弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破毀する。
     第一審判決中、売買無効確認請求に関する部分を取消し、被上告人の右
請求を棄却する。
     被上告人のその余の請求に関する控訴は棄却する。
     訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人神代宗衛の上告理由第五点について。
 被上告人の本訴請求中、確認請求に関する部分は、要するに、被上告人は、上告
人A1の推定相続人であるところ、同上告人は同人所有の本件不動産について上告
人A2と通謀して虚偽仮装の売買をなし、所有権移転登記を経由したので、被上告
人は自己の相続権に基き、本訴において右売買の無効(売買契約より生じた法律関
係の不存在)確認を求めるという趣旨であることが記録上明白である。しかし、確
認の訴は、即時確定の利益がある場合、換言すれば、現に、原告の有する権利また
は法律的地位に危険または不安が存在し、これを除去するため被告に対し確認判決
を得ることが必要かつ適切な場合に限り、許されるものであることはいうまでもな
い。しかるに、推定相続人は、単に、将来相続開始の際、被相続人の権利義務を包
括的に承継すべき期待権を有するだけであつて、現在においては、未だ当然には、
被相続人の個々の財産に対し権利を有するものではない。それ故単に被相続人たる
上告人A1の所有に属する本件不動産について、たとえ被上告人主張の如き売買お
よび登記がなされたとしても、法律上は、まだ現に被上告人の権利または法律的地
位に危険または不安が生じ。確認判決をもつてこれを除去するに適する場合である
とはいい難く、その他本件において、被上告人が本件不動産の売買に関し即時確定
の利益を有するものとは認められない。されば、被上告人の本訴請求中、確認請求
の部分は法律上許容できないものであり、これを認容した原判決および右請求につ
いて実体上の判決をした第一審判決は、いずれも失当であり破棄を免れない。
 同第六点について。
 原審は、被上告人が上告人A1に代位して同上告人の有する本件登記抹消請求権
を行使し得ると判断したのである。しかし、民法四二三条による債権者代位権は、
債権者がその債権を保全するため債務者の権利を行使し得る権利であり、それは、
ひつきよう債権の一種の効力に外ならないのである。しかるに被上告人は、単に上
告人A1の推定相続人たる期待権を有するだけであつて、なんら同上告人に対し債
権を有するものでないから、被上告人は当然にはなんら代位権を行使し得べきいわ
れはない。その他被上告人主張の事実関係の下において、被上告人の本件登記抹消
の請求を是認すべき根拠は存しないから、原判決が、右請求を認容したのは失当で
あつて、この部分に関する原判決も破棄を免れない。
 よつて、その他の論旨については判断を省略し、かつ本件は当裁判所において自
判するに熟するから、民訴四〇八条、九六条、八九条を適用し、裁判官全員の一致
で主文のとおり判決する。
 裁判官井上登は退官につき合議に関与しない。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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