弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、被上告人らの金員支払請求に関する部分を破棄し、右部分に
つき第一審判決を取り消す。
     被上告人らの前項の部分の請求に係る訴えを却下する。
     上告人のその余の上告を棄却する。
     第一審判決主文第二項を「右株式譲渡の承認があつたときは、被告は原
告らに対し、それぞれ右各株式数に相当する株券につき、被告が訴外D株式会社に
対して有する返還請求権を譲渡し、かつ、同社に対して、以後右株券を原告らのた
めに占有せよと通知せよ。」と更正する。
     訴訟の総費用はこれを三分し、その二を上告人の、その余を被上告人ら
の負担とする。
         理    由
 上告代理人山口伸六、同平山明彦の上告理由第一点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自
の見解に立つて原判決を論難するものであつて、採用することができない。
 ところで、職権をもつて調査するに、原審は、その適法に確定した事実関係に基
づき、(1) 上告人は被上告人らのために被上告人各自が贈与を受けた訴外E株式
会社(以下「訴外会社」という。)の株式について訴外会社の取締役会に対する株
式譲渡承認申請手続をせよとの請求、及び(2) 上告人は被上告人らに対し右承認
があつたときは右株式に相当する株券につき指図による占有移転をせよとの請求を
いずれも認容すべきものとした外、(3) 前記(1)、(2)の株式譲渡承認申請手続
及び占有移転の強制的実現(執行)が不能となつたときは、上告人は被上告人らに
対し右不能に係る株式について一株当たり金六〇〇円の割合による金員を支払えと
の請求を認容すべきものと判断して、前記各請求をいずれも認容した第一審判決に
対する上告人の控訴を棄却した。
 しかしながら、原審の右判断のうち、右(3)の代償請求を認容すべきとした部分
は是認することができない。けだし、執行不能を条件とする代償請求は、本来の給
付請求の執行不能を条件とする将来の給付請求であるので、あらかじめ請求する必
要がある場合に限り提起できる(民訴法二二六条)と解すべきところ、前記株式譲
渡承認申請手続請求は、意思表示をすべきことを求めるものであるから、これを命
ずる主文の強制執行は、民事執行法第一七三条一項本文により判決の確定をもつて
完了し、前記指図による占有移転請求も、意思表示をすべきことを求めるものであ
るが、その意思表示が訴外会社の取締役会の承認という被上告人らの証明すべき事
実の到来に係る場合であるから、これを命ずる判決主文の強制執行は同項ただし書
により被上告人らが右承認の事実を証明する文書を提出して執行文の付与を受けた
ときに完了するものである。しかも右訴外会社取締役会の承認を得られない場合は
代償請求の条件たる執行不能に該当しないから、原審が認容すべきものとした代償
請求は、いずれも条件たる本来の給付請求の主文の強制執行自体が不能となること
はあり得ず条件成就の可能性が存在しないことになるので、あらかじめ請求する必
要が認められず、将来の給付の訴えとしての訴訟要件を欠く不適法なものであると
いわざるを得ない。したがつて、右訴えに係る請求を認容すべきものとした原審の
判断には訴訟要件に関する法令の解釈適用を誤つた結果、将来の給付の訴えとして
訴訟要件を欠く請求についてこれを認めるべきとした違法があるといわざるを得ず、
右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであり、原判決中右代償請求を認容した
部分は破棄を免れず、第一審判決中右請求に関する部分を取り消し、右請求に係る
訴えを却下すべきである。
 なお、第一審判決主文第二項は「右株式譲渡の承認があつたときは、被告は原告
らに対し、それぞれ右各株式数に相当する株券につき、被告が訴外D株式会社に対
して有する返還請求権を譲渡し、かつ、同社に対して、以後右株券を原告らのため
に占有せよと通知せよ。」とすべきところを誤記したことが、その判決理由に照ら
し明らかであるから、民訴法一九四条により職権をもつて右のとおり更正する。
 よつて、その余の論旨については判断する必要がないので、これを省略し、民訴
法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、八九条、九二条、九三条に
従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    島   谷   六   郎
            裁判官    牧       圭   次
            裁判官    藤   島       昭
            裁判官    香   川   保   一
            裁判官    奧   野   久   之

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