弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原決定を破棄し,原々決定を取り消す。
相手方の本件移送申立てを却下する。
理由
抗告代理人秋田光治ほかの抗告理由について
1記録によれば,本件の経緯の概要は,次のとおりである。
(1)抗告人は,相手方を含む貸金業者3社との間でいずれも継続的な金銭消費
貸借取引を行ったところ,上記各取引のいずれについても,弁済金のうち利息制限
法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項所定の制限を超えて
利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,
上記3社を被告として,不当利得返還請求権に基づき,それぞれ過払金の返還及び
民法704条前段所定の利息等の支払を求める訴訟(以下「本件訴訟」という。)
を,抗告人の住所地を管轄する名古屋地方裁判所(一宮支部)に併合して提起し
た。
本件訴訟の各被告に対する請求額は,いずれも140万円を超えないが,これら
を合算した額は140万円を超える。
(2)相手方は,本件訴訟が民事訴訟法(以下「法」という。)38条後段の要
件を満たす共同訴訟(以下「法38条後段の共同訴訟」という。)に当たることを
自認しながら,法16条1項に基づき,本件訴訟のうち相手方に係る部分(以下
「相手方に係る訴訟」という。)を,抗告人の住所地を管轄する犬山簡易裁判所に
移送することを求める申立てをした。
2原審は,法38条後段の共同訴訟については,法7条ただし書により同条本
文は適用されず,受訴裁判所に併合請求による管轄が生ずることはなく,併合請求
が可能であることを前提とする法9条を適用して各請求の価額を合算して訴訟の目
的の価額を算定することができないから,相手方に係る訴訟は簡易裁判所の事物管
轄に属すると判断して,法16条1項に基づき,相手方に係る訴訟を犬山簡易裁判
所に移送すべきものとした。
3しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
法38条後段の共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所
が土地管轄権を有しているものについて,法7条ただし書により法9条の適用が排
除されることはないというべきである。
なぜなら,法7条は,法4条から法6条の2までを受けている文理及び条文が置
かれた位置に照らし,土地管轄について規定するものであって事物管轄について規
定するものではないことが明らかであり,また,法7条ただし書の趣旨は,法38
条後段の共同訴訟において,一の請求の裁判籍によって他の請求についても土地管
轄が認められると遠隔地での応訴を余儀なくされる他の請求の被告の不利益に配慮
するものであると解されるのであり,簡易裁判所ではなく当該簡易裁判所を管轄区
域内に置く地方裁判所において審理及び裁判を受けることにより被告が不利益を被
ることがあり得るとしても,上記と同様の配慮を要するとはいえないからである。
相手方は本件訴訟が法38条後段の共同訴訟に当たることを自認するところ,い
ずれの被告に係る部分も受訴裁判所である名古屋地方裁判所が土地管轄権を有して
いるから,相手方に係る訴訟を含む本件訴訟は,訴訟の目的の価額が法9条1項本
文により140万円を超えることになり,同裁判所の事物管轄に属するものという
べきである。
これと異なる原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反が
あり,論旨は理由がある。
4以上によれば,原決定は破棄を免れず,原々決定を取り消して,相手方の本
件移送申立てを却下すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官須藤正彦裁判官
千葉勝美)

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