弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成13年(行ケ)第77号 審決取消請求事件(平成13年7月16日口頭弁論
終結)
          判          決
       原      告   有限会社志村
       訴訟代理人弁理士   正 林 真 之
       同          岩 永 和 久
       同          藤 田 和 子
       被      告   特許庁長官 及 川 耕 造
       指定代理人      久 我 敬 史
       同          宮 川 久 成
          主          文
      特許庁が平成11年審判第13086号事件について平成13年1月
11日にした審決を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
   原告は、平成9年6月24日にした商標登録出願(商願平9-130301
号)の一部を分割して、平成10年10月26日、「STORMYBLUE」の欧
文字を横書きしてなり、指定商品を商標法施行令別表による第25類「被服(「和
服」を除く。)、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、運動用特殊
衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」とする商標(以下「本願商標」とい
う。)につき、新たな商標登録出願(商願平10-91805号)をしたが、平成
11年7月9日に拒絶査定を受けたので、同年8月9日、これに対する不服の審判
の請求をした。
   特許庁は、同請求を平成11年審判第13086号事件として審理した上、
平成13年1月11日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、そ
の謄本は同月29日原告に送達された。
 2 審決の理由
   審決は、別添審決謄本写し記載のとおり、本願商標は「ストーミーブルー」
の称呼のほか、「STORMY」の文字部分に相応して「ストーミー」の称呼をも
生ずるものであるところ、下記A、B記載の各登録商標(以下「引用商標」とい
う。)とは「ストーミー」との称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本願商
標の指定商品は引用商標の指定商品中に包含される同一又は類似の商品であるか
ら、本願商標は、商標法4条1項11号に該当し、商標登録を受けることができな
いとした。
A 登録第1689825号商標
 構   成 「STORMY」(審決謄本別掲のとおり)
 指定商品 商標法施行令別表(平成3年政令第299号による改正前のも
の)第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造
花、化粧用具」
    登録出願日 昭和57年1月20日
    設定登録日 昭和59年6月21日(平成6年11月29日更新登録)
  B 登録第3369072号商標
 構   成 「ストーミー/STORMY」(注、上下二段書きを左のよ
うに表記する。以下同じ。)
 指定商品 商標法施行令別表による第25類「洋服、コート、セーター
類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、エプロン、えり巻き、靴
下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、
布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、ずきん、すげが
さ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬
靴」を除く。)」
    登録出願日 平成5年7月7日
    設定登録日 平成10年2月27日
第3 原告主張の審決取消事由
1 審決の理由中、本願商標及び引用商標の認定(審決謄本1頁理由欄2行目~
2頁6行目)は認める。
 審決は、本願商標と引用商標との類否の判断を誤った(取消事由)ものであ
るから、違法として取り消されるべきである。
 2 取消事由(類否判断の誤り)
 (1) 審決は、本願商標を前半の「STORMY」と後半の「BLUE」とに分
離した上、「前半の『STORMY』の文字に相応して『ストーミー』の称呼をも
生ずる」(審決謄本2頁29行目~30行目)旨判断するが、以下に述べるとお
り、本願商標は全体が一体不可分のものとして認識されるべきである。
   ア 外観上の一連性
     本願商標は、全体として欧文字10文字からなるもので、それ自体分離
しなければならないほど長い文字数のものでないばかりか、「STORMYBLU
E」と、構成文字の書体も大きさも同じで等間隔に配列されており、スペース等に
よる分離箇所もなく、外観上まとまりよく一体的に表されているから、これを「S
TORMY」と「BLUE」に分離すべき理由はない。
   イ 称呼上の一連性
     本願商標を全体として「ストーミーブルー」と称呼しても格別冗長とは
いえず、よどみなく一連に称呼することができる。ファッション業界においては、
他の業界において長いと思われるような称呼でも省略されずに呼ばれるのが一般的
である。
     また、「STORMY」の末尾の「ミー」の部分が長音となっているた
め、次に文字が続く語感を備えていること、「ミー」の部分は音を下げずに発音さ
れるため、「ストーミーブ」の部分までが一本調子で、最後の「ルー」の部分で音
が下がるように発音されることからしても、本願商標は「ストーミーブルー」と一
体的に称呼されるのが自然である。
     したがって、本願商標は、その構成文字全体より「ストーミーブルー」
の称呼しか生じない。
   ウ 観念上の一連性
     「BLUE」の語は、「青」という色彩だけを一義的に意味するもので
はなく、「憂うつ」、「厳格」、「下品」等種々の意味をもって使用され、他の語
と一体となって、「マリッジブルー」、「エンゲージブルー」、「マタニティーブ
ルー」、「ブルーマンデー」等のように全体として一つの単語が作り出されてい
る。本願商標についていえば、「STORMY」が生じさせる「激しい、荒れた」
等の暗い印象と、「BLUE」が観念させるうつ的感情とが共鳴し、全体として寂
りょう感を生じさせる。このような「BLUE」の特殊性から、本願商標は、「S
TORMY」と「BLUE」とに分離されるべきではなく、「STORMYBLU
E」全体として把握されるべきである。もとより、本願商標の「STORMYBL
UE」は造語であって、直接的には観念を生じさせるものではないが、「落ち着い
たおとなの渋さのある激しさ」という商品イメージを備える商品群であることを需
要者に伝えるメッセージ性を有するものである。なお、原告は、平成8年から本願
商標を用いてジーンズの販売を展開しており、取引者、需要者において、本願商標
は原告のブランドである「フェローズ」から生じた一連の造語であると認識されて
いる。
     また、今日の我が国における英語の知識の普及度を考慮しても、「ST
ORMY」から特別の意味、観念を認識できない場合もあるから、このように認識
度の薄い「STORMY」を本願商標の構成中から分離するということは考えられ
ず、本願商標の取引者、需要者が本願商標を「STORMY」と「BLUE」の両
英語を結合してなるものと容易に認識し得るものではない。
 (2) 被告は、色彩を表示する英語表現を含む結合商標の類否に関する後記3件
の東京高裁の裁判例を引用するが、このうち、①商標「RED KITTY」につ
いていえば、サンリオの著名なキャラクターである「KITTY」に、「赤」とい
う以外に多くの意味を有さない「RED」を付したものであるから、本件と同列に
論ずることはできない。次に、②商標「GREEN JOYS」の「GREEN」
は、現在のファッション業界においては、単に商品の色彩を表示するものととらえ
ることはできず、むしろ商品や企業のスタイルやイメージとしてとらえるべきもの
である。また、③商標「CLASSIC BLACK」については、指定商品がシ
ャープペンシル等という異業種のものであって、本件の参考にならない。しかも、
いずれの商標も前半部分と後半部分を分離するスペースがあって、この点でも本願
商標とは構成を異にする。
    一般論として、色彩等を表す記述的な意味を有し、それ自体としては識別
力がないか、又は極めて弱い文字「A」と、それ自体として識別力を有する文字
「B」とが結合された商標「A+B」は、商標「B」と類似すると考えられている
が、他方、識別力が弱く一般に使用されることが多い文字「A」及び「B」を結合
させた場合でも、その結合が自然でいずれにもウェイトが偏らず、例えば、全体と
して一つの観念を生じさせるような場合においては、商標「A」と類似しないとさ
れている。すなわち、色彩を示す語に他の語が結合した商標については、当該他の
語からなる商標と類似する場合も類似しない場合もあるのであって、上記の各裁判
例は本件にそのまま妥当するものではない。
第4 被告の反論
 1 審決の認定判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
 2 取消事由(類否判断の誤り)について
 (1) 原告は、本願商標は外観、称呼及び観念上、全体が一体不可分なものとし
て認識されるべきである旨主張するが、「STORMYBLUE」との一連の文字
は、辞典等の書籍類には一切掲載されておらず、特定の意味を持つ熟語ないし成語
であるということはできない。しかも、前半部分の「STORMY」の文字は「暴
風の、しけの」等を意味する英語として、後半部分の「BLUE」の文字は「青、
青色」等を意味する英語として、それぞれ我が国の英語教育における基本語とされ
ているから、本願商標に接する取引者、需要者は、これらの各英語を結合してなる
ものと認識されるものである。そして、「BLUE」の語は、本願商標の指定商品
を取り扱う服飾業界においては、商品の色彩を表示するものとして一般的に使用さ
れているものであるから、それ自体としては自他商品の識別標識としての機能を果
たさないか、あるいは果たしたとしても極めて微弱であって、本願商標に接する取
引者、需要者は、その構成中の「STORMY」の文字部分に着目し、これを自他
商品の識別標識であると理解して、これから生ずる「ストーミー」の称呼をもって
取引がされることも少なくないというべきである。しかも、本願商標の全体から生
ずる「ストーミーブルー」との称呼が8音で決して短いとはいい切れない上、「S
TORMYBLUE」から具体的にどのような観念が生ずるのかも明らかでなく、
原告の主張はいずれも失当である。
 (2) 審決の判断は、本件と同様、色彩を表示する英語表現を含む結合商標の類
否が争われた事件についての以下の裁判例にも沿うものである。すなわち、①商標
「レッドキティ/RED KITTY」(指定商品・被服等)と商標「キティ/K
ITTY」の類否に関する東京高裁昭和49年9月5日判決(昭和48年(行ケ)
第96号)、②商標「GREEN JOYS/グリーンジョイス」(指定商品・は
き物等)と商標「WM.JOYCE」の類否に関する東京高裁平成2年7月23日
判決(平成2年(行ケ)第17号)、③商標「CLASSIC BLACK」(指
定商品・シャープペンシル等)と商標「CLASSIC」の類否に関する東京高裁
平成3年12月19日判決(平成3年(行ケ)第92号)は、いずれも本件におけ
る審決の判断と同様の理由に基づいて、各商標は称呼上類似すると判断したもので
ある。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由(類否判断の誤り)について
 (1) 原告は、本願商標「STORMYBLUE」は、外観、称呼及び観念上、
「STORMY」と「BLUE」とに分離し得るものでなく、全体が一体不可分な
ものとして認識されるべきである旨主張するので、以下、本願商標が「STORM
Y」と「BLUE」の結合商標として取引者、需要者に認識し得るかどうか、これ
が認識可能としても、「STORMY」の文字部分に対応して「ストーミー」の称
呼を生ずるといえるかどうかについて、順次検討する。
 (2) まず、本願商標は、「STORMYBLUE」との一連の文字が同書同大
の欧文字10文字を等間隔に配列してまとまりよく一体に表されているものである
が、その構成文字中、少なくとも後半部分の「BLUE」が、「青い、青」(その
他の語義については後述する。)等を意味する英単語として我が国の一般国民にお
いてよく知られていることは明らかである。そうすると、本願商標の指定商品の取
引者、需要者にとって、前半部分の「STORMY」が必ずしもなじみのある英単
語であるとまではいえないとしても、本願商標は前半部分の「STORMY」に後
半部分の「BLUE」が結合したものと認識し得るものと認めるのが相当である。
    なお、「STORMY」の語は、株式会社研究社発行の新英和中辞典第5
版(乙第1号証の1)に「stormの形容詞形・・・暴風(雨)の、あらしの」等の説
明がある英単語であるが、「storm」が「暴風(雨)、あらし」等を意味する英単語
(名詞)としてよく知られていること、英単語の名詞の語尾に「y」を付して形容
詞形とすることは、なじみの深い外来語においてもよく用いられる一般的な手法と
して広く知られていること(例え
ば、creamy、juicy、speedy、sleepy、spicy、oily、healthy、dirty、fluity、blo
ody、sexy等)、上記新英和中辞典の注記において、「stormy」の語は、中学学習程
度の基本語約1000語、高校学習程度の基本語約1000語及び大学入試から大
学教養程度までの基本語約2000語に次ぐ基本語約3000語の一つとされてい
ることを総合すると、指定商品の取引者、需要者においても、「STORMY」が
形容詞的な表現であるという程度の推察をすることは可能なものと認められる。
 (3) そこで、進んで、本願商標が「STORMY」と「BLUE」の結合商標
として認識されることを前提に、その全体から生ずる「ストーミーブルー」との称
呼が生ずるにとどまるのか、「STORMY」の部分に対応して「ストーミー」の
称呼も生ずるのかについて、検討する。
   ア 被告は、本願商標の構成中「BLUE」の部分は、その指定商品を取り
扱う服飾業界においては商品の色彩を表示するものとして一般的に使用されている
ものであるから、それ自体としては自他商品の識別標識としての機能がないか又は
極めて微弱であって、これに接する取引者、需要者は「STORMY」の文字部分
に着目し、そこから生ずる「ストーミー」の称呼をもって取引がされることも少な
くない旨主張する。
     確かに、被告の提出に係る乙号各証によれば、「BLUE」の語が、形
容詞として「青い、(寒さ、恐怖などで)青ざめた、〈人が〉憂うつで」等の、名
詞として「青」等の意味を示す中学学習程度の基本英単語であること(前掲新英和
中辞典第5版〔乙第1号証の2〕)、ファッション雑誌や通信販売カタログにおい
て、「BLUE」との単独の文字が被服等の色彩を示す語として用いられているこ
と(光文社平成12年3月発行の「ジェイジェイ」3月号〔乙第2号証の1〕、株
式会社ニッセン平成10年4月発行の「1998年ニッセン夏号」〔乙第2号証の
2〕)、服飾関係の辞典類において、青色が「ブルー(BLUE)」とも表記さ
れ、「さわやかな清涼感とおちついた深みなどをあらわし、赤、紫、黄などと異な
り比較的とりいれやすい色として多くの層に好まれている」、「海や空の色で、こ
の色ほど身近で親しみのある色は少ない」などと記載されていること(株式会社同
文書院平成10年5月発行の「新・田中千代服飾事典」〔乙第3号証の1〕、文化
出版局平成4年2月発行の「服飾辞典」〔乙第3号証の2〕)が認められるから、
少なくとも、「BLUE」の語が単独で被服等に用いられた場合には、商品の色彩
を表示する語として一般に認識されているといわなければならない。
   イ しかしながら、商標を構成する文字部分の一部が色彩を表示する英語表
現である場合に、その文字部分が商品の色彩を表示するものと取引者、需要者一般
に認識されていると即断することはできない(当庁平成9年(行ケ)第60号、第
61号平成10年3月25日判決参照)。
     本件において、本願商標の構成中「BLUE」の語が色彩の「青、青
い」のほか、「憂うつで」等の特殊な意味をも有することは前示のとおりであっ
て、しかも、この語義に関しては、「ブルーな」、「エンゲージブルー」(婚約し
た女性が結婚生活の不安や婚約者の選択に後悔して気分がふさぐこと)、「マタニ
ティーブルー」(産後の女性が精神的、肉体的に病的抑うつの症状になること)、
「ブルーマンデー」(休み明けの憂うつな月曜日)等の用法で名詞的又は形容詞的
に用いられ、我が国の一般国民においても比較的よく知られていることが認められ
るところである(株式会社論創社平成5年9月発行の「ブルーについての哲学的考
察」〔甲第5号証〕、平成13年6月8日の原告によるインターネット上での検索
結果〔甲第6~第8号証〕、株式会社集英社平成13年1月発行の「イミダス20
01」〔甲第9号証〕)。そうすると、「BLUE」の文字をその構成中に有する
商標が被服等について使用されたからといって、当然に商品の色彩を表示するもの
と取引者、需要者が認識するとは即断することができないというべきであり、特
に、「憂うつ(で)」という意味を有する「BLUE」(ブルー)の語が他の語と
一体となって熟語的に使用される上記のような用例は、むしろ、「STORMYB
LUE」についても、これに類する造語として一体的に認識され得ることを示唆す
るものである。
   ウ また、本願商標「STORMYBLUE」の前半部分の「STORM
Y」と後半部分の「BLUE」の結合態様を検討するに、指定商品の取引者、需要
者においても「STORMY」が形容詞的な表現であるという程度の推察をするこ
とが可能であることは前示のとおりであるところ、これが「BLUE」の前に位置
するという語順からしても、「STORMY」が形容詞的に用いられて「BLU
E」という名詞を修飾している結合態様と解されるものである。そして、文字の大
小、書体、文字間隔等をもって、「STORMY」と「BLUE」の結合が希薄化
され、前者に重点が置かれる構成が採られているなどの事情があれば格別、本願商
標は「STORMYBLUE」との一連の欧文字が同書同大等間隔をもってまとま
りよく一体に表されていることは上記のとおりであって、「STORMY」と「B
LUE」とはスペースやハイフン等によって分離されておらず、かつ、書体の相違
や文字の大小等による区別もない。また、本願商標の全体から生ずる「ストーミー
ブルー」との称呼においても、長音を除いて5音、長音を含めても8音であって、
格別冗長であるとはいえず、そのアクセントも「BLUE」の部分が「STORM
Y」の部分よりも強く発音されるものと解される。さらに、取引者、需要者が「S
TORMY」の語から上記のような意味内容を推察をすることが可能であるからと
いって、それ自体が特段に強い識別力を有するものとは認められない。
     そうすると、被服等の指定商品の取引者、需要者が本願商標に接した場
合には、「BLUE」の語が単に商品の色彩を表示する形容詞的ないし記述的な意
味しか有しないものとして認識するよりは、むしろ「BLUE」の語に重点がある
構成文字全体からなる一体的な造語として認識するのが自然である。
   エ 被告は、服飾業界においては「BLUE」の語は商品の色彩を表示する
ものとして一般的に使用されているものであり、それ自体としては自他商品の識別
標識としての機能がないか又は極めて微弱であるから、本願商標に接する取引者、
需要者は、「STORMY」の文字部分を識別標識として着目し、これから生ずる
「ストーミー」の称呼をもって取引がされることも少なくない旨主張する。
     しかし、「BLUE」の語が被服等の商品について単独で用いられた場
合に、商品の色彩を表示するものと一般に認識されていることは上記のとおりであ
るが、このことから直ちに「BLUE」の語と他の語の結合商標において、「BL
UE」の文字部分が商品の色彩を表示するものと取引者、需要者一般に認識される
ものと即断することはできないことは前示のとおりであり、前掲アの乙号各証に照
らしても、「BLUE」の語が省略され、残部である当該他の語が自他商品の識別
標識として機能するのが通常であるとまでは認めるに足りず、他にこれを認めるに
足りる証拠はない。また、取引社会において一般に簡易迅速が尊ばれるとしても、
そのことのみから直ちに「BLUE」の語が省略されることが一般的であることを
基礎付けることもできないばかりか、平成13年7月5日の原告によるインターネ
ット上の検索結果(甲第15、第16号証)によれば、インターネット上のいわゆ
る掲示板(チャットページ)等において、一般の取引者、需要者と思われる利用者
が本願商標に係るブランド名を「STORMYBLUE」ないし「ストーミーブル
ー」と、「BLUE」ないし「ブルー」を省略することなく一体として表示してい
ることが認められるところである。
     そうすると、被告の上記主張は、服飾業界において「BLUE」の語そ
れ自体が有する自他商品の識別機能が微弱であることをいう点において首肯し得る
ものはあるが、そのことから、本件において、本願商標の構成中「STORMY」
の部分に取引者、需要者が着目し、「ストーミー」との称呼をもって取引がされる
ことも少なくないとの結論を導くには実証的な裏付けを欠くといわざるを得ない。
   オ 以上を勘案すれば、本願商標に接した指定商品の取引者、需要者におい
て、本願商標を殊更「STORMY」の部分と「BLUE」の部分に分離して認識
すべきものとする理由は認められず、「STORMY」の文字部分に着目して「ス
トーミー」の称呼をも生ずると断定することは困難であり、その構成文字全体より
「ストーミーブルー」の称呼を生ずるにすぎないものと認めるのが相当である。
   カ なお、被告は、審決の判断は、本件と同様、色彩を表示する英語表現を
含む結合商標の類否が争われた事件についての東京高裁の裁判例に沿う旨主張する
ので、この点について付言する。
     被告の引用する①、②の判決における商標「レッドキティ/RED K
ITTY」及び商標「GREEN JOYS/グリーンジョイス」にあっては、本
願商標の構成とは異なり、それぞれ「RED」及び「GREEN」が全体として色
彩(赤、緑)を示すものとして形容詞的、記述的に用いられていることは、欧文字
部分の文字間隔や語順から明らかであるから、本件とは事案を異にする。また、同
③の判決は、指定商品を「シャープペンシル、万年筆、ボールペン、フェルトペ
ン、サイペン」とし、構成を「CLASSIC BLACK」とする商標に関する
ものであるが、シャープペンシル等について用いられる「BLACK」が通常は記
述的な意味しか有しないものとして認識されることはその指定商品の性格上当然で
あって、本願商標における「BLUE」と同列に論ずることはできない。
     また、特許庁の商標審査基準は、結合商標の類否について、「形容詞的
文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示
する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と
類似する。」と規定し、審決も、商品の色彩を表示すると考えられる形容詞的文字
を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似すると
いう判断の枠組みに準拠したものと考えられる。しかしながら、このようにいうこ
とができるのは、色彩を意味する文字が商品の色彩を記述するものとして、これに
接する取引者、需要者に認識される場合が一般的に多いことによるものであるが、
本件においては、「BLUE」の語を本願商標の構成文字全体の中に位置付けて検
討した場合に、単に商品の色彩を表示するものといえないことは前示のとおりであ
るから、上記枠組みないし商標審査基準の原則論は妥当しないというべきである
(なお、商標「グリーンテック」及び「GREENTEC」(指定商品・テープレ
コーダー用テープ等)と商標「テック」の類似性を否定した審決を維持した上記当
庁平成10年3月25日判決参照)。
 (4) 本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含される商品と同一又
は類似であるが、以上のとおり、本願商標は、その構成文字全体から「ストーミー
ブルー」の称呼を生ずるにすぎないのに対し、引用商標は「STORMY」との構
成からなり、「ストーミー」との称呼が生ずることが明らかであるから、本願商標
とは、外観上は「BLUE」の有無により、称呼上は「ブルー」の有無により、い
ずれも明確に区別され、自他商品が相紛れるおそれはないというべきである。
    また、本願商標は「STORMY」と「BLUE」との結合による造語と
解されるから、特定の観念を生じさせるものとはいえず、観念において比較するこ
とはできない。
    そうすると、本願商標を引用商標と比較すると称呼、外観及び観念のいず
れにおいても類似するということはできず、全体として考察しても、本願商標に接
する指定商品の取引者、需要者において、商品の出所につき混同を生ずるおそれが
あるとは認め難く、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるといわざるを得な
いから、その類似性を肯定した審決の判断は誤りというべきである。
 2 以上のとおり、審決は結論に影響を及ぼすべき瑕疵があり、違法として取消
しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき
行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官 篠  原  勝  美
    裁判官 長  沢  幸  男
    裁判官 宮  坂  昌  利

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