弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人山田友記、同佐藤均の上告理由第一点について。
 執行吏Dに所論のような故意または過失は認められないとした原判示は、挙示の
証拠に照らし是認できる。(なお、債権者訴外Eおよび債務者同F間の金銭消費貸
借契約公正証書の作成日付、これに対する執行文付与の日付および右公正証書に基
づく強制執行委任の日付が所論のとおりであつたとしても、この一事をもつて直ち
に右委任を受けた執行吏において右訴外人らが被上告人所有の本件伐倒木を取得し
ようと作為していたことを認識し得たはずであり、右執行吏に故意があつたとはい
い難い。また、原審の確定したところによれば、執行吏Dが本件伐倒木につき熊本
地方裁判所仮処分係書記官から仮処分になつているかもしれない旨聞かされていた
ことは所論のとおりであるが、右執行吏は差押物件たる本件伐倒木が仮処分執行の
対象であるとは思わなかつたけれども、多少の疑念を抱き、債務者Fの所有物件と
して競売するのに若干躊躇したが、債権者Eが競売を迫り債務者Fも自己の所有で
あると主張したので、念のため競売現場において、「差押物件が仮処分の対象とな
つている疑がなくもないが、債権者、債務者がそうでないと言い、債権者が競売を
迫るので、競売する。万一、後日仮処分物件であつても、本職は競買人に対し責任
を負わない」旨を表明したところ、他の競買希望者は全部手を引き、Eがこれを競
落した、そこで右執行吏は競売調書に右表明したと同趣旨の文言を記載して右調書
謄本をEに交付したというのである。右のような事実関係の下においては、右執行
吏の競売実施について過失があるということはできないとした原審の判断は、正当
である。)
 所論は、原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難し、または原審の
認定しない事実を主張して、原判決を非難するに帰し、採るを得ない。
 同第二点について。
 原判決は、本件伐倒木に対する執行吏Dの競売実施、競売調書作成および競買人
に対する競売調書謄本の交付の職務を行なうについて、同執行吏になんら違法はな
かつたと判示しているのであり、すなわち上告人の本件伐倒木買受により蒙つた損
害は、同執行吏の職務を行なうについて加えたものではないことを説示するもので
あることが明らかであるから、所論判断遺脱の違法はなく、所論は採るを得ない。
 同第三点について。
 執行吏Dの競売実施により競落された本件伐倒木を上告人がさらに競落人から買
受けたことによつて損害を蒙つたとしても、右執行吏の競売実施についてなんら違
法の存在が認められない以上、被上告人において国家賠償法による責任を負うべき
筋合のものではなく、これと同趣旨の原判示は正当であり、所論は採るを得ない。
 同第四点について。
 執達吏規則一〇条に照らし、執行吏Dの所論行為に違法性はないとした原判決の
判断は正当と認められる。それ故、原判決には所論の違法はなく、所論は採るを得
ない。
 同第五点について。
 原審の判示するところによれば、本件強制競売の実施について執行吏Dに故意過
失もしくは職務上の違法行為があつたものとは認められないというのであるから、
右職務行為と上告人における損害の発生との間に相当因果関係があるか否かは論ず
る余地はなく、所論は、原判決の傍論的記載部分を非難するに帰し、採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    長   部   謹   吾

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