弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人飯山悦治の上告理由第一点について。
 記録によると、被上告会社は執行文付与に対する異議の訴を取下げる旨陳述した
けれども、請求異議の主張をしていることは明らかであるから原判決には所論の違
法はない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 所論は要するに、原判決において、判示Dが昭和二九年七月二五日被上告会社よ
り同年四月から六月までの賃料を期限後の支払であること、小切手による支払であ
ることについては何の異議をもとどめず受領したのであるから被上告会社の右賃料
支払遅滞の効力は消滅した旨認定したのは当事者の主張しない事実を斟酌した違法
あるものであるというのである。けれども被上告会社は「意見の不一致は昭和二九
午七月になつても解決しなかつたので、不服であつたが地代値上の要求のみは受諾
し、同年四月分以降六月分まで三ヶ月分地代合計三、九七二円を被上告会社代表者
が上告人方を訪れ被上告会社振出銀行宛小切手で履行の提供をしたところ上告人の
父で本件宅地の管理処分につき実賃上の権限を有していたDはこれを受領するとと
もに、借地一部の早期明渡の上告人側の提案修正事項は公正証書に作成したいから
その作成に必要な委任状を至急交付されたい旨要望した」との旨の事実を主張して
おり、上告人はこの事実を争つているのである(なお、第三点に対する説示参照)
それゆえ、原判状が所論の事実を認定して、被上告会社の右遅滞の効力は消滅した
と判断しても、所論の違法があるとはいえない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 なるほど、賃貸借解除の効果が発生した以上、その後延滞賃料を支払つたという
だけでは解除の効果が消滅し賃貸借が復活する訳はない。論旨引用の判例(昭和二
六年(オ)一一五号同二九年一月二八日第一小法廷判決、八巻一号二六五頁)は、
履行遅滞後の履行期の廷期は、特段の意思表示がないかぎり、将来に向つて遅滞の
責を免れしめるだけで、すでに生じた遅滞の効果を当然消滅させるものではなく、
履行遅滞後履行期が延期された場合には、すでに生じた遅滞の効果の消滅事由は債
務者に立証責任があるとの趣旨のものであつて、履行遅滞後、履行期を延期する場
合に当事者が特段の意思表示をもつて解除の効果を消滅させることはできるのであ
る。所論の点に関する原判決の趣旨は、被上告会社は昭和二九年四月ないし六月分
の賃料を支払わないで同年六月を経過したのではあつたが、被上告会社は上告人の
判示要求中地代値上要求のみには応ずることとして同年七月二五日値上額による同
年四月分から六月分までの地代を判示小切手をもつて上告人方に赴いたところ、判
示の権限を持つていたDは、弁済期を経過していたこと及び小切手による支払であ
ることには何の異議もとどめずに被上告会社の申出に応じてこれを受領し、その際
判示借地の一部明渡について公正証書を作成したいからそれに必要な被上告会社の
委任状を至急渡されたいことを要求したことにより、被上告会社と上告人の代理人
Dとの間には右三ヶ月分賃料の遅滞並びに本件賃貸借解除の効力を消滅させること
の黙示の合意(特段の意思表示)が成立し、これによつて右解除の効力は消滅した
というにあると解される。であるから、原判決における賃料遅滞の効力が消滅した
との判断と解除の効力が合意によつて消滅したとの判断とは畢竟同一内容に帰する
ので相容れないものではない。原判決には所論の違法はない。
 同第四点について。
 原判決は、前段において本件調停の合意を変更すべき要求を被上告会社が容れな
いことを理由としては上告人は賃料の受領を拒みえない旨判示したが、後段におい
ては、被上告会社は原判示三ヶ月分賃料を延滞していた以上、遅滞の責を負うが、
その後Dにおいて異議なく値上額による右地代を受領した事実、特段の意思表示が
なされた事実、その他の事実を認定した上、所論のような判断をしているのである
から、そこに何の理由そごもない。論旨は原判決を正解せざるに出たもので採用す
ることができない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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