の間で脅迫罪ないし恐喝
罪の限度で共謀が成立したに過ぎないとの弁護人らの各主張は,いずれも採
用できない。
2争点2及び3について
被告人Aの弁護人は,被告人ら4名の暴行脅迫行為は私的制裁を目的とす
るものであり,財物奪取を目的としていないから,強盗の実行行為に当たら
ない旨を,被告人Bの弁護人は,Eから所持品の交付を受けるまでの被告人
ら4名の(又は被告人A単独の)行為は,せいぜい恐喝罪に該当するにとど
まり,その後の一連の暴行は新たな契機に基づくものであるから,強盗の実
行行為に当たるものではないし,強盗の機会のものでもない旨を,それぞれ
主張する。
しかしながら,前記1で認定したとおり被告人ら4名の間で本件前夜に
強盗の共謀が成立していたことに加えて,前記第2で認定した各事実によれ
ば,①本件当日,被告人B,C及びDらは,Eを自動車に乗せて被告人A方
に連れ込み,軟禁状態に置いたこと,②Eが被告人A方に到着するや,玄関
先で,被告人Aがその頭部に暴行を加えてキャッシュカード等の所持品を出
させたこと,③被告人Aは,Eの所持品を確認しながら「お前,金どうし,
たのよ「どの口座に金が入るのよ」などと申し向け,入金予定のあること」
やその口座,暗証番号を聞き出し,被告人Bらに残高照会を指示したこと,
④その後,被告人B及びCは,被告人Aの指示にしたがって,奪ったキャッ
シュカードで口座の残高照会を行ったことが認められる。
これらの事情を総合すれば,被告人Aが玄関先でEの頭部を殴打した行為
及びEの所持品を確認しながら「お前,金どうしたのよ「どの口座に金が」
入るのよ」などと申し向けた行為自体,被告人ら4名の間の事前共謀に基づ
く強盗の実行行為に当たることは明らかである。
これに加えて,被告人ら4名は,本件以前から執拗にEを追い回して金品
を搾り取ろうとしていたものの,未だ債権を回収できないでいたこと,Eか
らキャッシュカードを奪い,暗証番号を聞き出した後においても,未だEの
口座への入金は確認できておらず,現金を入手するに至っていないことなど
も考慮すれば,その後の被告人ら4名による一連の激しい暴行の際にも財物
奪取の目的は失われていなかったと認められ,Eの死亡の結果を生じさせた
暴行行為は,強盗の実行行為に当たると認めるのが相当である。もっとも,
弁護人らがそれぞれ主張するとおり,被告人ら4名はEに私的制裁としての
暴行を加える意図をも有していたことが認められる上,被告人ら4名による
暴行の程度は,被告人Bの債権を回収する手段としては過剰であったことは
否めないことに照らすと,被告人ら4名による一連の暴行は,Eに対する私
的制裁の意図で傷害を加えることをも目的としていたものと認められるが,
そのことにより財物奪取の目的が否定されるものではないから,上記認定は
左右されない。
第4結論
以上の次第であるから,被告人両名について,強盗致死罪が成立する。
(量刑の事情)
1本件は,被告人両名が,他の共犯者2名と共謀の上,被害者から所持品を強取
するとともに,その際の暴行によって被害者を死亡させ,その死体を遺棄した強
盗致死,死体遺棄の事案である。
2犯行に至る経緯及び犯行態様等は,前記のとおりであり,被告人ら4名は,財
物奪取及び私的制裁という身勝手な動機で本件各犯行に及んだもので,酌量の余
地は全くなく,暴力団特有の論理に基づく犯行というほかない。犯行態様は,被
害者をおびき出して拉致し,軟禁状態に置いた上で,無抵抗な被害者に対し,4
人がかりで長時間にわたって執拗に殴る蹴るなどの暴行を加えたもので,極めて
悪質である。また,被告人ら4名は,被害者の容体が悪化していることを認識し
つつ,犯行の発覚を恐れて救急車を手配せず,被害者の死亡を確認するや,死体
遺棄を計画して実行に移し,被害者の所持品等を燃やすなどして証拠隠滅を図っ
たものであって,犯行後の情状も悪い。
被告人ら4名の犯行によって被害者は死亡しており,結果は取り返しのつかな
い重大なものである。被害者は,被告人ら4名から執拗かつ激しい暴行を加えら
れた結果,その尊い生命を奪われ,さらに山林中に投棄されたのであり,その肉
,。,体的苦痛無念さは察するに余りある遺族の処罰感情にも厳しいものがあるが
これに対する慰藉の措置は講じられていない。以上によれば,本件各犯行の犯情
は極めて悪質というほかない。
被告人両名が果たした役割をみると,被告人Aは,被告人ら4名の中で最年長
であるとともに暴力団構成員であり,終始主導的立場で本件に関与している上,
本件当日も,被害者が被告人A宅に到着するや強盗の実行に着手し,被害者から
キャッシュカードを強取してその暗証番号を聞き出し,被告人Bらに残高確認を
指示するなど,財物奪取の点において中心的な役割を果たしている。被害者に対
する暴行についても,その手数こそ他の共犯者に比べて少ないものの,凶器で頭
部を殴打するなど,その態様は危険かつ悪質なものである。また,外出先で被害
者の容体が悪化している旨の連絡を受けながら,犯行の発覚をおそれて救急車を
呼ばないよう指示し(被告人Aは,この点について,外出後の事情は知らなかっ
た旨供述するが,他の共犯者らの供述に反し,採用できない,帰宅後に被害。)
者の死亡を確認するや,死体遺棄を発案して実行し,他の共犯者らに口止めする
など,その後の情状も極めて悪い。
被告人Bは,被告人Aの指示があったとはいえ,C及びDを巻き込んで被害者
から執拗に金銭を取り立てようとしており,本件に至る経緯において,中心的な
立場にあったといえる。本件当日も,被害者を拉致して被告人A方に連れ込み,
殴る蹴るの暴行を加え,Cとともに強取したキャッシュカードを使って残高照会
を行うなど重要な役割を果たした上,死体遺棄にも関与するなど,強い非難は免
れない。
その他の事情についてみると,被告人Aは,暴力団構成員で前科が3犯あり,
前刑の執行終了後わずか2か月後に本件犯行に及んでいること,被告人Bは,暴
力団構成員ではないものの暴力団と深い関わりを持ち,前科が2犯(本件犯行前
に詐欺罪によって執行猶予付懲役刑に処せられ,本件犯行後に覚せい剤取締法違
反等によって懲役刑の実刑に処せられている)あり,その執行猶予期間中に本。
件犯行に及んでいることが認められ,いずれもその規範意識は著しく鈍麻してい
るといわざるを得ない。
以上によれば,被告人Aの責任は極めて重大というほかなく,また,被告人B
の責任も重い。
3他方,犯行に至る経緯に照らすと,被告人ら4名の暴行は,財物奪取を目的と
したものではあるものの,被害者に対する制裁という意味合いもあり,典型的な
強盗致死罪とはやや異なるものである。また,被告人両名による暴行が致命傷と
なったとは認めがたく,被告人両名にとって,共犯者であるCが被害者を頭部か
ら落下させるという危険な暴行を加えたことは予想外であったことが認められ
る。
各被告人についてみると,被告人Aについては,被害者を死亡させたこと及び
死体遺棄については,率直に認め,反省の言葉を述べていることなど,同被告人
のために酌むことができる事情も認められる。被告人Bについては,被告人Aに
追従せざるを得ない立場にあったこと(なお,上記のとおり被告人Aが本件を主
導したと認められるのに対し,被告人Bは,犯行に至る経緯においては,債権者
として債権回収に関して中心的な立場にあったものの,その背景には被告人Aの
指示があったものであるし,本件各犯行においては被告人Aに追従していたもの
と評価でき,その刑事責任の重さは相当程度異なるというべきである,被告。)
人Bは,被告人なりに過去の行いを振り返り反省の情を示していること,同被告
人の実母が出廷して謝罪の言葉を述べたこと,24歳と若年であること,同被告
人は前科の刑により服役中であり,今後も相当期間の服役が予定されていること
などの事情が認められる。
そこで,これらの事情を総合考慮の上,被告人両名に対しては,それぞれ酌量
減軽をした上で,主文の刑に処するのが相当であると判断した。
(求刑被告人Aにつき懲役30年,同Bにつき懲役30年)
平成20年4月10日
函館地方裁判所刑事部
裁判長裁判官柴山智
岡田龍太郎裁判官
板橋愛子裁判官

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